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テレビ業界は終わり?今後はどうなる?将来性と衰退している原因を徹底分析!

「テレビ業界は衰退している」
「テレビ業界は終わりだ」
「テレビ局は将来性がない」

インターネットやスマホが発展した現代では、このような声を聞くことも少なくありません。

実際に2019年にはTV局の主な収益源となるCM(広告)の割合がインターネットとTVメディアで逆転する現象が起こっており、テレビ業界の衰退は数字としても現れています。

画像出典https://www.dentsu.co.jp/news/release/2020/0311-010027.html

このように苦境に立たされているテレビ業界ではありますが、放送に関する強い法的なアドバンテージを持っていることや、放送番組の著作権を保持している強みを活かしたインターネット動画コンテンツ事業への展開など、その影響力は未だ健在だと言えます。

一方で、テレビ局の主な収益源であった「広告(CM)」がインターネットに移ったことで、番組制作費が削減されて質が落ちたり、大手テレビ会社の事業領域が不動産などのテレビメディア外に移行するなど、様々な変化も起きています。

本記事では、そのような衰退傾向と言われるテレビ業界の将来性について、様々な資料や統計データを分析した上で、本当に衰退傾向なのかどうかを解説していきます。

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テレビ業界が終わりと言われる原因は?

テレビ業界が終わりと言われる原因は多数ありますが、主な根拠となっているものを挙げると以下の通りです。

  • CM(広告収入)のテレビからインターネットへの移行
  • キー局依存の業界構図(地方局・番組制作会社の場合)
  • 芸能人のSNS・動画サイトでの影響力獲得
  • 「テレビ番組がつまらなくなった」というネット上の声
  • 芸能人のSNS・動画サイトでの影響力獲得

それぞれ、その根拠について詳しく解説していきます。

CM(広告収入)のテレビからインターネットへの移行

テレビ局の主な収入源は「スポンサーからの広告費」であることは、少しテレビ業界に詳しい方なら誰もが聞いたことはあると思います。テレビ業界のビジネスモデルを単純に説明すると「スポンサーからの広告費→キー局への番組制作依頼→制作会社やキー局などの下請けに発注」という形になるため、大元の収益源は広告費になるわけです。

しかしながら、近年ではスマホの普及により国民のインターネット利用時間が増えたことにより、WEB媒体での広告出稿に積極的な企業や広告代理店が増えてきており、2019年にはテレビ全体にかける広告費とインターネット全体にかける広告費で逆転することになりました。

テレビ業界が衰退していると言われる最大の根拠は、テレビ局の主な収益源となるCMによるスポンサー広告費が年々減少傾向であることで、テレビ局の収益源やビジネスモデルが変化せざるを得ないことにあると見ていいでしょう。

キー局依存の業界構図(地方局・番組制作会社の場合)

「テレビ業界」と言いましても、キー局以外の地方局や番組を制作する中堅企業など、様々な会社が存在します。そのような会社も大本であるスポンサーからの広告費が減少傾向にあるため、苦境に立たされていることが想像されます。

しかしながら、実際にはキー局が制作した番組を放送するに当たって地方局側の方が電波料を受け取るビジネスモデルですので、全国区で放送される番組が存在し続ける限りは経営的に苦しくなるのはキー局であることが見えてきます。

画像出典:「会社四季報」業界地図 2019年版

事実、決算書や売上で地方ローカル局の業績を見てみると、2008年前後のリーマンショック時には大打撃を受けているものの、それ以降は売上も回復している会社も多いため、一概に衰退傾向とは言いにくいです。

出典:https://www.soumu.go.jp/main_content/000586012.pdf

広告収入の低下により、キー局から制作依頼費が流れてくることになる番組制作会社の将来性にも不安が残りますが、番組制作会社全体を見るとキー局に似たような売上の推移をたどっています。

出典:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r01/html/nd231630.html

ただ、ここで注目したいのが番組制作会社は企業数も減っているため倒産した会社も存在するということです。というのも番組制作会社は、資本金3000万円未満の事業者が全体の47.3%、従業員100人未満の事業者が同86.1%(※)と、中小規模の事業者が大半を占めているからです。

※参考:https://www.nikkei.com/telecom/industry_s/0831

よって、番組制作会社テレビ業界の業績悪化のダメージを真っ先に受けて経営危機になりやすいとう構図であることは現実的な問題として存在していると考えられます。これは番組制作会社の規模が小さかったり、元請けとなるキー局の収入状況によって左右される以上、仕方のない問題です。

