「トランプが交渉上手」という言葉をうのみにしている人間が頭悪すぎるという問題

最近、ネット世論でちらほら見かけるのが「トランプが交渉上手」という発言ですが、あんなもんが本気で交渉上手だと思っている人間がいるなら、世も末です。

流石に「お前ら、本当に社会経験あんの?」と疑いたくなるほど、稚拙な言動だと感じて頭が痛いので、元ニートでもちょっと考えれば見えてくる程度の、トランプの立場上の戦略を説明しておきます。

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反原則立脚型交渉術は「悪手」でしかない

ドナルド・トランプの交渉手法は「原則立脚型交渉術」の真逆を行くものです。

関連:反ハーバード流交渉術を駆使するトランプ  WEDGE Infinity(ウェッジ)

(この手法の最大目的は、明らかに対中国向けのサイバー・経済戦争に対する抑止力。常識的に考えて「知財パクリ+経済成長」している中国を危険視しないわけがありません。…という事情で考えれば、アメリカにとって中国がどれだけ驚異かはおわかりいただけるかと思います)

で、基本的には交渉と言いますか、世のすべての対話は「原則立脚型交渉術」で行ったほうが、両者に遺恨を残さずに上手く行くに決まってます。

原則立脚型については以下の書籍が参考になります

強者側なら交渉もクソもなく「従わせればいい」だけ

そもそも、私はドナルド・トランプのあの手法を「交渉」などとは微塵も思っていません。

(最初から落とし所がほぼ決まっているのですから、ただの一方的な「誘導尋問」「利益誘導」です)

より、わかりやすく考えてみましょう。

権力者がいきなり「明日から増税な」だとか「お前はこれをしろ!否定する権利はない!」などと命令されて嫌々要求を飲まされれば、遺恨・怨恨を抱えるのは誰もが理解できるはずです。

(ハラスメントの手法とまったく同じです。好き好んでハラスメントされたい人が果たしているでしょうか?)

いつの時代もお役所・権力者側の一方的な決定は、えてして弱者の不満を生み出すことになります。

それに抵抗するのであれば、抗議デモ・武力行使するしかないので、実質「YES・NO」の二択しか提示していないわけです。

さらにわかりやすく言いましょうか。

相手に要求飲ませるのなんて、銃口やナイフ突きつけて「従わなければ殺す」という手法が、もっとも効果的でなおかつ最悪の方法なのです。

これが国家間での交渉であれば「戦争しかけるぞ」に置き換えればわかりやすいでしょう。

…が、バカじゃなけりゃそんな下品で最低最悪の手段はとりません。

現実はもっと陰湿です。

第二次世界大戦時の我が国の経緯を見ればわかりますが「相手が戦争しかけるまで得ない状況に追い込んだ上で、相手側に先に攻撃させる」というのが、戦略上有効な手段です。

(現実の口喧嘩で、証人がいる前で先に相手に殴らせた上で、警察呼ぶのと一緒。証人とつるんでおけば、暴行罪で吊るし上げられます)

あとは「大義名分」の名の下「敵国が攻撃を仕掛けてきた、潰すぞ」などと言って国民を煽り、大局的に見てほぼ勝ち確定の詰み将棋を進めていくだけでいいのですから。

…で、ドナルド・トランプの戦略もそれと似たようなもので「こちらの思う通りに従わなければ、そのうち戦争になるぞ?」と、誘導尋問的に相手に要求飲ませているだけです。

そんなもん、経済力・武力最強の国家であるアメリカが行えば、交渉も対話もクソもあったもんじゃありません。

相手は「飲むしかない」のです。

そして、アメリカも「譲歩してやっている」というパフォーマンスで、対話の席を設けます。

それは相手国側もわかっているでしょうから、内心で「アメリカのクソ野郎!」と渋々付き合っているだけなのです。

「権力で従わせればいい」というハラスメントの心理

ここまでお読みで察しのいい方は「それってハラスメントと同じ原理じゃ…?」と感じているのではないでしょうか。

そうです。紛れもなくハラスメントの手法です。

(モラハラ・クラッシャー上司のモデルケースに一番近いかと思います)

トランプの交渉先述は、傍から見れば「会社のパワハラ上司に従い、何の権限も影響力も持たない部下が、嫌々仕事上の打算で飲み会や接待ゴルフに付き合っているだけ」のようなもので、見ていて茶番以外の何物でもありません。

もっとわかりやすくたとえましょう。

モラハラ上司が、明らかに自分に手を負えない業務量の仕事やノルマを振ってきてこちらを痛めつけた後に、途端に笑顔で「君にはあの仕事はまだ無理そうだ、こっちの仕事をやってくれ!」などとカンタンな仕事を押しつけ、その後ほめて懐柔するようなものです。(DV夫も似たような手法を使います)

そんなもの「交渉」でなく「一方的な洗脳」「懐柔」で、従う側には何の主体性も要求も主張もありません。

そういった相手は「仲間」「ビジネスパートナー」でなく、自分にとって都合のいい相手…つまり「奴隷」です。

交渉というのは「相手側の言うとおりにはしない。ただし、相手側に従わないわけでもない」という心理状態になって、初めて成立するのです。

少なからず、世の物事を「敵か味方か?」「白か黒か?」「従うか従わない?」の二元論でしか考えていない人間には、構造的に「交渉など無理」なのです。

「敵or味方」でしか物事を考えてはいけない

最近、どうもネット世論を見ていると、トランプの自己愛性のキャラ演出に触発されてか「敵or味方」という狭い視野でしか物事を考えていないような人間ばかりが増えているように感じております。

ですので、今回「トランプが交渉上手!」と言っている浅はかな人間に対するアンチテーゼとして、原則立脚型交渉術の基本の考え方を記しました。

そもそも、日本人の大多数は「アメリカみたいな強者ではなく、誰かに従わざるを得ない”弱者”」ですので、原理的にトランプの交渉術は使えません。

仮に使えるとすれば、自分よりも弱い者相手限定となり、そうなると「ハラスメント」「いじめ」にしかなりません。

なぜなら「こちらの思った通りに動かなければ、話は破断だ」なのですから、交渉もクソもあったもんではありません。

本人がどう考えていようが、それは「一方的な要求の押しつけ」です、

「自分がいじめられたから…」という動機で成功した人間が、今度は誰かをいじめる側になる構図は普遍的ではあります。

日本の組織構図自体が、そういう「理不尽ないじめにも耐えて、今度は部下をいじめろ」という感じになっているので、それ自体はある程度は仕方ないと思ってます。

ですが「何かを変えてやる!」だとか「イノベーション!」だとか、そういう夢を語ってる奴が復讐・コンプレックス・嫉妬だけを原動力にして前に進み続けると、今度はそういう「自分も、自分が嫌った人間と同じではないか…」という壁に必ずぶち当たります。

そこから抜け出して、さらに先に行くには、その程度で満足していては「底が知れる」のです。

少なからず、まだまだ未成熟さの残るWEB・IT業界では、そこまで大局的に物事を考えて発言していると感じる人物は、私の知る限りでは存在しません。

(考えていても、当たり前すぎて、口に出さない人の方が大多数なんでしょうけど)

「これからはWEB・IT業界の時代だ!」なんて言ってみても、その担い手が精神的に未熟で、なおかつ小さな業界の中で粋がっているだけでは、もっと上の立場の人間には勝てません。

少なからず、ドナルド・トランプのような反原則立脚型交渉術が有効な相手は「自分よりも弱い人間相手のみ」だと、ゆめゆめ心得ておきたいものです。

参考文献

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