「再就職」と「転職」の違い。再就職の知られざる実態とは?

編集長
人材業界研究家の
スコシテン編集長です

「”再就職”と”転職”の違いって何?」

気になる方もいるのではないでしょうか?

この2つの言葉の定義ですが、かなり曖昧になっていて、定義からかけ離れた使われ方がされるようになってきております。

ですので、現実的に”現在のネット上・人材市場での使われ方”で説明すると、以下のとおりです。

再就職…リストラや病気などの予期せぬ退職を経て、再就職すること。
※特定法人所属者のみ、人材会社の再就職支援の対象(後述)

転職…今の会社を自発的に辞めて、次の職場に就くこと。

意味合いとしては「受動的に辞める場合は再就職」「能動的に辞める場合は転職」として使われる傾向が多く感じます。

また、場合によっては「退職期間(=空白期間)がある場合は再就職」「退職期間(=空白期間)なしで次の職場に就く場合は転職」とすることもあります。

また、世代的に見れば終身雇用制度が根付いている40代以上の方は「再就職」という言葉を使う傾向にありますが、20代の若者は「転職」しか使わない傾向があります。

たとえば「再就職」の意味合いが強い既卒・第二新卒向けのサービスでも、単に「就職支援」という表現が使われていることがほとんどで、若手向けに「再就職」の言葉が使われることはまずないです。

この2つの言葉の違いですが、突き詰めてみると「時代に対しての働き方に対する考え方の違い」「人材業界の移り変わり」「人材会社とその取引先となる企業の裏」などの事情が見えてくるので、その辺も踏まえた上で解説してまいります。

「再就職」は中高年向けの言葉?

冒頭にもお伝えした通り「再就職」とは中高年以上の層向けの言葉として使われている傾向が強めです。

その理由は単純で、人材会社は特定企業の出身者のみを「再就職支援のターゲット」としているからです。

それ以外の層には一切「再就職」という言葉を使いません。

大手人材会社の「再就職支援」は特定法人所属経験者限定

大手人材会社では「再就職支援専門の部門」が存在します。

この場合のみ、人材会社も「再就職」という言葉を明確に使っております。

これは「大手人材会社と契約している法人の退職者であれば、専門の再就職支援が受けられる」という条件付きです。

※転職エージェントと違い、個人契約・個人利用は受け付けていません。

どういうことかと言うと、退職した会社が法人として大手人材会社に再就職支援の代行を委託しておけばサポートを受けられるのですが、そうでなければ専門の再就職支援を受けられない…ということです。

通常、大手企業グループであれば、リストラ時の対策で「社員に対して、再就職支援を行う部門ないし関連会社」を用意しているものです。

しかし、その再就職用の関連会社も大手派遣会社に買収されて来た経緯があり、効率の面で「リストラ時の社員に対する再就職支援を、大手人材会社に委託する」という経営判断をしてきたわけです。

ですので、再就職は人材会社を通した「天下り」的なものだとお考えいただければ、わかりやすいでしょう。

※このあたりの事情、社内の福利厚生や人材会社との契約内容を熟知している立場の方でないと気づかないor紹介してもらえないはずなので、大手人材会社の再就職支援は実質的には一部の企業グループ所属の中高年層向けのものだと考えてもいいでしょう。

派遣会社・非正規雇用の増加による「再就職」の消滅

上記のように、人材会社での「再就職」の対象になる利用者は一部企業の出身者のみです。

それ以外は人材会社的には「再就職」の対象にならないため、便宜的に「転職」という言葉を用いるわけです。

その人材会社側の定義する「転職」の対象としてサポートも受けられない層は、非正規雇用者になるしか選択肢は残されていません。

具体的には、職歴なしの30代以降の方や経歴が転職市場で通用しにくい方は、人材会社側からもサポートされにくくなります。

そうなると、非正規雇用しか選択肢がなくなってしまうわけです。

「再就職」の定義を「定着して働ける正社員限定」で考えると、間違いなく非正規雇用の増加により衰退している側面はあります。

とくに生活と仕事の兼ね合いを考えなければならない主婦層は、派遣社員などの非正規雇用を選ばないといけない実情になっているのですが、それを「再就職」と呼べるかどうかは、判断に困るところです。

ただし、派遣会社側も「紹介予定派遣」「キャリアアップ支援」など、定着率・正社員採用に向けて再就職支援に取り組んでいる点は、知っておきたいです。

再就職支援なら「ハローワーク」が存在する

そもそも、再就職支援としての役割ならば「ハローワーク(公共職業安定所)」という国の用意している最低限のインフラがあるので、わざわざ民間企業が取り組み必要もない…という事情も考えられるでしょう。

何かと叩かれがちなハローワークですが「ハローワークを使わざるを得ない人材層」も存在するので、以下の記事などをご参考に。

そのハローワークも、職業訓練校では民間企業と「官民連携」で再就職支援を行っているので、わざわざ民間企業である人材ビジネス会社が本業として力を入れて取り組む必要もない…という事情も察せられます。

また、失業保険の受給資格が「就業意志のある人材のみ」と規定されていることからも、失業保険を受け取っている時点で表向きは「再就職支援を受けている」という状態になるわけです。

人材業界における「転職」とは?