ですから、もし読者の中でも番組制作会社への就職・転職を考えている方や既に勤務している方は、このような現実を知った上で一つの会社に依存するのではなく、自身のスキルや経歴を活かして業界内で立ち回るキャリアプランを考えておく必要があると言えます。

「テレビ番組がつまらなくなった」というネット上の声

ネット上には「テレビ番組がつまらなくなった」という声もあり、それがテレビ業界の衰退や終わりだという意見が出てくる要因になっているとも考えられます。

これに関しては視聴率で見てみると、フジテレビとテレビ朝日は減少傾向であるのに対し、他のキー局は大きな変化があるわけではないことが見えてきます。

画像出典:「会社四季報」業界地図 2019年版

また、仮に「テレビ番組がつまらなくなった」という意見の要因を仮説立てるとしたら、以下のような要素が考えられるでしょう。

  1. 番組制作会社への発注費削減によるクオリティ低下
  2. 若者のテレビ離れ・ネットメディアへの以降により需要が変化している

上述したように番組制作会社はその規模から生き残りが厳しい状態にあり、キー局の収益状況によって制作費削減リスクがあるため、安定したクオリティの番組提供を行いにくい事情があることが想像されます。

事実、視聴率の低下しているフジテレビでは、大幅な番組制作費の減少が起こっています。

出典:https://www.businessinsider.jp/post-235566

番組制作費が削減されると、元請けとなるキー局も制作会社との連携が安定しない状態となるため、限られた人員と予算で番組企画から制作まで行わないといけない状態となり、ヒット作や新たな長寿番組を生み出しにくいという背景もあるのではないかと考えられます。

次に、大きな要因として考えられるのは「若年層のテレビ離れ」についてです。これはアンケート調査などの数字傾向としても顕著に出ており、度々、ニュースや経済誌でも取り上げられています。

ある調査によると10代~20代の若者の半数近くがテレビを見ないという結果も出ています。この世代は「Z世代」と呼ばれ、SNSメディアや動画配信メディアを中心に視聴している層です。

このZ世代ともなると、以前のテレビメディアに求めるものとネットメディアに求めるものが変わってくるため、テレビメディアをつまらないと感じる人が多いこともおかしくはないと想像できます。

また、テレビの若者離れを意識してインターネットの流行りを取り上げたり、ネットトレンドを番組としてコンテンツ化した際に、以前のテレビ視聴者から「つまらない」という声が上がるなどの世代間格差があることも考えられます。

このような背景も踏まえると「テレビがつまらなくなった」という声の背景には時代の変遷に伴い視聴者からの需要や番組制作傾向が変わっていると捉えたほうが間違いないでしょう。

芸能人のSNS・動画サイトでの影響力獲得

テレビ業界の華々しいイメージは芸能人の影響力も無視できないものがありますが、近年では、芸能人が事務所から独立してインターネット動画を中心に活動することも増えております。

そのようなテレビ業界から離れた芸能人が「テレビ業界は終わりだ!」と声をあげる機会が増えたことも、テレビ業界が終わりだと感じさせる要因だと言えるかもしれません。

たとえば、お笑い芸人で現在はYouTuberとしても大活躍中の中田敦彦氏は、チャンネル登録者数474万人(※2022年6月現在)を達成しており、100万回以上再生のヒット動画を大量に生み出せる影響力を持っています。また、そのような芸能人の有名動画を切り抜きして隙間時間に見やすくしたチャンネルも存在し、拡散に一躍買っています。

このように、テレビ業界に不信感を持って独立してインターネット動画での活動が中心となった芸能人の影響力も、テレビ業界の衰退を感じさせる要因として挙げられるでしょう。

テレビ局の将来性がまだまだ安泰だと言える要因は?

ここまではテレビ業界が衰退していると言える根拠をご紹介してきましたが、決算書や売上などの数字を参考にしていくと、テレビ業界全体で一時的な衰退は見られるもののその度に立て直してきた経緯を持つことが見えてきたかと思います。

また、広告収入のインターネットへの推移がテレビ業界の危機であるとされる一方で、コンテンツ制作力や番組の著作権保有という強みを活かし、テレビ会社自体がインターネット動画事業に参入して成功を収めていることもあるため、時代の変化に対応できていないというわけではない点にも注意です。

