「大企業の社員は無能が多い」
「大企業で働き続けると無能になる」
「大企業はぬるま湯体質なので張り合いがない」
こう感じていませんか?
大企業勤めというと「厳しい受験競争と就活を乗り越えた優秀な人ばかり」「東証プライム上場企業に勤めている勝ち組」というイメージが強いです。
しかし、実際にはそうではありません。
むしろ、安定しているからこそ、
- 就職後に怠けて努力しなくなった
- 理不尽さに負けて人格が歪んでいった
- 頑張っても評価されないので腐ってしまった
…という社員も大勢います。
大手企業の性質を示す言葉として「大企業病」という言葉があります。
大企業病(だいきぎょうびょう)とは、主に大企業で見られる非効率的な企業体質のことである。
組織が大きくなることにより経営者と従業員の意思疎通が不十分となり、結果として、組織内部に官僚主義、セクショナリズム、責任転嫁、縦割り主義などが蔓延し、組織の非活性をもたらす。社員は不要な仕事を作り出し、細分化された仕事をこなすようになる傾向がある。
この「大企業病」によって、「無能な方が得する」「有能すぎると潰される」という構造になると、往々にして社員は無能状態に陥りやすくなるものです。
もし読者が「大企業社員は無能ばかり…」と感じているなら、大企業病を始めとした複雑な背景や要因が絡んでいるのかもしれません。
そこで当記事では、大企業の社員が無能ばかりだと感じる原因について探っていった上で、無能ばかりの状況にどう向き合うかのヒントもお伝えしていきます。
大企業の社員がクズや無能ばかりだと感じる原因
まずは、大企業の社員がクズや無能ばかりだと感じてる原因について探っていきましょう。
下記に、考えられる要因を紹介していきます。
「大企業社員=有能」という思い込み
そもそもとして「大企業勤めだから優秀な社員ばかり」「大企業勤めだから無能はいない」「大企業勤めだから人格者に決まっている」という思い込みがあるせいで、大企業社員に過度に期待してしまっていることが一因かもしれません。
期待が強ければ強いほど、現実とのギャップを感じやすくなるものです。
ですので「大企業=すごい、優秀な人ばかり」というイメージで入社すると、そうでない現実に落差を感じて「無能ばかり」と失望してしまうのかもしれません。
また、大企業関係なく、どの組織にも一定数「仕事しないで他人の足を引っ張るばかりの無能」や「他人をコキ使おうとするクズ」はいるものです。
ただ、大企業クラスの規模ともなると、雇っている社員や取引先も多く、関わる人物が増えきます。仕事で関わる人が多ければ多いほど、相対的に「無能」「クズ」と感じるような人物との遭遇率も高くなってきます。
そういった人物への悪い印象が強く残ってしまうと「大企業=無能ばかり」という思い込みが強くなり、そうでない社員まで悪い印象に引っ張られて見てしまうようになりがちです。
まとめますと
- 大企業でなくても無能やクズと呼ぶべき人物はどこにでもいる
- 大企業は関わる人物が多いから無能やクズのような人物の遭遇率も高い
- 「大企業勤め=有能」というイメージが強いほど、そうでない人物が多い現実に直面して「大企業=無能ばかり」という思い込みを抱いてしまう
ということになります。
縦割り型組織で「上からの指示を守る」しかできない社員が多い
大企業や公務員のように、組織が大きくなればなるほど「縦割り型組織」「トップダウン型組織」となりやすい傾向があります。
縦割り型組織:職種や業務内容ごとに部門を分断し、縦並びに管理する組織形態
トップダウン型組織:組織の頂点に立つリーダーが意思決定を行い、それを下位のメンバーに伝達し、実行していく組織形態
このような組織では、
- 上の指示を疑いなく実行できる人物が採用されやすい
- ガリ勉タイプの真面目な人物が集まりやすい(学歴を重視する新卒一括採用、公務員試験・SPAのようなテストで選考を行うため)
- 型にはまらない人物やルールを疑う人物は干されやすい(周りの足並みを乱したり、言われた通りに仕事をやらないため)
といった傾向が強く出てきます。
たとえ、上の指示が非効率であったり、どう考えても無駄に思えても「上に言われたからやる」というのが、大きな組織で求められる社員の資質なのです。
そのため「良い学校に行って真面目に就活して大企業に新卒入社する」という「普通の価値観」「常識を疑わない人」が、大手企業に集まりやすくなります。
これは、仕事における「有能さ」を
- 自発的に動いて課題を見つけ自立して業務を行うべきだ
- 効率の悪いやり方は改善すべきだ
- 上司は判断力に優れて的確な指示ができないとならない
- 結果さえ出せばルールを破ったり上の指示を守らなくてもいい
