「連鎖退職で職場が崩壊してしまった…」
「なぜか従業員が芋づる式に辞めていく…」
「退職ラッシュが続いて立て直しが大変…」
運悪く、このような事態に立ち会ってしまい、頭を抱えていませんか?
この世には、人望があり職場崩壊が起こらぬように陰で努めていた者が辞めたことを皮切りに一気に社員が辞めたり、あるいは職場内で見えない不満が溜まっていたため、誰かが辞めたことを契機に他の従業員まで退職を決意するという、言わば「見えない人の流れ」のようなものが存在します。
また、大きな組織の場合ですと、現場を知る従業員の声を無視した一方的な経営方針を打ち出したり、その伝達方法が社内ではなくメディア経由で知らされてしまうなど、従業員への不信感を形成してしまう要素も数多く存在します。
どのような理由にしても、人の心はわからないものですから、こうと断言できる要因はありません。辞めていった人は前々から不満を溜め込んで、何かをきっかけにして決断したのでしょう。ただ、同じ過ちを繰り返さないために要因を分析して改善したり、直面する人手不足の問題を解消する段取りも考えておく必要があります。
そこで本記事では、連鎖退職に出くわしてしまい悩んでいる読者の方に向けて、連鎖退職が起こる原因の事例解説から、その後の対処法、連鎖退職を起こさないための人材マネジメントに関する情報まで、まとめてお伝えしていきたいと思います。
退職連鎖・組織崩壊の原因は?
- エース・ベテラン社員の退職による負担増加
- 聞き上手の調整役退職に伴う人間関係の悪化
- 一斉に辞めることによる嫌がらせ
- 企業買収・経営再建に伴う組織崩壊
エース・ベテラン社員の退職による業務負担増加
組織崩壊の予兆となるのが、優秀なエース社員が辞めることにより、業務負担の増加に耐えられないで芋づる式に退職者が出てくることです。
以下の記事などでも解説していますが、組織においては優秀な働き者ほど割を食うように機能してしまうものです。
また、職場の人間関係が悪かったり、上司が部下を潰すような社風ですと、優秀な社員は出世を恐れる上司に潰されるようなことも、当たり前に行われています。
いずれにせよ、組織においては優秀な社員ほど割を食いやすくなるため、耐えられずに先陣を切って辞めていくものなのです。
これは職場にて「一部の優秀な人材に過剰に業務負担をかけすぎた」という面で、会社側にも責任はあるでしょう。
聞き上手の調整役退職に伴う人間関係の悪化
退職理由の中でもとくに多いのが「人間関係・対人関係」だと言われております。
職場の中には、必ずと言っていいほど「聞き上手の人」「職場の人間関係の調整役」ともいうべき人が存在します。
たとえば、ウマが合わない上司と部下の間を掛け持つ人であったり、気難しい社長のことを理解しているベテラン社員など、職場の人間関係のバランスを上手いこと保っている人物がいることで、職場の対人関係が円滑になることはよくあります。
そういった人間は、細かい気配りであったり、職場の人間関係や感情に関する観察力などが優れており、職場で意外と根回ししているものです。
そういった人材が退職してしまうと、途端に職場の人間関係が険悪になることは珍しくありません。
もし、退職連鎖が続いて組織崩壊してしまっている職場で「あの人がいれば…」と感じているのであれば、おそらくその人が職場の対人関係にもたらしていた影響力が、想像以上に大きかったのかもしれません。
一斉に辞めることによる嫌がらせ(謀反)
退職の連鎖が続いて組織崩壊するということは、従業員の嫌がらせの可能性も十分にあります。
それも一斉に退職届けを出してきた場合、裏で結託して辞職している可能性も否定できませんので、ほぼ計画的な行為だと考えていいでしょう。
とくにアルバイト・パートであったり、派遣社員であれば、正社員のように立場も待遇も保証されていませんから、以下のような方法を使わずにいきなり一斉に退職してくることも十分ありえます。
- 上司に直談判しない
- 派遣会社に要求を通さないで退職
- 労働組合を通して賃上げ要求・待遇改善のストを起こさない
正社員の感覚で言えば「上司や仲介会社を通じて要求を通す」「労組を通してストを起こす」などの方法がありますが、そこまで知識のない非正規雇用者は、段階を踏まずにいきなり退職してくることも十分に考えられます。
正社員目線からでは想像しにくいでしょうが、非正規雇用者は正社員との待遇の差に不満を抱えている一方で、いつ辞めても同じような待遇の仕事は見つかる立場です。
