「転職エージェント」と「就職エージェント」の違いは何?

編集長
人材業界研究家の
スコシテン編集長です

「転職エージェントと就職エージェントと何が違うの?」
「就職用のエージェントってないの?」
「転職エージェントは就活生でも使える?」

このように、言葉の定義にお悩みの方は多いのでは?

結論から言っておきましょう。

「転職エージェント」も「就職エージェント」も、マーケティング上のネーミングです。

なので、運営会社やサービス毎に違いもあれば、共通するところもあります。

ですので「言葉の定義自体には大した意味はない」と言えます。

ただ、人材業界側もサービスの名称を統一していなかったり、働き方の多様化で「就職・転職・再就職、それぞれの定義が曖昧」になっている社会状況もあるので、サービス内容がわかりにくくなっている点は否めません。

そこで当記事では「転職エージェントと就職エージェントの違い」という題目で、人材業界側の事情や社会状況をおさらいしていく意図で、解説してまいります。

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人材業界での「就職」「転職」の違い

まず、人材業界で一般的に用いられている「就職」「転職」の違いから説明してまいります。

「転職」と聞くと、多くの方が「在職中の人が行うもの」と考えがちですが、人材業界側ではそうではありません。

ざっくり言えば、以下の通り。

人材業界での「就職」「転職」という言葉の定義

就職…在学中の就活生・新卒生にのみ使われる言葉

転職…卒業後の社会人全般に使われる言葉(無職・非正規も含む)

(※ただし、既卒・第二新卒・フリーター向けの人材サービスでは「就職」という言葉が使われる傾向)

ですので、厳密な定義での「転職…職場を変えること」だけではなく「再就職…職を失った人が新しい職場を見つけ出すこと」という意味も含みます。

ですので、今の人材業界の情勢を踏まえれば「再就職も”転職”に含む」と考えてもいいでしょう。

企業目線で考える「中途採用枠=転職者」扱い

「なぜ、転職と就職という言葉の定義がごちゃまぜになるのか?」を考える際、知っておきたいのが「企業側の事情」です。

極論、企業側からすれば「就活生・新卒生・学生=就職」「それ以外の中採用枠=転職」という扱いなのです。

これは単に「社内の教育・研修面での効率」「企業側の採用ルール」と言った、慣習面が大きいです。

日本の人材市場で言われている一般論は、多くが「影響力や資本力を持つ大企業寄り」になっており、中小企業以下とはやや実態が離れております。

また、就活ルールの規定に「経団連」が絡んでいるため、人材市場の実態とかけ離れてしまっている点が、今の日本の抱えている課題でもあります。

(これは2018年の経団連側が「就活ルール変更」を規定した事情からも、おわかりいただけるでしょう)

ですので、大前提として企業側は中採用者には「経歴・実績・経験・技術=即戦力」を求めるため、便宜上「転職=経歴のある人向け」という意味合いで言葉が用いられるわけです。

ただ、実際問題で言えば、どんなに前の職場で優秀で経歴がある人材でも、新しい職場で即戦力になるまでは慣れが必要になるので、やや「企業側の机上論・理想論」として、中採用枠に対しての「転職」というイメージや定義が先行している感もあります。

また、昨今では「正規と非正規の格差」「フリーター・ニートなどの正社員経歴のない人材層」などが増えており、企業側のイメージする「他の会社で経験を積んできた中採用者」とは異なる人材像の方が多数です。

このあたり、企業側が人材採用に対して「理想と現実のギャップ」が埋まっていない証拠でしょう。

※大手転職エージェントに登録してみればわかりますが、非正規・フリーター・無職でも、実際はサポート対象に含まれております。

職歴なしでも転職エージェントは利用できるのか?20代の元フリーター・現役ニートが試して見た結果…

既卒・第二新卒(20代)向けには「就職」が使われることも

中採用枠に対して「就職」という言葉が使われるのは、主に「既卒・第二新卒」をサポート対象としている場合です。

※当サイトでも、便宜上「就職支援サービス」と呼称を統一して、紹介しております。

これは社会背景に「国が若年層の就職支援のため、企業側の要請を出した(助成金の支援など)」という事情があります。

ですので、それまで新卒生しか採用してなかった企業も、積極的に既卒・第二新卒層を採用する動きが強まったわけです。

企業側目線で見た場合、既卒・第二新卒は「就活生・新卒生ではないけど、中採用者としても採用するほどの経歴も実績もない、扱いの難しい人材層」だったのですが、国の支援や人材会社の参入により、その需要が近年では高まりつつあります。

