「部下が使えないので切りたい…」
「言うことを聞かない部下を辞めさせたい…」
「やる気のない部下を干したい…」
このようにお考えではありませんか?
マネージャー層(管理職、リーダーポジション)として誰もが必ず通るのが「部下に関する悩み」です。
とくにプレイヤー(一社員、非リーダーポジション)として優秀であった社員であればあるほど、マネージャーとしての役割を求められた際、部下が使えないと感じ、時に「クラッシャー上司」と化してしまう現象が目立つ傾向にあります。
クラッシャー上司の定義は曖昧ですが、ハラスメントに値する言動は論外だとしても、無自覚に「こんなこともできないの?」「これぐらい簡単でしょ?」など、自身が仕事ができるばかりに部下に過度なプレッシャーをかける言動を行うのが特徴的です。
ですので、部下が使えないと悩んでいてストレスが溜まっているとしても、それを実務上で言動や態度として出してしまうことは、パワハラ・モラハラなどで告発されて社内で問題になるリスクを鑑みても、あまり得策とは言えないでしょう。
また、いくら部下が使えないからと言って、部下は上司のものではなく会社のものという事実にも注意が必要です。厳密には部下は上司である自分と契約関係にあるのではなく、会社との契約関係にあるという意味です。
これは、部下と所属する会社との関係性や契約内容にもよるので一概には言えませんが、少なからず、所属が同じ会社同士での関係なら雇い主である会社に対して部下が使えない問題について報告した上で対処するべきですし、そうでない派遣社員などの外部委託先から斡旋された部下であれば、同様に雇い主である派遣会社に抗議するべきでしょう。
また労働法では、雇った側は特別な理由がない限りは社員を辞めさせることはできない強い縛りがあります(※労働契約法第16条)。この労働契約法第16条をざっくり説明すると「(裁判所が)社会通念上相当であると認めてもらえない場合は、その権利(解雇)を濫用したものとして、無効とする」ということになります。
「社会通念上相当」というのはかなり曖昧な定義となりますが、判例(裁判の記録)から判断する限りは、少なからず以下のような例の解雇は無効とされやすいです。
- 能力不足が理由での解雇
- 協調性不足が理由での解雇
- 勤務態度不良での解雇
以上のことを簡潔にまとめますと、
- 部下は上司である自分との契約者でなく、所属会社ないし会社の委託先との契約関係にある
- よって、使えない部下を辞めさせるかどうか判断するのは上司ではなく、直接の契約関係者である会社である
- しかし会社としては、労働契約法第16条の効力や判例から判断しても、部下が使えないという理由だけでの解雇は認められない(最終的な判断は裁判所が行う)
ということになります。
よって、上司の立場だけでなくより大きな経営者や会社全体の立場として考えた場合にも、使えないという理由だけで部下を辞めさせることは現実的ではないと言えます。
以上の前提から、本記事では、原則として「辞めさせるという強硬手段に出ることなく、どう上手く対応するか?」という観点や立場に立脚し、上司として、また一社員の立場として、労働法に抵触しない形で使えない部下とどう付き合うべきかについて、ヒントになりそうな情報をお伝えしていければと思います。
使えない部下の特徴:言動や態度の例、判断基準など
「使えない部下」と言っても曖昧かつ主観的な見方になってしまうことから、本当に使えないかどうかは一個人や一上司の立場で判断できるものではありません。
また冒頭でもお伝えしている通り、労働法にも基づいて解雇しようにも「社会通念上相当である」という条件に該当しない判例が多いことからも、原則的には企業側の努力が必要となります。
そのため、まずは使えないと感じている部下に対して、
- 言動や態度のどこに問題があるのか?
- それが業務内容、または組織に対してどのような悪影響を与えているか?
- 問題となる部下に対して、適切な対処法は十分為されたか?
