畜産技術者の仕事内容は?
安全で質の良い畜産物を安定的に供給するため、家畜の育種改良や飼料用作物の改良など、新しい技術の開発に取り組み、それを普及させるための指導を行うことが畜産技術者の仕事です。
就職場所としては、
- 国立の家畜改良センター
- 都道府県の畜産研究機関法人
- 民間の畜産業
- 食品企業
などとなり、1万2000人以上の畜産技術士が様々な就業形態で働いています。
種付技術員(家畜人工授精師)
畜産技術者の例として、牛や馬羊などの家畜の人工授精、体外受精、卵体外受精卵の移植などを行うの、種付け技術員という仕事があります。
獣医師は無条件でこの仕事ができますが、そうでなければ家畜人工授精師の免許を取得する必要があります。
就業形態としては、自治体の畜産試験研究機関や農協の職員、あるいは民間の畜産会社の社員になりますが、中には個人的に開業している人も存在します。
畜産技術士になるには?
畜産技術者自体になること自体にはとくに条件は存在しませんが、一般的なキャリアルートを考えると、高校や大学などで畜産に関する専門知識を学んでおく必要があります。
ですので、高校や大学専門学校などで畜産の専門知識を学ぶ、あるいは学んだ学歴のある人の方が就職は圧倒的に有利でしょう。
主な就職先は、
- 官公庁や農協などの畜産関係研究機関
- 民間の畜産食品企業
となり、典型的な理系向けのキャリアコースを歩むことになります。
ですので、仮に読者が学生時代に畜産関係の科目を履修した経歴があるのであれば、一般向けの就職・転職サイトで重点的に理系人材向けの求人を見つけてみたり、あるいは食品メーカー、畜産関連業界の求人を探して応募してみるのが一番でしょう。
また、畜産技術者の中でも、学歴・経歴不問で資格を取得できるものもあります。
種付技術者になるための「家畜人工授精師」も、学歴や経験問わずに挑戦できる資格のひとつです。
このような受験条件がゆるめの資格から取得してから畜産技術者として働き、現場経験を得ながらキャリアを積んでいくルートも一つの手段と言えるでしょう。
畜産技術士に必要な資格やスキル
畜産技術者と言ってもその仕事の内訳は様々で、仕事内容に応じた資格を取得することが必要なケースが非常に多くなります。
すでに畜産関係の仕事に就いていても、在職中に実績を積み、日本技術士会が行う国家試験を受け、農業部門の技術士あるいは技術士補の資格を取得することでキャリアで有利に働くようになります。
具体的には、日本技術士会が行う国家試験を受け、農業部門の技術士あるいは技術士補の資格を取得することが必要不可欠です。
試験科目は
- 畜産
- 農芸化学
- 農業土木
- 農業および蚕糸
- 農村地域計画
- 農村環境
- 植物保護
の6分野があり、資格を取得した後に、農業技術者として他の研究機関や食品企業などへ転職する人もいます。
先に紹介した「家畜人工授精師」のような学歴・経歴不問でも取得できる資格もありますが、すでに畜産技術者としての学歴や経歴を積んでいる人向けの資格も多く、畜産技術者は勉学や実務経験が必要な高度な仕事だという背景が見えてくることでしょう。
畜産技術士に向いてる人は?
- 農業学校卒業の学歴がある
- 理系の学歴がある
- 研究・開発が得意
- 努力が好きで勤勉である
まず、現実的に畜産技術士になるためには「農業学校で学んだ学歴」があった方が圧倒的に有利なので、わかりやすく明確な適性の指標のひとつだと言えます。
また、理系の学歴によっては食品開発・機械開発など、様々な形で畜産技術者として働く道筋が見つけ出せるようになるため、畜産関係の履修経験がなくても可能性は高まります。
技術者として長くやっていくためにも、研究や開発が好きな学者肌的な気質もあった方が仕事にやりがいを見出しやすくなるかもしれません。
そして何より、学生時代から畜産についての理解を深める努力、地道に学歴を積んだり資格を取得していく勤勉さも求められます。
実際の就職期間に公的機関が少なくないことからしても、センスや運の必要な他の仕事よりは、着実に努力を積み上げていく真面目さが大事だとわかるはずです。
畜産技術士と関連性の高い仕事は?
畜産全体で見れば、専門知識を駆使して畜産の発展に貢献する畜産技術士と、実際に現場で働き技術の恩恵を受ける畜産農家とは、対局の存在になるとも言えます。
また、畜産業は公的機関と関わりの強い仕事も多数存在し、学歴や資格取得が重要となるため、職業上の性質も公務員に近いとも言えます。
逆に民間企業で働く場合、食品メーカーなどとも関連性が高いといえます。
職務内容やその性質を考えると、研究職・開発職全般と近しいため、理系経歴のある若い人は、畜産技術士に限らずに様々な研究職・開発職が活躍する業界を知っておくとキャリアの選択肢が広がるはずです。