既卒・第二新卒向けの人材会社は「就活生向け」の事業展開に強い

既卒・第二新卒向けの人材会社ですが、その多くが「就活生向けの事業展開に強い」という特徴を持っております。

これは企業側の人材ニーズとして、就活生と既卒・第二新卒に求められるものが被るからでしょう。

ですので、人材会社側も中採用枠に対しても「転職」ではなく「就職」という言葉を使う傾向が強いです。

たとえば、就活生向けの人材会社として勢いのある株式会社DYMは就活生向けのセミナーなどを積極的に開催していますが、同時に既卒・第二新卒向けに「DYM就職」も運営しています。

2012年に設立された株式会社UZUZの運営する「ウズキャリ」も既卒・第二新卒向けですが、同時に就活生に対しての情報発信も行っております。

また、若年層向けに就活市場にマーケティング展開してブランド名のある「マイナビ」も、転職業者の中では比較的「若手寄り」です。

マイナビエージェント」は20代~30代の若手を対象にしていますし、クリエイター向けの「マイナビクリエイター」は学生をサポートに含めていて就職支援サポートとしての色合いが強めです。

国内No.1の人材会社として圧倒的業績を誇るリクルートに関しても、最近では既卒・第二新卒向けに「就職Shop」を設立し、同社の中でも「従業員数の少ない、人柄・人間性重視の採用に期待できる会社」を中心的に紹介しております。

ビジネス面の弱い公共事業では「再就職」が用いられる

「就職と転職の言葉の定義の違い」は、人材ビジネス会社側マーケティング上の都合で使い分けているという事情は、説明しているとおりです。

一方で、ビジネス面の弱い公共事業・社会事業よりの人材会社では「再就職」という言葉が使われることがあります。

ハローワークなども「再就職支援」としての性質を持つため、転職というよりは、職を失った人が使うための施設としての性質が強いです。

国内第3位の業績を誇る人材派遣会社「パソナ」も、社会事業と強い結びつきがあり、再就職支援の役割も担っています。

また、オランダ発の世界No.2の人材会社「ランスタッド」も、元は再就職支援サポートとして運営されてきた経緯があるので、ビジネス色はあまり強くないです。

ただ、現在の人材業界では、あまり「再就職」という言葉は使われません。

その理由は単純で、非正規雇用者が増加しているため、再就職支援自体を人材派遣会社側が担っているという情勢になっているからです。

何かと誤解されやすい派遣社員ですが「紹介予定派遣」制度の導入も行われており、大手派遣会社である「JOBNET(マンパワーグループ)」「テンプスタッフ」では、正社員支援もしっかり行っております。

人材派遣会社の歴史的に見ても、大手企業グループが再就職支援用に運営していた派遣会社を、現在の大手派遣会社が統合してきた経緯があるので、今の日本の人材市場で再就職支援の役割を担っているのは「派遣会社」だと言ってもいいでしょう。

転職エージェントと就職エージェントの違いは?

これまでは「就職」「転職」「再就職」の使われ方の違いを紹介してきました。

「転職エージェント」と「就職エージェント」の違いも、定義は非常に曖昧ですが、実態は上記で説明した事情が大きく関わっております。

ですので、言葉の定義だけではなく「マーケティング上の使われ方」「言葉・ネーミングが定着した経緯」も合わせた上でご理解いただけると、わかりやすいかと思います。

「転職エージェント」は人材ビジネス会社が使うネーミング

「転職エージェント」ですが、人材ビジネス会社が使っているネーミングのことで、広い意味では「人材会社の仲介人(=エージェント)が自分に合った仕事を紹介してくれる」「人材会社の交渉人(=エージェント)が年収交渉などを担ってくれる」という意味、あるいはそういったサービス内容を指して使われています。

ただし、ひとつだけ言っておくと、そこまで仲介力・交渉力のあるエージェントは実際のところは多くはないので、ネーミングが1人歩きしてしまっている感は否めません。

というのも、日本国内ではヘッドハンター・キャリアコンサルタントの職業教育がそこまで進んでいないため、担当者の実力が決して高いとは言えないからです。

事実、優秀なヘッドハンターはフリーランスとして「ビズリーチ」で活動を行うなどしており、大手企業の運営する人材会社の転職エージェントにはそこまで仲介力・交渉力に期待できません。

これは、純粋に担当エージェント1人が企業と求職者の仲介・交渉を担当するわけではなく「紹介先企業への営業」「求人情報を分けて登録者に送る採用担当者」「面談で対応してくれるアドバイザー」とそれぞれ別れているためです。

ですので、転職エージェントを正しく理解するために知っておきたいのが「両面型コンサルタント」「分業型コンサルタント」の違い…つまり、担当エージェントの「業務範囲」です。

当サイトでは転職エージェントの広告を扱っておりますが、転職エージェントというビジネスモデル自体、まだまだ発展途上で問題の多いビジネスだと感じておりますので、そういった点も踏まえた上で、期待しすぎずに使うのがベターでしょう。

「転職サイト」と「転職エージェント」の境界が曖昧になりつつある

マーケティング都合上、仲介人を通して求人紹介してくれる人材ビジネスを「エージェント」と呼ぶのは、ご紹介した通りです。

では、今までの純粋な「転職サイト」「求人サイト」はどうなったのでしょうか?