そういった要素も踏まえ、テレビ業界がまだまだ安泰だと言える根拠についても解説していきます。

放送免許のアドバンテージは絶大

テレビ会社は「放送免許」というアドバンテージがあるので当面は安泰と言えるでしょう。

放送免許とは、ざっくり言えば法律で保証されている「テレビ電波を使って放送番組を配信する権利」のことで、誰でも気軽に発信できるインターネットと違い、法律的な問題をクリアして国からの許可を得る必要があります。

このアドバンテージがあるおかげで、テレビ会社には競合他社が現れにくくほぼ独占状態を維持しやすいなど、絶大な恩恵を受けられるのです。この強力すぎるアドバンテージは「放送利権」などと批判されることもありますが、それはそれだけ莫大な利益をもたらす権利である証拠でもあると言えます。

地方局に関しても、この放送免許のおかげでキー局の番組を放送するだけで一定の収益が見込めることとなることも、すでにご紹介した通りです。

ですので、どれだけインターネットメディアに人が流れても、完全にテレビ番組の需要がなくならない限りは、法律によって守られているテレビ業界が終わるということは考えにくいと言えるでしょう。

キー局(大手テレビ会社)の業績は増加傾向

単純にキー局を運営するテレビ会社の業績だけで見てみても、どの局も業績は増加傾向にあり、会社全体での資本体力は未だ健在であることが伺えます。

出典:https://rtbsquare.work/archives/38673

これは話をシンプルにすると、大手キー局はテレビ放送(CMによるスポンサー広告費)以外の収益源も確保しており社全体で売上を出しているからだと言えるのです。例えば、後ほど紹介する「インターネット動画配信サービスの提供」「放送コンテンツ以外への事業への取り組み」など。

こういった分析を行っていくと、衰退しているとテレビ局も、自社のコンテンツ力や影響力や資本体力を活かして時代の変化に対応していることが見えてくることでしょう。

インターネットでの動画配信サービスでのテレビ番組提供の強化

テレビ会社には、番組制作を指揮する組織体力やノウハウ、番組自体の著作権を保有して放送・配信する権利を持っており、その強みは現代で主流になりつつあるインターネット配信へ活かすことも可能です。

その証拠として、主要キー局は動画配信サービス会社の株式を保有する形で協力関係を築き上げており、テレビメディアからインターネットメディアに移り変わる時代にもしっかりと対応できていることが見えてきます。

出典:「会社四季報」業界地図 2019年版

実際に、動画配信サービスでは過去の番組を見放題であったり、見逃した番組を時間のとらわれずに視聴可能であったりと、テレビ放送では提供できない価値を生み出しているため、テレビメディアとインターネットメディアの両立に成功していると言えるでしょう。

放送以外への事業拡大の道を選ぶテレビ局も

テレビ局と言っても、昨今の大手企業ですので多角な事業に参入しており、テレビ番組以外の収益源を確保する道を選ぶことも少なくありません。

たとえば、視聴率低下に苦しめられるフジテレビジョンでは「スポット広告」と呼ばれる最小15秒から出稿できるCM枠でスポンサーを獲得したり、番組制作以外では、スポーツクラブ「ティップネス」の運営など生活・健康関連事業、不動産事業などでも収益を上げており、会社全体で見れば収益は好調です。

参考:https://froggy.smbcnikko.co.jp/41123/

この増益により番組制作費の確保ができれば、フジテレビの課題である視聴率低下を解決するための番組制作にリソースが割かれることにも期待できるかもしれません。

まとめ:テレビ業界は衰退傾向に見えて何度も立て直しされている

本記事で紹介した通り、テレビ業界は一見すると衰退しているように見えて、とくにインターネットメディアに日頃から増えている人からすると終わりにも思えるかもしれませんが、そのインターネットメディアですら効果的に活用して、業界全体で収益を上げていることが見えてきたかと思います。

本記事の中でも、とくにテレビ業界で働いていたり就職や転職を考えている人にとって重要なポイントをまとめてみましょう。

  • 2019年の広告費全体のテレビ/インターネット比率の逆転が転換点
  • テレビ局には絶大なアドバンテージや組織基盤があるので他の事業等でカバーが可能
  • 主要なテレビ会社はインターネットでの動画配信サービスとの連携に成功している
  • 番組制作会社は中小規模なのでテレビ業界の不況の煽りを受けて倒産する場合もある

テレビ番組自体の求心力や影響力が低下したとしても、それ以外の様々な方法で収益を上げる組織体力がテレビ局にはあるため、将来性はまだまだ安泰だと言えるでしょう。

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