「派遣社員はありえない!正社員じゃなきゃダメ!」
こう、考えている人はいませんか?
実は派遣社員は上手く活用すれば、正社員以上に稼げる上に、自分に合った働き方も出来るんです。
しかも、未経験の人でも派遣会社で「スキルアップ・キャリアアップ支援」を受けることで、将来に向けて実力をつけていくことも可能。
つまり、派遣社員のメリット・デメリットに実態を正しく知っておけば、正社員を選ぶよりも自分に合った働き方が見つけやすくなると言えるんです。
もっと簡潔に言うと、これからの日本で生き残るために派遣社員という形態を効果的に使う必要があるということ。企業・労働者ともに…ね。
一方で「派遣は負け組!やる気のないやつばっかり!」「派遣社員だけど人生真っ暗…」というネットの意見をうのみにしていると、自分の選択肢を狭めることになる。
それは、働き方も仕事に対する考え方も急激に変わっていく今の日本では、あまりにもったいない考え方です。
ですので、今回は派遣社員のメリットも交えて、その理由をご紹介していきます。
「派遣社員」に対する誤った認識とは?
日本の教育はキャリアプランについての学習が遅れているため「正社員=勝ち組、非正規=負け組」というステレオタイプな考え方が根強いです。
また、親世代や中高年世代も派遣社員についての理解が乏しいので、日本中に「非正規はありえない!正社員じゃなきゃ認めん!」という考えが蔓延しているわけですね。
しかし、改正後の派遣労働法や派遣社員の実態、あるいは大手派遣会社の取組を見ていくと、派遣社員こそ現代の日本で生き延びるのに適した働き方とも言えるんです。
ただし、注意しておきたいのは「派遣社員はわざとダラダラ働くことも出来る」という仕組みになっているので、一部の正社員からは「派遣社員はやる気がない!」と思われがちな点です。
そのため、世間体を気にしたり、周りの評判を気にする人は「正社員じゃなきゃダメ」と思いがちですが、これはハッキリ言って自分の選択肢を狭めるようでもったいない。
しかし、逆説的に言えば「派遣社員はわざと努力しない働き方も出来る」という点では、そういった言い分にも一理あります。
実際問題、派遣社員として勤めてみても、スキルアップや経験を積む意欲なしに「派遣社員としてダラダラ仕事」「誰にでも出来る仕事」に甘んじている人が多いようでは、派遣社員が悲観的に思われてしまうは仕方のないことでしょう。
派遣労働法改正で「努力すればチャンスは得られる」仕組みになっている
派遣社員について調べていくと、実は「努力すればチャンスを得られるが、そうでなければチャンスは得られない」という方向に向かっていることがわかります。
とくに2015年の派遣法改正を見てみると、明確にその方針が示されています。
・2015年派遣法改正による派遣社員支援の取り組み
- 「雇用安定措置」による、定着率に向けたサポート
- 派遣会社によるキャリアアップ・スキルアップ支援による人材育成
- 紹介予定派遣派遣による、正社員候補としての派遣
派遣労働法は理解するには非常にめんどくさく、ネットでは極端な正規・非正規差別がはびこっていますが、派遣社員のメリット・デメリットを把握しておくと、今後の日本ではむしろ「社会情勢に合った、合理的な働き方として認知されていく」と私は考えています。
雇用安定措置
「派遣切り!」「派遣社員は安定しない」という社会問題に対して、働き方改革で改正された部分について説明します。
これ、法改正を見ると「前向きに頑張るやつはチャンスやるけど、そうじゃない奴は何も変わらないよ」と、暗に示唆している法改正だと解釈できます。
働き方改革に伴う法改正を見ていくと「派遣社員の定着率」について、しっかりと対策が講じられていることがわかってきます。
とくに派遣法案改正として「雇用安定措置」として以下の規定が義務付けられている点に注目です。
画像出典:平 成 27 年 労 働 者 派 遣 法 改 正 法 の 概 要 – 厚生労働省
要約すれば「1年以上働く場合、定着(雇用安定)に向けたサポートをする義務が派遣会社にはあるよ」「とくに同じ組織に3年間派遣する場合は優先的に派遣会社はサポートする義務を課すよ」ということですね。
ただ、ここで着目したいのが法律上で明記されているのが「努力義務」という表現であること。
努力義務(どりょくぎむ)とは、日本の法制上「〜するよう努めなければならない」などと規定され、違反しても刑事罰や過料等の法的制裁を受けない作為義務・不作為義務のことである。
この規定からわかりますが「努力義務を怠っても罰則を受けない」のであれば、まず企業側(派遣会社)は業務改善は後回しにするに決まってます。
とくに注意が必要なのが「同じ派遣先で働くのが3年未満予定の場合」ですね。
派遣会社には多くの人材が集まっています。
そうして考えた場合、すべての人材にキャリアサポート、あるいは派遣先企業に対して定着に向けた交渉が可能か?
