「転職エージェントが信用できない…」
「転職エージェントがしっかり対応してくれない…」
「転職エージェントがやる気がない…」
このようにお悩みではありませんか?
転職エージェントはビジネスですので、大なり小なり”駆け引き”が必要となってきます。
しかし、日本人は交渉が苦手な人が多いせいか、エージェント・利用者ともに自分の都合を押し付けてばかりの人が多い印象があります。
ですが、ビジネスにおける交渉・駆け引きは原則さえ理解しておけば、さほど難しいものではありません。
そこで、当記事では交渉術の原則を踏まえた上で、転職エージェントから有利な条件を引き出したり、信用できないエージェントを見抜いて効果的に利用する方法を紹介していきましょう。
信用できないエージェントの特徴と対処法は?
信用できないエージェントとは、一体どのような特徴があるのでしょうか?
エージェント限らず、仲介業・取り次ぎ役の能力を測るための基準として筆者も使ってますので、ぜひともご参考ください。
話を聞かない・理解しようとしない
信用できないエージェントの象徴的な特徴は「話を聞かない」でしょう。
ハッキリ言って、利用者の話を聞かない・理解しようとしないのはエージェント・キャリアアドバイザーとして無能の証拠ですので、信用できなくて当たり前です。
利用者の要望を一切聞かないようなエージェント、他社の人生の重大事である転職について大きな責任を負っている立場である自覚がない証拠ですので、そんな相手に転職の相談を任せるべいではないでしょう。
ただ、担当者個人がどれだけ信用できない相手であっても、その後ろにある転職エージェントの情報力や紹介先企業とのコネは、出来る限り活用したいのも確かですよね。
ですので、対処法としては、
- 相手と縁が切れること覚悟で説教しておく
- 担当者の入れ替えを申し出る
- 担当者の対応力に一切期待せず、事務処理だけさせておく
…などが、現実的にエージェント利用者が取り得る選択肢です。
私も仕事における取次役で「こいつ、話聞かないバカだな」と悟ったら、一切無駄なことを言わずにビジネスライクに事務処理だけしてもらう意図でしか利用しなくなります。
とくに大手エージェントの場合、担当者の裁量幅や決定権が狭いためか、融通が利かない担当者も多い傾向にあるため、初めから「ただの求人紹介役」「紹介先企業との取次役」「事務処理しかしない人」程度に思っておけば、過度に期待せず済むはずです。
急かすことが当たり前だと思っている
信用できないダメなエージェントの特徴は、急かすことが当たり前だと思っている人でしょう。
たとえば、エージェントの悪評や不満で上がっているものでは、
- 強引に興味のない求人応募に薦めてくる
- 電話勧誘がしつこい
- 「今応募しなければチャンスはないですよ」などと脅して急かす
…など、交渉力も説得力もない人間が使うダメな方法を使っているエージェントの評判も散見されます。
とくに転職エージェントの中でも、バリバリの営業系の会社であれば、上記のような手法で急かしてくるエージェントも多めの印象です。
この手のいわゆる「オラオラ交渉」は、相手が言いなりになる弱い立場であれば有効ですが、対等の立場にあるエージェントではさほど有効な方法ではありません。
逆に言えば、利用者が押せばどうにかなる優柔不断な人であったり、自信がなくて足元見られているような人であれば、どうにかなるとも言えます。
実際、すぐに転職したい人には急かす方法は、かなり効果的です。
ですが、すぐに転職する気がなかったり、じっくり求人情報を吟味して応募したい方であれば、押し売りもいいところで急かしてくるエージェントはありがた迷惑です。
急かしてくるエージェントへの対処法としては、
- 他社エージェントを併用していることを明言し「他社の提案と比較した上で検討します」とやんわり断る
- ハッキリと「すぐに転職する気はない」と伝えておく
- 在職中に転職活動しておく
- 無職の場合は「貯金があるのでまったく焦ってない」と堂々と構えておく
- 担当者入れ替えを申し出る(交換理由として「こちらの意図を無視して急かしてくる」などと伝えておく)
…などが、自分の心理的にも、相手に対する予防線としても有効でしょう。
とくに、他社エージェントを活用していることを先に明言しておくだけでも、エージェント側の言いなりにならずに済みますので、必ずエージェントは複数社併用しておくといいでしょう。
ちなみに、私が仕事で接している方でも信用できる方は「他社の提案も検討した上で、こちらの提案も考慮してください」と言ってくるほどです。
前提として「利用者は他エージェントも使っている」と考慮していないエージェントは、想定力も共感力も3流以下だと言ってもいいでしょう。
質問に答えない・答えきれない
転職エージェントが信用できるかできないかの基準としては「しっかり、こちらの質問に答えてくれるか?」でしょう。
質問攻めは、相手の経験値や知識量を測るためにも有効です。
たとえば、
- 以前にも自分と似たような利用者はいましたか?その方は内定まで行き着きましたか?
- この応募先の詳しい情報を知りたいのですが、御社側で取次は出来るでしょうか?