といったことを考える必要があります。
ここでは、使えないと感じさせてしまう部下の特徴例を「LEVEL(段階)」ごとに挙げた上で、それが実際にどれほど問題があり、仕事に悪影響を及ぼすのか、またその原因は本人の人格や性質によるのか、組織風土によるのか、様々な判断基準も交えて解説していきます。
LEVEL1.常識や良識に欠ける、勤務態度が悪い
社会人としてできて当たり前の、言わば「常識」とも言える勤務態度に関してです。以下に当てはまる例を記します。
- 遅刻や欠勤が多い:定時出社ができない、決められた勤務時間に間に合わないなど
- マナーや礼儀を欠く:社会人として基本的なマナーや礼儀を欠いた行動をとる
- 挨拶や必要な会話を行わない:社員同士が挨拶しても無視する、社員が話しかけても応じないなど
- 社内での態度や言動が不適切:上司や同僚に対して横柄な態度をとる、他人を不快にさせる言動や態度が目立つ
- 営業先など顧客に対して不適切な態度をとる:クレーム発生時に顧客に対して謝罪をしない、横暴な態度をとる
使えないというよりは「やる気がない」「話を聞かない」と感じさせるだけで実害のない特徴もありますが、社内外での横暴な態度や言動はトラブルに発展するリスクもあるので早期に対策しておきたい特徴です。
しかし、一言で「常識」と言っても、生まれ育った環境や世代間でのギャップがある点、また会社や業界ごとによっても独自の文化や慣習がある点には注意が必要です。
たとえば、ITエンジニアや事務職などのデスクワークが主体の職場では黙々と作業に打ち込むことを求められ、挨拶や雑談などは無駄な業務と判断する場合もあるでしょう。営業やコンサルタントなどの弁舌能力が必要なため、社内でもやや横暴な言動を取る風土があるかもしれません。公務員であれば倫理が問われるため、規律遵守の意識が高い人が集まりやすいかもしれません。
LEVEL2.協調性に欠ける、チームワークを乱す
次に、協調性やチームワークを乱す言動についてです。
- 他人を批判する:同僚や上司、取引先などを批判する傾向がある
- 責任感が低い:自分のミスを他人のせいにしたり、責任を回避する傾向がある
- 情報を共有しない:チームメンバーと情報を共有せず、自己中心的な行動をとることがある
- 自分勝手な言動が目立つ:自分の考えやアイデアにこだわりすぎ、他人の意見を聞かないことがある
- 周りに迷惑をかける行為が多い:勤務中にうるさくしたり、仕事が終わらないことを責任転嫁してくるなど
- ミスを犯しても反省しない:同じミスを繰り返したり、他人の意見に耳を傾けずに同じ過ちを繰り返すことがある
前述の勤務態度と比べると、仕事上の必要な報連相(報告・連絡・相談)を欠いたり、他者への批判的な言動で対人関係の空気を悪くしたり、ミスを犯しても他人のせいにしたり、他人が尻拭いをすることが当たり前だと考えている節があるなど、実務上の悪影響度はやや高めです。
ただし、これも「何を基準にミスと判断して、責任範囲はどこまでか?」が曖昧な組織や職場では、一概に誰が悪い・間違ってると決められない点には注意です。
同僚や上司、取引先の批判(愚痴)ぐらいは裏では誰もが行っていることでしょうから、公の場や本人の目前での批判的な言動ならともかく、本人が聞こえないところで行う配慮が見られるなら、むしろ職場の雰囲気を悪くしないための意識は持ち合わせてるため、協調性がないとは言い切れないでしょう。
また、責任範囲が不明瞭な組織では責任の押し付け合いが生じやすかったり、わかりやすいミスをした人間が重箱の隅をつつかれやすいなど、上手く責任回避した方が有利な状況になりやすい場合があります。その場合、表面上の「協調性=和を乱さない」ことが目的化してしまい、実質的には協力ではなく足の引っ張り合いが生じてしまっている点に注意です。
LEVEL3.言うことを聞かない、指示を守らない、命令を無視する
ここからは、性質として「上司や会社のマネジメント能力不足か?部下側の指示遵守意識の不足か?」の判断が難しい特徴となってきます。当てはまる言動があるからといって性急は判断は禁物となるため、あくまで参考程度にお読みください。
- 指示に従わない:上司や先輩からの指示に従わない、命令に背いて上司に提言するようなことがある
- 人の話を聞かない素振りが目立つ:上司が話している最中に携帯電話でメールを確認する、返事はするが内容をまったく理解していないなど
- 時間管理ができていない:与えられた期限内に仕事を完了させることができず、スケジュール管理ができない
- 指示を受けても独自の判断で行動する:指示された方法ではなく、自分で考えた方法で業務を行う
このLEVELでの見極めが難しいのは、根本的な原因として、
- 部下が話を聞いていないのか?(そもそも伝達できていない)
- 部下の指示内容への理解が追いついていないのか?(伝達はできているが業務に落とし込めていない)
- 上司の指示は的確に為されているか?(指示を振った後に理解できているか確認しているか?)
