40代派遣社員として意識低く働いています。
「派遣社員」
この言葉に、いい印象を抱く人は少ないはずです。
しかし、私は派遣社員は現代社会において、非常に合理的な選択肢だと言えます。
派遣社員の特徴について挙げると、ざっくり以下の通り。
- 残業がかなり少ない(割高の賃金が発生するため)
- 業務範囲が決まっているので、嫌な仕事を振られにくい
- 組織に属する必要がないので、必要以上の責任を追わなくてもよい
しかも、派遣社員ならフルタイム勤務で月収30万円代達成可能、その上派遣会社から社会保障も付くので、意外と悪くないんですよ。
そしてなんといっても、ワーク・ライフ・バランスの実現が可能。
これはどういうことかというと「好きな時に好きな分だけ稼ぐ!」という生き方が選択可能なわけです。
そのため、派遣社員はとくに女性・主婦層からも前向きに選択されやすい職種形態なんです。
しかし、実はそれだけではないんです。
派遣社員はその職務形態と仕組みをしっかり抑えておけば、意図的に努力しない働き方も可能。
「ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)」の名のもと、自分の好きなように働くことも出来るんです。
今回は「努力が嫌いな人はあえて派遣社員で働くべき!」という主張について、お伝えしていきます。
関連:頑張っても報われない仕事の特徴。努力しても搾取されるだけの会社は辞めた方がいい
目次
派遣社員の賃金・待遇は意外と悪くない
派遣社員の平均月収は意外と悪くありません。
以下は厚生労働省が発表した、平成27年労働者派遣法改正時点での時給あたりの賃金です。
画像出典:平成27年労働者派遣法の改正について |厚生労働省
厚生労働省の発表した賃金で見ても、平均月収約21万円であることがわかってきます。ただし、これは平成24年の賃金ですので、アベノミクス・働き方改革により、現在はもっと高くなっていると考えられます。
大手人材派遣会社である「テンプスタッフ」の公表データを見てみると、全国平均は27万2千円だとされています。
この数字に基づいて計算すると、直近5年間の三大都市圏の平均時給は1,547円。
そして、これを月収(1日8時間×22日勤務の場合)に換算すると四捨五入して272,000円になります。※時給1,547円×1日8時間×22日=272,272円
次に待遇面についてです。
派遣社員を他の職務形態と比較すると、以下のようなメリットがあります。
- 無期契約社員(契約5年目以降)よりは高い賃金が期待できる
- 正社員平均は年収の高い層が引き上げているため、若手は派遣社員より低めになることも
- アルバイトは雇用主都合で勤務時間に融通が利きにくい
こうして考えてみると、派遣社員も悪くない選択肢ということがわかってくるかと思います。
関連:正社員から派遣社員はもったいない?働き方をしっかり考えれば派遣は必ずしも負け組ではないと知っておこう
「紹介予定派遣」により将来性に期待できる
「紹介予定派遣」とは、ざっくり言うと「正社員候補として、最初は派遣社員として働く制度」と考えてもらっていただくといいでしょう。
紹介予定派遣とは、派遣期間(最長6ヶ月)終了後、本人と派遣先企業双方合意のもとに社員となる働き方です。
一定期間「派遣」で働くことで実際の仕事内容や職場を見極められ、未経験でも希望の仕事に就けるチャンスがあります。また、自分だけでは探せなかった企業に出会え、転職活動にかかる労力や時間も節約できます。
企業側の目的としては「契約社員」と似た性質を持ち、正社員を目指す場合には有効な制度だと言えます。
関連:契約社員だと採用されやすい?中途採用で契約社員から働くメリットとは?
関連:契約社員と派遣社員の違い。派遣から契約は給料が下がる?断ったほうがいい?
