「転職は焦らないほうがいい」
そう感じてるあなた、その感覚、大正解です。
転職活動では、不安な状態から逃れたくてついつい焦って判断ミスをしがちです。
たとえば、条件に納得してない会社に入社してしまったり、転職サービスの営業電話に流されてどうでもいい企業の面接を受け続けて消耗してしまう…など。
そういった状態になってしまうのは、一気に転職活動を進めようとしてしまうから、生じるものです。
逆に、日頃からコツコツ転職活動を進めている人やキャリアに関する知識や情報が十分な人は、転職というリスクが伴う行為も落ち着いて対応することができます。
その差は、どうやって生まれるのでしょうか?
この記事で、転職で焦ってしまうとよく起こる失敗事例から学び、自分のペースで納得のいく転職を成功させるコツを理解していきましょう。
転職は焦らないほうがいい理由
なぜ転職を急がないほうがいいのか?
まずはその理由を、典型的な失敗例も合わせて解説していきます。
在職中に並行する難しさ
まず、転職でついつい焦ってしまう原因は在職中に転職活動しないといけない苦しさにあります。
膨大な情報から受かりそうな求人を探し、職務経歴書を書き、面接日程を調整して、知らない相手に気を遣いながら面接…。
普段の仕事をこなしながら、これらを並行するのは想像以上に負担がかかっています。
しかも、転職活動では、
- この会社は本当に自分に合っているのか?
- この企業は本当はブラックではないか?
- 今の職場を辞めてまで行く価値があるのか?
といったことを考えながら進めなければなりません。
ですが、在職中だと、その冷静に考える余裕がなくなりがちです。
勤務後の疲れた時間やゆっくり休みたい休日の時間を割いて転職していると、自分で思っている以上に判断力が鈍っているものです。
そうした「転職活動の苦しみ」が続くと「早く終わらせて楽になりたい…」という気持ちが強くなります。
その結果、焦ってしまい、
- 本当は納得していない条件の内定でもOKしてしまう
- 大して興味のない会社に面接を受けにいって時間を無駄にする
といった人生を台なしにしてしまう転職をしてしまう結果となるのです。
すぐに理想の求人が見つかることは少ない
転職の難しいところは焦ったとしてもすぐに理想の求人が見つかるとは限らない点にあります。
どれだけ職務経歴を作り込んで面接の受け答えが完璧でも、落ちる時は落ちるし、良い求人が出ていない時もあります。
たとえば、
- 募集した相手と経歴・スキルは変わりないのに学歴の差だけで見送りにされた
- 条件がベストレベルの最高の求人が来たのに応募が1日遅くて先に決まっていた
といったような例です。
これらは本人の努力不足というよりも、転職がタイミングに左右され、最後には「運」になるという現実を示しています。
転職は、恋愛や結婚に近いところがあります。
こちらが「理想の相手と出会ったので今すぐ付き合いたい」「価値観が合う相手なので結婚したい」と思っていても、そう上手くいきません。
単純に相手に断られることもあれば、お互いに気持ちはあっても家庭の事情や収入の都合で思うように話が進まないことも、よくある話です。
転職もそれと同じです。
ちょうど自分が転職したいタイミングで、良い企業が自分に合うポジションで募集しているとは限りません。
また企業側に「この人は採用したい」と思われても、予算の都合や他にいい求職者がいたなどの理由で、不採用になることも日常茶飯時です。
こうした”タイミング”は、自分の力では操作できませんし、予測するのも困難です。
弱みに付け込まれやすくなる
転職で焦っていると弱みに付け込まれるリスクが上がるという点でも、注意が必要です。
転職では、企業にしても人材会社にしてもやたらと急かしてくる人がいます。
たとえば、
「早く返事をください」
「できるだけ早く入社してほしいです」
「このポジションはすぐ募集が埋まります」
といったような形です。
こうした「急かしてくる企業」には、だいたい”裏”があるものです。
転職で焦っていると、こうした急かす声に対し、
- せっかくのチャンスを逃したくない
- 迷っているうちに他の人に決まったら嫌だ
