転職やキャリアを考える際に知っておきたいのが「年齢・年代別に転職に関する常識や前提が変わってくる」ということ。
とくに人材サービスや求人サービス経由で転職活動をする場合に、年齢を理由に問答無用で書類選考に落とされることもあります。
これは単に効率の観点から「○歳以上の人材とは面談しない」と決めている会社が多いからであり、年齢差別は事実として存在するのです。
ちなみに、これは法規制で「年齢制限をしてはいけません」と国から指導が入っているにもかかわらず、実態として企業側が年齢制限を設けていることが、求職者側と企業側での認識差が生じる遠因になっています(時期的にリーマンショックによる不況が重なったことも、制度が形骸化した理由のひとつ)。
参考リンク:募集・採用における年齢制限禁止について |厚生労働省
つまり、どういうことかと言うと、企業側としては実質的に年齢制限を設けているにも関わらず「年齢不問」という求人を出さなければならず、ミスマッチが生じる結果になるのです。
上記のような「国策と企業側の実態がズレている」という状態は、仕事でも転職でもよく起こり得ることです。
以上のような前提を「企業側・人材会社側の人材の年齢に対する扱い方の事情」を抑えておけば、ある程度のミスマッチ採用や無駄な求人応募は防げるのです。
この記事では、当サイトで転職情報を集める中で見えてきた「各年齢・年代ごとの、企業側のニーズ」をご紹介していきます。
20代の転職事情「就活失敗のリカバリー」
20代の転職は、総じて言えば「就活失敗のリカバリー」と考えて問題ありません。
詳しくはこちら→20代の転職事情まとめ記事
就活に失敗・挫折して既卒・ニート・フリーターになった層から、ロクに調べもしていない会社に入社してしまって痛い目にあって辞める第二新卒層などが、主な20代の転職希望者層になります。
詳しくはこちら→既卒・第二新卒・フリーターの転職事情まとめ
また「とりあえず3年」耐えてから転職を考える層は、キャリアアップ層として転職市場で選択肢が広がる立場ともなります(単に「実務経験:満3年以上」を対象にしている企業が多いから)。
企業目線で考えればわかりますが「大した実績も大きな仕事も任せられない20代なんて、みんな五十歩百歩」ですので、それこそ「若いうちはなんとかなる」と考えておくべきなのです。
就活失敗の主な原因は以下の通り。
20代の就活失敗の主な原因
- 事前の業界分析・企業研究を怠り「なんとなく」で今の会社を選んでしまった
- 自己分析不十分で、明らかに自分に合っていない会社を選んでしまった
- 不況による買い手市場で、就職先を妥協せざるを得なかった(最近だとリーマンショックのあった2008年度卒業生)
- 就職先が違法スレスレのブラック企業であった
総じて言えば「会社って8時間労働で帰れるものなんだ」と社会をナメてかかって痛い目にあって辞めた層(第二新卒)、あるいは就活自体で挫折した層(既卒)などです。
20代前半の転職は「就活失敗の反省」と考えておこう
前述の通り、20代前半の転職活動は「就職活動の失敗の取り返し」という側面が強く、未経験職の間口が広い傾向にあります。
「七五三現象」という言葉もある通り、3年以内に一定割合辞めることは企業・社会側からしても織り込み済みなのです。
よく「最近の若者はすぐ辞める」なんて言いますが、厚生労働省のデータを見てみましても「バブル崩壊以降の3年内の離職率はさほど変わらない」ので、統計的に見ても新卒3年以内に一定割合辞めるのはごく当たり前のことなのです。
意識しておきたい「第二新卒・既卒」の扱い
転職市場でもとくに近年需要が高まっているのが「既卒・第二新卒」という、卒業後3年以内の若手人材層です。
関連:既卒・第二新卒が企業に歓迎される理由「若ければチャンスはある」は本当なのか?その真相に迫る!
