前回は「未経験からの転職は契約と派遣どっち?」というテーマでお届けしました。結論から言えば「長く働く意志が強いなら、断然契約社員がオススメ」です。
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しかしながら、未経験からの中途採用枠での応募の場合、契約社員・正社員に関わらず誰もが不安になるものです。また契約社員の性質上「本当に長く働かせてもらえるのか?」と悩みだしたらキリがありませんよね。
そこで今回は「未経験から転職する場合に契約社員だと採用されやすいのか?」という疑問について、元転職アドバイザー目線からお答えしていきます。
契約社員は”企業にとって非常に都合がいい”
前回の記事でもお伝えしたとおり、契約社員という雇用形態は企業にとってもっとも効率がよいという面は、しっかりと抑えておく必要があります。本音で言えば、企業はどんな社員も契約以下の待遇でコスト削減したいわけです。
また企業としては、新卒で正社員で雇った人材も、まったく使えなければさっさとクビにしたいのですが、正社員であれば契約期間がないから簡単には解雇できません。しかし契約社員ならば、使い物にならない社員は契約期間終了と共に合法的に解雇できるので、非常に都合がいいわけです。
逆に言えば、それだけ新卒採用から正社員になれることが破格の待遇だと言えるわけですね。
就職活動と転職活動は、似て異なるものです。新卒とは違い、よりシビアな目線で人材採用の判断をします。しかし、少子高齢化で常態的に若手不足が続く中、とくに中小企業規模ですと新卒採用枠ですらなかなか人が集まらないのが実情です。
そうなると、新卒採用枠とは別に若手の人材を中途採用する選択肢が出てきます。…とは言っても、社会経験のある人材が応募してくる中途採用では、どんな人材が来るかもわかりませんよね。いきなり正社員として雇うのにはコストがかかりますし、何より教育しても使い物にならないリスクが一番怖いのです。
そこで都合のいい雇用形態が、期間毎に更新するという体で実際に働いてもらいながら人材の将来性と成長性を確認できる「契約社員」なわけです。つまり契約期間が”試用期間”として機能するところが、契約社員最大のメリットになるわけですね。
契約社員は正社員よりも採用されやすい!
以上の企業側の利点を知っておけば「契約社員は正社員よりも採用されやすい」というのは、カンタンに想像できるはずです。契約期間(通常は1年が目安)が過ぎて、あまりに使えない人材であれば契約終了、判断に困る場合は契約延長、成長性の高い人材であれば正社員採用と柔軟に選択できるわけですからね。
初めから正社員採用となる場合は、企業は慎重に採用を検討しなければいけませんので、必然的に求める経歴や実績は高いものになります。しかし、契約社員であれば「最悪、使い物にならなければ契約期間と共に解雇すればいい」という余裕が生まれるため、採用のハードルも下がります。
企業目線、あるいは上司や人事の立場を経験をしたことがあるならわかると思いますが、もっとも企業が恐れることは「使えない人材」「まったく成長しない人材」を採用してしまうリスクです。言ってしまえば「給料泥棒」を会社にいれてしまうわけですからね。これはコスト面だけならともかく、上司が教えるために割いた時間や職場の社員のモチベーションにも関わってくる問題です。
契約社員が使い物にならない場合、最悪「契約期間が切れるまで雑用を振っておく」ことも可能になり、他の社員の足を引っ張らせない使い方も可能になるのです。
契約社員になるなら目標意識の高さが必要
ここまでは、あくまで”企業側の都合”でご紹介してきました。中には「契約社員になると都合よく使い倒されて、契約期間でクビになるかも…」と不安になった方もいるでしょうが、心配することはありません。
まともな経営判断力のある企業なら、やる気のある人や能力の高い人であれば、まず正社員候補としての契約社員として採用してくれます。なぜなら、企業側としても契約社員が成長して正社員並の仕事をこなしてくれれば、願ってもないことだからです。