- 早く決めたほうが印象がいいのではないか
と考え、こちらも判断を早めようとしがちです。
しかし、そうした急かす声に流されてしまうと、以下のような「思ったのと違った…」という事態に出くわすこととなります。
- 人手不足の穴を埋めるために強引な採用をしており、ハードな役割を押し付けられた
- 上司がハラスメント気質ですぐ人が辞めては補充されるような現場だった
- 人事が採用ノルマを課されていて十分な検討をしないまま雑な採用をしていた
見落としがちな事実ですが、採用する企業側も完璧でなく焦りから致命的な判断ミスをすることもある事実を忘れてはなりません。
一方で、余裕がある企業ほど、無理に内定や入社を急かしません。
なぜなら、急かすような形で無理に入社させて、すぐ辞められても困るのは企業側だからです。
採用にはコストがかかりますし、入社後の教育にも時間がかかります。すぐ辞められたら、また初めから採用をやり直す必要もあります。
ですので、まともな企業ほど、
- 面接を3回行い慎重に見極める
- 候補者の考える時間を尊重する
- 答えにくい質問にも誠実に回答する
など急かすようなことはせず、冷静に相手と向き合いますし、入社前も対話の機会を設けようとします。
考える時間こそ動くことよりも重要
転職活動というと「求人に応募→面接を受ける→内定が出たら終わり」と捉えてる人もいるかもしれません。
事実、転職サービスを利用しても「とりあえず求人数を応募しろ」以上のアドバイスをしてくれないことも多いです。
ですが、実際には考える時間や振り返る時間こそが1番重要です。
とくに焦っている時ほど「何か行動していなければ落ち着かない…」と思って、考える時間や振り返る時間を放棄しがちです。
たとえば、書類選考がまったく通過しない場合、
- 職務経歴書の書き方がダメ
- 応募している求人が見込みなし
- 使っている転職サービスがダメ
など、何かしら”詰まっている原因”があるかもしれません。
そうした場合、一旦動くことを止めて、戦略を見直すことが不可欠となります。
でないと「受かるはずもない求人に延々と応募し続けていた」「面接や職務経歴のアピールがちゃんと伝わってない」という致命的なミスを見落とします。
何も考えずに闇雲に頑張るのは努力ではなく徒労に過ぎません。
不安を埋めるために焦りたい時ほど陥りがちですが、一度、立ち止まって考えることもまた勇気であることを思い出してみましょう。
焦らずに転職活動を進める方法
転職で焦らないためには、様々な方法や考え方を知っておき、状況に合わせて使い分けることが大切です。
「今はまだ動く時でない」と思ったら、応募は控えてスキルアップに励むこともできますし、仕事以外に重きを置くことだってできます。
不思議なことに「転職活動から離れていた時ほど、上手くいかなかった原因が、ある日突然、閃くようにわかる」ということもあります。
とはいえ、いくら「焦らない」と自分に言い聞かせたところで、不安がある時はそう上手く自分をコントロールできないものです。
そこで、ここでは「転職で焦らずに済む余裕のある状況」を作り出すための、考え方や実践的な方法をいくつかご紹介していきます。
待ちの姿勢をつくってチャンスを逃さない体制をつくる
「早く次を決めないと収入が苦しい…」
「今の会社にこれ以上いたくない…」
「もうどこでもいいから逃げたい…」
焦りを生み出すのは、こうした不安な感情です。
転職がうまくいかない人ほど「ヤバくなってから動けばいい」と考えがちです。
そうした人は、転職活動といっても、
- 日頃から漠然と求人情報を眺めるだけ
- キャリア情報を読んで知った気になるだけ
- 職務経歴書を作ったり試しに面談で話を聞いてみることもしない
など、終始”受け身”になりがちです。
「焦らないほうがいい」とは言っても、それは決して「何もしなくていい」ことを意味しません。
というのも、知っている情報ひとつにしてみても、
- 自分で動いて実感した情報
- 他人から直接聞いた情報
- ネットで調べた知った情報(求人情報)
とでは実感も重みもまったく異なってくるからです。