- 私と同経歴の方で年収〇〇万の成功実績があると聞いたのですが、そのぐらいの額は望めますでしょうか?
…など、相手が経験のあるエージェントであれば、しっかり答えてくれる質問を投げておけば、おおむね相手の経験値を測れます。
逆に言えば、こちらから質問していないのであれば、一方的に相手側の話に答えるだけの立場になってしまうということです。
私も仕事を請け負うor任せるときは、しつこいぐらいに事前に質問して認識の相違がないかの確認を行っております。
それがなぜかと言うと、相手が思っているよりも無知・仕事が出来ない場合、非常に厄介なことになるからです。その上、さらに相手が大して実力もないクセして「自分は仕事が出来る」などと思っていたら、例外なく後々認識の違いからトラブルに発展します。
ですので、事前に仕事を請け負う前に、しつこいぐらいに認識の相違がないかを確認する意味で、質問攻めにするのです。
これはどちらかと言えば「信用できる・できない」の基準ではなく「担当エージェントがどれぐらい自分のために動いてくれるか?」の判断基準として、覚えておきたい知恵です。
もっと言えば「こちらも信用できる転職の相談相手をしっかり選んでんだぞ?ナメた対応すんなよ?」と、利用者側がエージェント相手に面談するぐらいの気持ちで臨むぐらいが、本気でビジネスやっている相手への礼儀だと言えるでしょう。
担当範囲内の仕事しかしない
信用できないエージェントの特徴と言えば、担当範囲内の仕事しかしないというケースでしょう。
具体的には、以下の通り。
- 紹介先企業への聞き込みや事前確認など、まったくしてくれない
- こちらの質問や要望を放置したまま、応募を薦めてくる
- 自分で出来かねる仕事を、他の部署やエージェントへ引き継ぎしない
逆に信用できるエージェントであれば、
- 利用者の質問や要望を、しっかり紹介先企業へ伝えてくれる
- 自分で対応できない範囲は、他社エージェントを薦めてくる
…など、しっかりとした対応をしてくれます。
もっとも、これは求人情報主体型の人材会社や、分業型のエージェントの場合は、あまり期待しないほうがいいでしょう。
それがなぜかと言えば、分業型のエージェントの場合、紹介先企業の求人は自分で営業・取材に行っているわけではないので、求人情報や社内のデータベースにある情報の範囲でしか仕事が出来ないからです。
とくに社内マニュアルや業務範囲がしっかりしている大手エージェントの場合、効率的・事務的で使いやすい一方で、細かい部分で融通が利かないことが多くなるので、そこは担当者の対応を見て、自分でしっかり判断しましょう。
担当者がやる気がない
信用できないエージェントの特徴としては、担当者のやる気がない場合でしょう。
この場合は、どちらかと言うと利用者の経歴が人材会社的にあまり利益になりにくいなど、利害関係が一致していない可能性も大きいです。
通常、転職エージェントの担当者は1人で複数人の相談者を掛け持っていますので、
- 転職意欲が高い人材
- 利害関係が一致している人材
- 経歴がある人物
…など、紹介先企業へアピールしやすい人材が優先されやすい傾向にあります。
担当エージェントがやる気がないのであれば、暗に「あなたをしっかりサポートする気はありません」と言われているようなものです。
エージェント側も仕事である手前は、表立って「あなたをサポートする気はありません」とは言えませんので、そこは察する必要があります。
この場合の対処法としては、
- 書類作成・求人応募などを積極的に行い、意欲を見せておく
- 担当者個人に連絡し、相手の事情を探っておく
- 自分の悪いところや足りないところを率直に指摘してもらう
- 他のエージェントを使う
…など、自分側に非があると考えた上で、使っておくのがベターでしょう。
信用できるエージェントを探し出すためには?
