就職・転職をする時に参考にしたいのが「離職率」という数字。
離職率とは?
離職率は、一般的には、ある時点で働いていた人たちのうち、その後退職した人の割合です。通常、企業で使われる離職率とは、「この1年間に退社した社員の、期初における在籍社員に対する割合」であることが多いのですが、「新卒で入社した人が3年以内に退職する割合」、「中途入社の人が1年以内に辞める割合」といった場合にも使われます。要は、使用目的によって、数字の「分母」と「分子」を変えているわけです。
ざっくりと言えば「どれぐらいの人が辞めていくのか?」を割合で示す数字のことです。
この離職率ですが、あまり企業側も積極的に公表していないため、一部の大企業以外は知りようがないのが実情です。
ですが、離職率の高い業種・職種を統計的に分析してみますと、共通する特徴が見られますので、ご紹介して参ります。
目次
離職率の高い会社の特徴は?
この項目では「離職率の高い会社の特徴」と題して、あくまで現場目線/体感基準で離職率の高い会社の特徴をお伝えていきます。
経営目線/業界全体での目線で離職率の高い会社を判断する基準は、以下の記事でもご紹介していますので、合わせて参考にしてみてください。
経営者/上司/先輩の人格に問題がある
職場/現場単位で離職率が高い会社の特徴と言えば、経営者/上司/先輩の人格に問題がある場合でしょう。
当サイトでも様々な人の退職理由/転職理由を集めていますが、大きな理由としては職場の人間関係に不満があるというものが非常に多いです。
▼職場の人間に問題があり離職率が上がるケース
- 性格の悪い一部の人が職場の人間関係を悪くしている(→職場の人間関係が最悪)
- 部下への嫌がらせ/いじめが趣味のお局などがいる(→お局のせいで辞めたい)
- 上司/先輩が無能で下に仕事を押しつける(→無能な上司の特徴)
- 上司/先輩が部下/後輩を潰すクラッシャー気質(→部下を潰す上司の特徴)
- 使えない社員を重宝している(→使えない部下、コネ採用が使えない)
ここでひとつ注目してほしいのが、厚生労働省の発表する事業規模ごとの離職率。
【新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率】
[ 事業所規模 ]
■大学 ■高校 1,000 人以上
24.3 %
25.3 %
500 ~999人
29.8 %
32.9 %
100 ~499人
31.9 %
37.9 %
30 ~99人
38.8 %
47.1 %
5~29人
50.2 %
56.4 %
5人未満
59.1 %
64.0 %
この統計結果を見るとわかりますが、従業員数が少ない会社ほど離職率が上がっていく傾向にあります。
その原因として、とくに人間関係面で考えられるのが、
- 経営階級との距離が近いため経営方針の合う/合わないが重要となる
- 社員同士の距離が近いため嫌な人間が仕事にもたらす悪影響が大きい
- 社員の入れ替わり(転勤/部署替え)が少ないため誰かが辞めないと改善が見込めない
…など、職場が狭ければ狭いほど人間関係面のマイナスが仕事に影響をもたらしやすいことが、離職率が上がる一つの原因になっていると考えられます。

大きな企業は経営者との距離が遠すぎたり
上司も部署も定期的に入れ替わるが
小さな職場は下手すれば一生の付き合いになりかねない…

「この人と一生同じ職場で働きたいか?」で考えたら
合わない人とずっと同じ空間で働くのは苦痛ですもんね…
人間関係の悪い職場
人が辞めていくような会社は、人間関係が最悪な傾向があります。
- 職場の環境が閉鎖的
- 意識の低い人ばかりが集まっていて仕事に対するモチベーションが低い
- 陰口・悪口・噂話が多い
- 暴力・暴言が日常茶飯事
