突然ですが「中小企業ってレベル低いな…」と感じたことはありませんか?
もしそうなら、それは自分のスキルやキャリアに対して真剣に考えている証拠です。
なぜそう言えるのか?
中小企業は大企業に比べてリソースや人材が限られているため、業務の質や効率に差が出ることがあるからです。
「自分の能力がもっと評価される場所で働きたい」
こういった不満を抱くのは、当たり前のことです。
いえ、むしろ不満や疑問を抱かなければ、自分の成長やキャリアアップの機会が奪われるだけです。
その結果、仕事のパフォーマンスもモチベーションも低下する状況が続くのは、なんとしてでも避けたいですよね?
でも、この記事を最後まで読めば大丈夫。
読み終わる頃には、中小企業でのキャリアをどう活かし、成長させるかについての具体的な方法が見つかることでしょう。
中小企業とは?
まずは、そもそもの「中小企業とは?」について解説していきます。
中小企業と言っても
- 東証プライム市場(旧:東証一部)に上場していない企業
- 有名でない名前の知られていない中堅企業
- 従業員数人規模の小さな会社(いわゆる「零細企業」)
と、その規模や実態は様々です。
法律(中小企業基本法)での定義では、具体的に以下のような条件の企業が「中小企業」に当てはまるとされます。
業種分類 中小企業基本法の定義 製造業その他 資本金の額又は出資の総額が3億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が300人以下の会社及び個人卸売業 資本金の額又は出資の総額が1億円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人小売業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が50人以下の会社及び個人サービス業 資本金の額又は出資の総額が5千万円以下の会社又は
常時使用する従業員の数が100人以下の会社及び個人
ただ、本記事ではもう少し漠然とした大手企業ではない他の企業全般を中小企業だと定義した上で、中堅企業がレベルが低いと感じるような理由やその背景まで、解説していきます。
レベルの低い中小企業/零細企業の特徴:社員の質が低いと感じる瞬間
「中小企業だからレベルが低い」「大手企業だからレベルが高い」ということはなく、事業規模関わらず、質の低い社員や労働環境の悪い職場はあるものですが、確率的には大手企業よりは中小企業の方が様々な原因によってレベルが低いと感じやすくなるかもしれません。
その理由や背景について、いくつかご紹介していきます。
採用力がない企業が多いので優秀な人材が集まりにくい
採用力の高さは企業の魅力やイメージ、待遇や年収、福利厚生などの要素によって左右されます。
中小企業は大企業ほど採用費や企業イメージを上げるための広告費予算がないため、これらの要素が不足しがちです。
競合他社が多い業界であれば、人材の採用競争も生じますため、採用に欠ける予算が低い中小企業ほど不利になります。
その結果、中小企業では優秀な人物が確保しにくくなり、集まる人材の質が低い状態が生まれやすくなります。
また採用力の低い企業ほど、人材会社への外注費や年収をケチったり、派遣会社やアルバイト・パートなどの非正規雇用での労働力確保に依存するなど、人が育たないという問題も生じます。
大手企業と比べると生涯年収が低いので管理職層の能力が低くなりがち
大手企業と比べ、中小企業は生涯年収が低い傾向にあります。
ですので、年収を求める人物ほど転職してしまい、そうでない普通の人材ほど会社に残り続けるため、管理職層の能力が低下しがちという問題があります。
また、大手企業のように大規模リストラがないため、年功序列でエスカレーター式に出世した管理職が居座り続けていることにより、能力の低い管理職層がマネージャー層や役員層として経営に関わっているケースも増えます。
大手企業ほど分業体制が進んでないので一部の社員に多くの仕事が振られやすい
中小企業は、大手企業ほど分業体制が進んでいないため、社員1人あたりに多くの仕事が振られやすい傾向にあり、優秀な人材ほど負担が増えやすいです。
一方で、大企業は良くも悪くも分業化が進んでいるため、自分の部署内の仕事だけやっておけばいいことが多めです。