そもそもが「転職エージェントが信用できない」というのは当たり前です。
転職エージェントは無料で利用できるサービスな手前、裏があるのは当たり前ですから。
転職エージェントは転職成功の度に紹介先企業から成果報酬を受け取るビジネスモデルなので、内定見込みのある求人や意欲のある人材を優遇するのは当然です。
また、内定が決まる度に成果報酬がもらえるのですから、利用者の意向を無視して強引に応募を勧めてくる人も当然います。
ビジネスでの付き合いになる以上、転職エージェントは敵にも味方にも変わり得るのです。
よく転職エージェントを使う人が勘違いしがちなのが「プロの力を借りて、自分の好きな求人を選んで応募できる!」という考え方ですが、残念ながら現実はそうではありません。
転職エージェント側が優先的に紹介したい求人を勧めてくるのが、転職エージェントの本来の姿です。
この前提を理解せず、転職エージェントを「信用できない!」と文句をつけてるのは、単に利用者に前知識やビジネス経験が欠けているからだとしか言えません。
担当者の事情を配慮しておこう
「転職エージェントが信用できる・出来ない」以前に、キャリアアドバイザーの担当者もしょせんは「1人の人間」でしかありません。
ですので、まずは「担当者の事情」をしっかりと考慮しておきましょう。
信用できないエージェントが抱えている事情
- 面談経験の少ない新人の担当者もいる
- ノルマに追われ、応募を急かしてくる担当者もいる
- 業界知識や専門知識が相談者よりも欠けている担当者もいる(本職経験者よりも少なくて当たり前)
以上のように、まともな社会経験があれば「人は誰もが間違うもの」「すべての社会人が完璧ではない」と気づいていますよね。
それは転職エージェントの担当者とて、例外ではありません。
逆説的になりますが「転職エージェントが信用できない=あなたが相手に求めすぎている」ということになるのです。
忘れてはいけないのは「エージェントと二人三脚で転職活動をする」という意識です。
もちろん、担当エージェントにすべて丸投げする使い方も出来ないわけではありませんが、それはすなわち「エージェントに信頼してすべて任せている」と言っているようなものです。
にも関わらず、自分の思うように行かなくて「信用できない」とダダごねているのは、いい大人のすべきことではないでしょう。
わかりやすく言えば、恋愛において「デートどこ行く?」という問いに対して「どこでもいいよ」と答えておいて、自分の好みや思ったものじゃなかったら文句を言っているようなもの。
相手側の立場や事情を尊重した上で「いかに自分の有利な求人やサポートを引き出せるか?」をしっかり考えた付き合い方をしておくべきでしょう。
エージェント運営会社の社風や方針を見極めよう
「転職エージェントが信用できない」と嘆く前に、利用するエージェントの運営会社の社風や企業研究は最低限しておくべきです。
これはわかりやすく言えば、営業の人が商談で取引する相手の企業を調べもしないで話を進めるようなもので、相手の会社の事業内容や利害関係を把握してかなければ、話が合うわけもありません。
事前のリサーチ不足は、ビジネスにおいては言語道断とも言える事態です。
「転職エージェントが信用できない」と嘆く前に、自分の事前情報や認識が不足していなかったか、しっかり反省しておきましょう。
参考までに、主要転職エージェントの運営会社の社風や方針を以下にまとめています。
・転職エージェントの運営方針や社風ごとの違い
国内大手人材会社…「質より量」の傾向があり、会社も体育会系の社風のためノルマ主義。情報量には期待できるが、精度や満足度は落ちる。「リクルートエージェント」「doda(パーソル運営)」などが該当。
外資系人材会社…「量より質」の傾向。自分に合った求人の情報を詳細に教えてくれるため、納得度が高い。「LHH転職エージェント(アデコ運営)」など。
人材派遣会社…情報だけではなく、人材派遣業の一環として現場ニーズから求人を作り出しているため、求人の精度や会社の保有する情報、紹介先企業とのコネが強い。「メイテックネクスト」など。
「両面型」「分業型」で対応力が変わることを知っておこう
転職エージェントを有効活用する際に知っておきたいのが、キャリアアドバイザーの「両面型・分業型」の違いです。
・転職エージェント「両面型・分業型」の違いとは?
両面型コンサルタント…転職希望者と紹介先企業両者に対し、営業・連絡・交渉が可能な形態。個人の能力が高ければ情報の精度に非常に期待できる。
分業型コンサルタント…転職希望者の相談対応のみを行い、紹介先企業への営業・連絡・交渉は別の部門が担当。効率はいいものの、情報の精度や対応力には欠ける。また、いくつかの部署を通す都合上、対応が遅くなる・行き違いが生じるなどのリスクもある。
担当者の能力が高い上に自分と利害が合っていれば「両面型」のエージェントは、非常に頼りになります。
一方で「分業型」のエージェントは、良くも悪くも「平均的」「事務的」になりやすい分、効率の良さや担当者の能力不足を会社の情報力でカバーしやすくなります。
ここで注目したいのは「担当エージェントが、どれだけ権限を持っているか?」ということです。
両面型は言うまでもなく個人での権限を広く持つため、直接企業側に交渉・営業できるレベルのエージェントもいます。
ですが、現実的には分業型の権限を持たないエージェントの方が圧倒的に多数であることは、あらかじめ踏まえておきたい事実です。
分業型のエージェントは、企業側の情報量とマニュアルがしっかりしていれば、能力が不足していてもある程度仕事が出来てしまうので、イマイチ信用ならない担当者と出くわすリスクも上がります。
ですので、担当者の力量や信用度にこだわりたい方であれば「両面型」のエージェントを選ぶのが、間違いないでしょう。具体的には外資系運営の「LHH転職エージェント」は全担当者が両面型です。
転職エージェントは”パートナー探し”と考えておこう
転職エージェントはビジネスで行っているので、信用できる相手と出会うのはなかなか難しいものです。
むしろ、安易に信用せずに疑ってかかるぐらいが、間違いのない転職につながるぐらいです。
今回紹介したような「転職エージェント側の事情」もしっかり踏まえた上で、自分でも出来る限りの防衛策は用意しておきましょう。