また、信じられない話ですが、人間関係が悪すぎる会社は以下のような事例も報告されています。
今までに聞いた「ヤバいな」と思った会社
・テレアポ中ガムテで手と電話固定
・灰皿でブン殴られる
・1ヶ月働いた給料の手取り額8万
・なんなら給料未払いも
・成績悪い先輩を殴れと命令される
・家に帰れず会社に“暮らす”人続出
・結果社内恋愛/不倫が増え泥沼化
・残業時間180時間— UZUZ【就職/転職エージェント】 (@UZUZ_uzcc) December 2, 2019
上記のツイートは「ウズキャリ」を運営する株式会社UZUZの広報用アカウントですが、既卒・第二新卒向けの就職支援サービスでは、上記のような職場から転職する際の相談も受け付けているので、確認しておくといいでしょう。
いずれにせよ、人間関係が悪い会社では、職場の異常さに気づいた人ほどすぐに辞めていくものですので、周りが辞めていったら注意しておくに越したことはないはずです。
派遣社員・アルバイトとの確執の強い会社
派遣社員やアルバイトなどの「非正規雇用者」と、正社員の確執の強い会社も人が辞めていく頻度が高めです。
というのも、非正規雇用側は不平不満が溜まりやすいからです。
働き方改革でも「同一労働同一賃金」による、正規・非正規差別が争点になっていますが、待遇や賃金面の差だけでなく、仕事の責任範囲でも確執が強いのが実情です。
現場仕事がメインになる派遣社員と、管理・指示がメインになる正社員とでは、仕事に対する意識や考え方が違ってくるもの。
また、派遣社員・アルバイトは「使い捨て可能な人材」として使っている企業もかなり多く、モチベーションの低い人材が多いのも、確執の原因の一つです。
仕事にやり甲斐がなさすぎる会社
人がどんどん辞める会社というのは、とにかくやり甲斐がないですね。
誰でも出来るような単調な作業や、効率もクソもない時間だけかけておけばOKみたいな、レベルの低い仕事ばかりです。
どんどん人が辞めていくというのは、それだけやり甲斐の見いだせない仕事である証拠です。
もし、あなたが仕事にやり甲斐も愛着も感じないのであれば、辞めることを考えておきましょう。
どうせ続けても、やり甲斐よりも苦しさばかりしか感じませんからね。
当サイトでは「自分らしい生き方を見つける一環の”転職”」として、やり甲斐のある仕事を見つけ出す転職方法をご紹介しています。興味のある方は、以下の記事を参考にしてみてください。
頭のおかしい上司や経営者がいる会社
人がどんどん辞めていく会社というのは、だいたい頭のおかしい上司や社長がいます。
会社の権限を握る人物の頭がおかしいと、そいつ1人に合わせて会社全体が動かなければなりません。
また、現場のリーダーである上司がパワハラ上等で愚痴・文句ばかりの上司ですと、全体がやる気が失せていき、どんどん人が辞めていきます。
どの職場にも言えますが、頭のおかしい人間が権限を握るだけで、組織というものは簡単に崩壊していくものです。
戦国時代でもボンクラ息子が家督を継いで家が潰れた例などもよくありますが、バカが上司や経営者になると、組織はなるべくして崩壊していきますからね。
「人がどんどん辞めていく」というのは、単純に現在進行系で組織が崩れていってるだけなのです。
そんな会社に勤め続けたところで、報われることなんてありません。
早めに見切りをつけておきましょう。
誰か1人が辞めたことをきっかけに人が離れていることも…
人がどんどん辞めていく現象は「退職連鎖」「芋づる式退職」などとも呼ばれ、とくに珍しくもない現象でもあります。
やっぱり、優秀な人材や職場のベテランが辞めていくと、一気に職場のバランスが崩れてしまうので「転職しよ…」と考えちゃうんですよね。
周りの同僚や優秀な上司が辞めてしまった場合は、気兼ねすることなく自分が辞めちゃうことも考えておくのもいいですよ。
