「転職活動をするなら知っておきたいことの記事」にも書きましたが、転職活動では自己啓発も非常に大事です。
関連:転職活動の前に知っておくべきことまとめ。市場・トレンド・メンタルを意識しておこう
あらかじめ言っておきますが、私は自己啓発の類は嫌いです。
厳密には「自分は自己啓発本を読んで成長している!」みたいに、いちいち口に出してアピーつする人が大ッ嫌いです。
そもそもが、自己の成長を目的とする自己啓発を「自分は成長している!」とアピールすること自体が、すでに目的と手段を履き違えているわけですから。
俗に言う「意識高い系」のせいで、偏見交じりに見られているのが自己啓発なのではないでしょうか。
そんな私情はとりあえず切り分けて、自己啓発について考えていきます。
自己啓発を方法論的に分析していくと「まあ、確かにターゲッティングが的確な読者に読んでもらえば、役に立つな」と思う面もありますし、人によっては読んでおくだけ視野が広がる良著もあります。
とくに社会経験や成功体験に乏しい20代のうちであれば、読んでおくだけで価値観や考え方が広がりますので(=実生活で役に立つわけではない)、その辺の効果も踏まえてご紹介していきます。
※管理人の読書ペースが亀なので(途中で飽きたら投げる)、随時読んだ本だけ追加していきます。
※当記事ではセールする気がないので、偏見まみれの見解を書いております。
自己啓発がなぜ必要なのか?
まず「なぜ、自己啓発が必要なのか?」という目的からハッキリとさせていきます。
基本的に、人間物質的に豊かになると、今度は精神的な幸せを求めます。
で、生活水準が満たされている現代人は「自分は何のために生きているんだ?」と無駄なことを考え出します。
哲学者が金持ち知的階級(ていうか実質ニート)だらけな事情からしても、それはわかりやすいでしょう。
ここらへんの文化的・社会的背景の話をすると「マズローの欲求段階説」あたりが、一番わかりやすいです。
参考リンク:自己実現理論|Wikipedia
で、その辺の「自分は何のために生きている=人間は成長するために生きている」という価値観や考え方を補強するためのツールが「自己啓発」なわけです。
そう考えると、ある意味で「自分がどう成長していくかの計画=キャリア」とも重なる部分があるので、転職活動のみならず、仕事をする上で大事な要素になってくるわけです。
もっとわかりやすく言うなら「自己啓発=成長するための考え方」とも言えます。
…ま、私みたいな成長の止まったニート人間からすれば、いいリハビリになるのが「自己啓発」なわけです。
自己啓発本の定義
よく自己啓発本としてベストセラーなどが挙げられていることからもわかる通り「自己啓発」それ自体がジャンルと化しています。
…が、本来、あらゆる本は「人の成長を促すために書かれているもの」ですので(そうじゃないゴミ著書も腐るほどあるけど)、あらゆる本や文章が自己啓発だとも言えます。
少なからず、読者がなにかの目的達成や問題解決のために読むのであれば、間違いなく自己啓発本として読むことになるのです。
よく「成功者に会うと人生変わる」などと言いますが、成功者と話して意識が高まるのも、広義で言えば「自己啓発」と言えます。
…まあ、何にせよどんなクソみたいな本からも気づきを得られる人は得られますし、逆にダメな奴はベストセラー本何百冊読んでも何にも気づけないまま、人生を終えます。
私がこんなクソサイトを運営している理由もそれと同じことで「読者次第で毒にも薬にもなる」としか考えていないからです。
自己啓発本の究極的な定義とは「読者が何らかの目的意識を持って読むか否か?」という、読者側の意識によって変わるのです。
この辺、私が「転職では資格は意味がない」「転職では学歴は意味がない」と書いているのと似たような性質があります。
要は「目的のない学びや勉強はクソ」だと言っているわけです。
ですので、私は「自己啓発本を読む目的」をより明確にしていく方向に舵をとります。
自己啓発本の使い方
…が、自己啓発本に関しては面白いことに「とくに目的もない状態で読んだほうが、色々な気づきが得られる」という性質を持ちます。
ですので、自己啓発本のオススメの読み方として「真面目に読まない」ことが大事です。
なぜなら、自己啓発本は実用書としては大して役に立たないからです。
たとえば「読むだけで心が軽くなる本」なんて大マジに読んで実践してみても、書いている通りになるわけがありません。プラモデルの説明書じゃねーんだぞ。
そして私が大嫌いなのが「自己啓発本読んで感動したので、自分も同じような言葉を使おう!」と宗教信者みたいなことをやっている輩です。
ま、中身のない学生が大手人材会社の面接アピール方法読んで「自分はコミュニケーション能力のある人材です!」とか言って落とされますけど、それと同じですね。