実は転職サイト・求人サイトでも、ほぼすべての人材会社が仲介人を挟むビジネスモデルになっているので、実質的には「ほぼすべての転職サービス・人材サービスが”エージェント”制」だと思ってもいいでしょう。

また、エージェント制の人材サービスでも、求人メールの案内なども同時に行っているため、転職サイトの役割も担っていることがあり、転職エージェントも実際は転職サイト・求人サイトとしても利用可能です。

※登録者の中から見込みのある人材だけ面談に呼んでいるため、人材会社的には転職エージェントも転職サイトも「欲しい人材をおびき出すためのエサ」でしかないのです。

逆に大手転職サイト「リクナビNEXT」や、ハイクラスの転職サイト「ビズリーチ」なども、サイトを通して他社のエージェントやヘッドハンターが仲介してくるSNS・プラットフォームとしての役割もあるので、純粋な転職求人サイトではないです。

最近の人材業界主流のビジネスモデルとして「仲介人が企業側の代理として、選考を担っており、適性や見込みがあれば求人を紹介してもらえる」という形になってきていることは、知っておきたいです。

ですので、転職サービスを使う際に関しては「自分から応募求人を自由に選べる」のではなく「転職業者側が提示してくれる求人から選ぶ」という意識で使わなければ、サービス内容を見間違います。

以上のような人材業界の事情を踏まえておけば「誰でも閲覧できる、無料求人サイトやハローワーク求人に、優良求人が出回らない理由」は、おわかりいただけるかと思います。

「就職エージェント」は主に”就活生・既卒・第二新卒”向け

「就職エージェント」というネーミングは、主に”既卒・第二新卒”向けの転職・就職支援サービスに使われています。

ただ、現状これらのサービスが「就職エージェント」と自ら名乗っていることは、ほとんどありません。

業者ごとにネーミングが異なりますが「就職支援サービス」「就職サポート」など、”転職”よりは”就職”という言葉の方が多く使われている傾向です。

しかし、実際は在職中・無職関わらずに、20代の若手全般がサポート対象に含まれていますので、あまり言葉の定義にとらわれすぎないことも大事でしょう。

就活生・学生向けの「エージェント」はまだまだ発展途上

完全に新卒生・学生を対象としている「就職エージェント」ですが、今のところはそこまで有名ではないです。

そもそも、就活生であれば学校での就職支援サービスが受けられるので、あまり需要がないという事情もあるかと思います。

ただ、人材会社側も広報に力を入れていないだけで、新卒生・学生向け専門のエージェント部門を設立していることはあります。

たとえば国内No.2パーソルの運営する「doda」では新卒生向けに「doda新卒エージェント」を展開しています。

また、世界No.1の人材会社アデコの運営する「Spring転職エージェント」の就活生版「Spring就活エージェント」も存在します。

ちなみに裏事情を書いておくと、新卒生向けのの広告報酬はそこまで高くない+広告案件自体あまり多くないため、ネットでの情報発信が弱め…という側面もあります。

なお「マイナビクリエイター」など、中採用者・学生ともにサポートしている就職・転職支援サービスもあるので、登録して確認しておくといいでしょう。

まとめ

以上、人材業界の事情や日本国内の人材採用の経緯などを踏まえた上で「就職エージェント」と「転職エージェント」の違いをご紹介してきました。

もう一度、ざっくりまとめてみましょう。

就職エージェント→既卒・第二新卒・20代向けの再就職支援サービス。学生向けは「新卒エージェント」などと呼ばれるので、どちらかと言うと卒業後の若者向け。

転職エージェント→人材会社がマーケティング上使っているネーミングで、実際は転職サイト+面談案内して求人を紹介する仕組み。大手の場合既卒・第二新卒者も対応しているので、就職エージェントと役割が被ることも。

ひとつだけ言えるのは、どちらのサービスを使うにしても「人材会社側の意図やマーケティング事情」を理解しておけば、エージェント側に都合よく流されずに使い分けられるということです。

ですので、今回紹介したことも踏まえた上で、より就職エージェント・転職エージェントを有効活用してみてください。

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