28歳男性です。
新卒後、中小印刷会社にDTPオペレーターとして務めていました。
そして、去年のこと―――
無事、斜陽産業である印刷業界から脱出に成功し、WEB業界に転職しました。
いやあ、専門学校卒業後7年間印刷業界に務めていましたが、
印刷業界に先はない!
…そう思うぐらい酷い業界・酷い職場でした。
そんなわけで、私の職場体験を交えて、印刷業界に見切りをつけて、WEB業界に転職した経緯を紹介いたします。
印刷業界に先はないのでDTPオペレーターからWEBへの転職を考えた方がいい
「印刷業界に先はない!」
私は常にそう思って、印刷会社に務めていました。
というの、私自身デジタルネイティブ世代と言われる20代で、情報媒体としてまったく印刷物を見なくなったからです。
とくにスマホが爆発的に普及した2010年以降の、デジタルコンテンツの情報・広告媒体の躍進っぷりはめざましいものがあります。
事実、紙媒体の雑誌は次々と廃刊となり、漫画や小説などは「全部Kindleでおk」な状況になっていますね。
それを生活単位で実感している私たち20代と、印刷業界で実権を握る40代以降の中高年ではすさまじい温度差がありました。
例えば、印刷物・情報媒体の代表、新聞についてですね。
新聞では「スマホが学力低下の原因!」などとわけのわからないことを書いています。
それについて職場で話していました。
我が社の上司は「まったくだ、最近の子はスマホばっかりだ」と言っていたので、私は「いやいや、そりゃ新聞社がこんな時代錯誤なこと書いてるからスマホに流れるでしょ」と諫言して差し上げました。
すると上司は「バカもん!印刷業界の人間がそんなこと言うか!」と怒鳴ってきたので、私は冷静に返しました。
「情報の即時性、読者による情報の信憑性の精査において、新聞はまずネットに勝てません。また、ネットでは誤った情報でも即時に修正でき、書き手と読者の間で交流やコンテンツを共に制作していくことができます。これは即ち、読者の手元に届いた情報の感想を受けて、コンテンツ制作者は瞬時に制作物に読者の反応をフィードバックできるわけで、まさに”リアルタイムで生きた読み物”になるわけですね。新聞は言わば、死んだ魚。スマホ情報は獲れたての魚にござりまする」
「ごちゃごちゃうるさい!」
と、怒鳴られました。
もちろん、私の言い方が悪かった自覚はあります。
ですが、このような印刷物とWEB媒体の違いについて、私は常々職場の頭の固い上司たちに説き、紙媒体の進む先について真剣に考えて頂こうと思っていたわけであります。
しかし、印刷業界に務める中高年のおっさんどもは、ゴルフや酒の話ばかりで、ライバル媒体であるスマホコンテンツには触れようともしない、危機感ゼロの連中ばかりでした。
中高年おっさんどもは、そりゃあ20年ほどは勝ち逃げしてから、年金極楽生活までは生き残れるでしょう。
しかし、我々20代はそうも行きません。
元上司がのうのうと年金生活をしている頃に、中高年が無責任に放置し続けたツケを払わなくなることは、すでに見えきっているのです。
なにせ、GoogleやAmazonと言った外資企業・ネット産業の進行を目の当たりにしている我々デジタルネイティブ世代です。
このまま行けば、やがて印刷業界は外資産業・ネット産業に侵食され続け、数十年後には印刷技術など旧時代の伝統工芸としてしか生き残る道がないことは、容易に想像できることでしょう。
「よもや、これまでか…」
私は外資企業・ネット産業の大進軍を見てみぬふりして、呑気に宴会だの開いているバカ殿たちを見限り、WEB業界に従属しようと決断しました。
ちなみに、ラクスルの内部侵食も見事なもので、いかに印刷業界の営業能力・販路拡大戦略がないかがおわかりいただけるでしょう。
もはや、工場と営業所置いておくだけで楽に稼げる時代は終わったのです。
私は印刷業界と共に心中して、暗い老後を送る気なんて、さらさらありません。
DTPからWEB業界に転職するためにスキルを身につける
私は勤め先の福利厚生のひとつである宴会へのありがた迷惑なお誘いも「この業界には宴会開いてる暇なんてねえんだぞ!」と心の中で唱えながら丁重にお断りし、WEBデザインの勉強に励みました。
このような部下の心の機微を見抜けぬ愚か者は「あいつは人付き合いが悪い」などと言って酒の肴にしているのでありましょうが、そういう輩が気づいたときには部下にも同盟国にも見放され、四面楚歌で滅んでいった事例は歴史上にいくつもあります。
