「郵便局に勤めているけど将来性が不安…」
「日本郵政グループに就職や転職したいけど長く続けられるか不安…」
「郵便局や日本郵政グループ企業の離職率が知りたい…」
このようにお悩みではありませんか?
離職率は企業単位では正確なデータは得にくいものですが「就職四季報」などの経済誌を参考にしたり、厚生労働省が発表している雇用統計情報を参照すれば、おおよその値は推定できます。ですので、本記事では上記の情報をもとに郵便局、また郵便局の親会社となる日本郵政グループ内の各企業の離職率を推定して記載しております。
読者にとってもう一つ気になる情報が「郵便局(日本郵政グループ)の将来性」についてだと思いますが、会社の将来性を正確に予想するのは投資家であっても難しいことです。しかし、日本郵政グループの民営化の経緯や経営状況・財源なども踏まえると、企業の運営基盤が見えてきて将来性についても評価しやすくなります。
ただ、ここで一点注意しておきたいことが「会社の将来性の安定自体が、必ずしも働く者の将来の安全を保証するわけではない」ということです。昨今、有名大手企業でも大規模リストラが行われニュースになるような時代です。これを裏を返せば「社員の将来を犠牲にすることで、企業の将来性を確保している」と読み取ることもできます。
以上のような前提も踏まえ、本記事では郵便局(会社名としては「日本郵便」)、またその親元資本となる日本郵政グループの将来性や離職率について、業界・企業分析をしながら解説していきます。
また、既に郵便局や日本郵政グループ関連企業に在職中で辞めるべきかどうかを悩んでいる方に向けては、以下の記事でも判断ポイントをご紹介していますため、こちらも合わせて参考にしていただければ幸いです。
郵便局(日本郵便、日本郵政グループ)の離職率は?
郵便局とその運営会社となる日本郵便、また日本郵便の親会社グループとなる日本郵政、日本郵政内のグループ企業となるゆうちょ銀行、かんぽ生命保険などの離職率に加え、運輸・郵送業全体の離職率をご紹介していきます。
結論だけで言えば、郵便局(日本郵便)の入社3年後の離職率は23.9%(※就職四季報2019年版)、運輸・郵便業の就職3年内の離職率は25.0~32.8%(※令和4年発表、郵便局以外の事業も含む)となります。前者は「入社後3年以上」という前提条件つきで早期離職者が含まれていない点、非正規雇用も含むかどうかが不明な点に注意です。後者は、就職3年以内の退職者を学歴別に対象とした集計結果となりますが「運輸・郵便業」と郵便局以外の会社も含むため、郵便局のみの離職率を測定できる結果でない点に注意です。
以上の離職率から見積もるなら、郵便局の離職率は在職期間問わず23~25%近くの水準、高卒生なら32.7%(平成31年)がおおよその平均だと言えるでしょう。ただこの数値は、年毎に大幅に推移することもあることや、雇用形態の差などは考慮されていないことなど細かい条件や要因までは絞れないため、実際の郵便局や日本郵便の離職者数と乖離があるかもしれない点は、強調してお伝えしておきます。
郵便局の3年以内の離職率は25%前後
厚生労働省のデータによると運輸・郵便業の就職3年内の離職率は25%前後という結果が出ています。
運輸業には他の配送業者も含みますので、ブラックな職場が多いことで有名な郵便局の3年内の離職率はもう少し上になると見ていいでしょう。
【運輸・郵便業の3年以内の離職率※大卒対象】
平成28年(就職1年目)…8.9%
平成27年(就職2年目)…9%(計17.9%)
平成26年(就職3年目)…8.9%(計26.8%)出典:
新規学卒者の離職状況 |厚生労働省
新規学卒就職者の離職状況(平成26年3月卒業者の状況)を公表します|厚生労働省
日本郵便の3年目以降の離職率は23.9%
日本郵政グループでは、3年後に15%前後の離職者が出ており、日本郵便(一般の郵便局員)にいたっては23.9%が離職しています。
前述の3年以内の離職率と合わせると、実に50%以上の人が日本郵便(ゆうパック)を辞めており、いかに定着率の低い企業であるかがわかりますね。
日本郵便の従業員は約19万5千人ほどですが、その中の約46605人は辞めている計算になり、離職率の高い会社であることがわかってきますね。
・日本郵政グループ会社の3年後離職率
日本郵政…15.0% 従業員数約2700人
日本郵便(ゆうパック)…23.9% 従業員数約19万5000人
ゆうちょ銀行…14.6% 従業員数約1万3000人
かんぽ生命保険…9.1% 従業員数約7400人
郵便局(日本郵政)の将来性は?