当サイトに訪れるような聡明な読者には、そのような薄っぺらい人種にはなって欲しくないので、なるべく「自己啓発の使い方そのもの」について気づいてもらえるように、ご紹介していきます。
オススメの自己啓発・ビジネス本
私が紹介するのは、古典と化しつつあるベストセラー本ばかりです。
色んな自己啓発・ビジネス本読んでると「原典=元ネタは一緒」だとわかってくるので、ロングセラー本だけ読んでおけば、重要なことはだいたい理解できます。
あと、当たり前のことですが、ちゃんと私自身が読んで価値があると思った本だけ紹介しております。
大して内容理解していない小学生の読書感想文レベルのクソレビューもあふれいるので、それに対する警告や批判の意味も込めています。
「ネガティブ→ポジティブ」意識改革用の自己啓発本
自己啓発本の中でもとりわけ人気なのが「ネガティブからポジティブへの意識改革」用の洗脳じみたコトが書かれているタイプです。
まあ、ちまたで自己啓発がオススメされているのも「ネガティブな自分から生まれ変わったよ!」的なアピールをしたい人が多いことが一因だと言えます。
このタイプの本は、仕事や人生でネガティブになった時に、新しい発見や前向き志向になれる気づきが散りばめられているので、一読しておく価値はあります(知っているか知っていないかでは、考え方の柔軟性が変わってくる)。
とくに、色々こじらせて仕事自体に悲観的になっている「既卒・第二新卒・フリーター・ニート」層あたりは、一読しておく価値アリです。読んでおくだけで、だいぶ視野が広がります。
私は何も「お前ら全員、ポジティブになれ!」と言いたいのではありません。
基本的に、仕事や転職活動では「ネガティブ人材」は必要とされにくいので、このタイプの自己啓発本を読んで、考え方を広げておいた方が得しやすいと気づいて欲しいのです。
仕事は楽しいかね?/デイル・ドーテン
「仕 事 は 楽 し い か ね ? w w w」
社畜の皆さん、今日も一日クソつまんねえお勤めご苦労さまです。
出世も昇給も見込めない、陰気くせえ日本の労働環境で奴隷のごとく働くことに、いい加減うんざりしていませんか?
こんなご時世ですから「仕事なんて楽しくねえよ」と思っている方が大勢いらっしゃることでしょう。
この「仕事は楽しいかね?」は、そんなどこにでもいそうな仕事に行き詰まりを感じているサラリーマン目線で話が進みます。
「まだ東京で消耗してるの?」と煽られて顔真っ赤にしちゃうような方は、一度読んでみる価値ありです。
ま、日本では「失われた20年」だとか「先が見えない」だとか言われてますが、この本を読めば、ずっと昔から「先が見えない」と悩んでいた人がたくさんいたということがわかります。
「先が見えなくてつらいのは、お前だけじゃないんだ」
実は先が見えないのではなく、ただ「先を見ていない」だけなのです。
このサイトの掲げるテーマ「少し視点を変えるだけ」で、見えてくるものは変わるのです
おもしろきこともなき世をおもしろく
すみなしものは心なりけりby 高杉晋作 辞世の句
曇りなき 心の月を 先だてて
浮世の闇を 照してぞ行くby 伊達政宗 辞世の句
人を動かす/D・カーネギー
「他人が自分の思い通りに動けばいいのに…」
そう考える人は多いことでしょう。
とくに高度に文明の発達した現代社会では、不確定要素のカタマリである人間こそ、仕事における最大のストレスの原因です。
事実、世の中は「機械のような完璧な仕事が出来る人間」を求めます。
関連:機械のような性格の私が感情と人間性を取り戻した結果…【AIと化した私から人間への挑戦状】
しかし、人間は一時の感情やその時の気分で言動なんてコロコロ変わりますし、怪我もすれば病気もする。ましてや失敗しないのなんてありえないし、期待を裏切られることだって何度もある。
そんな当たり前のことに気づかせてくれ、ビジネスにおける円滑なコミュニケーション方法の気づきを得られるのが「人を動かす」です。
特筆すべき点が、元はラジオドラマということもあり、ドラマ仕立てで読みやすい・わかりやすい内容になっているという点ですね。
また、章ごとに話が区切られているため、隙間時間にコツコツ読んでいくも可能。
20代であれば上記の「仕事は楽しいかね?」と「人を動かす」の2冊だけでも読んでおくと、色々な発見があるはずです。…ていうか、この2冊だけ読んでおけば、仕事に対するネガティブな感情はほぼ払拭できます。
どちらも、「Amazon Kindle Unlimited」で初月無料(翌月以降月額\980)で読み放題なので、もったいぶらず読んでください。2chに入り浸って毎日「社会はクソ」「仕事がクソ」と言う文章読んでるよりも、だいぶ建設的です。
アイカツ!