以上のように人材会社では「再就職」と言う言葉は、明確に法人契約している企業の出身者に対してのみ、用いる言葉です。

それ以外はすべて「転職」と統一されるわけです。

ただし、20代の若手(既卒・第二新卒)に関しては、転職に関しても「就職」という言葉を使っている会社・人材サービスもあります。

「転職エージェント」と「就職エージェント」の違いは何?

既卒・第二新卒が企業に歓迎される理由「若ければチャンスはある」は本当なのか?その真相に迫る!

ですので、空白期間がある方の場合でも、便宜上は「転職」として扱われます。

人材会社側の「再就職支援」は不透明なところが多い

これだけ説明すると「再就職支援を受けられる人=優遇されている」と感じやすいですが、実際のところは「不透明」です。

(人材会社側と企業側の契約書の内容見ないと、業務委託内容が特定できないので…)

考えられる再就職支援の内容としては、

  • 前職の関連会社の求人を優先して紹介してもらいやすい
  • 担当者として、再就職支援専門の知識や能力のある人が付きやすい
  • 中高年・シニアの中途採用枠を扱っている企業に優先的に紹介

…などでしょうか。

ですので、人材会社の再就職支援を受けられる方は、人材会社側の提案を飲むだけでなく「前職の企業・人事の代理として、再就職先を斡旋してくれるように十分に支援してくれているか?」を見極めておきたいです。

(実質的に前の企業から「こっちで再就職先用意するのめんどくさいから、契約先の人材会社に全部任せてる。だから、そっちで聞いてね」と、たらい回しにされているわけなので…)

また、比較対象として他社の転職エージェントも使っておけば「本当に再就職支援で優遇されているか?」が判断できるはずです。

「再就職」は人材会社側的には一部の人間対象、それ以外は全員「転職」扱い

以上の事情を踏まえると明確なのですが、人材会社は明確に「契約を交わしている法人出身者のみに”再就職”」という言葉を使っており、それ以外はすべて”転職”で通しています。

ですので、その対象から外れる人材はすべて「転職」として扱われると考えておいていいでしょう。

例外はハローワークのみですが、失業保険を受け取っている時点で「再就職支援を受けている扱い」になるわけですので、その後しっかりとした転職先を紹介してもらえるかどうかは別問題です。

そのような人材ビジネス上の事情も踏まえた上で「再就職と転職の違い」を把握しておけば、人材会社のサポート内容や紹介先企業をしっかりと吟味できるのではないでしょうか。

”言葉の定義”も大事ですが、それ以上に「その言葉を使っている企業側の事情」はもっと知っておきたいものです。

再就職対象者もそうでない方も転職エージェントは使っておこう

以上のように人材会社側に「再就職支援対象」として扱われる人材がいることも知っておきたいですが、それ自体が「有利に働くかどうか?」は別問題です。

ですので、慎重に転職先を検討するのであれば、必ず他社の転職エージェントも併用しておきたいです。

ちなみに、簡潔に国内の主要エージェントをまとめて紹介しておくと、以下のとおりです。

大手転職エージェント:広く浅く、幅広い利用者を対象。全国展開。
リクルートエージェント」「doda(デューダ)」「Spring転職エージェント(アデコ)」「マイナビエージェント」など。人材派遣業運営エージェント:元が人材派遣会社なので、求人の情報制度が高く、現場との密接な連携に期待できる。また、担当者の専門知識や対応力も高め。
パソナキャリア」「メイテックネクスト(理系・エンジニア特化)」など。外資系転職エージェント:外資系運営で、根本的に国内の人材会社と運営体制が異なる。事業規模的に”深く狭く”の傾向。
Spring転職エージェント(アデコ)」「JACリクルートメント」「ランスタッド」など。

ハイクラス転職エージェント:管理職・スペシャリストクラスの求人を多数抱えており、担当コンサルタントの対応力にも期待できる。経歴のある人向け。
ビズリーチ」「JACリクルートメント」など。

それぞれ、運営方針や紹介先企業の傾向、あるいは担当者の能力や方向性も違いますので、自分に合ったものを見つけ出してみてください。