求人紹介だけ受けて「自分ではこのぐらいの年収ならいけるだろう」と思っていても、実際に動いてみなければ「今の自分は求人紹介されても面接で通らない事実」は実感として得られません。
つまり、何が言いたいかというと、実際に動いてみて場数を踏んだ人の”受け身”と、動きもしないで慢心している人の”受け身”は違うということです。
転職で成功する人ほど、実際に動いてみてどうすればいいかわかったタイミングで焦らなくなるということです。
モテる男が何もしなくても女性が寄ってきて、ここぞという時に「口説けばいける」と見極めて的確に動けるようなものです。
真の意味で「焦らなくていい」と悠然と構えるためには、まず実際に動いてみて”勘所”をつかむ必要があるのです。
そのためには、受かるために転職活動するのではなく、転職活動の勘所をつかむために転職活動するという意識が必要になってきます。
そうすることで、
- 書類選考の通る求人の傾向
- 面接で聞かれることやズレやすいポイント
- 自分に合った転職サービスとそうでない転職サービス
が、なんとなく見分けられるようになってきます。
そこまで行き着いたら、後は自分の合う転職サービスから定期的に求人を受け取っておき、良い求人が来た時にチャンスを逃さないようスムーズに動けるようにしておくだけで済みます。
「備えあれば憂いなし」という言葉がありますが、転職にも同じことが言えるのです。
キャリアの棚卸しと職務経歴書作成を定期的に行う
転職を成功させるために、かなり優先度が高い項目が「キャリアの棚卸し」と「職務経歴書作成」です。
極論、これが一切できていないと、どれだけ能力やスキルがあっても、転職サービスに登録しても優良求人が送られてこない…という事態が全然ありえます。
キャリアの棚卸しとは「いつどこで何をしてたか」を振り返り、他者にも伝わるように書き出すことです。
実際にやってみればわかりますが、いつどこで何をしてたか思い出せないことも多いですし、失敗経験を思い出すのも嫌でしんどい作業だとも感じます。
また、職務経歴書を作る際にも「自分がやってた業務は、転職市場ではなんと呼ばれているか?」を知らないと、効果的にアピールできません。
たとえば「営業をやっていました」と説明するのと「大手企業向けに〇〇の商材で法人営業をしていました」と説明するとでは、天と地ほどの差があります。
そうした詳細な説明ができるようになるには、
- 転職市場で自分の経験はどういう呼ばれ方をされているか?
- 転職活動で伝わる表現や語彙は何か?
も知っておく必要があります。
これは自分1人で考えているだけでは中々見えてこず、一度で完璧に書くのも無理というものです。
なので「とりあえず転職活動で動いてみる」「得た情報から職務経歴書を更新していく」ということが重要なのです。
内定が決まった後こそが見極めタイミングと知る
転職活動では、内定をゴールだと思っている人もいます。
内定が出ると、安心して、
「やっと決まった」
「もう転職活動を終わらせたい」
「せっかく内定をもらったから断るのはもったいない」
と考えて、ついつい、相手側の話をすべて承諾しがちです。
ですが、実際には内定後の企業とのやりとりに罠が潜んでいることも多い点に気をつけなければなりません。
たとえば、内定後によくある例として、
- 提示されていた給料やボーナスなどの条件が下げられる
- 不安な疑問に対する回答を返してこない
など、企業側の不誠実な態度に対する”違和感”を見落としてしまうことがあるからです。
内定後のタイミングは、不安ではなく、浮かれた気分で詰めが甘くなるという意味で、また違った冷静さが求められることを覚えておくといいでしょう。
自分に合った転職サービスの使い方を模索する
ここまで紹介したように、転職活動では実に多くのことを考える必要があります。
「焦らないでいい」というのはある側面では事実ですが、かといって動かなくていいわけでもありません。
むしろ「別に受からなくてもいいや」「試しに面接受けてみるか」ぐらいの余裕がある時の積み上げこそが、いざという時に的確かつスムーズに動けるかの分かれ目となります。
そういう背景もあるので、転職サービスは早めに使っておくだけ損はないと言えるでしょう。


