元転職アドバイザーのヒビキです。
上司が理由で退職を決意される方はかなり多いです。
とくに最近はネットで他人の本音がわかりやすくなったおかげで「上司が理由で辞めるのは当たり前」という考えも珍しくはなくなりました。
ただし、現実では「上司が理由での退職」は認められにくいものです。
表立って「上司が嫌いだから辞める!」なんて口に出しては、社会人としての人格や品性を疑われてもしょうがありません。
そして、退職理由で「上司が嫌いだから」と衝動的に辞表を叩きつけて辞めてしまったとして、その後の転職活動で不利になるのは自分です。
ですので、上司が理由でやめる際は「本音と建前」を使い分ける必要が出てきます。
今回は「本音と建前」を使い分け、上司が理由で辞めてなおかつ転職の際にも不利にならないという方法を説明していきます。
「上司が理由」で辞めてはいけないという”建前”
皆様に知っておいてほしいことは「上司が理由で辞めてはいけない」というのは、あくまで建前です。
日本人は儒教思想による”礼”の文化が強く残っている民族ですので、あくまで「年上は立てなければならない」わけですね。ですので、表立って「上司が理由で辞める」と口にだすのはタブーなんです。
「上司が無能だから辞める」「上司が嫌いだから辞めてやる!」と思っていても、それを口に出して辞めてしまえば、それは上司に恥をかかせてしまう結果にしかなりません。また、そのような態度で辞めてしまえば「社会人として問題あり」と思われてしまい、今後辞めた会社と関わる機会は一生なくなることでしょう。
転職するにしても、注意が必要です。
大企業グループであれば人事間でブラックリストが共有されていることも珍しくはありません。…これは公にあまり知られていませんが、大企業グループや人材会社ではブラックリスト(要注意人物リスト)が極秘裏に取り扱われていることもあり、問題を起こして辞めた人材を二度と採用しないように管理していることがほとんどです。昔であれば新卒生の身辺調査をしていたこともありますが、実は大企業の人材管理はそれぐらい厳密なんです。
とくに上司に強い不満があって辞めたい場合、辞表を叩きつけ言いたいこと言って辞めてやりたいという方もいるでしょうが、やめておきましょう。
社会人は先に大人になったほうが勝ちです。
「立つ鳥跡を濁さず」ということわざもある通り、なるべく穏便に辞めるように心がけましょう。そのためには「本音と建前」が必要です。
“本音”を隠せば動機は「上司が理由」でOK
「上司が理由で辞めてはいけない」というのは、あくまで建前の話です。
日本人には礼の文化があるので、
「年上は敬わなければならない」
「仕事を投げ出してはいけない」
「最後まで責任を持って成し遂げなければならない」
…などの暗黙の了解がありますが、当然ながら大人の世界ではそんなキレイごとが通用しないことはたくさんあります。
退職理由にしてもそうです。
本音を隠せば、上司が理由で辞めても問題はありません。
なぜなら、多くの人が上司が理由で辞めているからです。
というのも、日本の企業では上司が絶対なので、
- 上司の評価で社内の立ち位置や評価が決まる
- 上司との関わりのストレスで仕事のパフォーマンスが下がる
- 上司との相性次第でやりたいことができなくなる
…など、思うように仕事が出来なくなるリスクがあるからです。
上司も人ですので判断を間違うことはありますし、人間関係に関しては「合う・合わない」は必ず存在します。
なので、上司が理由で辞めたい場合、出来る人ほど表向きは「上司の言うことを聞いているフリ」をしておきつつ、こっそり転職の準備をするものなのです。
関連:なぜ優秀な人ほど突然辞めるのか?仕事の出来る真面目な人から辞めていく職場は自分も辞めた方がいい?