時代が時代なら、焼き討ち・夜討ち・謀反、あるいは部下と国ごと乗っ取られても不思議ではないほど、印刷業界とはもはや風前の灯なのです。いえ、すでにラクスルに色々乗っ取られてますけどね。
私が利用したWEBデザイン勉強法
ちなみに、私がWEBデザインの勉強に利用したのは、自宅で講習の受けられる通信講座テックアカデミーです。
今どき、会社を裏切る下準備勉強もネットだけで充分なのです。
無駄にページだけ厚い中身うすっペラの紙媒体にこだわっている化石頭には到底理解しえないでしょう。
「ページをめくる喜び」とは、それ即ち「ページをめくるめんどくささ」にも変わり得ます。
だいたい、世の紙媒体の情報にもそれを作る人間たちにも、もはや「ページをめくりたくなる印刷物」をつくる意気込みなど皆無ではありませんか。私だって今この瞬間、スマホをスクロールしたくなるような文を考えるのに必死なのですから、仕事でやっている人たちはもっと真面目に考えてください。
少なからず、私の職場ではそのような、もはや死んだ魚のような人間ばかりでしたからね。そういや、印刷物の臭いも死んだ魚の臭いがしますもんね。
話が逸れましたが、WEBデザインの勉強はネットでも充分できます。
また、コンサルトを通して転職までしっかりサポートしてくれるので、技術の持ち腐れになる心配もありません。
ただの知識コレクションである、DTPエキスパート検定なんかよりも、断然役に立ちます。
ちなみに、WEBデザインでもAdobe社のIllustrator・Photoshopも神器として活用するので、DTPオペレーターはWEBデザインを習得しやすい職種とも言えますね。
その他にもhtml、CSS(場合によってはPHP)というプログラミング言語を学びますが、これらは実践による暗記が効果的な学習法ですね。中学校過程程度の数学を理解出来る人なら誰でも覚えることができます。習得している人も多いので、わからなければググれば大体解決します。
DTPオペレーターからWEBデザイナーへ転職
こうして、水面下で印刷業界脱出の手口を整えた私は、転職活動をこっそり行いました。
有給を上手く活用しました。
効果的に有給を活用するためのコツですが、納品日前日・当日にまとめてとることをおすすめします。
「てめえ!ふざけてるのか!」などと怒鳴られる可能性もありますが「ふざけてません!本気です!」と返せばOKです。有給消化というカードを効果的に使いましょう。だいたい、駆け込み納品が常態化している時点で、日程管理・クライアントとの交渉など、まともに仕事してない奴がいる証拠ですから。それこそ「ふざけてるのか!」と言われて然るべきです。
さて、実際に転職が決まったら、猫の手も借りたくなるぐらい、もっとも忙しい時期に退職することをおすすめします。
最も忙しい時期に退職して、失業保険を受け取りながら優雅に過ごすのは、たまりませんよ。
繁忙期前に退職し、繁忙期の過ぎた頃合いに入社するのが正しい転職のやり方ですからね。
先方としても繁忙期に足手まといになりかねない新人を入れたくないでしょうから、まさにwin-winです。
もっとも、ここで「人手が足りないんだ!すぐ入社してくれ!」と頼まれることも想定できますが、それを「繁忙期に新人を即戦力として使うブラック会社」「自分が繁忙期にも即戦力として頼られる人材」のどちらかで解釈するかはあなた次第です。
印刷業界で働くDTPオペレーターからWEB業界に脱出した感想
印刷・DTP業界という斜陽産業から抜け出して、WEB業界に逃げた感想を一言。
マジ逃げてよかった。
…それ以外の言葉が見つかりません。
ちなみに逃げてきた後悔は微塵もありませんし、繁忙期に逃げ去った罪悪感もありません。…ああ、同期の女の子にはちょっと申し訳ないかな。あの子にも早く逃げて欲しい。
そもそも、ハローワークでデザイン業界の求人見れば、時代動向は一発でわかります。
WEBデザイン9割、DTP1割…マジでこんな割合です。
というか、印刷会社・DTP会社ですら「※WEB急募」とかいう状態です。まあ、要は「印刷業がヤバイのはわかってるけど、ウチらでWEBの勉強すんの嫌だから都合のいい人材来て」という状態ですね。そんなふざけた求人に応募するバカはいません。
…という、営業努力もクソもない業界が印刷・DTP業界なので、さっさと逃げることを心よりおすすめします。
ちなみにWEB業界に入社してから一年で、前職の給料越えました。やったね!
