「印刷業界がやばいと聞いて不安…」
「印刷会社は危ないと聞いたけど本当なの?」
「印刷会社の仕事はきついって本当?」
このようにお悩みではありませんか?
印刷業界はWEBやインターネットの普及で年々市場が縮小傾向にあり、その影響で倒産している中小企業が多かったり、今も経営が続いている印刷会社でも印刷事業の売上が減っているため、他の事業に進出しているなど、客観的に見ても衰退している産業であると判断できます。
また、印刷業には製造業的な性質があるため、輪転機の巻き込まれ事故のリスクがあったり、インキの健康被害のリスクがあるなど、身体的な悪影響のリスクも無視できません。加えて、印刷物の生産や管理には工場を通す必要がある都合上、時間の融通が効きにくいことから残業やシフト勤務が発生しやすいなどの点もブラック化しやすい原因があると考えられます。
このような業界構造を踏まえると、印刷業界に入社したり働き続けることに疑問や課題を感じることは、感覚としては間違っていないと思います。新卒者や若手人材であれば長く働き続けられる業界に所属したいものでしょうし、既に印刷業界で在職中であれば業界の将来性が危ういなら転職を考えておきたいはずです。
そこで本記事では、印刷業界の分析をしながら「なぜやばいと言われるのか?」「きつい仕事になりやすい理由は?」といった疑問にお答えする情報を解説していきます。
印刷業界がブラックはブラックばかりで仕事はきつい?
印刷業界がブラックになりやすい原因を分析しておりますと、
- 主要取引先がブラックな時間感覚で仕事している業界が多め(出版・広告業界など)
- 紙媒体の需要の低下により、単純に業績が落ちている
- ネットプリントの登場で、低価格競争のデフレ構造に陥っている
…など、複雑な要因が重ねっております。
IT・WEBの普及で割を食っている業界だから
印刷業界・紙媒体と言えば、IT・WEB技術の発展によって最も割を食っている業界だと言えます。
- DTP(MacOS・Adobeソフトウェア)の登場で、印刷技術の価値が落ちた
- スマホユーザーの増加で、情報媒体が紙からデジタルに移行した
最近の求人傾向を見てみても、WEBデザイナーの募集は非常に多い反面で、DTPデザイナーの募集は極めて少ないです。
また、若手の技術者の職業訓練なども「WEB・IT業界向け」がほとんどであり、DTP・印刷業関連の需要は低下傾向です。
低価格化競争が進んでいるから
印刷業界がブラックになっている要因としては「ラクスル」などのネットプリントの登場により、低価格化競争が進んでいるからでしょう。
「薄利多売・低価格化競争=デフレ構造」になるので、どこかで低価格路線を抜け出せなければ、会社は疲弊し続けることになります。
このデフレ構造から抜け出した事例が、マクドナルドです。
大手の印刷会社の経営方針を見てみても「印刷業以外の事業展開を進めている会社」「単価の落ちない、特殊な印刷技術を中心に行っている会社」は業績が上がっている傾向にありますが、そうでない会社は軒並み赤字です。
修正・納期に追われやすい仕事だから
印刷業界と言えば、修正指示や納期に追われやすい仕事で、慢性的にブラックな状態となっている会社も多いです。
これは主に、印刷業界の受注先となる取引先もブラックな働き方をしている会社ばかりであることが、一つの原因でしょう。
印刷業界の主なクライアント・取引先は「出版社」「広告代理店」「クリエイティブ業」など、どれもブラックな職場の多い業界や会社ばかりです。
そのため、取引先の都合によって仕事のペースを合わせなければならない印刷業界も、ブラックになってしまうことになるのです。
これが単に「一回きり」「繁忙期だけ」なら耐えられるかもしれませんが、毎月・毎週のようなペースですと、改善する余裕はありません。
インキ・機械などの健康リスクがあるため
印刷業界の中でも、とくに工場・現場で働く作業員・技術者の場合は、以下のような健康リスクも考えられます。
- インキの成分による健康被害
- 機械による事故に巻き込まれる可能性
これらの要素は企業側もある程度は対策はしているでしょうが、それが守られているかどうかは別です。
上述のように、ブラックになりやすい印刷業界では、健康被害や事故の可能性も無視した上で仕事に取り組まないといけない状況も生まれてくることは、十分考えられます。
閉鎖的な業界だから
印刷業と言えば、製造業・工場としての役割を持つ会社も多いので、閉鎖的な職場も多くなることでしょう。
その場合、
- ワンマン経営者の理不尽な方針に従わないといけない
- 人格に問題のある上司と付き合い続けなければならない
- 古くさく効率の悪い仕事にも文句を言えない
…など、閉鎖的で古風な経営方針に従わざるを得なくなります。
前述の通り、斜陽産業でもある印刷業界は、IT・WEB系に対抗して様々な経営戦略を実行していかなければ、非常に厳しい立場に立たされております。
とくに中小企業・零細企業の場合は「経営者の考え方や人柄」「会社の社風」「取引先との関係」が大きく仕事内容や待遇にも関わっておきたいので、ブラックだと感じた場合は原因をしっかりと確かめておきたいものです。
印刷業界の今後は不況続きで衰退傾向?