ただし、重要になってくるのが「目標意識の高さ」「仕事への意欲の高さ」「会社に合う人材かどうか」という点です。
契約社員には”真面目さ”も重要
私が転職アドバイザー時代、相談者によく言っていたアドバイスなのですが「契約社員は契約終了までは、とにかく周りの正社員以上に頑張る姿勢が大事」ということです。
契約社員は就業形態自体は正社員と変わらないことが多く、中には新卒入社組と同じ職場で働く場合もあります。そうなると、自分より若い正社員が自分よりも待遇が良い…という自体も考えられるわけですね。ですので、最初の契約期間内は心が折れてしまい、モチベーションが下がることも多い時期です。しかし、契約社員が長く続くかどうかは一番最初の契約期間がもっとも重要です。
そして、最初の契約期間で契約社員社員が評価されるポイントは「真面目さ(会社への忠実さ)」「組織への適応力」「会社に対する貢献度」と言った”正社員として働く心構えはあるか?”という要素です。仕事の出来や能力などは二の次なのです。
逆にどんなに優秀な人材であっても、契約社員だからと言って手を抜いていたり周りとの衝突が多ければ、契約期間延長という処置で「都合よく使われる」だけで終わります。それは契約社員という立場を使って、都合よく会社で給料をもらっているわけですので、当然の処置でしょう。
契約社員を目指すなら正社員になれるように努めよう!
以上のように、契約社員は企業側としては都合のいい雇用形態であり、やや労働者にとっては都合の悪いものだとも言えます。ですので、採用されやすくなるのは間違いありません。
しかし、採用されてから最初の契約期間終了までが、契約社員の一番の見せ場になります。
ほとんどの企業では、契約社員は業務内容などの扱いは正社員と変わらないにも関わらず、正社員よりも待遇は落ちます。そのため、契約社員として採用されてからしばらく経って、モチベーションは下がってしまうかもしれません。人事や上司のマネジメントが上手ければ、どうにかなるかもしれませんが、決して採用先企業の上司や先輩が面倒見が良いとも限りません。
事実、私が紹介した契約社員の方も、何度か「周りの正社員と比べるとモチベーションが上がらない」と相談されたこともあります。その際に何度も言ったことが「最初の契約期間に正社員以上の仕事をして、周りに認められましょう」ということです。その後、相談者は無事に契約期間の1年目を期に正社員になることが叶いました。
契約社員が正社員として正式に昇進するためには、相応の覚悟が求められます。生半可な態度では契約期間延長だけに終わり、延々契約社員の立場でいる未来が待っているだけです。ですので「契約社員が採用されやすい」という理由で契約社員を選ぶのは問題ありませんが、就職した後の就業態度や将来のことも踏まえた上で、転職先を選びましょう。
契約社員になるなら転職エージェント経由がオススメ
もし契約社員への転職を考えているのであれば、転職エージェントでプロのキャリアアドバイザーに相談してみるといいでしょう。転職エージェントは転職のプロが自分に合った転職先を紹介してくれるサービスです。
契約社員は契約期間内にモチベーションが下がり、正社員になれないでやめてしまう人もかなり多いです。
しかし、転職エージェントを経由しておけば、就業後の転職先への定着に向けたカウンセリングや営業もしっかり行ってくれます。これはすぐに辞められてしまうと、転職エージェント側に違約金が発生してしまう営業上の理由もあるのですが、その分しっかりと契約社員でも正社員採用に向けたアフターフォローを行ってくれます。
一方で、転職エージェントを経由しない場合は、モチベーションの維持や正社員採用への交渉などは自分一人でしなければなりません。これは転職後新しい職場で不安になりやすい契約社員にとっては、並々ならぬ負担となります。
ですので、契約社員からの転職を考えているこそ、転職エージェントでプロの力を借りて転職先を見つけることをオススメします。転職エージェントは無料で利用でき、職務経歴書の作成や面接の指導から応募まで行ってくれます。
もし、契約社員が採用されやすいからという理由で転職先として考えているのであれば、転職エージェントを活用しておきましょう。