- 会社組織全体でのマネジメントは十分か?(業務内容のマニュアル化や共有は為されているか?)
など、一概には部下の能力不足とは断定できない要因が数多く潜むからです。
ここはマネジメント実務の中でも非常に判断が難しく、使えないと感じていた部下でも職場環境や上司が変わるだけで高いパフォーマンスを発揮することもありますし、逆に他の職場では優秀な活躍をしていたのに上司が変わるだけで著しく生産性が低下することも珍しくはないため、会社・上司双方のマネジメント業務が適切かどうかを見直した方が良いかもしれません。
LEVEL4.仕事ができない、働かない、役に立たない、能力不足
次に紹介する項目はさらに判断が難しくなりますが、総じて言えば「部下の優秀さに依存しない判断が必要=部下に過度に期待しないこと」が求められてきます。
- 仕事を放置する:業務の進捗を遅らせプロジェクトの進行に支障をきたすことがある
- 基本的な業務で手を抜く:報告書に間違いがあっても、自分で解決や修正せずに提出する
- 仕事の進捗状況を報告しない:作業中の進捗状況や問題点を上司やチームリーダーに報告しない
- 業務内容を理解していない:与えた指示や業務内容を十分に理解できておらず、業務に取り組むことができない
ここで明確に部下側に非があるとしたら「仕事を放置していたこと、またそれを早期に報告しなかったこと」点のみですし、それすら「途中段階でも報告するように上司は指示したか?」という点では単に「伝達不足だった」というだけで終わる話ではあります。
また、基本業務で手を抜く部下がいた場合も、部下と上司側で
- 完成前の相談段階でフィードバックをもらう意図で提出したか?
- 最初から完成レベルを求めての指示か?
- 外部の顧客に提出するミスが許されない資料なのか?
- それとも社内のみで共有する作成速度重視の資料なのか?
という目的や認識の違いにより「どこまでリソースを割くべきか?」で論点や注力度合いも変わってきます。つまり「何を基準に手を抜いたと判断するか?」が、極めて個人的かつ主観的判断になりやすい点で、上司側のマネジメント不足だと捉えられるのです。
最後に「業務内容を理解していない」という特徴ですが、これも会社全体単位で見た場合に、
- 部下に業務を行う上での前提となる基礎的な知識や経験はあるか?(プログラマーなのにパソコン使用経験がない者を採用しているなど)
- 指示を出した際に相手が理解しているか再確認しているか?(上司や会社の一方的な伝達になっていないか?)
- 人材採用時に上記を早期に発見できる採用基準を設けているか?(実務経験者が面接時に立ち会っていないので誰もスキルや知識レベルを判断できないなど)
など、上司の部下とのコミュニケーションの取り方から組織単位での人事マネジメント面た採用体制など、業務改善の余地が多く残っていると言えます。
極端な話、日本語を話せない外国人を何の準備や説明もなく雇い自分の職場にあてがわれたとしたら、明らかに採用企業側の考慮不足や説明不足だと判断できますが、それが日本人であって見た目や勤務態度にも問題がないとなると、なぜか「自分や周りと同じぐらい出来るだろう」「必要な基礎知識や前提はわかっているだろう」という前提で判断してしまいがちなのです。
LEVEL5.やる気がない、自発性に欠ける、向上心の欠如
最後にLEVEL5です。この項目では主に「やる気がない部下」や「自発性に欠ける部下」の項目となりますが、このレベルの社員はかなり多い印象です。
- 言われたことのみしかやらない:与えられた作業や言われた業務のみしかやらず、それ以外の仕事を率先して行うことはない、常に指示待ちの姿勢
- 業務に対して意欲や目的意識が低い:業務に対してやる気がなく、成果を出すことに興味を持たない
- 自己中心的でチームワークを大切にしない:自分の業務が終わった後に、他のメンバーの業務を手伝わないでサボる、残業も手伝わず退社するなど
- 会議等で自分の意見を言わない:自分の考えを言わない、自発的な提案がないなど
この項目をクリアしている部下は、間違いなく多くの人から「優秀な部下だ」と思われ、上司の立場からすれば喉から手が出るほど欲しい人物像となるでしょうが、あまり期待はしない方がいいでしょう。
このレベルの部下を求めるのであれば、それ相応のチームビルディングに関する知識と実践や、マネジメント能力やリーダーシップも必要となるため、まずはマネージャー自身が能力を高める必要がでてきます。
