「アパレル業界の将来性が不安…」
「ファッション業界の先行きが不安…」
「アパレル店員の未来が見えない…」
このようにお悩みではありませんか?
アパレル/ファッション業界勤務の方の中には、
「将来のために転職を考えておきたい」
「アパレル業界からの転職先を知っておきたい」
「アパレル業界勤務を続けるために現状の問題点を知っておきたい」
…という方も大勢いらっしゃるかと思います。
そういった方のためにも、本記事は業界全体の問題から企業・現場クラスの問題まで、総合的にアパレル業界の将来性について考えていきます。
アパレル業界の市場規模は2019年までは11兆円近くあったもの、コロナ禍以降は8.5兆円にまで冷え込み、コロナ禍以降の回復も鈍い傾向にあります。
そうでなくても、アパレル店舗では「慢性的な人手不足」「個人売上」「給料が安い」などの数多くの問題を抱えています。
業界全体の需要の低下により、現場の販売員にも厳しいしわ寄せが押し寄せるため、働く社員としても将来性に不安を抱くことも多いでしょう。
また、アパレル業界は「ファッション業界」と呼ばれることもあります。
「アパレル業界」がビジネス産業全体構造について語られる時に使われるのに対し、「ファッション業界」はメディア/広告/マーケティング戦略も含めた意味合いで用いられます。
ファッション業界は、大きく分けて以下の4つの分野に分かれています。
- プレタポルテ:高級な素材と技術を用いて作られた高価な服(既製服)
- オートクチュール:高級な素材と技術を用いて、顧客の体型に合わせて仕立てられる衣料品(高級仕立て服)
- コンテンポラリー:流行を意識したカジュアルファッション
- ファストファッション:低価格で大量に販売されるファッション
ファッション業界は、常に新しいトレンドを生み出し、そのことで衣類の売上を高めていくマーケティング戦略が一般的です。たとえば、ファッションショーや雑誌、ソーシャルメディアなどを通じて、世界中にブランドイメージやトレンドを広げていきます。
この記事では、以後「アパレル業界」で呼称を統一しますが、ファッション業界のイメージ戦略に関する話題も交えて将来性について考察していきます。
アパレル業界に将来性がないと言われる理由とは?
アパレル関連業界の衰退と少子高齢化による需要低下
アパレル業界が衰退傾向と呼ばれる主な原因は、単純に需要が低下し続けているからでしょう。
以下の画像を見ればわかりますが、各家庭における衣料品の支出は1990年から半減以下になっています。
画像出典:「会社四季報」業界地図 2019年版
このグラフからわかることは、
- 各家庭の衣料品に対する出費が減り続けている(=収入源を確保しにくい)
- BtoC(消費者向け)市場における売上が、1990年代の半分以下になった
- 今後も増加する見込みがない
…など、あまりアパレル業界に明るい将来の見えない、いわゆる「斜陽産業」である事実でしょう。
また、アパレルメーカーの主な発注先ともなる「繊維業界」も衰退傾向にあります。
薄利多売による低価格志向
アパレル業界の将来性が低いのは、低価格志向が進んでおり、顧客単価上昇による売上増加が見込めないからでしょう。
これは近年、会社として業績が伸びしている会社の傾向を見れば、一目瞭然です。
近年、アパレル関連で業績の伸びている会社の例
- ユニクロ、GU(ファーストリテイリング社)
- しまむら
- ZOZOTOWN(ネット通販)
どの会社にしても「いかに安く売るか?=薄利多売」に重きを置いており、いかに消費者が低価格志向に向いているかがわかります。
この薄利多売・低価格志向についてですが、買う人はうれしい反面、働く側からすれば「人件費削減=人材使い捨ての会社で働かなければならない」「安物志向の質の悪い客を相手にしなければならない」などの問題もあります。
若者のブランド離れ、フッション雑誌やマスメディアの影響力低下
アパレル業界が衰退傾向にあるのは、若者のブランド離れが進んでいるからでしょう。
ブランド品を売っているアパレル会社は、低価格志向とは真逆の高価格志向ですので、これが上手く行けば会社の利益は上がります。
ブランド品の原価が、市場価格の3割以下という話は有名ですが、逆に言えば残りの7割は純利益となるわけですので、ブランド品を販売する会社は儲かるわけです。
しかし、近年では若者がブランド離れを起こしているため、高価格志向のブランドメーカー・ブランド専門ショップも苦境に立たされております。
