「士気の低い職場」というのは、日本の至る所に存在するものです。
嫌々仕事していて、士気を下げるネガティブ人材は多いですからね。
もともと「士気」とは、兵隊をまとめあげる際の指標として使われる言葉でした。
「士気」とは?
士気は、一般に部隊の任務を遂行する上で有用な兵員の心理的な積極性や耐久性を指す。
その他、軍事関係以外にも集団組織行動全般での関係者の行動意欲に関わる心理的高揚のバロメーターを表す。
「職場全体のやる気」「職場全体の仕事に対する意欲」と言い換えられますね。
今までなら言葉の由来通り「兵隊的な組織統一方法」で部下をまとめあげることができましたが、今の時代でそんな古くさいやり方は通用しません。
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職場の士気を高めるためには、仕事の多様性を意識して、個々にあった的確な人材マネジメントが求められる時代になりました。
そんな時代なものですから、上司や中間管理職の方は「職場の士気が低すぎて困る…」とお悩みの方も多いことでしょう。
そこで今回は職場の士気が下がる原因を挙げた上で、職場の士気を高めるヒントを紹介していきます。
職場の士気が下がる原因
仕事の生産性が著しく低い
職場の士気が下がる最大の原因は「仕事の生産性が著しく低い」ことでしょう。
- 何のためにしているかわからない、無駄な仕事を毎日続けている
- 効率の悪い業務内容ばかりで工夫の余地がない
- 「穴を掘って埋める作業」みたいな、やり甲斐のない仕事ばかり
生産性が低い仕事をしていれば、社員の生産性も落ち、士気も下がっていって当然です。
また、生産性の低い仕事に疑問を持ったり、効率を上げるための工夫も上司に却下されるのも士気の低い職場の特徴ですね。
お役所体質で変化を嫌う日本の企業は「無変化>生産性向上」という経営判断を好むのです。
管理職のマネジメントがしっかり出来ていない
士気の低い職場では、管理職のマネジメントが行き届いていません。
マネジメントとは「経営、管理」という意味を持ち、具体的には「指導」「仕事の割り振り」「人材配置」などの業務範囲を差します。
ところが、無能な管理職はこういったマネジメント領分の仕事がしっかり出来ておらず、ひどい場合には上の指示をそのまま部下に伝えるだけのメッセンジャーレベルの仕事しかしない人もいます。
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上司の性格が悪い
士気の低い職場では、上司が人望も求心力もなく、性格が悪い人間ばかりです。
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- 部下を怒鳴ったり恫喝するだけで、根本的な改善策を実行できない
- 感情や気分で仕事をしているので、言動がコロコロ変わる
- 日頃の鬱憤を晴らすために職場いじめなどを平然と行う
上司の性格が悪ければ、部下の心も離れていき、士気は低下。
ひどい場合にはドンドン社員も辞めていく結果になります。
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足を引っ張る・他人のやる気を奪う人がいる
士気の低い職場には、決まって「足を引っ張る人」「いちいち他人のやる気を奪う人」が存在します。
足を引っ張る・他人のやる気を奪う人の特徴
- いちいち言動がネガティブ
- 仕事を割り振られても「出来ない」の一点張り
- 終わったことをねちねち言って揚げ足を取り続ける
- 裏でコソコソ職場の愚痴を言って、人間関係を悪くする
上司・部下に関わらず、無自覚に職場の士気を下げる人間は一定数存在するものです。…無論、ネットにもたくさん。
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待遇が悪い
士気の低い職場は生産性が悪いため、必然的に待遇も悪くなります。
長時間の無駄な残業。
時間内に仕事を終わらせる気のないダラダラ意識。
低賃金、一向に上がる気配のない給料。
発展途上国の治安が悪くなるのと同じで、待遇の悪い職場でも士気が下がってしまうものなのです。
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「正規・非正規」「男・女」などの差別階層が存在する
士気の低い職場では、差別階層が存在して、不遇な思いをする人が生まれるものです。
「経営者VS社員」
「正規VS非正規」
「男VS女」
階級毎に待遇の違いがあると、不平等感が生まれて差別意識のある人の不満が溜まり、士気もドンドン低下していきます。
古来より、下の層は「一揆」「革命」「デモ」などで反乱を起こせましたが、今の世は法的手続きや労働組合を通さなければ反逆も起こせず、圧倒的に権力者優位の時代となっています。
かの「君主論」にも「ほどほどに与えておけ」と書いている通り、差別意識・被害者意識のある層には適度に施しを与えて不満を抱かせるのが、良いリーダーや会社の在り方と言えるでしょう。
職場の士気を上げるための対策とは?
各々にやり甲斐と目的を授けよう
人が仕事に求めるのは、決して「賃金」ではありません。
お金が欲しいだけなら、わざわざあなたの職場で働く必要もありませんし、その程度の意識ではアルバイト以下のレベルです。
人が仕事に求めることとは「やり甲斐」「目的」「役割」なのです。
「自己同一性=アイデンティティ」という言葉もありますが、人は環境や他人との違いを意識することで、自分の居場所を見いだせることが出来るのです。
言われるがままに仕事をこなしたり、指示ばっかり振っていても、都合の操り人形しか出来上がりません。
そんなモノは、鏡の中マリオネット。ただの機械と変わりねえ!