日本郵政の将来性はハッキリ言って、かなり低いです。
日本郵政の将来性が低い理由
- ゆうちょの収益源である「銀行・保険」自体が民間企業ですら苦しい状況が続いている(地銀、各保険業など)
- お役所体質の抜けきっていない日本郵政は、根本的にビジネスに対する感覚が欠けている元公務員が上層部にいる
- 郵便自体がIT化により非効率かつ価値のないものになりつつある
- ブラック企業としてネット上で有名になりすぎて、人手不足が増々深刻に
そもそも、日本郵政とは郵政民営化で切り捨てられた組織が、ただ延命処置を施されているだけのような会社で、政権との癒着による既得権益やブラックで理不尽な労働環境でも耐えて働いている人がいるため、なんとか持っているようなものです。
また2017年3月期の決算では、郵政民営化以降初の赤字となり、これからの経営方針を問われることとなります。
日本郵政の中で平均年収が高いのは一部の人間だけ
日本郵便グループの平均年収を見てみると600万円以上(40歳付近の場合)と、一見高めの数字です。
しかし注目してほしいのが、従業員数が圧倒的に多い日本郵便(ゆうパック)の従業員の平均年収が公開されていないというところですね。
日本郵政/769万円(43.3歳)
日本郵便(ゆうパック)/未回答
かんぽ生命保険/636万円(38.6歳)
ゆうちょ銀行/655万円(42.5歳)出典:
就職四季報 総合版 2019年版
会社四季報 業界地図 2018年版
この数字が意味するところは、2007年の郵政民営化前の高齢層や本社勤めの平均年収が高いにも関わらず、若年層や郵便局窓口で働く人は年収が低いという都合の悪い事実を隠したいという日本郵政側の意図があると見てもいいでしょう。
つまり、都合のいい数字しか開示していないということですね。
事実、日本郵便の離職率は非常に高く、常に人手不足で郵便局員の求人が出回っている事態が起こっています。
従業員の利益還元率が低い
日本郵政は、配送業者としては宅配便数取扱3位ですが、営業利益は他の配送業者の数十倍以上です。これはBtoB(会社間での取引)では、依然として郵便局の市場シェアが強いことがひとつの理由でしょう。また、ハガキや書類の郵送に関しては、日本郵便の独占市場状態であることも理由です。
日本郵便は、配送業者としてはかなりの利益を出している会社である事実を忘れてはいけません。その事実を踏まえた上で、よく配送業大手3社の業績を見比べてみましょう。
・配送業者大手3社の業績比較
1位:ヤマト運輸
取扱個数:18億6756万個
営業利益:1兆1795億円
純利益:87億円2位:佐川急便
取扱個数:12億1821万個
営業利益:7552億円
純利益:231億円3位:日本郵便
取扱個数:6億3242万個
営業利益:3兆7589億円
純利益:3852億円出典:会社四季報 業界地図 2018年版
このデータを見ると、日本郵便は配送業者として莫大な利益を上げている割になぜか従業員の待遇を下げているという事実が見えてきますね。
つまり、配送業の現場で働く非正規雇用で使いつぶすことで人件費を下げ、利益を上げているわけです。
本社勤め(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)の平均年収が高く、その一方で日本郵便の平均年収は未公開であるところから見ても、日本郵政の搾取構造の強い組織体質が見てきますね。
ヤマトや佐川はきつい仕事である分、社員のインセンティブ(成果報酬)が高いことで知られており、従業員への利益還元がしっかりされています。
大手2社の純利益の低さは、裏を返せば「しっかりと従業員や顧客に価値を還元している」とも言えるわけですね。
一方で郵政グループはどうでしょうか。
莫大な純利益が出ているにも関わらず、従業員への還元は低く、その上で配送業としても利用者からの評価はよくありません。
日本郵政がいかに従業員や顧客を大事にしていない会社かがわかってくることでしょう。
自爆営業・理不尽なノルマは当たり前
郵便局がブラックな職場として話題になっているのが「理不尽過ぎるノルマ」と、それに寄る「自爆営業」。
「年賀状1万枚売れ!」なんていうのは序の口で、ネット上では「高齢者への保険の押し売り」「社員の保険加入強制(無言の圧力)」など、ノルマ達成のために自腹を切って自社商材買いを強制させられ、ただでさえ低い給料が天引きされるなんてことも…。
ブラック企業としての認知も高まり、人手不足の懸念も
日本郵便は2016年ブラック企業大賞にて特別賞を受賞し、ネット上でもブラック企業としてまことしやかに有名です。