その証拠として、ブランド志向の強かったデパート・百貨店業界も大打撃を受けており、今や斜陽産業の一つです。
実店舗からWEB販売への以降、リテールマーケティングによる消費形態の変化
アパレル業界が衰退しているのは、ネット通販・フリマアプリなどの登場もあるでしょう。
わざわざ店まで行かずに衣料品が買えるようになった時代です。
アパレルショップ・小売店舗に通っていた客が通販サイトに奪われてしまうわけですから、利益が落ちてしまいます。
ただし、これについてはアパレル業界におけるネット通販の市場シェア率はそこまで大きくなっていないので、今後の動向次第ではあります。
画像出典:「会社四季報」業界地図 2019年版
逆に言えば、アパレル専門のネット通販会社として、市場シェアを奪う大きな会社が誕生したら、実店舗は大打撃を受けかねない可能性も残している…とも言えます。
小売・接客業自体が将来性低め(アパレルショップ)
アパレル業界の中でも、とくにショップ店員や店長であれば、それ以上の出世・昇進コースがないという意味で、あまり将来性が高いとは言えないでしょう。
これは会社・業界全体での将来性というよりは、小売・接客・販売業は現場で働く人が構造的に使い捨てのビジネスモデルとなっているという点で、将来性が高くないという意味です。
小売・接客・販売業に関する記事
わかりやすく言えば「今働いているアパレルショップで、定年退職後まで働きたいか?」で考えてみると、わかりやすいでしょう。
将来性のあまりない会社では、
- 慢性的な人手不足でブラックになりやすい
- 将来や先行きに考えていない人が集まりやすいので社員の質が低くなりがち
- 上記の理由が重なり、余裕のない社員が集まりやすい
- 構造的に人材使い捨てが可能なビジネスなので出世・昇進する未来が見えない
…などの特徴もあり、長く働くことに向いていない会社も多いです。
もちろん、先のことは続けてみなければわからないこともありますが、現段階で自分の今の仕事に不安がある方は、この機会に将来について考えて転職活動のきっかけにしておくといいでしょう。
アパレル業界でも将来性の高いキャリアを歩むには?
アパレル業界は常に変化する流行や競争の激化といった要素によって、将来性に不安を感じる人も多いかもしれません。
しかし、アパレル業界でも将来性の高いキャリアを築くことは十分に可能です。
この項目では、アパレル業界で将来性のあるキャリアを歩むためのポイントや具体的なアドバイスについて探っていきます。
需要の変化やデジタル化の進展に対応するために、どのようなスキルや知識が求められるのか、また、自己成長や業界のトレンドに対する意識の持ち方など、成功するためのヒントをご紹介します。
ブランド力の高いアパレル会社で企画/マーケティングレベルから関わる
アパレル業界で将来性のあるキャリアを歩むためには、ブランド力の高いアパレル会社での経験が重要です。企画やマーケティングのポジションから関わることで、商品開発やブランド戦略に携わる貴重な経験を積むことができます。
ECサイト/WEBマーケティングなど次世代の販売を行う会社に関わる
アパレル業界ではECサイトやWEBマーケティングがますます重要性を増しています。将来性の高いキャリアを築くためには、次世代の販売手法に精通し、デジタル領域での経験を積むことが求められます。新しい技術やトレンドに敏感になり、デジタルマーケティングのスキルを磨きましょう。
店舗管理や流通に関する知識を身につけワンランク上の目線を持つ
アパレル業界では、店舗管理や流通に関する知識を持つことが重要です。店舗の効率的な運営や在庫管理、販売戦略など、ビジネス全体を俯瞰する視点を持つことで、将来的に管理職や経営者として活躍するチャンスを得ることができます。
独自のブランドを立ち上げたり個人店舗・流通経路を持つ
アパレル業界で将来性を追求する一つの方法は、独自のブランドを立ち上げたり、個人店舗や流通経路を持つことです。自らのアイデアやセンスを活かし、独自性のある商品やサービスを提供することで、市場での差別化を図ることができます。自己のビジョンを追い求め、起業や独立を考える一歩を踏み出しましょう。
転職サービスを利用してプロのサポートを受ける
以上のように、様々な判断材料を集めてみても、あまりアパレル業界の将来性が高いとは言えないのが実情です。
もし、業界や会社の将来性に不安を感じているのであれば、転職サービスでプロに相談しておき業界情報や求人を日頃から得ておくことを推奨します。