職場全体、あるいは会社全体で社員の自発性を高める取り組みが行われているかどうかも検討しなければなりません。
職場単位で見た場合に、目標や目的(売上、KGI/KPIなど)が明確でなければ、自発的に動く意欲のある人材からしても何をするべきか不明瞭です。営業チームであれば、売上目標や獲得契約数などの具体的な数値目標があるため自律して動く人材が自然と増えますが、逆に何の目標もなく次から次へと仕事が舞い込んでくる職場は「効率よく早く終わらせる人ほど負担が増える」という状態になるため、むしろ優秀な人ほどサボりやすくなります。
空き時間ができやすい職場環境であれば、自己学習を促す制度や仕組みを設けることも効果的です。たとえば、空いた時間に自己学習できるナレッジがマニュアルや社内システムとして蓄積されていたり、資格手当制度を設けた上で教育資料を用意すれば、自ずと自己学習してくれる社員も出てくるものです。
上司と部下の相性面から「使えない部下」と感じる理由を考える
部下が使えないと感じるのであれば、それは上司である自分と部下の相性が悪い可能性も考えられます。
以下に、転職サイト「ミイダス」の提供する診断ツールのマトリクス表にて、上司と部下の性質ごとの相性を示します。
この分類は非常に優秀で、筆者自身の上司(指示者)・部下双方の立場での経験に照らし合わせてみても、とくに相性が悪いと感じた上司・部下(※表の「×」部分)についてはかなり精度が高いと感じたため、このマトリクス表の部下の分類をもとに、より深く解説していこうかと思います。
なお、転職サイト「ミイダス」では無料で診断ツールが使え、上司としての自身の考え方や傾向も診断でき、上記のマトリクス表も閲覧できるため、ぜひご活用ください。また、上記マトリクス表の詳細や解説は以下の記事でもご紹介しております。
素直従順型:言われたことを卒なくこなす、上の指示を疑わない
・素直従順型
仕事の手順や期限など決められたことを守ろうとする。他人からの提案に批判的でなく、上司の指示にも素直に従うほうである。適応性があり、あまり強い意見を持たない。
素直従順型は「言われたことは卒なくこなす」「上の指示に疑問を持たない」という、組織人としては適性の高いタイプだと言えます。
素直従順型の部下と各タイプの上司の相性は、以下の表の通り。
上司 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
指示指導型 | 権限委譲型 | 参加要求型 | 話し合い型 | 交渉取引型 | ||
部下 | 素直従順型 | ○ | × | - | - | - |
自主判断型 | × | ○ | - | - | × | |
協調協力型 | - | × | ○ | - | - | |
情報提供型 | - | × | - | ○ | - | |
率直直言型 | - | - | × | - | ○ |
素直従順型は、仕事の指示内容を作業・ルーチンワークレベルまで落としこめる「指示指導型」の上司と最も相性が良く、逆に放任主義で部下の自発性を重んじる「権限委譲型」とは相性が悪いと言えます。
「参加要求型」「話し合い型」の上司との場合は、大多数側に流れるため可もなく不可もなくという付き合い方が主となります。
「交渉取引型」の上司に関しては、素直に指示を利く性質のため、過剰な要求を課せられない限りは、相性は悪くはありません。
その性質から大企業・公務員などの大きな組織で上の指示に従って生きることに、高い適性があると言えるでしょう。
逆に、部下が自発的に動かなければならないことが多いベンチャー企業や、個人プレイが重視される外資系企業、あるいは自身で課題を見つけ出して取り組まなければならない営業職・コンサル職は、あまり向いていないと言えます。
自主判断型:自分のやり方でなんでもやる、干渉を嫌う
・自主判断型
自分のやり方で何でもやろうとする。干渉されることを好まず、自由に動ける環境を求める。部下に任せないリーダーには扱いにくいと思われるが、自由にやらせる上司にとっては最も意欲的な部下と見られる。
自主判断型は「自分のやり方を重視する」「自由に動ける環境を求める」など、組織適性には欠ける一方で、自由に動いて成果を出すことが求められる環境では、高い成果に期待できます。
筆者は「9」と非常に高めの診断結果が出ています。
自主判断型の部下と各タイプの上司の相性は、以下の表の通り。
