「派遣社員では将来が不安…」
「派遣社員での働き方に疲れた…」
「将来的に正社員として働きたい…」
派遣社員としての働き方に不安を覚え、正社員や契約社員への転職を考えている方もかなり多いです。しかし中途採用の場合ですと、派遣社員から正社員へと転職するのは年を追うごとに厳しくなっていくのが実情ですね。
もともと、日本では派遣社員のような就業形態への理解が浅く、2015年の派遣労働法もまだまだ効果が出ていません。ですので、派遣社員で働き続けても収入の低い「ワーキングプア」が社会問題になっています。抜け出したくても抜け出せないのが、派遣社員のつらいところですね。
「もうこのまま、派遣社員として働き続ける人生しかないのか…」
そういった悲観的な声がネット上では多く見受けられ、派遣社員にはチャンスがないように思われています。しかしながら、派遣社員の方の多くが転職に関して大きな勘違いをされています。それは「派遣社員がいきなり正社員になるのはかなり難しい」という事実です。
というのも、派遣社員は間違った仕事観が身についている人が多く、組織的な働き方の必要とされる正社員の中途採用では、マイナスな経歴になりやすいんです。変に社会経験のある派遣社員を雇うぐらいなら、社会経験の浅い既卒・第二新卒の方がまだ組織への順応力はありますからね。
業界や企業によっては「派遣社員はモチベーションも低いし、責任感のない仕事ばかりしているなのに、主張だけはいっちょ前だ」というネガティブなイメージもあるぐらいです。実際、派遣社員が請け負っている仕事の範疇は、正社員からすれば「無責任だ」と思われることも多いんです。このマイナスイメージをくつがえして、派遣社員から正社員に転職するのは、相当のアピール力と企業分析力がないと厳しいでしょう。
ですので、もし派遣社員の方が正社員を目指すのであれば、まずは契約社員への転職を考えておくべきですよ。この記事にも書いていますが、正社員として将来的に長く会社に勤める気があるのであれば、派遣社員よりも契約社員の方が有利だからです。
関連:契約社員と派遣社員の違い。派遣から契約は給料が下がる?断ったほうがいい?
一方で「契約社員は待遇が悪いから正社員じゃなきゃ嫌だ!」という派遣社員は、ハッキリ言っておきますと企業からはかなり嫌われます。なぜなら「企業側がなぜ契約社員からの雇用で始めるか?」という意図に気づいてないからです。そこに気づけないのであれば、法律が整備されようが、一生派遣からは抜け出せません。
…少し厳しくなりましたね。ですが、くじける必要はありません。考え方さえ変えれば、誰でも派遣社員という不遇な雇用形態を抜け出すことはできます。
気持ちを切り替えて、派遣社員から契約社員に転職し、正社員を目指す方法をご紹介していきましょう。
派遣社員が正社員への転職に失敗してしまう理由
派遣社員からいきなり正社員への転職に挑戦して、失敗してしまう人はかなり多いです。冒頭でもお伝えしましたが、派遣社員は間違った仕事観が身についてしまっています。そこに気づかなければ、中途採用の面接ではまず受かりません。
では、その”間違った仕事観”とは何なのでしょうか。これをつかむには”企業側の派遣社員のイメージ”と”派遣社員の正社員に対する願望”のズレを知らなければなりません。
・企業側の派遣社員に対するイメージ
- 責任感のない仕事をしている
- 組織で働くことを拒んでいる
- 向上心や意欲に欠ける
- 仕事が「作業」の範疇ばかりで自発性に欠ける
・派遣社員の正社員に対する願望
- 正社員になるだけで待遇や給料が上がると考えている
- 正社員になるだけで安定すると思っている
- 正社員は上司の指示を聞いてこなすだけだと思っている
- 正社員になれば解雇されるリスクが低いと思っている
もし、あなたが派遣社員で「正社員に対する願望・イメージ」が上の通りであれば、まず採用されるようなことはありません。なぜなら、すべてダメな正社員の特徴だからです。正社員になっただけでどうにかなると考えている人材、新卒ならともかく中途採用では絶対に要りません。なまじ社員としての経験がある分、派遣社員は間違った仕事観が身についてしまっている分、そんな当たり前のことにも気づけないのです。
そうでなくても、中途採用からの正社員採用は一般的には厳しいものです。企業側も慎重になるため、派遣社員とは桁違いに高い経歴と実績を求められます。ですので、正社員ではなく比較的採用されやすい契約社員を狙ったほうがいいわけですね。
関連:契約社員だと採用されやすい?中途採用で契約社員から働くメリットとは?