と考えている人にとっては、「無能ばかり」に見えてしまうかもしれません。大企業社員は真逆の性質を求められるからです。
部下や下請けに仕事を押し付けるだけのヤツ
単に仕事で関わる人物が「無能なだけ」なら害はありません。
しかし、厄介になるのが「他人に仕事を押し付けてばかり」の、クズとでも言うべき人物に出くわした時です。
大企業では、部署によっては「体外折衝」「社内調整」などの業務がメインとなりやすいです。
対外折衝:企業や組織が外部の利害関係者と交渉や協議を行うことです。具体的には、取引先との契約交渉、下請け会社の受発注管理、行政機関との許認可申請、地域住民との説明会など、さまざまな場面で対外折衝が行われます。
社内調整:組織内の複数の部門や関係者間の意見や利害を調整し、組織全体の目標達成に向けて合意形成を図ることです。
本来、こういった業務は交渉スキルや語学力などを始めとする「高いコミュニケーション能力」を要します。
しかし、そういった能力を持たない人ほど「部下や取引先に理不尽なことを言って動かす」「自分がわからないことは勉強すらせずに部下や取引先に丸投げ」「誰かが動くまで黙っているだけで何もしない(忖度要求)」します。
そして困ったことに、そういった人物も「あの会社だから~」と大企業の看板を背負ってエラソーな態度をするだけで、一定数、部下も取引先も動かしてしまうことができるのです。
これらに加え、組織が大きくなるほど、外野からの目も厳しくなり、不祥事やミスがあるたびに「誰の責任か?」といった「責任追及」が激しくなり、社内で責任転嫁し合う非生産的な構造となりやすいです。
そのため、責任追及されないためにも、巧妙に他人に責任を押し付ける術だけ上手になり、出世している上司もいます。
そういった人物に、理不尽に仕事を押し付けられる経験をすると「大企業社員=クズ」という印象を持つこともあるかもしれません。
実務能力より対人コミュニケーションが重要視される
「仕事ができる=優秀である」は、必ずしも「スキルや知識がある」「作業を効率的かつ丁寧にこなせる」「売上などの成果に貢献できる」といった実務能力だけが評価基準になるとは限りません。
組織風土(※職場の雰囲気や制度など)によっては「社内での人間関係構築能力」が必要とされることもあります。
とくに大手企業では「社内政治」「派閥争い」のような、めんどうな対人関係の構築に気をつかうことが主な仕事になる場合もあるぐらいです。
社内政治:組織内で特定の社員が出世や目的達成のために自らの影響力を行使すること
派閥争い:組織内にある複数の派閥が、権力や影響力争奪のために対立し、いがみ合うこと
たとえば、社内の権力者のご機嫌取りのために飲み会に参加して余興を披露することを求められたり、気に入らない部署の陰口を言うグループに所属しないと派閥から外されて仕事で不利になる…といった例です。
「権力者に媚びて気に入られること=優秀」「派閥に所属していること=優秀」となるわけです。
そのため、本質的な実務能力を重視する人にとっては、まるで学校のノリで「どの部活(派閥)に所属しているか?」「どの先生(上司)に気に入られているか?」という価値観によって仕事の評価が決まる場合、周りが無能に思えて仕方ないことでしょう。
そして、大企業は潤沢に予算があるがために、実務能力のある人材は下記のような方法でどうとでも出来てしまう事情もあります。
- 取引先に丸投げする
- 子会社として買収する
- コンサルタントに依頼する
- 経営役員を招き入れる
- 中途採用者を雇う
- 派遣会社から人員を調達
わざわざ、新卒採用者を「優秀な人材」に育てなくても、他所に発注したり、必要になったら採用費をかけてしまえば、どうとでもなるのです。
会社都合による配属転換で職務が変わるのでスキルが身につかない
優秀さを「特定の道を極めた者」…すなわち「プロフェッショナル」「スペシャリスト」「専門家」の類だと考える者にとっても、大企業社員は「無能」に見えてしまうかもしれません。
というのも、大手企業の多くは「メンバーシップ型雇用」と呼ばれる人事システムが取り入れており、グループ会社含めての配置転換や部署変更が行われるため、特定のスキルを極めることがしにくいからです。
メンバーシップ型:企業が従業員を長期的に雇用し、職務内容や勤務地を限定せず、幅広い知識や経験を身につけさせる雇用システム
ジョブ型雇用:企業が特定の職務(ジョブ)に必要なスキルや経験を持つ人材を雇用し、職務内容や成果に基づいて評価・処遇を行う雇用システム
一方で、メンバーシップ型雇用の真逆となる「ジョブ型雇用」では、欧米諸国で取り入れられている人事システムで、スキルや能力を基準に評価します。
メンバーシップ型雇用である大企業では、様々な職務を経験させることで「自社に詳しい人材」を育てますが、それは必ずしも「スキルや能力を育てる」ことを意味しません。