また、大手企業では何らかの新しい事業を行うにあたり、専門の部署を作ったり、会社を買収、中途人材を採用するなどしますが、中小企業は企業体力がないためそこまで行えません。
その結果、既存の社員に新しい業務を振ったり勉強させるなど、無茶ぶりも増えます。
とくに従業員数が少なく採用力も低い零細企業の場合、会社のことを熟知しているベテラン社員や、何でも起用に卒なくこなすエース社員に負担が押し寄せる事態が多発し、働き者や優秀な人材ほど割を食いやすくなります。
その結果、苦労しているベテラン社員やエース社員と比較して、相対的に周りの社員のレベルが低いと感じやすくなることは起こり得るでしょう。
特定の取引先に依存している事業形態なので会社の発展性が低い
規模や営業収支にもよりますが、中小企業は特定の取引先に大半の利益を依存しているケースがあります。
たとえば、一部大手企業からの受注のみで事業が成り立っていたり、自治体から振られる仕事のみで成り立っているといった状態です。
特定の取引先に依存していると、その取引先と縁が切れるだけで事業が成り立たない恐れが出てくるため、企業間での交渉で非常に不利な立場となり、理不尽な要求も受け入れざるを得なくなるなどの問題が出てきます。
また、そのような状況にあるにも関わらず、そこから新たな取引先や販路を開拓できないことは、その企業に営業力がない証拠でもあります。
加えて、一部の取引先からの利益のみに依存していると会社全体の売上が上がりにくいため、会社に勢いや成長性を感じにくい状態も続きやすいです。
社長や役員、管理職など特定の人物の影響度が色濃く出る
中小企業は企業大手に比べて組織が小さいため、社長や役員、管理職などある特定の人物の影響度が色濃く出る場合があります。
たとえば、役員が経営者の身内や親族のいわゆる「一族経営」であったり、経営者の経歴や思想が色濃く反映された独特の社風であるなどです。
また、上層部との距離が近いため、経営階級や上司に気に入られたり評価されれば昇進や出世が早くなることに期待できる反面、そうでない場合は会社に居続ける限り不当評価され続ける可能性も高くなります。
これが大きな組織であれば、経営層との距離が遠いため役員との関係はさほど昇進や出世に影響を及ぼしませんし、部署替えや配属転換、転勤などによって社内の人間関係が固定化されず、相性の悪い上司に過小評価され続けるリスクも減ります。
中小企業のレベルが低いかどうかはともかく、経営層の仕事や会社に対する考えが色濃く反映されたり、特定の上司との相性によって、自分の仕事に対する考え方や人間関係面での相性でギャップが生じるリスクは高くなると言えるでしょう。
社内規則が定まっていないためモラルが崩壊することがある
中小企業では、社内規則が定まっていないことが多くあります。社内規則の明文化や定着に割く労力や余裕がない、あるいは経営階級がその必要性を認識できていないからです。
そのため、平気で遅刻したり仕事をサボるような社員が注意されなかったり、ひどい場合には経営者や役員階級が会社の経費でベンツを買ったりキャバクラに通うなど公私混合しているケースもあります。
また、大手企業間での取引で重視されるようなビジネスマナーや商慣習が、さほど重視されない場合もあります。
コンプライアンスや労務・法務面に不備があり杜撰な会社も多い
コンプライアンスとは「法令遵守」のこと、労務・法務は具体的には会社が法律を守るための書類仕事や社員研修、また社内で起こる法令違反を未然に防いだり再発防止を務めるような仕事全般を指します。
コンプライアンス意識が低かったり、社内に法務・労務が存在しない、あるいは機能していない場合、会社が知らず知らずのうちに法令違反している…という事態が起こりやすくなります。
たとえば、ハラスメント行為のある上司がいても放置されたり相談しても「いなくなると困るから…」とまともにかけあってもらえなかったり、サービス残業の強要が当たり前であったり、雇用契約が曖昧で契約外の仕事を振られたり、有給休暇取得制度の手続きが通らないなどです。
こういった社内環境では、長く働くには不安が残って働く側も正社員として安心して働けませんから、まともな法律知識や会社知識がある人ほど辞めていきます。
その結果、会社のおかしさやコンプライアンス意識の低さに疑問を抱かないで問題を放置しているような社員だけが残り、レベルが低い会社となるのです。
中小企業社員はバカにされやすい?