上司 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
指示指導型 | 権限委譲型 | 参加要求型 | 話し合い型 | 交渉取引型 | ||
部下 | 素直従順型 | ○ | × | - | - | - |
自主判断型 | × | ○ | - | - | × | |
協調協力型 | - | × | ○ | - | - | |
情報提供型 | - | × | - | ○ | - | |
率直直言型 | - | - | × | - | ○ |
自分のやり方を重視する自主判断型の部下にとって、やるべきことを明確にする指示指導型の上司とは相性が悪く、とくに上の指示や命令が理不尽で効率の悪いやり方の場合、無視したり勝手な判断をすることも考えられます。
また、交渉取引型の上司とも非常に相性が悪く、これは上司のアメとムチによって思い通りに動かされようとすることが、強いストレスやプレッシャーになりやすいからでしょう。
逆に権限委譲型の上司とは、相性がとても良いです。これは部下に仕事を任せ、指示を明確にしないため、自主判断型にとっては非常に働きやすい関係だと言えます。
「参加要求型」「話し合い型」の上司との相性は普通ですが、これは個人プレイ重視の自主判断型にとって、大多数の意見や取り決めは、自分の仕事に干渉してくることがあまりないと感じているからです。
自主判断型の部下は、職場環境や上司との意向さえ合えば、その意欲と機転によって高い成果に期待できる一方で、上司が無能だと感じたり周りと合わせなければならない環境では非常に窮屈に感じるはずです。
協調協力型:友好的で柔軟、意見はするが最終決定には従う
・協力強調型
友好的なタイプであり、協調性がある。自分独自のアイデアがあり、物事を進めるにあたって軌道修正が必要な場合は積極的に意見を出すと同時に柔軟なところもあり、最終決定には従う。
協力強調型の部下は「協調性があって友好的」「周りの様子を見て意見を出す」など、状況に合わせて柔軟に対応できるタイプです。
筆者は「7」とどちらかというと高めです。
自主判断型の部下と各タイプの上司の相性は、以下の表の通り。
上司 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
指示指導型 | 権限委譲型 | 参加要求型 | 話し合い型 | 交渉取引型 | ||
部下 | 素直従順型 | ○ | × | - | - | - |
自主判断型 | × | ○ | - | - | × | |
協調協力型 | - | × | ○ | - | - | |
情報提供型 | - | × | - | ○ | - | |
率直直言型 | - | - | × | - | ○ |
最も相性が良いのは参加要求型の上司で、部下の意見をよく聞いて仕事の割り振りや目標設定を行う職場環境では、その友好的な姿勢や柔軟性から、高いパフォーマンスに期待できます。
逆に最も相性が悪いのは権限委譲型の上司で、明確な指示や計画を示さないため、協力強調型としては物事を進める前の段階でつまづくこととなります。
その他のタイプの上司に関しては、柔軟に友好関係が気づけるため、可もなく不可もなくの相性だと言えます。
職場では周りに合わせて柔軟な対応が出来るため、とくに人間関係の調整が必要な環境では、重宝されるタイプの部下だと言えるでしょう。
情報提供型:調査や分析が得意、矛盾やミスにも早期に気づく
・情報提供型
物事の矛盾点に目がいき、問題点を見逃さない。物事を論理的に把握して、適切かつ有益な情報をリーダーに提供する。自分の意見が受け入れられなくてもあまり感情的にはならない。
情報提供型の部下は「上のミスや矛盾を見逃さない」「情報の取捨選択力がある」「上に適切な報告が出来る」など、組織の指示体系を守りながら、上に情報のフィードバックの出来る人材だと言えます。
筆者は「6」と、平均値の範囲です。
自主判断型の部下と各タイプの上司の相性は、以下の表の通り。
上司 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
指示指導型 | 権限委譲型 | 参加要求型 | 話し合い型 | 交渉取引型 | ||
部下 | 素直従順型 | ○ | × | - | - | - |
自主判断型 | × | ○ | - | - | × | |