職場に不満があるといきなり退職してくるという強硬手段をとってきても、失うものは少ないのです。
もっとも、正社員からも一斉退職されてしまう会社は、おそらく「社長の人格に問題あり」「待遇があまりに酷すぎる」のどちらかでしょうから、それは単に「社長に人の上に立つ器がなかっただけ」とも言えるかもしれません。
企業買収・経営再建に伴う組織崩壊
企業買収・経営再建に伴い、組織が一度崩壊してしまうことも珍しくはない現象でしょう。
- 企業買収により、経営方針が大きく変わって企業のビジョンについていけなくなった
- 経営方針の変更による人事の入れ替わりで、割りを食ってしまった
- 新たな社長・役員とウマが合わず、左遷・閑職される未来が見えた
- 今までの仕事とまったく違う方向性を要求され、ついていけなくなった
以上のように、企業買収・経営再建では会社が大きく変わることもありえるので、従来のやり方にこだわりや愛着があった社員は、ついていけなくなって一定数脱落するものです。
40代以降からの転職でも「経営者や上司との考え方が合う」という理由が決め手になるぐらい、会社の方針と自身の仕事観が一致することは大事だと思われています。
これは組織改変が行われる以上は、必要とされる犠牲とも言えるので、仕方のないことではあります。
社員全員が一斉に辞めた場合はどうする?
社員全員が一斉に退職してしまった職場で、運悪く一人だけ取り残されてしまった場合、どうすればよいのでしょうか?
社長に恩があったり、今の会社が立て直すほどの力があると思うのであれば、残り続けるのも一つの手段でしょう。
逆に社長の人格に問題があったり、待遇があまりにひどい場合は、自分も流れに乗って辞めてしまうのが一番でしょう。
以下の記事にも書いてますが、人手不足の会社や人が辞めていく会社は、何かしら問題があります。
また、社員の多くが辞めてしまった場合、おそらく上司や社長は、
「残ってくれてありがとう、これからも任せた」
「過去のことは忘れてこれから頑張ろう」
…など、都合のいいことを言ってくるかと思います。
ですが、そのような都合のいい方便に流されてはいけません。
常識的に考えて、一番割を食うのは残された社員になりますので、社員や上司はまず残された社員を絶対に辞めさせないように根回ししてきます。
ですので、そこは一度しっかりと「なぜ、他の社員が一斉に退職されたのですか?」と問い詰めて、事態を重く受け止めているかどうかを見極めておくことも大事でしょう。
管理職でも部下が一斉に辞めたら転職を考えておくこと
従業員が一斉に辞めてしまった場合、最も割を食うのは中間管理職でもあります。
本人がクラッシャー上司で部下を辞めさせてしまう場合は別として、会社側の人事や労働条件があまりにひどく、自分の権限でどうしようもないと感じているのであれば、管理職でも転職してしまうのも手でしょう。
ただし、転職活動の際に「管理職が部下が一斉に辞めたという理由で転職」というのは、あまりポジティブな動機にはならないので、注意が必要です。
ですが、会社側に責任があって人事面で無茶振りをされていると感じるのであれば、他の会社に移った方がまともに働ける可能性は大きいので、社員が全員辞めていくような会社は自分も辞めてしまう道も考えておくと無難でしょう。
退職の連鎖が続くなら自分も転職しよう
以上のように、退職の連鎖が続き組織崩壊してしまう会社は、一個人の責任だけでは済まないぐらい、複雑な要因が絡み合ってなし崩し的に壊れてしまうものです。
流れに身を任せて自分も辞めるもよし。
あえて残り続けて、再建に尽力するもよし。
ただ、冷静に見極めておきたいのは「社長や上司に反省の色は見られるか?」ということです。
そもそも、社員が一斉に辞めるというのは、かなりの覚悟がなければ出来ないことですので、事態を甘く見ているようではまた同じことを繰り返します。
今の日本では社員を大事にしない会社も増え、恩を仇で返すクソ経営者も増えていますので、自分も内心で不安や不満を抱えているのであれば、この機会に転職活動のきっかけにしてみるのもいいでしょう。
ただ、いきなり転職しようとしても、経歴が不十分なうちや自己アピールが不十分なうちは自力で転職しようとしても採用されにくいばかりか、下手をすると年収ダウンしてしまったり待遇がさらに悪くなる…なんて失敗にもつながりかねません。