DTP業界からWEB業界に逃げるなら転職エージェントを利用しよう
私がWEB業界に逃げるために利用したサービスは、転職エージェントと呼ばれる、仲介役の担当営業マンを通して転職先を紹介してくれるサービスでした。
非公開求人を多く取り扱っているため、情報力の高いWeb業界の求人がかなり集中しています。
印刷業界・DTP業界は情報収集能力が低いので、こういった優良な求人サービスの情報もなかなか手に入りませんよね。
今やエージェント制は、大手求人会社でも取り入れられるほど、注目されている求人・転職サービスなんです。
実は、ここでエージェントの方と相談して知ったのですが、
「Webデザインはデザイン・DTP経験あれば、プログラムできない人でも採用したがってる会社は結構あるんですよ」
と聞かされました。ぶっちゃけ、勉強しなくても転職はできたみたいですね。
というのも、Webデザインのプログラミング言語は短期の研修で習得可能なので、どちらかというとデザイン・DTP経験の方が重視されやすい傾向があるそうです。
印刷・DTP業界からプログラムの技術が一切ないままWEB業界に転職する人も多く、私が担当したエージェントの方は、とくにそういった案件を多く扱った実績のある方でした。
また、20~30代は情報リテラシー能力も高く、Web系の技術の習得度も高いため、経営の安定してきたWeb会社が人材教育に余裕のある時に多く採用していることも多いみたいです。
「中高年世代はパソコン使えない人が多いけど、20~30代の人はパソコン・WEBに関する基礎をしっかり学んでいて習得度も高いんですよね。なので、DTP・印刷の現場から引き抜かれることも多いんですよ」
また、Illustrator・Photoshopなどのクリエイティブソフトの現場使用実績はとくに高く評価されました。
私が転職した会社では、この2つのソフトの利用歴が少ない社員が多いので、指導役も兼ねています。ロゴ・バナー・ボタン制作や、写真加工の基本などを指導しています。
私はデザインセンスにはあまり自信がなく、ソフトを上手く使える・デザインの基礎だけ抑えてる…ぐらいの能力だったんですが、それでも全然欲しい職場も意外に多いと知りました。
「Web系の会社はセンスよりも技術面を評価するところが多いので、ポートフォリオではソフトでどういったものを作れるかを重視すると、面接官受けがいいですよ。とくに先方はデザイン知識のあまりない会社ですので、ソフトで何が出来るのか、出来ることすべて詰め込むぐらいでOKです。相手が広告代理店やデザイン事務所ならセンスも作品実績も必要ですけど、WEB会社ならまずは技術が大事ですよ」
これは私にとってすごく意外で、そして自信につながりました。自分でアイデアを出すのが苦手でDTPオペレーターを選んだところもあるので、センスやアイデアを求められる現場では通用しないだろうなあ…と悩んでいたからです。
その後も毎週土日の空いた時間に、担当エージェントの方と相談して、転職先や履歴書・面接の方法を練っていき、無事に転職先が決まることになりました。
もし私と同じような境遇で印刷・DTP業界からWEB業界に転職したい方は、転職エージェントに登録してみるといいですよ。気軽に相談できて、WEB業界の事情も教えてもらえるので、選択肢が広がります。