「上京支援サービスに興味があるけど怪しいので使うべきか迷っている…」
「住まいも仕事も用意してもらえるのに無料なのは騙されるのでは…?」
このようにお悩みではありませんか?
上京支援サービス運営会社の事業実態を少し調べればわかりますが、多くの業者は国に「人材紹介事業」として申請を出して許可を得ているため、このような会社設立に必要な条件を満たした上で運営されているのであれば、最低でも悪徳業者である可能性は極めて低いです。
ただ、利用を検討する者にとってはそのような事務手続き上の話ではなく
- 自分の望まない条件の賃貸や仕事に無理やり押し込められないか?
- 上京して住まいを提供された後にトラブルに見舞われないか?
といった点が最大の関心かと思います。
これについては、それぞれの業者が提供しているサービス内容や契約範囲であったり、取り扱っている求人や賃貸の条件によっても変わるため、一概にこうとは言い切れません。
ただ、他の人材サービスと比べると
- 派遣社員や契約社員などの非正規雇用の求人も取り扱っている
- 人手不足が目立つ職種・業種への紹介が多い
- キャリアアップ転職の支援は弱め
など、上京支援というメリットを提供してまでアピールしなければ、人を集めらないような事情のある企業の求人が多い傾向は強いかもしれません。
また、キャリアアップを目指す転職の支援はあまり考慮していないサービスとなるため、職歴のある人にとっては取り扱っている求人に不満を覚えるかもしれません。
次に賃貸物件についてですが、これは上京支援サービス運営会社が業務提携している賃貸業者からの紹介や指定物件が手配されるという形が多い模様なので、利用者にとっては「自由に住みたい物件を選べない」という点でデメリットとなります。
また、賃貸物件は通常は2年間住まなければ契約解除料が発生するビジネスモデルのことが多いから、上京支援サービスで就職した後、収入が上がって引っ越そうと考えても2年間の縛りが生じる可能性も考慮しておきたいです。
以上のことから結論をまとめる、自分自身で引っ越し・転居の手続きを行え、都内での転職先を見つけられるのであれば、上京支援がウリの就職・転職支援サービスは合ってない可能性が高いです。
逆に言えば、都内での物件探しや引っ越し手続きが面倒だったり、貯金がないなどの経済的理由でとりあえず上京して平均賃金が高い都内で働くことが優先事項と考えている人にとっては、非常にありがたいサービスだと言えるかもしれません。
大事なことは、自分が今置かれてる状況に照らし合わせた上で、上京支援サービスのメリットが受けられるかどうか、またデメリットが上回らないかどうかを冷静に見極めることです。
そこで本記事では、上京支援サービスが怪しいかどうか自分で見分けるために確認しておくべきポイント、また上京支援サービスのメリット・デメリットの解説も交え、使うべきかどうかを判断するための情報をお伝えしていきます。
上京支援サービス自体は”怪しい”わけではない
まず「上京支援サービスって本当に信用できるの?怪しくない?」という読者の疑問についてお答えしていきます。
結論から言うと「怪しくはない」と断言できます。その理由について解説していきます。
国が運営する厚生労働省のサイトで会社が怪しくないかは確認できる!
人材サービスが怪しくないかどうかは、厚生労働省が運営するサイトで以下の手順で調べていけば簡単にわかります。ここでは試しに「東京みらいクルー」と呼ばれる上京支援サービスを運営する「株式会社キミノミライ」が信用できるかどうか「職業紹介許可番号の届け出」から調べています。
東京みらいクルーの運営会社であるキミノミライの公式サイトを見てみると、以下のように記されています。
人材紹介事業(有料職業紹介許可番号:13-ユ-308217)
株式会社キミノミライ公式サイト「事業概要」より
この番号は厚生労働省の検索システムで簡単に調べることができ、正式に人材会社として国に認められているかどうかはすぐにわかります。
参考リンク:人材サービス総合サイト – 職業紹介事業所検索・一覧
実際に調べてみると、以下のように正式に登録されている事業であることがわかりました。
このように検索すれば、少なからず「その会社が正式に国に人材サービスとして認められた企業か?」「企業側に正式に国に届けを出す法令遵守意識はあるか?」は見抜くことはできるのです。
ただし、利用者の満足行くサポートを行うかどうかは別
上記の調べ方はあくまで「人材紹介業を営む上で必要な手続き」の話であって、上京支援サービスが利用者の満足行くサービスを提供しているかどうかは別問題です。上京支援サービスが怪しいと感じている人が本当に知りたい情報も「上京支援サービスが本当に自分が満足できるサービスを提供してくれるのか?」という点だと思います。
結論から言いますと、上京支援サービスがすべての人に満足行くサービスを提供するというのは難しいです。
それには、上京支援サービスには以下のような問題もあるからです。
- 紹介してもらえる仕事の給料が平均相場よりも低め
- 選べる求人の業種/職種が狭い
- 正社員だけでなく、契約・派遣社員の求人も多め
- 提供される賃貸が良い物件かどうかが見極めにくく選択肢も狭い
- 住宅費が「無料」と紹介されても実際は家賃はかかることもある
上京支援サービスをお得だと思って使ってみても、実際には上記のようなデメリットが存在します。
まず第一に、紹介してもらえる給料が平均よりも低い傾向にあり、都内平均であれば未経験からでも月20万出る職場が多いのに対し、上京支援サービス経由ですと給料が月20万を下回る求人も少なくありません。選べる求人の職種/業種が少なく、お世辞にも将来性がある仕事が少ない点も不安要素です。正社員求人だけでなく、契約・派遣社員の求人も多めなので、安定性を重視したい人にとっては上京支援サービスは魅力的とは言いにくいでしょう。
また、上京支援サービスのメリットである「住まいを用意してもらえる」という点に関しても、用意してもらえる住まいが悪評の多い業者経由での賃貸紹介に限定されていたり、住宅費が「無料」と紹介されているにも関わらず実際には初期費用だけ無料で家賃は安くなかったりするなど、冷静に判断する必要があります。
これらのデメリットが気にならない人にとっては上京支援サービスは心強い味方になってくれるかもしれませんが、逆に少しでも気になるような方は、使うべきかどうかを冷静に見極めておいた方が将来の自分のためだと言えるでしょう。
上京支援サービスを怪しいと感じてしまう心理とは?