本ではありませんが、私にとっての最強の自己啓発はアニメ「アイカツ!」です。
冗談抜きで、アイカツ見てなかったら今も仕事なんか絶対したくないニートのままだったレベルで、人生を変えられました。
第6話で「そんな複雑なサイン書くのに時間かかり過ぎるんじゃない?」と指摘されたところ「じゃあ、今の数倍の速度で書けるように特訓すればいいじゃない!」と星宮が言い放つあたりで、完全にヤられました。
アイカツの何が私に一番感銘を受けたかというと「目の前に困難な道と楽な道があったなら、迷わず困難な道を選ぶ」という挑戦心です。
そして、その「困難な道」とは実は「チャンス」だということも。
※たかがアニメごときからも気づきが得られない人間であれば、高尚な本を読んでも気づきは得られないという皮肉も込めて、あえて女児アニメを自己啓発として挙げておきます。
キレイゴトをねじ伏せるビジネス本
ポジティブ系の自己啓発は、物事に前向きに取りかかるための精神論としては有効な反面、現実の複雑な問題には通用しないという欠点があります。
すべての物事が笑顔でポジティブな対話だけで解決するのであれば、世界はもっと平和で幸せなはずです。
ですので、私はあえて自己啓発本のアンチテーゼとして、実用的かつ打算的なビジネス本や古典も自己啓発本のくくりに含めて、ご紹介いたします。
※「君主論」「韓非子」あたりの超有名な古典は、ちゃんと研究してないので紹介してません。
孫子の兵法
まず、確実に抑えておきたいのが「孫子の兵法」です。
個人的に「自己啓発本やビジネス本って、孫子の兵法が元ネタなんじゃ…?」と思うこともあるぐらい、超古典です。
たとえば「引き寄せの法則」も、孫子の兵法に書いていることをスピリチュアル言語に訳しているだけです(「将来の自分の設定が明確でなければ、自発的に行動できない」という意味で…)。
また、国内のマネジメント論や組織運営論の多くも、孫子が元ネタと思わせる記述をたくさん見受けます。
武田信玄も孫子を参考にしまくってますし、その武田のやり方を研究し尽くして盤石な幕府を気づいたのが家康です。で、その江戸幕府流の人事マネジメントを行っているのが、今の日本です。
なので、孫子の兵法を研究しておけば「戦略としてのビジネス」が自然とわかる寸法になっております。
…まあ、ここまで考えている人は全体の比率では少ないんだろうけど。
孫子の兵法は原典を読むのもいいですが、解釈本を参考にしてから入門するのがいいかもしれません。で、気に入ったら原典を読むという方法がオススメです。
私自身、原文・現代語訳の方はスローペースで、自分でアレコレ意味を吟味しながら読んでます。
原文・現代語訳両方読めると言えば、岩波文庫が一番でしょう(読みにくいですが、一番原典に近しいとも言えます)。
『知恵袋』『心頭語』『慧語』/森鴎外
個人的にあまり他人に薦めずに自分だけが知っておきたいという類の良著が、森鴎外編集の「智恵袋・心頭語・慧語」三冊の処世術に関する本です。
元ネタは18世紀ドイツの作家アドルフ・フォン・クニッゲの「交際法」で、それを森鴎外が再編集した形になります(当時は匿名での執筆だったという経緯もあり)。
森鴎外は作家として有名ですが、典型的なエリート街道を歩んだ軍医としてのキャリアも持ちます。
そのようなキャリアを持つ森鴎外ですから、嫉妬心や権力争いなど複雑な対人関係に頭を悩ませたことは想像に難くありません。
その森鴎外が、実体験の中から得た知恵なのですから、その説得力足るや、凡百の自己啓発書なんかよりもよほど上です。
この本の面白いところは、マナーや人付き合いもすべて「経験則的な打算」で書いており、したたかな処世術としての気づきが得られるところです。
以下の文庫本では「原文・現代語訳・元ネタとの比較・本著の生まれた経緯の解説」がまとめられており、一冊でそのルーツまでもがわかるのでかなりオススメです。
タルムード/ユダヤ経典
世界中のエリート階級がほくそ笑んで読んでいるであろう、悪魔の書が「タルムード」です。
「ビジネスとは何か?」を手っ取り早く理解するために、読んでおきたい。
笑えるのが「肉は異教徒に高く売りつけろ!」「異教徒には高利で金を貸せ!」など、エゲツねえ教えが書かれた経典だということですね。