本当に「上司が理由」か掘り下げていこう
上司が理由で辞める場合は、冷静に自分の社内での待遇や環境を見つめ直す必要もあります。
それは「職場の不満や仕事への不満の怒りの矛先が”上司”に向いている」ことがありえるからです。
会社や経営者への怒りや不満というものは、顔の見えない相手ですのでなかなか矛先を向けられません。ですので、身近でもっとも怒りや不満を抱きやすい「上司」を無意識のうちに敵視してしまう方も多いわけですね。
自分自身の辞めたい理由が「本当に上司が理由なのか?」を掘り下げていくことで、会社への不満を洗い出していくことのもなり、転職動機としても強いものに変わっていきます。
たとえば、以下のような「上司の不満」は、実は「会社自体への不満」であることも多いです。
「上司の仕事の振り方に不満がある」→人事や会社の意向であり上司も不満を持っている
「上司のせいで思うように仕事ができない」→わざと部下の仕事に制限をかけている
「上司との対人関係でストレスが増える」→社内での対人関係改善の都合
「上司の管理不足のせいで残業が増える」→部署への仕事の割り振りが適当ではない
このように、会社においては「上に立てば立つほど嫌われ役になる」という性質もあるので、上司に悪意があるかどうかもしっかりと見極めなければなりません。
辞めて転職するにしても「上司よりも上の仕事や事情を知っている人材」であれば、その分評価が上がります。
逆に上司の事情も考えずに自分の都合だけを語れば「将来の管理職候補としては問題あり」と判断されかねません。
この記事にも書いていますが「ピンチはチャンス」でもあるので、冷静に見極めることも大事です。
関連:上司が無能ならどうする?使えない上司の特徴と対処法について
「上司が理由で辞める」場合の建前を用意しておこう
以上、客観的に「上司が理由で辞めたくなった時の対処法」を説明してきましたが、コレ自体が上司を辞める際に考えておくべき”建前”です。
ハッキリ言って「会社の都合とか関係ない、ただ今の上司が嫌いだから辞めたい!」という人がほとんどでしょう。
安心してください。ほとんどの方がそうです。
なぜなら、上司の都合や経営者の都合なんて、末端の一社員が考えるべきことではないから。
「事件は会議室で起きているんじゃない、現場で起きてるんだ!」という名言もありますが、まさしくその通りですよね。いつの時代も現場の社員の個性や事情などは無視され、会社や上司は好き勝手自分らの都合を押し付けてきます。
であれば、こちらも自分の都合を貫くのが筋というものでしょう。
ですので、上司が理由で辞めたいのであれば建前並べて辞めてしまうべきです。
ここからは「上司が理由で辞める際の”建前”」をご紹介していきましょう。
今の会社の退職理由は「一身上の都合」でOK
よく「今の会社の退職理由はどうすればいい?」と相談される方もいたのですが、これについては「一身上の都合」だけで構いません。
上司や会社に退職理由を追求されることもありますが、答える義務はありませんからね。
法律的に見ても「会社側は退職届は拒否できない」と定められており、退職届を出して後は黙秘ということも可能です。
ただし、社会人であれば責任を持って辞めるべきですし、出来れば会社側とも穏便に済ませたいものですようね。
ですので、もし不安なら
「転職先から内定をもらった」
「実家の両親が悪くなった」
「海外留学・スキルアップのために休職したい」
…など、適当に口実を用意しておくといいでしょう。仮に口うるさく問いただされても「プライベートなことですので、お答えできません」と通しておけばいいでしょう。
どちらにせよ、退職するというのはそれだけ断固たる意志が必要なことですので、あらかじめ覚悟は決めておきましょう。
相手に引き止められて中途半端に踏みとどまってしまうのはNG
ただし、退職届を出す際に一番怖いのが「会社側に引き止められる」というケースです。
仮にあなたがそれなりの人材であれば、上司や人事が説得してくる可能性は十分にあり得ます。相手が説得してきたのであれば、それは会社の評価や待遇を改善させるまたとないチャンスです。
ですので「何が何でも辞めてやる!」という建前を通しつつ「会社がどれぐらい自分を大事に思ってくれているか?」という本音を引き出しましょう。これに関してはあなたと会社側の”交渉と名の戦い”でもあるので、中途半端に折れてはいけません。
最悪なのは、中途半端に踏みとどまってしまい「あいつは一度辞めようとした人材だ」と社内評価が落ちたまま働き続けてしまう結果になることです。現実問題、退職を表明することは一種の賭けになってしまう面もあるので、転職の見通しを立てておくに越したことはないでしょう。
どうしても不安なら転職サポートでプロの力を借りておこう
上司が理由で辞めることに不安のある方は、転職サポートサービスでプロに相談しておくことを推奨します。ほとんどの転職サポートサービスでは会社の退職手続きから転職先への内定までしっかりとサポートしてくれるからです。しかも、完全無料で退職から転職先への入社まで支援してくれます。
会社を辞める際は一波乱起きやすいため、仲介人が入ることでスムーズに進むというわけですね。
その他にも、転職サポートサービスを活用しておくと以下のようなサービスも無料で受けられます。
・転職サポートで受けられるサービス
- キャリアカウンセリング
- 転職先求人の紹介
- 履歴書・職務経歴書の作成支援
- 面接の指導
- 転職先宛への推薦状
- 年収・待遇面の交渉
上司が理由で辞める場合の建前や転職動機なども、転職業者側で用意してくれるので、スムーズかつ確実に転職を進められます。また、今の職場にバレないようにプライバシーを配慮してくれるので、転職しない場合も会社にバレずに済みます。
国内では転職サービスは知る人ぞ知るクローズドなサービスだったのですが、最近ではインターネットによる集客で、誰でも気軽に相談できるようになったので、気になる方は利用しておくといいでしょう。
とくに、日本の転職業界で主流になりつつある「転職エージェント」がオススメで、間違いありません。