印刷業界の今後や、将来性はどうなるのでしょうか?
印刷業界は「斜陽産業」とも呼ばれており、将来性の低い業界だと言われております。
これは業績を見れば明らかで、21世紀以降、印刷業界の業績は常にマイナス成長状態です。
画像出典:「会社四季報」業界地図 2019年版
これはIT・WEBの発達で、紙媒体の情報減が必要とされなくなったからであり、今後もますます業界全体での業績が落ちていくのは目に見えています。
印刷業界の年収は低い?中小企業の年収は?
ブラックと言われる印刷業ですが、将来的な年収には期待できるのでしょうか?
これも四季報の公開しているデータで見てみると、わかります。
大日本印刷…712万円(41.6歳)
凸版印刷…691万円(42.0歳)
NISSHA…662万円(40.4歳)
共同印刷…598万円(42.8歳)データ出典:「会社四季報」業界地図 2019年版
意外と高く感じる方も多いでしょうが、このデータには以下のような問題点があることには注意。
- 大卒一般職のモデルケースになるので、その他の技術職などはもっと下がる
- 高齢層・役員クラスが平均を釣り上げているため、下の層の実際の年収は下がる
- 景気や業績も影響するため、マイナス成長している印刷業界は将来的にはもっと下がる可能性が大きい
- 大企業クラスの平均年収しか公開されていないため、中小企業以下はもっと下がる
印刷業界の中でも、大企業・中堅企業で働いていて、なおかつ大卒一般職クラスであれば、40代以降に上記のような平均年収に達する可能性はあるかもしれません。
しかし、それ以外の中小企業勤務者や、DTPオペレーターの技術者は、業績の悪化やブラックになりやすい産業構造の煽りを受けます。
印刷業の中小企業はやめておいた方がいい?
以上のような情報はあくまで印刷業界の中でも、大手・上流の会社の動向や情報ですので、その他の中小企業クラスは実態が違う可能性も十分考えられます。
ここで言う「中小企業」とは、印刷業の大手中堅業者10社以外の、2万5000の中小企業クラスのことです。
印刷業界の中小企業の将来性を確かめる時のポイント
- 取引先・クライアントとの関係は根強いか?
- 販路拡大には積極的か?
- 他の事業内容にも手を出している会社か?
- 理不尽なクライアントだけに収入源を頼ってないか?
- ラクスルなどの仲介業者に依存していないか?
その他にも、会社の将来性や今後を判断するための要素はたくさんあります。
ですが、印刷業界に関しては斜陽産業ということもあり「印刷業以外に他の収入源を確保している会社か?」「一部の取引先やクライアントに依存していないか?」という要素は、しっかりと見極めておきたいです。
とくにネット経由の仲介業者「ラクスル」などの登場により、印刷物の低価格化競争が激しくなっております。
すると、中小企業以下はデフレ構造になってしまうため、人件費アップにも期待できなくなります。
印刷業界からの転職は?
以下の記事などをご参考ください。