協調協力型 | - | × | ○ | - | - | |
情報提供型 | - | × | - | ○ | - | |
率直直言型 | - | - | × | - | ○ |
情報提供型の部下も権限委譲型の上司とは相性が悪く、これは「報告を上げても相手からの反応を得られない」「密接な情報共有を求められていない」「ミスやエラーの報告が上司の機嫌を損ねる」など、自由に任せるやり方が情報提供型のやる気を削ぐからでしょう。
逆に相性が良いのは話し合い型タイプの上司。これは部下に対する配慮の出来る話し合い型にとって、細かな情報を提供してくれるため、重宝する部下になりやすいからでしょう。
その他のタイプの上司との相性は普通。これは自分の意見に固執しないため、柔軟に上司と合わせることが出来るからでしょう。
率直直言型:強い意見を持ち、利害が合うと働き者となる
・率直直言型
個人主義であり、他の人にあまり興味がない。強い意見を持ち、説得をされても簡単には意見を変えたがらない場合がある。仕事志向が強く、好条件を提示されると意欲的に取り組み、強い影響力を行使する。
率直直言型の部下は「他人にあまり興味がない」「自分の中で強い意見を持つ」「ビジネスライク」など、寡黙ながらも卒なく仕事をこなし、とくに見返りや成果に期待できる場合はより高いパフォーマンスを発揮するタイプです。
筆者は「7」とどちらかというと高めです。
自主判断型の部下と各タイプの上司の相性は、以下の表の通り。
上司 | ||||||
---|---|---|---|---|---|---|
指示指導型 | 権限委譲型 | 参加要求型 | 話し合い型 | 交渉取引型 | ||
部下 | 素直従順型 | ○ | × | - | - | - |
自主判断型 | × | ○ | - | - | × | |
協調協力型 | - | × | ○ | - | - | |
情報提供型 | - | × | - | ○ | - | |
率直直言型 | - | - | × | - | ○ |
見返りが得られるとわかるとモチベーションが上がるため、交渉取引型の上司の相性が良く、仕事志向の強い率直直言型にとっては、理想の関係とも言えます。
逆に他人にあまり興味がないため、周りと合わせることを重んじる参加要求型の上司との相性は、あまりよくありません。
その他のタイプの上司とは、他人に興味がなく仕事志向の強い率直直言型からすれば、過干渉されない限り、相性は普通だと言えます。
使えない部下や社員が多いと感じるなら会社の人事やマネジメントを疑い転職も考えておく
そもそも、使えない部下や社員が多く入社してくるような会社は、採用や人事、マネジメントが機能していない可能性が高いという見方もできます。
マネジメントには「組織運営」という意味合いも含み、適切な人材の採用や配置、人材の教育なども含まれます。
もし、あまりに使えない部下が多く入社してくるような状況にあるのであれば、それは会社自体に「採用方法が悪い」「社内研修や従業員教育を」「人事が事務仕事しかしておらず、良い人材を採るための努力や問題のある人材を採用しないための努力を怠っている」などの問題が潜んでいるとも考えられます。
また、使えない部下を辞めさせたいぐらいにストレスを抱え込んでしまうような状態であれば、今の会社に何かしらの問題があって不満を感じてるはずです。
たとえば、会社の人事評価基準が曖昧なので使えない社員でも評価されてしまい本当に仕事ができる人ほど割を食って正当評価されない、使えない部下を一方的に採用して現場に押し込んでおきながら何の責任も取らない人事担当者がいる…といった組織上の問題があり、そのしわ寄せが自分の部署や現場に押し寄せているといった形です。
そのような職場環境でありストレスが限界に達しているのであれば、転職を検討しておくタイミングなのかもしれません。
転職活動をしっかり行うことで、明らかに今の職場で割を食っているような人は年収アップや待遇向上が見込める可能性が高いです。また、年収が良い会社ほどそれだけ良い人材が多く採用されていたり、組織運営が適切に為され労働環境も良いため、使えない部下に悩まされるリスクは下がります。
そのような理由から、使えない部下を辞めさせたいと悩むような会社で給料面や待遇面でも不満があるなら、思い切って転職することで、使えない社員に振り回されない快適な職場環境で働くという選択肢を見つけ出すのも1つの手でしょう。