●特別賞:日本郵便株式会社
貴社は2011年12月心疾患で亡くなった男性従業員に対し、生前パワハラを行い、鬱病を悪化させた。また近年、貴社が運営する郵便局で従業員の自殺が相次ぎ、いずれも遺族はパワハラが原因と指摘している。貴社で起きる事件で、これほど「パワハラ」という言葉が聞かれるのは、異常な事態といえる。
そもそも貴社は、年賀状などの販売で一人数千枚、一万枚など理不尽なノルマを課し、その結果従業員が高額の自腹購入を強いられていると度々報じられている。貴社は「強制ではない」などと否定するが、多くの不満の声が上がっていることは事実
ネット上の評判はともかく、地方郵便局の運営の負担など会社全体での課題も多い上に、国内の若手不足や非正規雇用問題なども重なり、元公共事業である日本郵政の運営が今後増々厳しくなるのは容易に想像できます。
賃下げ・待遇低下で従業員の将来性には不安が残るばかり
日本郵政グループの将来性に不安が残る証拠に「同一労働同一賃金」で、まさかの正社員待遇下げを強行したことでしょう。
日本郵政グループが、正社員のうち約5千人の住居手当を今年10月に廃止することがわかった。この手当は正社員にだけ支給されていて、非正社員との待遇格差が縮まることになる。「同一労働同一賃金」を目指す動きは広がりつつあるが、正社員の待遇を下げて格差の是正を図るのは異例だ。
出典:https://www.asahi.com/articles/ASL4C3SMJL4CULFA00B.html
「配送・金融・保険」業者として生き残れるかが鍵
日本郵政グループの将来性を考える上で、注目したい要素が「営利企業としての事業内容将来性や発展性があるか?」ということですね。
日本郵政グループは主要な事業として「日本郵便(配送業)」「ゆうちょ銀行(金融業)」「かんぽ生命保険(保険業)」の3事業を中心として運営されております。
少し経済や社会情勢に詳しい方ならお気づきでしょうが、どれもブラックな業界として有名な業種ばかりですね。
配送業…ネット通販の市場規模増加で、大手配送会社はブラックとして有名。ただし、事業拡大や他者との業務提携などで改善策も行っている上に、従業員の給料への還元もしている。
金融業…フィンテック・ブロックチェーンなどの金融革命により、大手銀行はすでに従業員削減の方針を発表している。
保険業…営業が厳しいことで有名。ノルマもキツイ。2016年以降、マイナス金利や少子高齢化に伴い市場縮小傾向。
以上のように、IT化や経済の影響を受けて、どの業界も将来性が危ぶまれている業界ばかりです。
このようなブラックな業界の多い事業の中で、元公共事業である日本郵政グループは、民間企業である競合他社と生き残り競争を強いられていることになるわけです。
お役所体質・政権との癒着が生命線
そもそも、日本郵政グループがブラックな企業として有名になりながらも生き残っているのは、郵政庁時代(公務員時代)の既得権益があるおかげです。
2007年の「郵政民営化」による民間企業化以降、日本郵政グループは「ゆっくり衰退していってる」と考えるべきなのです。
そして、未だに日本郵政は政府や国依存の経営体制から抜け出せていません。
その証拠に、未だに日本郵政の筆頭株主が政府であり、保有率も未だに56%超であり、まだまだお役所体質の強い会社だと言えますね。(2017年9月30日地点)
画像出典:株式基本情報‐日本郵政
郵便事業自体がなくなることはないでしょうが、この先IT化や少子高齢化に伴い、元公共事業である日本郵政がドンドン苦境に立たされることは目に見えています。
日本郵便からの転職を決断するなら早いうちに
以上のように、日本郵政グループ関連事業はこれまでの歴史や社会状況と照らし合わせて見ても、将来性もあまり高くなく、ブラック企業として有名になるぐらいに待遇も悪く離職率も高い。
既得権益が強すぎてまだまだ当分は経営出来るでしょうが、ブラックな職場と非正規社員によってなんとか経営が保たれている事情を考えると、将来に不安のある方は早めに転職を考えておくのが無難でしょう。
キャリアについて悩んでいるなら転職サービスでプロに相談する
仮に読者が「郵便局を辞めたい」、または「郵便局で働くべきか迷っている」など、キャリアについて悩んでいるのであれば、各転職サービスでプロに相談しておくことを強く推奨いたします。
今回紹介したような、データから会社の将来性を分析したり、自分の経歴で紹介してもらえる求人から期待できる待遇や年収を知っておくことで「本当に今の会社で働くべきか?それともリスクを負ってでも転職するべきか?」の冷静な判断ができるようになるからです。