ビジネス上の取引において、またはプライベートでの所属企業によって相手を推し量る場面において、中小企業が大企業よりも劣っているかのような発言をする人がいます。
これは、大手企業が企業イメージを高めるために広告費をかけていたり一等地にオフィスを持つなど、ある種の「大手有名企業に務めることのステータス」というの演出している部分もあるので、一定数、大手企業に所属していることを自身のステータスや誇かのように語る人種がいることが原因だと思われます。
また、新卒から大手企業に勤務するには就職活動の競争を勝ち抜く必要があるため、大手企業に就職した時点で「ゴール」だと勘違いし、大手企業勤務者以外を見下すかのような発言をする者もいます。
日本では、99%以上の会社が「中小企業」になる一方で、労働人口全体では約30%近くの人が大手企業勤務という統計結果が出ています。
つまり、極一部の大企業が多くの労働者を養いつつ、取引先となる中堅企業も支えているという構図になります。
これらの事実だけで、中堅企業のレベルが低いことや逆に大企業のレベルが高いことの説明とはなりませんが、大手企業と中小企業の優劣を競いたがる人は、上記のような要素を比較対象として持ち出し他者を見下すために用いてくることはあるでしょう。
レベルの低い中小企業/零細企業が抱える問題点とは?改善は見込める?
中小企業の一部は、さまざまな要因から社員の質や組織のレベルに課題を抱えていることが指摘されることがあります。
しかし、それらの背景や原因は一体何なのでしょうか?
また、それらの問題点を改善するための方法は存在するのでしょうか?
このセクションでは、レベルの低い中小企業が直面する主要な問題点と、それらの解決策について考察します。
- 人材獲得の難しさ:
大手企業と比較して、中小企業は知名度や給与、福利厚生が劣るため、優秀な人材を引き寄せるのが難しい。 - 教育・研修体制の不備:
限られた資源のため、十分な教育・研修が行えない場合が多く、社員のスキルアップが遅れがちである。 - 経営者の視野の狭さ:
経営者が社外の情報や新しい動向を取り入れる機会が少ないことから、時代遅れの経営方針や戦略を採用するリスクがある。 - 組織の硬直性:
小さな組織であるため、変革や新しい取り組みを行う際に、既存の体制や文化の変更が難しい。 - 財務の脆弱性:
資本力が弱いため、新しい事業や投資を進めることが難しく、また、経済の変動に対するリスク耐性が低い。
しかし、これらの問題も、適切な戦略や外部のサポートを取り入れることで、徐々に改善していくことは十分に可能です。中小企業の柔軟性や独自性を活かしつつ、新しい時代の変化に対応するための取り組みが求められます。
レベルの低い中小企業で働き続けるとどうなる?無理に続けるべき?
中小企業での働き続ける経験は、必ずしも否定的なものだけではありません。
しかし、レベルの低いと感じる企業での勤務は、キャリアや人間関係に様々な影響を及ぼす可能性があります。
それでは具体的に、どのような影響が考えられるのでしょうか?また、無理にその環境で働き続けるべきなのでしょうか?
以下にその点をまとめました。
- スキルの停滞:
教育・研修の機会が限られるため、技術や知識が時代遅れになるリスクが高まる。 - 自己評価の低下:
周囲のレベルが低いと感じる環境で長く働くことは、自身の能力を過小評価する原因となり得る。 - キャリアパスの制限:
企業の規模や知名度が小さいため、外部への転職や昇進の機会が限られる可能性がある。 - モチベーションの喪失:
企業のビジョンや経営方針に納得できない場合、長期間働くことで仕事への情熱や意欲が失われるリスクがある。 - 人間関係のトラブル:
小規模な組織のため、人間関係が密接であり、トラブルが起きた際の対応が難しくなる場合も。
しかし、全ての中小企業が「レベルが低い」とは限らないため、自身の価値観やキャリアの目標をしっかりと見つめ直すことが大切です。
自分にとっての「働きがい」や「成長の機会」を感じられるのであれば、その企業での継続も一つの選択肢。
逆に、将来的なビジョンやキャリアゴールと合致しない場合は、他の機会を模索することも考慮する価値があります。
中小企業/零細企業がレベルが低いと感じた時の対処法
次に、中小企業がレベルが低いと感じた場合の対処法について、いくつかご紹介していきます。
まずは社内の環境や経営状況、業界構造を調べる
まずは、今の会社の経営状況や業界全体の構造などを調べてみましょう。
レベルが低いと感じる会社、また人材の質が低いと感じるのであれば、相応の原因や背景があることは前にご紹介した通りです。
今の会社の状況を調べておくことで、
- 自分の所属している部署だけの問題か?