日本では終身雇用の考え方や労働法もあり、一度雇った社員を解雇するのは極めて難しいです。
また大企業では、出世して役職がつくかどうかも年功序列で決まる傾向が強いです。
そのため、勤務年数や年齢でエスカレーター式に出世して「無能な管理職」が生まれることもあります。
つまり、どんなにスキルや能力がなくても「長年勤めたという実績だけ」だけで上司となり、部下を持つこともできてしまうのです。
とくに管理職や上層部となる経営階級が無能だと感じているなら、ここで説明した「メンバーシップ型雇用」「年功序列」の弊害と言えるかもしれません。
優秀な人がいても気づかないので無能ばかりに見える
最後に「優秀な人がいても気づいていないだけ」という視点を紹介します。
よく言われるのが「優秀な人は全体の2割しかいない」という法則です。
しかも、本当に優秀な人は出世したり、重要なプロジェクトを任される部署に配属されたりするわけですから、必然的に遭遇率は低くなってしまいます。
また、前述のように面倒な社内政治や派閥がある場合、本当に優秀な人が変に才覚を示して目立ってしまうと「出る杭は打たれる」が意味する通り、周りの妨害や嫉妬を気にしなければなりません。
なので、表面上は「普通」を装いながら、裏ではしっかり成果を出しているのかもしれません。
まとめます、以下のとおりです。
- 大企業内にも優秀な人はいるが、自分の関わる範囲にいないだけ
- 優秀な人が身近にいても、目立つことをしてないので気づけていない
大企業では数多くの部署や社員、子会社含めた国内外に多数のオフィスを持つものです。
なので、実は社内に精鋭部隊チームのはあるものの特定のオフィスに集中しているといった事情も十分にありえます。

目立たないだけで
有能な人物は
どこかに潜んでいるかもです
無能ばかりの会社環境にどう向き合う?
無能な職場環境に直面する際、それにどう対処するかは重要な問題です。以下は、そのような状況で考えるべき対策について展開したアドバイスです。
「今の職場はそういうもの」だと割り切り、淡々と自分の職務を遂行して機会を待つ
職場の環境があまりにも無能で改善の見込みがない場合、現状を受け入れることも一つの戦略です。
ストレスを抱えず、自分の職務に集中し、必要な成果を出すことに専念します。
この間、外の機会を静かに探し、より良い環境へ移る準備をしておくことが重要です。
このアプローチは、現職での経験を積みながら、次のステップへの移行をスムーズにするために役立ちます。
大企業勤めのアドバンテージを活かすために社内外に人脈を作っておく
大企業に勤めている場合、そのネットワークとブランドを活用することができます。
社内での人脈作りは、異なる部門への移動や新しいプロジェクトへの参加機会を開くかもしれません。
また、業界のイベントやセミナーに参加することで、社外の人脈を広げることができます。
これらの関係は、新しい職務機会につながることもあり、自分のキャリアを有利に進めるための貴重な資源となります。
副業・セミナー・自己学習などで自分のスキルを高めておく
自分の能力を高めることは、どのような状況でも有効です。
副業やセミナーへの参加、オンラインコースや書籍を通じた自己学習は、新しいスキルを身につけ、現在の職場での価値を高めるだけでなく、将来的に転職する際の選択肢を広げることにもつながります。
特に技術や業界が急速に変化している分野では、継続的な学習は不可欠です。
###転職サービスを有効活用して求人実態の調査や職務経歴の整理(キャリアの棚卸し)を行う
転職サービスを有効活用して求人実態の調査や職務経歴の整理(キャリアの棚卸し)を行う
周りが無能だと感じてしまう環境にいるのであれば、それに悩むよりも行動を起こすことが大切です。
転職サービスやエージェントを活用して、客観的な視点から自分のキャリアを見つめ直しましょう。
転職エージェントは、個々の適性やスキルを評価し、あなたに合った職場を提案してくれます。
自分を無能と感じさせる環境では、成長は望めません。
しかし、転職を通じてより成長可能な環境を選択することで、無能感を克服し、自己実現への道を開くことができます。
自分が無能か有能かは、他人の評価や環境によって左右されがちですが、結果的にはどのような仕事に取り組むか、どのような環境で働くかによって変わります。
充実感を感じられる仕事に就くことで、さらに成長し、貢献できるようになります。
一方で、成長の機会がない環境では、仕事に対する意欲も減退し、自分のポテンシャルを発揮することは難しいでしょう。
転職エージェントを利用して自分の能力を客観的に評価し、成長と充実感を実感できる新たな職場を探しましょう。