部下を機械と同様に考え、指示コマンドを入力しているようなレベルでは、人を指導する立場としては、いつまで経っても3流なのです。
失敗をフォローしやすい環境を整えよう
職場の士気を高めるためには、チームの信頼感が大切です。
失敗してもフォローしてくれる仲間。
足りないところは補える仲間。
挫けた時に支えてくれる仲間。
こういった、強い信頼関係が組織の連携をより強固なものにします。
一方、失敗してくだらない責任追及・揚げ足取りばかりしているような職場は、足を引っ張り合うだけに終わります。
チームとは、足を引っ張り合うことも、お互いを高め合うことも、どちらも可能なのです。
仕事には失敗やトラブルがつきものですが、それをチーム全体でリカバリーできることこそ、日本の企業が組織化していく最大のメリットなのです。
しかしながら、足を引っ張り合っている人間の方が多いというのが、悲しい現実ですけどね。
倒すべき”敵”を明確にしよう
組織や大衆をまとめあげるのにもっとも効率のいい手段は「共通の敵」です。
我が国では大戦中の「鬼畜米英」
かの悪名高きナチス政権の「ユダヤ人」
トランプ政権発足時の「移民」
「共通の敵=共通の目標」は、集団をまとめるためにもっとも効率のいい方法です。
しかしながら、日本のお仕事では”倒すべき敵”などは存在しません。
ですので、仮想敵をでっちあげてしまえばいいのです。
「社長や経営者がバカだからオレたちがしっかりやるぞ!」
「クライアントがアホなので、しっかり満足させる制作物を仕上げるぞ!」
中間管理職であれば、上のお達しや経営者、あるいはクソ顧客にうんざりしていることもあるでしょうが、ぶっちゃけ部下も同様の不満を抱いているようであれば「経営者が敵」「お客様は敵」と言ってしまって、現場をまとめあげる方法もありなのです。
”個性”を大事にしよう
仕事に大事なのは”個性”です。
組織や仕事のシステマティックさが人々の個性を奪うように感じている人は多いですが、逆です。
システマティックな組織だからこそ、個性を活かせる人材やチームが最強になるのです。
この事実に気づけずに、会社や顧客が求めるようにシステマティックな仕事ばかりしていては、個性などまるで関係のない量産型の仕事しか出来ません。
「適材適所」という言葉もある通り、組織の人員配置には必ず適材適所が存在します。
そもそも、人事が人を選んで会社に入社させているのですから、組織においても個性や適性は死ぬほど大事なのです。
社員各々が、会社や仕事に求めるものも、出来ることも、それぞれ違いますからね。
- 自己実現のための仕事
- とにかく成果を出して評価されたい
- さっさと仕事終わらせて帰りたいから効率最優先
- お客様の笑顔のため
…など、仕事に求めるものに関しても”個性”が存在するのです。
そういった部下の心理的な欲求を見抜き、的確な仕事を与えることこそ、職場の士気を高めるリーダーの采配だと言えるでしょう。
「部下の悩み」「企業の悩み」「顧客の悩み」…すべてを制することこそ、マネジメント職に求められる真の能力なのです。
大将は焦らない。恐れない。挫けない。
日本の中間管理職が、悲哀に満ちて頭がドンドン禿げ上がるのは、自分の仕事が忙しい上に部下のマネジメントまで求められる所にありますね。
あらゆる立場の人間から、板挟み状態になるわけです。
だからこそ、リーダーとして常に余裕のある態度を見せなければならないわけです。
常に焦って余裕のない中間管理職は、しょせんは下っ端の部下レベルの器量しかないのです。
逆に、どんな逆境でも余裕のある態度で構えている上司は、部下からも頼られる存在になります。
上司が余裕なくイライラしていれば、部下もその程度のレベルでしか仕事しません。
職場の士気を高めるためには、大将がドンと構えておく必要があるのです。
たまに弱みを見せておこう
しかしながら、完璧すぎて隙のない上司は、あまりにロボットじみていて人間味を感じません。
適度に弱みを見せておくことで、部下も上司の悩みや弱みをフォローしてくれるようになってくれます。
自分の弱みや悩みは上手いことさらけ出しておき、部下に親近感を感じさせながら、フォローさせていけばいいのです。
「上司や社長も完璧ではない」ということを部下に知ってもらうことで「この上司(会社)、私がなんとかしなきゃ!」と部下の心を巧妙にくすぐることができます。
部下の「悩み=弱み」を知るためには、自分の「悩み=弱み」を相手に教え合うことも大事です。
転職活動で士気の高い職場を探すのも手
今の職場の士気が低く、あまりにやる気や向上心が湧かないようであれば、新しい職場に転職してしまうのも手でしょう。
なぜなら、職場全体の士気を上げるには並々ならぬ労力が必要とされ、一個人ではどうこうできないこともよくあるからです。
…であれば、士気の高い職場に転職し、より自分の能力を活かせる職場で働いたほうが、自分にとっても社会にとっても総じてプラスになります。
一方で、士気の低い職場で1人だけやる気を出してみても、部下や同僚の心が変わるとは限りませんし、ましてや怠惰な経営者や上司の意識が変わるわけもありません。
為すべきことを為しても職場の士気が上がらないのであれば、見切りをつけて次の転職先を見つけ出しましょう。
ただ、いきなり転職しようとしても、経歴が不十分なうちや自己アピールが不十分なうちは自力で転職しようとしても採用されにくいばかりか、下手をすると年収ダウンしてしまったり待遇がさらに悪くなる…なんて失敗にもつながりかねません。