なぜ、既卒・第二新卒層が需要が高まっているかというと、単純に国内の人材不足で若手不足な企業が多いからです。
そして、既卒・第二新卒層の会社を求める会社の傾向としては「就活生からなかなか見向きされない、中小企業以下の会社」が多くなります。
また、既卒・第二新卒層を対象とした人材会社は「人柄・人間性重視」「ポテンシャル・将来性重視」という傾向があり、面談に時間をかけてくれたり、セミナーなどの参加を定期的に開催してくれる業者も多いです。
さらに特筆すべき点としては「未経験の職種や業界にもチャレンジしやすい」という傾向もあるので、学歴・経歴にとらわれないで比較的職業選択の自由度も高い傾向もあります。
20代後半の転職は「年齢の壁」を意識しておこう
20代後半と言えば、以下の記事でも紹介している通り「今までキャリアを意識してきたか?」と「まったくキャリアを意識してこなかった…」で、人生の分岐点にもなる年齢層です。
関連:【決定版】20代の転職事情まとめ。自分に合った転職情報が見つからない人は読んでおこう!
キャリアを意識してきた方であれば、まず転職サービスでしっかりと対応してもらえるので、とくに言うべきことはないでしょう。
事実、各転職業者の公表しているデータを見ても、20代後半の転職成功率や年収アップ率は高いので、転職活動もやるべきことをやっておけばOKです。
逆にあまりキャリアを意識してこずに「このままでいいのかな?」「ちょっと今の会社で定年退職まで続ける未来が見えないな…」という方は、転職エージェントに相談してキャリアについて知っておくべきでしょう。
というのも、今の日本の企業体質や社会状況を考えれば、もはやどの企業も信用できない時代ですので、リスクマネジメントの意味でも定期的にキャリアを見直しておき、転職に備えておいたほうが身のためだからです。
少なからず、今の会社でリストラが行われるような事態になって、妥協した転職先を選ばざるを得ない状況になった際に、今までキャリアを意識して転職活動していれば、焦らずに済みますから。
職歴・経歴不十分な20代後半の場合
20代後半は、20代前半と比べてやや未経験職の間口が狭くなります。
具体的には「25歳、27歳、30歳」で節目があり、採用される求人数が減っていくことにもなります。
既卒・第二新卒・フリーターなどで、経歴に傷がある方であれば、年齢毎にチャンスが狭くなっていくことは意識しておくに越したことはありません。
とくに、職歴なしの既卒・ニートの場合、30歳になった途端に採用される求人が減る傾向にあることは、強く意識しておきたいです。
「30歳と29歳に差はあるのか?」と問われれば「ない」と言えますが、少なからず企業側(と世間)は「30代で職歴なしは使えない」とドライに判断してくることは覚えておいて損はないでしょ。
仮にそうでないと言うのであれば、実力と実績で証明するしかないのですから(30代職歴なしは、つまりは「実力と実績がない」と判断されるということ)。
関連:30歳以上のニートが就職支援を受ける時のポイント。就職サポートを使えば正社員になれるのか?
30代からの転職事情「即戦力としての実績と評価」
30代前半の転職は「挑戦or守り」の最後の分岐点
後述の「35歳の壁」がありますので、正攻法で転職活動するのであれば、30代前半が最後の節目となると考えておくべきでしょう。
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40代以降の転職事情「会社間の人事異動としての転職」
40代以降の転職に関しては「会社間の人事異動としての転職」という色合いが強くなってきます。
どういうことか言うと「他の会社に移ったものの、役職はそのまま」となるケースが圧倒的に増えるということです。
30代前半まで人材のように「これから経験を積んでもらって、会社の将来を担ってもらう人材に成長してもらおう」という期待値からではなく、極めて現実的な「今、会社にこの役職のポストが空いているから、そこに見合う経歴や実績がある人材を採用したい」という判断基準になるわけです。
ですので、現実的に「今までの経歴や実績が絶対的な評価基準」にしかならないわけです。
早い話、平社員の採用であればどんなに地雷人材を雇って辞められたとしても、被害は人件費だけで済みます。
しかし、管理職クラスともなれば、すでにいる受け持った部下が全員離れてしまいかねないリスクも背中合わせになるので、企業側も採用を慎重に検討せざるを得ないわけです。
40代以降の本音:「キャリアダウン転職」
上記はあくまで「企業と人材会社側の要望」ですが、転職者側の本音はズレてきます。
「キャリアダウンするための転職」の方が、40代以降の人材の実態としては多いはずです。