ただし、逆に言えば正社員になる気がない場合は利用しないほうがいいとも言えるので、事前に確認しておくといいでしょう。
「同一労働同一賃金」により賃金アップにも期待
働き方改革で提唱されている「同一労働同一賃金」にも注目です。
同一労働同一賃金の導入は、仕事ぶりや能力が適正に評価され、意欲をもって働けるよう、同一企業・団体におけるいわゆる正規雇用労働者(無期雇用フルタイム労働者)と非正規雇用労働者(有期雇用労働者、パートタイム労働者、派遣労働者)の間の不合理な待遇差の解消を目指すものです。
これは実質的には「正規・非正規間の差別を失くすための取り組み」と考えるべきでしょう。
ただし、実現には多くの課題が山積みですので、派遣会社の取り組みや今後の法改正にしっかりと気を配っておくべきでしょう。
必ずしも、この理念があるからと言って、格差がなくなることを意味するわけではないことに、留意しておくべきです。
「派遣社員の搾取」は一部の極端な事例
「派遣社員」という言葉を聞いて、多くの人は「待遇が良くない」「派遣会社の仲介手数料搾取されている」と考えがちですが、それは物を知らない人の偏った考え方です。
派遣社員搾取の事例は、かなり極端な例にあふれています。たとえば、以下のような誰でも編集可能な「NAVERまとめ」の記事。
例:派遣労働者の悲惨な末路!アベノミクスの大失敗の結果がヤバい。|NAVERまとめ
例:派遣労働者の待遇がヤバい!40代・50代になって派遣社員・契約社員の地獄|NAVERまとめ
しかし、これらのような記事は、雇用契約前に条件をしっかり確認していない派遣労働者の悲観的な物の見方に思えてなりません。事実、具体的な統計データ(とくに賃金や派遣会社の経理状況)が根拠として提示されておらず、因果関係の破綻が見られます。
一方で、経済誌や厚生労働省のデータを見てみるとどうでしょうか。
東洋経済発行の「四季報」を見てみると、派遣会社の取り分は非常に少ないことがわかってきます。
画像出典:会社四季報 業界地図 2018
「派遣社員は搾取!」なんてネット上ではよく言いますが、派遣会社の取り分はかなり少ないことがわかってきますね。つまり「派遣社員は搾取されている!」という主張は、一部の派遣社員の被害妄想である事実が見えてくるんです。
そもそも、搾取されるのは正規・非正規の労働階級のみならず、多くの下請け企業も同じことですからね。
また、派遣会社の社員は昨今コンプライアンスについてかなりうるさく指導されているので、違法な派遣形態での雇用で不当搾取されるリスクは、かなり低いと言えるでしょう。
厳し目に言いますが、搾取されたくなければ事前に納得行くまで雇用契約と派遣労働法について確認しておけばいいだけです。
派遣社員が努力しなくてもOKなメリットとは?
前置きが長くなりましたが、派遣社員はその性質を理解しておけば、決して悪い職務形態ではありません。
むしろ「正社員」という肩書きにのみこだわり、最低時給以下で働くよりかはずっとマシな選択肢であることもわかってきます。
そしてなんと言っても、派遣社員は「正社員ほど努力しなくてもOK」という、明確なメリットがあります。仕事である以上、最低限の努力は必要ではありますが、正社員に比べれば明らかに派遣社員は努力も責任も要求されません。
…というよりも「将来、会社の中枢を担う育成すべき人材としての正社員」と「持ち前のスキルで現場仕事を着実にこなす派遣社員」では、求められる努力の方向性が違うのです。
そのため「会社の経営状況とか将来なんてどうでもいいから、仕事をこなした分だけ賃金をくれ!」という考えの方にとっては、派遣社員という生き方は非常に理想だと言えます。
しかも、派遣会社に登録しておけば転職活動の必要もなく、自分のスキルに合わせて次の職場もすぐに紹介してもらえるので、経営センスのない会社と一緒に心中するリスクに怯える必要もありません。
つまり、リストラに怯えることなく、臨機応変に派遣先企業を選べるのです。
・派遣社員のメリット
- 残業時間が割高になるため、定時内に業務が終わることが多い
- 会社に所属しなくていいため、重大な仕事を任せられるずに済む
- 業務範囲が限られているため、自分のしたい仕事のみできる
- 派遣会社に人材がストックされているため、好きな時に働いて好きな時に休みやすい
- 派遣会社に登録しておけば他の職場も紹介してもらえるため、転職・再就職の必要なし
- 派遣先に人材育成する気がないため、年齢がネックになりにくい
これだけ挙げればわかりますが、正社員に求められる「成長性や組織人としての責任感」とは真逆の位置にあるのが派遣社員というポジションなんです。
もともと、派遣社員自体が欧米で取り入れられていた合理的な勤務形態であり、然るべき形で運用すれば、派遣先企業・派遣会社・労働者の三者にとって都合のいい制度になるわけです。
前述の通り、働き方改革で派遣労働法の改正が大幅に行われた今、派遣社員の地位と待遇も見直されていくことになると考えておくべきでしょう。
必要な時に必要な分だけ働けるメリットは大きい
派遣社員のメリットは「必要な時に必要な分だけ働ける」というところにあります。
たとえば「収入がほしいので、3ヶ月だけ集中して稼ぎたい」という働き方も可能ですし、あるいは「人間関係が嫌だから他の職場に移りたい」ということも可能です。
あるいはフルタイム勤務が嫌であれば、1日4時間、週4日という働き方も可能。
つまり、最初から長く働く気がない・嫌な会社なら辞めたいと考える場合において、派遣社員という働き方は実に合理的だと言えるんです。
「正社員のように週5日以上、残業ありはちょっと…」いう方でも、派遣社員なら残業のリスク低めで働くことができるんです。
ですので、主婦層とはとくに相性のいい働き方だと言えますね。
「ワーク・ライフ・バランス」という言葉もありますが、正直日本の今の企業体質じゃ正社員での実現は難しいでしょう。
子育て休暇すら嫌な顔される企業が多い中、主婦層が正社員で働くなんて現実的な選択ではありませんからね。
その点、派遣社員であればワーク・ライフ・バランスの実現は容易に可能です。
事実、女性の多いデザイナー職向けの転職サービスである「マイナビクリエイター」では、派遣社員の求人も多数扱っており、ワーク・ライフ・バランスの実現のために効果的に派遣社員制度を取り入れていることがわかります。
関連:派遣社員が残業なしは嘘?本当?派遣は残業を拒否できる強い立場であることを知っておこう
正社員と比べて責任も少なめ
派遣社員のメリットは、正社員と比べて責任のある仕事をしなくて済むところにあります。
これについては意見が分かれますが、即戦力人材としてスキルを備えておき、現場仕事さえこなしておけばいいだけですので、正社員のように会社の課題を解決しなくても済むので比較的楽です。
これが正社員であれば、業務外の仕事…つまり「やりたくもない仕事」を何年単位も振られることもありますし、外国語もしゃべれないのに海外出張に行く無茶振りに付き合う必要もあります。
ハッキリ言って、正社員として会社の重大な仕事を任せられたり、出張させられるのって嫌じゃありませんか?
