「理解力が低い人を相手にすると疲れる…」
「頭の悪い人と話が合わないと感じる…」
「馬鹿を相手にするとイライラする…」
このようにお悩みではありませんか?
「IQが20以上違うと会話が噛み合わない」という通説が意味する通り、話のレベルや前提知識が違いすぎると、互いに話が噛み合わないでストレスを感じてしまう場面は多いものです。とくに仕事では、理解力が低い相手を通すと途端に仕事が進まない事態が生じたり、説明し直す手間が生じるなど、ストレスの原因ともなってしまいます。
もちろん、社会人である以上は話が噛み合わないとでも上手く付き合うことは大事です。ですが、世の中には不思議と「理解が早くて助かる相手」や「話が弾み仕事もスムーズに進めやすい相手」もいるものです。
では、この両者には一体どのような違いがあるのでしょうか?
もし、読者が相手が頭が悪いと感じたり理解力が低いと感じているのであれば、それは自分自身の他人と関わり方や接し方を見直す時期に来ているのかもしれません。
なぜなら、仮にそう悩んでいる読者側が本当に頭が良かったとしても、結局のところは「自分が変わる」「相手に合わせる」方がスマートな選択肢だからです。少なからず、そう意識してコミュケーション方法を改善していくで、得られるメリットもかなり大きいです。
そこで本記事では、頭が悪い人と付き合っていて疲れる場面や心理をおさらいした上で、具体的にどのように対処すべきか、また、理解力が低いと感じる相手からも上手く理解を得てビジネスをより円滑に進めて成功させていくためのヒントを、まとめてご紹介していきます。
- 付き合ってて疲れる相手の特徴:話の噛み合わない人や理解力が低い人
- 他人の話をしっかり聞かない、意図や要望を汲み取ろうとしない人
- 自分の都合ばかり優先する、自分のことしか話さない人
- 他人の意見や提案を頭ごなしに否定したり、貶めたり批判しかできない人
- 質問にしっかり答えない、はぐらかしたり誤魔化す人
- すぐにわかった気になり知ったかぶりをする人
- 前提となる知識や教養が不足しており話が通じない人
- 話の主旨や論点を理解しない人
- 認識の齟齬や前提の違いのすり合わせを行わない人
- 議論や会議を進めない、決定を行わない人
- 事実と解釈をごちゃまぜにする人
- 自分で調べる前から他人に聞きこうとする人
- 自分の要望をハッキリ伝えることができない人
- 読解力が低い、文字情報のみから適切な行動を導き出せない人
- 効率の悪いやり方にこだわり続ける人
- 根性論ばかりで具体的な指示や要求が出せない人
- 関わって疲れる相手への適切な対処法のヒント
付き合ってて疲れる相手の特徴:話の噛み合わない人や理解力が低い人
仕事においてもプライベートにおいても「話の噛み合わない相手」もいれば「不思議と話が噛み合う相手」どちらもいるものです。
総じて言えば、前者は「人の話をしっかり聞かない/理解しようとしないクセして、わかった気になるのだけは得意」「わからないことがわからない」という傾向が強く、一方で後者は「わからないことを謙虚にわからないと受け止められる」「相手の意図や要望を汲み取り適切なコミュニケーションが行える」ことができます。
一見すると、これらのコミュニケーションは「スキル」とは思われませんが、実際には立派な「ヒューマンスキル(円滑な対人関係を築くためのスキル)」です。
もし読者が頭の悪いと感じる相手に疲れているなら、それは相対的に自分自身のヒューマンスキルが上である証拠かもしれません。なぜなら、前述の通りヒューマンスキルの低い人は「自分自身がわからないことすらわからない」からです。
ですので、ここで紹介するような「付き合ってて疲れる人の特徴」を参考にすることで、自分自身はそうならないようにコミュニケーション方法を改善することができますし、該当する相手に対しての最適なコミュニケーション方法を考えるきっかけにもできるかと思います。
ぜひ、自分自身のヒューマンスキルやコミュニケーション能力を向上させるための参考にご活用ください。
他人の話をしっかり聞かない、意図や要望を汲み取ろうとしない人
ビジネスにおいては「ヒアリング能力」「傾聴力」という言葉も意味する通り「聴く力」が求められます。
これは単に「聞くだけ」ではなく、
- 相手が何を言おうとしているのか?