離職率の高い職場の傾向と特徴
厚生労働省・就職四季報など情報を見てみると、離職率の高い職場には以下の傾向が見えてきます。
- 従業員数の少ない会社・小さな企業企業ほど離職率が高くなる
- 人材使い捨て前提の組織運営をしている会社ほど、離職率が高い
- 採用ルートがハローワーク・求人広告依存の会社ほど離職率が高い
逆説的に言えば「従業員の多い大企業」「人材育成に力を入れている企業」「採用ルートが学校・転職エージェント経由」などであれば、離職率が低くなるとも言えますね。
この記事では離職率の高い職場の傾向と、その理由について説明していきます。
従業員数の少ない会社・小さな企業ほど離職率が高い
厚生労働省のデータを見ていますと、従業員数の少ない会社や小さな企業ほど離職率が高いことがわかってきます。
【新規学卒就職者の事業所規模別就職後3年以内離職率】
[ 事業所規模 ]
■大学 ■高校 1,000 人以上
24.3 %
25.3 %
500 ~999人
29.8 %
32.9 %
100 ~499人
31.9 %
37.9 %
30 ~99人
38.8 %
47.1 %
5~29人
50.2 %
56.4 %
5人未満
59.1 %
64.0 %
従業員30人以下の企業であれば、大卒採用者でも5割以上が辞めているのですから、いかに離職率が高いかはおわかりになられることかと思います。
この数字が示す原因には、以下のような理由が考えられます。
- 小規模な会社なので経営状況が悪化しやすく、待遇や給料が悪い
- マネジメント・人材採用の経験に乏しい会社が多く、ミスマッチ採用や人材育成のミスが多い
- 狭い職場なので、人間関係の良し悪しが仕事に影響を及ぼしやすい(部署替えがないので人間関係のリセットや入れ替えがない)
- 社長・経営者との距離感が近いため、社風や社長の考え方がもろに仕事に影響を及ぼす
小規模な会社になればなるほど「人を選ぶ」ことになりやすく、相性が重要になってくることが予測できます。
またこの離職率は新卒者限定ですので、大企業・公務員的な形式的な働き方のイメージを持った若者が、思い違いで入社してしまい馴染めずに辞めてしまうケースも考えられます。
良くも悪くも「小規模で従業員が少ない会社ほど、相性が大切になる」という事実を知っておかないと、転職しても失敗して離職率を上げる側になるということです。
人材使い捨て前提の業界も離職率が高い
また、大企業であっても離職率の高い業界や会社はあります。
- 小売・販売・飲食業
- サービス業
- 教育・学習業
- 不動産業
- 医療・福祉関連
勘の良い方はお気づきでしょうが、客と接する仕事が圧倒的に多いことがわかってきますね。
一方で、企業間との取引が主となる業界や、技術系・インフラ系の業界は総じて離職率が低めです。
これらの業界に共通するのは「人材の使い捨て」が利きやすい仕事でもあり、派遣社員の採用にも積極的な業界も多いです。
とくに飲食・小売・販売に関しては、就職四季報でも積極的に離職率を公開しており、大企業レベルでも離職率40~60%の会社も珍しくないので、企業側も割り切っている印象が強めですね。
関連:小売業からの転職を成功させるための全知識|転職先の業種・職種、年齢制限、必須スキル、将来性、年収などの情報を徹底解説!
医療・福祉系に関しては、資格さえあれば再就職しやすいという事情も、離職率を高めている結果にもつながっているとも言えますね。
離職率の高い業界はそれ相応の理由があり、企業側も「辞めて当たり前」という前提で人材採用やマネジメントを行っている会社が多いですので、定着を求めて転職するのであれば慎重に検討したほうがいいでしょう。
関連:モラルの低い職場の特徴。モラルのない人ばかりの会社で働き続けるデメリットは?