派遣社員の「間接雇用」に潜む”闇”
派遣社員と契約社員の違いと特徴を知っておけば、いかに派遣社員が将来性の低い雇用形態かはすぐにわかります。
関連:契約社員と派遣社員の違い。派遣から契約は給料が下がる?断ったほうがいい?
契約社員は雇用先企業との「直接雇用」となるため、企業との距離がより近くなります。一方で派遣社員は「間接雇用」となり、派遣会社との雇用契約になるため派遣先企業とのつながりが弱くなります。
もしこの事実を知らなかったのであれば、それは誰かの言いなりに従うだけの仕事ばかりしてきた証拠なのではないでしょうか。雇用契約を結ぶ前に、必ず確認しているはずですからね。
この「間接雇用」ですがざっくりと言うと、現場仕事で高い評価を得ているにも関わらず、派遣会社(雇用主)の意向次第では契約社員・正社員になれないリスクがあるわけです。
このあたり、非常に法律がややこしくなっているのですが、端的にいうと派遣会社側に派遣社員を正社員にさせる気がないのであれば、派遣先企業で評価されても正社員になることは難しいといえます。告知義務とか色々あってホント派遣労働法はややこしいんですが、派遣会社がしっかりと派遣労働法を把握しており、なおかつ派遣社員の正社員定着に積極的であることが前提であるため、かなりザルなところもあります。
ぶっちゃけた話、雇用契約者である派遣会社としては、派遣先である企業から派遣社員を引き抜かれると「派遣社員の紹介料+派遣先企業の業務枠」がそのまま赤字になっちゃうわけです。なので、派遣会社は本音で言えば「派遣社員には、派遣形態のままでいてほしい」わけです。
ちなみにこのような事態を重く見た政府は、2015年の派遣労働法改正で「雇用安定措置」を義務づけており、派遣会社に努力義務を課しています。
雇用安定措置は、派遣先の同一の組織単位で3年継続して勤務をした場合(=個人単位の期間制限の上限)に派遣元に義務付けられますが、
3年未満であっても1年以上継続して勤務が見込まれた時点で、努力義務が課せらせることになりました。
雇用安定措置の内容 留意点 ① 派遣先への直接雇用の依頼 派遣先に対しても一定の条件において、労働者募集の周知等が求められています。 ② 新たな就業機会(派遣先)の提供
(※能力、経験等に照らして合理的なものに限る。)就業条件の合理性は、能力、経験等に照らして合理的であればよく、派遣労働者のすべての希望を満たすことが必須ではありません。 ③ 派遣労働者以外の無期雇用労働者としての
雇用機会の確保とその機会の提供派遣元の既存の正社員とは就業規則等の異なる、無期雇用社員の制度を別途設けることは可能です。 ④ 教育訓練その他雇用の安定を図るために
必要な措置(紹介予定派遣等)教育訓練は、その結果取得できる資格等が就職活動に直結するようなレベルのものに限られ、有給となります。 出典:https://www.hatarako.net/contents/law/03/07/
一見すると「派遣社員に雇用安定を図る機会を与えるための法案」に思えますし、事実3年間という期間を設けることで「同じ会社に派遣社員としてずっと派遣し続ける」というあくどいやり方は厳禁となりました。これだけで見え見れば、3年経った段階で「①」の方法で直接雇用するのが最善ですよね。
しかし、実際はどうでしょうか。
派遣先の企業としては「派遣としてなら問題ないけど、自社では雇用したくない」という労働者であれば、直接雇用は断るに決まっています。そして派遣会社としてもそのまま派遣社員が自社に残ってくれるのが一番であり、次の派遣先に紹介すればいいだけの話です。
そもそも3年立つ前に派遣を打ち止めるなんていうセコい方法も可能です。これについては「2018年問題」「雇い止めが起こる」と言われ、すでにじわじわと実例が出て来ています。