- 企業全体に問題があるのか?
- 経営方針に問題があるのか?
- 自社だけでなく業界全体の問題なのか?
が見えてきて、結果として、自社の状況に詳しくなり昇進するための足がかりになることもあります。
業界全体について知りたい場合は「業界地図」という経済誌が参考になります。
また、後ほどご紹介する転職という選択肢を取るとしても、自社の問題を知っておいた方が、より良い環境の会社を見極めやすくなったり、業界全体についての視野も取り入れられるため、まずは自社の状況をよく観察したり調べてみる方がメリットは大きいことでしょう。
経営層や役員、組織図などを調べて社内風土を把握しておく
次に、経営階級(役員)や組織図、また上場企業であれば株主の情報などを調べてみると、見えてくることもあります。
たとえば、一族経営の会社であれば株主が社長と同じ名字の人物であったり、役員も親族ばかりといった情報は、会社情報や株主情報を調べればすぐわかります。
また、経営者や役員のプロフィールが見れる場合は、出身校や出身企業なども見ておくといいでしょう。
古めの会社では「学閥」などと呼ばれる学歴重視での人事評価が行われていたり、特定の企業出身者や職歴を持っている人物が評価されやすいなどの傾向があるからです。
そのため、自分が会社の評価方針と合致してない出自や経歴をしている場合、今後も不当な評価が続く可能性が予想されます。
中堅以上の規模会社は、会社ホームページに役員情報/事業沿革/組織図などの経営に関する情報を公開していることが大半です。
この情報の記載の有無だけでも、今の会社が公に対してフェアに情報公開しているか否かが判断できますし、公開してない会社は記載することの重要性を認識していないか、労力を割く余裕がないなどの問題も見えてきます。
中小企業のレベルの低さに耐えられないなら転職を検討しておく
どうしても中小企業のレベルの低さに耐えられないのであれば、転職を検討するのもいいでしょう。
転職活動というと難しい印象がありますが、20代~30代であれば比較的スムーズに進みます。
また、中小企業のレベルの低さに困っている方は大手志向もお持ちかと思いますが、大手企業の採用は事務的な傾向があるため、特定の職歴や経歴さえあればあっさり中途採用される例も少なくありません。
目安としては、勤務経歴3年以上、特定の職務であれば1~2年ほどでも条件を満たす場合もあります。
というのも、大手企業は採用にかける費用が潤沢なため、他社で育った人材を中途採用した方が効率が良いため、条件さえあればあっさりと採用を決めるからです。
ただ、転職を経験してなかったり大手企業勤務経験がないと、ご不安に感じる方も多いかと思います。
もし、そうであるなら能力的な目安で言えば「この会社、自分がいなくなったら回らなくなるんじゃないの?」と感じるのであれば、転職活動を行っておけば年収が上がったり待遇向上が見込める可能性は高いです。
また、大手企業でなくても、ベンチャー・スタートアップ企業では挑戦的な仕事をしやすいですし、単に労働環境や会社の経営方針に不満があるなら職種・同業種で転職する選択肢も考えられます。
少なからず、一社員の権限で会社の経営方針を変えたり社員の質をどうこうするのは現実的ではないので、どうしても無理だと感じたら、転職して自分が変わるしかないことは、説明するまでもないでしょう。