採用ルートが求人広告・ハローワーク依存なら注意
これはあくまで人材業界について日夜学んでいる筆者の仮設の域ですが、離職率の高い会社は「採用ルート・採用方法」に関しても問題があると予測しています。
だいたい、書類選考や一度の面接だけで「自分の会社で間違いなく長く働いてくれる人材」を見抜くなんて、常識的に考えて無理です。
たとえば、筆者はニート時代にしょっちゅう無料求人誌やハローワークの求人、求人サイトを閲覧した上で、今も多くの転職サービスから求人メールを受信していますが、明らかに離職率の高い業界や会社の傾向に一致する求人ばかりです。
つまり、アクションを起こさずに誰でも閲覧できる求人情報は、それだけ離職率の高い人材使い捨て会社の求人が多くなりやすいということですね。
これには裏事情があり「ハローワークは条件を満たせば無条件で求人掲載できる」「求人広告は広告費を払えば目立つ位置に求人を出せる」という背景があります。
会社目線で考えてみましょうか。
採用のリスクマネジメントを考えれば、企業説明会やセミナーなどと見込みのある人材と接点を持ち、お互いに納得した上で採用を決定するほうがミスマッチが少なくて済みます。
逆に求人情報だけを参考に採用される人材は、実力も能力もすべて「書類に書いてあるスペック」だけで判断されるわけなので、本当に会社に適応できるかどうかは判断不能です。
つまり、効率重視の会社ほど「自分の目や耳で確かめ、見込みのある人材を集めるのがめんどくさい。効率重視で求人だけ出しておこう」と考えるわけです。
そして最近の若者はネットで効率よく情報を取得することに慣れていますので、そういった離職率の高い求人情報に引っかかるリスクが増えてくる結果にもなるのです。
たとえば、効率重視の転職情報サイト「リクナビNEXT」も、明らかに現代人の需要に合わせたシステムである反面、かなり企業側に有利に作られている事実は無視できません。
実際問題、大企業からすれば「10人採用して2~3人ほど成長すればいい、途中で挫折した奴は知らん」という態度で採用したほうが、効率がいいのです。
逆に言えば、自分の目や耳で企業情報を確かめ、中で働く人と接点を持つことことが、離職率を下げるためにもっとも効果的だとも言えるわけですね。
…ここまで離職率について分析や解説をした上でこの結論に至るのですから、離職率にこだわり過ぎることがいかにナンセンスかはおわかりいただけたことでしょう。
結論:「離職率が低い会社=自分が続けられる」とは限らない
離職率は、傾向や性質を把握しておくことは大事ですが、自分が働く会社を決断する上ではさほど重要ではないことが見えてきたことかと思います。
今どき、中途採用者が終身雇用制度の考え方で働くこと自体が現実的でないですからね。
契約社員からの採用で正社員候補として様子見する企業も多く、定着率の高い大企業でも一部の業務は派遣社員のみしか雇っていない会社もたくさんあります。
つまり、離職率の低い会社だけを狙って転職しようという考え方が非常に危険だと言えるのです。
離職率の背景や特徴を知っておくと、転職に対してまた違った側面が見えてきますよね。
今回紹介したことも踏まえ、離職率を参考にして間違いのない転職を成功させるきっかけにしてみてください。
離職リスクを避けるなら転職エージェントで情報収集しておこう!
離職率を気にしている方は、思い切って転職エージェントでプロからアドバイスを受けておくといいでしょう。
転職エージェント自体が「企業側の面接代行」という役割を持ち、転職業者側が「定着に向けた業務範囲と役割」を担っていますので、自分一人で転職活動するよりかは間違いなく長く働ける職場が見つかります。
…というのも、転職エージェント経由の転職は、企業側が費用を負担しているため、すぐに辞める人材を紹介した場合に違約金が発生するなどの裏事情があるからです。
そのため、転職エージェント側も紹介先企業からのヒアリングや、転職後のアフターフォローに力を入れており、離職率の低い転職先を見つけ出すことが可能なんです。
また、面接では口に出しにくい「待遇・年収の交渉」や「離職率の確認」も第三者である転職エージェント経由で聞けるため、事前にリスクを避けることもできます。
転職エージェントは完全無料なので、離職率を気にしている方は一度使っておきましょう。