私は嫌なので、派遣社員として細々とした生き方をしています。
「正社員なんて、なんでもかんでも押し付けられるのでうんざり…」
先の見えない日本の企業で働く中で、こう考えている方も多いはずです。
そういう方には、自信を持って「派遣社員になろう!」とオススメできます。
正社員になって必死に仕事しても給料が上がらないのであれば、派遣社員で程々に頑張ってソコソコの給料で暮らしたほうが楽に決まっていますからね。
派遣社員ならモチベーションが低くてもOK
当サイトでは「仕事の修羅になれ!」「使命を持って転職しろ!」という意識の高い記事も多めですが、私はあえて逆のスタンスで書かせてもらってます。
なぜなら、努力してもいいことなんてないからです。
だいたい、仕事なんてテキトーに言われたことだけやって、さっさと帰宅して自分の時間に使いたくないですか?
国の暗い未来も見え切っていて、頑張るだけ無駄無駄。
派遣社員になるとわかりますが、半数ぐらいはそういった「意識の低い人」が集まってます。
私も週4日勤務で月20万ほどの手取り、結婚は諦めているので、これで十分。あとはネットの仕事で好きなことやりながら副収入を得たりして、ダラダラ過ごしています。
実際、派遣社員ってそういう「努力が嫌なので最小限だけ働いて、必要な分だけ稼ぎたい」という人の方が多いんですよ。
もちろん、そういったことを公式サイトや広告で書けるわけないので、表向きは「真面目に働こう!」という感じですけど。
実際、仕事内容も派遣先の正社員から言われたことをやるだけでいいので、気が楽です。自分で考える必要もなく、上司やクライアントに怒られることもない。…まあ、派遣先の社員とウマが合わないこともありますが、そういう時は他の派遣先に移ればいいだけ。
派遣社員という生き方は、努力が嫌いな人の立派な生存戦略なんですよ。
意識の高い正社員からは嫌われもしますが、そんなことは知ったことではありません。
出来るだけ楽に働き、無駄な責任は追わない。
これが派遣社員という生き方を選ぶ、最大のメリットです。
逆に正社員になる気があれば、派遣会社でキャリアアップ支援を受けることもできますし、紹介予定派遣制度を活用することもでき、選択肢も広い。
派遣社員という職務形態が、いかに今の日本に合った働き方は賢明な読者なら、すでにおわかりいただけたことでしょう。
派遣社員も立派な生存戦略だ!
私はあえて「努力せずに派遣社員でダラダラ仕事して生きる」という方法を、みなさんにご提示しました。
「社会的使命を持って働く!」
「出世のために率先して面倒な仕事も引き受ける!」
「キャリアプランニングを定期的に行い、転職に備えておく」
正直、こういう生き方ってめんどくさくないですか?
終身雇用制度の崩壊した今、ひとつの会社で働いて出世できるのは、ごく一握りの優秀で運のいい人材だけです。
会社のために必死に働くなんて、どうせくだらない。努力しても報われない。
…であれば、時流を読んで派遣社員という生き方を利用して、努力せずに済む働き方こそ、真の”働き方改革”だと言えるんですよ。
派遣社員でほどほどの労働時間で必要な分だけ働いて、あとはネットで時間をつぶすのが、現代における最適解の生き方。
もし、あなたも私の意見に共感できるのであれば、前向きに派遣社員という生き方を選択してみてください。