答えは”NO”ですよね。
つまり「3年以上派遣先で働き、定着に向けて取り組む意欲がある」と意思表明しておかなければ、確実に派遣会社に後回し対応されるハメになるのです。
逆に言えば「3年未満の派遣で、組織にとらわれずに仕事したい」という方であれば、あえてこの法改正の穴を突いて、自分に合った働き方も可能だということです。企業側も「努力義務」である以上は派遣社員に干渉してこず、自分の好きなように働く生き方も可能だということです。
関連:あえて派遣社員を選ぶメリット!正社員が嫌なら派遣という働き方もありという事実
紹介予定派遣を活用し、正社員を目指すのもあり
派遣社員が正社員を目指す場合に抑えておきたいのが「紹介予定派遣」制度です。
紹介予定派遣を有効活用すれば、下手に転職活動するよりも確実に正社員として採用されるチャンスが得られます。
以下は、国内最大手の派遣会社「テンプスタッフ」に掲載されている紹介です。
紹介予定派遣とは、派遣期間(最長6ヶ月)終了後、本人と派遣先企業双方合意のもとに社員となる働き方です。
一定期間「派遣」で働くことで実際の仕事内容や職場を見極められ、未経験でも希望の仕事に就けるチャンスがあります。また、自分だけでは探せなかった企業に出会え、転職活動にかかる労力や時間も節約できます。
ただし、厄介なのが「派遣会社側からの同意」が得られなければ、紹介先企業に採用の意志があったとしても、正社員になる手続きが行われないリスクがあるということです。
ですので、ただ現場で働くだけでなく、派遣会社のスタッフとも意思疎通をとっておき、しっかりと「紹介予定派遣を通して、正社員になる意志がある」と表明しておきましょう。
要は「正社員になりたいという自己アピール」「正社員になる約束を守らない場合の防衛策や交渉力」も、派遣社員に求められる”努力”だということです。
同様に「契約社員」についても、多くの企業が「正社員候補」として中途採用枠で募集している形態ですので、非正規社員で採用している企業側の”意図”を見抜く必要があります。
関連:契約社員だと採用されやすい?中途採用で契約社員から働くメリットとは?
派遣会社のキャリアアップ支援を効果的に活用しよう!
また、多くの派遣会社では「キャリアアップ」「スキルアップ」といった支援が受けられ、将来に向けたキャリアプランニングを設計することも可能です。
こういった取り組みは、前述の「雇用安定措置」における「努力義務」の部分を満たすための、派遣会社の努力だと考えるといいでしょう。
このことからもわかる通り、働き方改革における派遣社員の待遇改善は「自発的にキャリアアップ・スキルアップに向けて取り組めばチャンスが得られるが、そうでなければ派遣切りに怯えるしかない」という方針に沿っているのです。
ただ派遣先企業で働くだけではなく、キャリアアップに向けた努力もしなければ、派遣社員の地位は向上しないということです。
派遣社員で安定して生きていくにはキャリアアップ意識は必須!
以上、現在では意欲さえあれば、派遣社員も安定して働けるという事実についてお伝えしてきました。
働き方改革に伴う法改正や、それに応える派遣会社の取り組みを見てみましても「自発的に努力できる人材でなければ、派遣法改正によるメリットは受けられない」という事実が見えてくることでしょう。
また、文中で何度かご紹介してますが「意図的にキャリアアップ支援を避け、自分に合った働き方で意欲低めに働く」という方法も可能ですが、その分派遣切りや将来的なキャリアに不安が残るデメリットは把握しておきましょう。
関連:あえて派遣社員を選ぶメリット!正社員が嫌なら派遣という働き方もありという事実
どちらにせよ、派遣法改正や派遣会社の取り組みを把握しておき、自分から行動を起こせなければ派遣社員で安定した働き方を実現するのは難しいことだとも言えます。
ネットでは「派遣社員は将来絶望的」「理不尽な派遣切りにあった」という方も多いですが、よく読んでみると、自らアクションを起こさずに受け身のままで働いていて不遇な目にあった人も多いように思えてなりません。
今回紹介したような知識を抑えておけば、いかに自分でアクションを起こして努力していくことが大事か、おわかりになられたことかと思います。
今後、日本の企業はさらなる効率化とコスト削減により、派遣社員が増えていくことになると予測できますが、今のうちに派遣社員としての生き方を考えておくことも重要でしょう。
就職支援サービスを活用しサポートを受け正社員を目指す
派遣社員が受からないで悩んでいるニートの方は、素直に正社員を目指して就職支援サービスを利用しておく方が、かえって良い条件で採用されやすいこともあります。
文中でも何度かお伝えしている通り、仮に読者が職歴や経験に自信がないニートであることに悩んでいるとして、派遣社員だからといって採用されやすいわけでもないですし、むしろ職務経歴書作成が十分にできないことや面接対策が不十分なことが理由で、自力で派遣社員求人に応募することが不採用されやすい原因になっている可能性も大きいぐらいです。
さらに、20代から35歳までの間は、職歴が少ない人や未経験者であっても正社員就職までしっかりサポートしてくれる支援サービスが数多くあるため、ニートから派遣社員を目指すこと自体を考え直した方がいいかもしれません。
ですので、もし、ニートから派遣社員への求人が受からないことに悩んでいたり、あるいは「仕事内容が楽そう」「受かるのが簡単そう」という消極的な理由だけで派遣社員への応募を考えている方は、この機会に一度、就職支援サービスを活用しておく選択肢も検討してみてください。