次に「上京支援サービスは怪しい…」と感じてしまう読者側の心理についてご紹介していきます。自分自身の不安や心理を確かめて言語化することは、より良い就職/転職を成功させるためには重要なことなので、自分の状態と照らし合わせて読んでおきましょう。
「損したくない」「騙されたくない」という感情が強い
上京支援サービスを怪しいと感じてしまう心理に「損したくない」「騙されたくない」という感情が邪魔してしまうというものが考えられます。上京支援サービスを利用して、自分が望まない仕事に就いたり物件に暮らすというリスクは、いくら調べたところで消すことはできません。人によっては、下手に上京支援サービスを使って暮らしを変えるよりは、今の環境を維持した方がマシなことだってあるでしょう。
そう考えていくと、「たとえ、上京支援サービスを活用することで現状を変えるチャンスを得るよりも、何もしないで損しない選択をする」という心理状態になるわけです。そうなると、どれだけ上京支援サービスが信頼できるという情報があっても、無意識に「現状を変える必要がない情報」を信じがちになります。
ですので、現状を整理した上で上京することで得られるものと失うものを洗い出し、冷静に自分自身の心理を見極めておくといいでしょう。以下の記事では「東京で働くことのメリット/デメリット」をご紹介していますので、上京するかどうか悩んでる方はご参考ください。
今まで積み上げてきたものをリセットするのが怖い
「今まで地方で頑張ってきたから上京してリセットするのが怖い」
「実家暮らしで色々な物を積み上げてきたのに全部捨ててしまうのが怖い」
こういった「今まで積み上げてきたものをリセットするようで怖い」という心理も、上京支援サービスを怪しいと疑ってしまう原因かもしれません。
このような、今までかけた時間やお金を無駄にしたくない一心で決断ができなくなる状態を心理学用語では「サンクコスト効果」と呼びます。この状態になると、過去に引きづられて新しい環境に飛び込んだり、今まで惰性で続けてきたことを切り離すことが難しくなるため注意が必要です。自分がこの「サンクコスト効果」に引っ張られていないかどうか、見直してみるといいでしょう。
会社の良し悪しや他人を信用するための判断能力が未成熟
会社の良し悪しであったり、他人を信用するべきかどうかの判断基準が未成熟であることも、上京支援サービスを怪しいと感じてしまう一因かもしれません。上京支援サービスの利用を検討される方は20代の若者も多いでしょうが、20代でビジネスにおいて相手が信用できるかどうかを見極めることは、非常に難しいことです。
そのため、他人の口コミや評判を見て信用できるかどうかを判断している人もいるでしょうが、それもあくまで「判断材料の一つ」でしかなく、冒頭で紹介したような「有料職業紹介許可番号を検索する」といったような方法なども合わせて活用するべきです。
ただ、上京支援サービスを活用して仕事や住まいを選ぶということは、人生における重要な決定になることは間違いないので、様々な情報を集めて比較してみたり、信用できる担当者と出会えるまで多くの転職支援サービスを活用するなどして、自分が納得できるまで情報集めや相談に集中してみるのもいいでしょう。
まとめ:上京支援サービスは怪しくないが利用は慎重に検討するべき
今回ご紹介しました通り、上京支援サービスは真っ当な手続きを行った上で運営されている会社がほとんどで怪しいわけではありませんが、読者の置かれた状況や要望に合わせて満足行くサービスを提供してくれるかどうかは別問題です。
ですので、まずは読者自身が自分の心理状態から上京支援サービスに求めているものを整理した上で、自分に合った使い方を考えていくことが大事になります。
文中でもご紹介しています通り、上京支援サービスは「何が何でも上京したい!仕事内容や住まいはなんでもいい!」という人にとっては理想のサービスかもしれませんが、現実問題、多くの方は仕事内容や住まいもしっかり選びたいと感じているはずです。
そういった方にとっては、上京支援サービスは向いていないかもしれませんので、少しでも「怪しい…」と感じているのであれば、他の就職/転職支援サービスも活用しながら、住まいも自分自身で見つけ出す方が、結果的により良い人生の選択肢になるはずです。
上京支援サービスと同時に転職エージェントの利用の検討もしておく
今回ご紹介したように、上京支援サービスは不動産・仕事探し双方の負担をしてくれる代わりに、物件も求人の質も落ちてしまうというデメリットがあります。
ですので、引っ越し資金の用意や、不動産選び・求人選びの時間がある方なら、転職エージェントを使ってキャリアアップ転職を狙った方が年収アップも見込みやすくなります。
また、最近では多くの転職サービスがオンライン面談可能となっており、企業側もオンライン面接を行うことも増えたため、地方にいながら転職活動が進めやすいです。
上京支援サービスが悪いというわけではありませんが、収入アップや好きな賃貸選びという点では、どうしても上京支援サービスは制限が多くなってしまうため、仕事も賃貸も自由に選びたいと考えている方は、まずは転職エージェントに登録して都内の求人を紹介してもらうところから始めておくと間違いないでしょう。