同じ非正規なら”契約社員”目指して転職した方がいい
ここまで言えば、もうお気づきでしょうが「間接雇用=派遣社員」よりも「直接雇用=契約社員」の方が、待遇面ではマシだと言えますよね。とくに仕事に真面目に取り組み向上心もあり、他者からも評価されるような方であれば、契約社員の方が将来性もあるでしょう。
「月給が高くなるから派遣社員の方がマシ」
「契約社員は正社員並の責任になるからイヤだ」
…なんて考えている方もいるでしょうが、20代前半のフリーター気分で仕事していては、いつまで経っても派遣生活から抜け出せませんよ。20代前半フリーターならフルタイムで大卒の初任給を越えられるかもしれませんが、それは若いうちだけの話です。どんな仕事も最初のつらい時期を越えなければ、将来は見えてこないのです。
契約社員には2種類のタイプに別れています。
- 企業側が都合よく人材を使い捨てるための契約社員枠
- 企業側がリスクマネジメントで試用期間として採用している契約社員枠
おそらく、今まで派遣社員として生きてきた人は前者を選ぶと思います。なぜなら、楽な仕事内容で募集しているから。楽な仕事ですので将来的な昇進コースなど最初からなく、使い捨て人材として募集しているわけですね。
一方後者は正社員と変わらない業務内容でもあるのに、給料は低めの傾向です。一見すれば、割に合わない仕事のように思えます。ですが、企業側からすれば「割に合わない仕事でも乗り越えてくれる人材」でなければ、正社員として昇進させたいだなんて思わないわけです。
就活でよく「経営者目線で考えよう」などと言われますが、あれと同じです。求人や雇用形態も「経営者にとってどれが一番都合がいいか?」を見抜けず、自分の都合のいい情報だけを受け取って楽な方に流され続けては、非正規社員として会社の都合のいいように使われるだけですよ。
出世する人も「会社の意図」「上司の意図」を見抜くのが上手いですが、求人とて同じことが言えます。契約社員であっても会社側の意図さえ見抜ければ、正社員になれるチャンスは十分あり得るのです。
関連:契約社員だと採用されやすい?中途採用で契約社員から働くメリットとは?
派遣から直接雇用の打診が来たら転職活動も行っておくと万全
以上のように、派遣社員から直接雇用を薦められるということは「自分の能力やスキルが正社員としても十分通用する証拠」だとも言えます。
よって、今の職場で直接雇用されることで給料が下がる不安が残るなら、転職活動を行っておいて今の自分の経歴でどれだけの年収が見込めるかも知っておき、今の職場で直接雇用されるかどうか判断した方が万全でしょう。
というのも派遣社員の場合、仲介料を引かれている分、会社側の負担している人件費より少なめの賃金しか払われないことになるため、直接雇用された場合、足元見られてさらに給料が下がる可能性もあります。
たとえば、派遣先企業が言いくるめてくる口実として、
「直接雇用になれば安定性があるから…」
「頑張りや能力を評価して…」
「人が足りないから…」
などの理由を使ってきて、賃上げについては一切話さない場合は注意が必要でしょう。
こういった都合のいい口実を使われた場合にも、転職活動を通して年収相場を知っておけば、強気で賃上げ交渉ができますので、いずれにしても転職活動しておく方が堅実です。
転職活動を行うなら、転職エージェントでプロに相談しておくのが一番でしょう。
その際は、率直に「派遣社員から直接雇用の話が来ているが、転職するのとどちらが収入が上がるか?」と聞いておけば、今の自分の経歴で見込める年収額を手っ取り早く聞き出せます。
いずれにしても、派遣から直接雇用の話が来ること自体は自身に相応のスキルや能力、人としての信頼性もある証拠ですので、それを確かめる意味でも転職エージェントでプロのアドバイスを一度受けてみる価値はあると言えます。