孫子の兵法に書いている「敵を知れ」を実践するためには、タルムードを信奉する奴らのビジネス観を理解しておくことも重要です。
ちなみにタルムード原典に関しては、色々とアレな事情があるので、実質読むのは不可と考えておきましょう。
完全自殺マニュアル
私が厭世気分こじらせた時に読んでいるバイブルです。
「生きることは素晴らしい!」だとか「命を大事に!」だとか「ポジティブに生きよう!」とか、そういうしょーもねえキレイゴトにうんざりした時に読みたい本ですね。
読み方としては「へえ、人間ってこんな簡単に死ねるんだ…」程度の認識です。
なぜか有害図書指定されているのですが、まともな読解力があれば「自殺の方法を淡々と書き記し、あえて自殺しない選択肢を推奨する」という意図で書かれている本だとわかります。
ちなみに、本書で自殺のモデルケースとして紹介されている漫画家・山田花子氏の「生きることなんてどうせくだらない」は、私の大好きな言葉でもあります。
その他の自己啓発書・ビジネス本
道をひらく/松下幸之助
「経営の神様」と呼ばれるパナソニックの創業者、松下幸之助氏の著書です。
まあ、よくビジネス本ランキングでも上位に入る定番本なので、書いている内容は素晴らしいし、気づきも多いです。
…が、あえて批判的に書くなら「時代に合っていないな…」という感想です。
本書では全編に渡って「素直に」「謙虚に」「真剣に」などの仕事の心構えが書かれておりますが、今の時代「正直者はバカを見る」に寄り過ぎなので、参考にし過ぎるのも考えものです。
今の時代「お客様は神様」精神で働いていると、割を食いやすい時代になってますから。
まあ、私はこの手の成功者のキレイゴト集は「裏で汚い方法ややり方で成功した奴が、自戒を込めて書いている本」としてしか読んでいないので(本当に自分が当たり前にこなせていることなら、わざわざ文字にする必要がない)、そういう読み方で研究すると気づきがあると思います。
この本を読んでいる経営層は多いらしいですが、だとしたら色んな意味でヤバイと言うことにも気づかされますね(性善説・理想論ベース過ぎる)。
思考の整理学
文系出身者やクリエイターは全員読んでおけというレベルの良著です。
自己啓発本と言うかは微妙ですが「知識や思考の使い方」に関して、圧倒的気づきや知恵の得られる本です。
本著では「知のエディタシップ」という言葉が使われていますが、色々と本質を突いている深い洞察だと感じさせます。
まとめ:自己啓発は「前向きに行動するための方便」でしかない
以上、管理人が考える「自己啓発の使い方」について、まとめておきました。
やや勘のいい方はお気づきでしょうが、後半の方は「自己啓発アンチテーゼ」的な紹介の方が多めで、実質的に「自己啓発に頼りすぎるなよ」という意味合いの記事になってしまってます。
私の見解では「ポジティブ系自己啓発は、前向きに行動するためのきっかけにしかならない」と考えているので、ベストセラーの「仕事は楽しいかね」と「人を動かす」だけ読んでおけばいいと感じたからです。
どっちも「Amazon Kindle Unlimited(初月無料・翌月以降980円の読み放題プラン)」で読めるので「それ以外の著書読む必要ある?」みたいな感じです。その両著ですら「もういい、作者の言いたいことはわかった」という感じで、途中で投げるレベル。
…で、その自己啓発に書いてある知恵や考え方も、打算的に解釈するのであれば「知恵袋(交際法)」、戦略的に解釈するのであれば「孫子の兵法」などの古典の方が、深い知恵や経験知をベースにより詳しく書かれているので、読み返す必要すら感じません。
しかも、かの伊達政宗や高杉晋作が辞世の句で、数行で書き記している教訓でもあります。
「前向きに行動する」のは難しい
…が、実は「前向きに行動する」というのは、非常に難しいことなんです。
「そんなこと頭ではわかってても、体が動かない」という人がほとんどですから。
これは「人を動かす」で紹介されているモデルケースを見ても、実にわかりやすいでしょう。
ましてや、自分ですら行動するのは難しいというのに、他人に行動させるのはもっと難しいんです。
自己啓発の正体は、そういった当たり前の人間心理を自覚させ、行動を促すためのツールに過ぎません。
つまり「行動したいけど出来ない」「前向きになれないけどなれない」という人だけが、読めばOKなのです。