- 相手がどのような感情や悩みを抱えているのか?
- 相手にどのような背景があるのか?
- 相手が何を求めているのか?
など、相手の話す内容や情報からその意図や要望を突き止めることが、真の意味で「他人の話を聴く」ことだと言えます。付き合ってて疲れる人や理解力が低いと思わせるような人は、おそらくこの「聴く力」が全体的に低いのだと思います。
自分の都合ばかり優先する、自分のことしか話さない人
他人の話をしっかり聞かない相手が行いがちなのが、自分都合ばかり優先して話すという行為です。
具体的には、以下のような言動が該当します。
- 他人の話を遮って、本筋とは関係ない自分の自慢話ばかりしてくる
- 自分の考えを押し付けるばかりで、他人の言い分を聞こうとしない
- 自分の意見や要望ばかりを主張し、他人の意見や要望をまったく受け入れない
- 申告な悩みを打ち明けても自分の話ばかりするだけで寄り添う意志がない
- あの手この手で言いくるめて自分都合を押し通そうとする
たとえば、友達同士での旅行計画で自分の希望ばかりを通して他人の希望を一切反映しないスケジュールを組むような人であったり、仕事であれば部下の意見や顧客の要望を無視して見当違いな決定を行うような人が当てはまります。
また、事務的な対応が多いお役所気質の組織なら「それは決まりだからできない」と一点張りの対応をしてきて聞く耳を持たなかったり、顧客都合を無視して売ることだけを考えている営業担当者であれば「うちで買わないと後悔しますよ」などと自分の利益しか考えていない言動を平然と行ってきます。
他人の意見や提案を頭ごなしに否定したり、貶めたり批判しかできない人
自分都合で話すだけなら実害は少ないですが、コミュニケーション面で他者へ悪影響を及ぼすのが「頭ごなしに否定する人」「他人を貶したり批判するしかできない人」です。
- 部下の意見を検討せず、即座に却下する上司
- 他人が新しい趣味や仕事を始めても否定的なコメントをする人
- 成功を収めた相手に対し、その功績を軽視し批判を繰り返す人
- アドバイスされても「それは違う」と一蹴する人
- 他者が心配しても、感情的になり拒絶する人
これらの批判が何らかの根拠に根ざしている場合ならともかく、大半の場合は「素直に受け入れたくない」「いちいち難癖つけておかないと気が済まない」とい理由しかない点で、非常にタチが悪く関わってて無駄に疲れる相手の特徴だと言えます。
そして残念なことに、管理職や上司など人徳やヒューマンスキルが求められる立場にありながら、このような態度で居続ける人物は非常に多く、部下のやる気や自発性を知らず知らずのうちに削いでいます。
質問にしっかり答えない、はぐらかしたり誤魔化す人
仕事において、未然にトラブルを防ぐために適切な質問を行わなければならない場面は多々あります。しかし、質問に対してしっかり答えない相手やはぐらかしたり平気でウソをつく人もいます。
- 仕事の進行や計画について質問しても、曖昧な答えしか返さない
- 間違いを指摘すると、その指摘を否定して話題をすり替える
- 事実確認を行わず、その場しのぎのでっち上げた回答を行う
- そもそも回答すらしない
この場合、質問に答えないこと自体が悪いというよりも、質問に対して誠実に回答しようとする姿勢がないことやはぐらかすことが当たり前になっているような態度の人物は高確率で不誠実であるという点で、相手してて疲れる原因となります。
たとえば、仕事で何らかの問題が起こった場合に事実確認すら行わないままはぐらかすような回答をしたり、何らかの要望を伝えたにも関わらず実際に動きもせず適当な回答を返してくるなど、回答内容そのものよりも経緯が不誠実なことが多く、相手に反感を与えます。
すぐにわかった気になり知ったかぶりをする人
前述の質問をはぐらかすことに加え、知ったかぶりをしたりわかった気になる人も、トラブルを起こす要因となります。具体的には以下のような例です。
- 「はい」「わかります」「そうなんですね」と相づちを打つが実際にはわかっていない
- 「要は~」とすぐに話をまとめて理解した気でいる
- 表面的な理解だけですべてを理解したように振る舞う
- 経験や知識があるのかのように振る舞うのが上手いだけの人物
これらは、会話を弾ませる上では有効なテクニックではありますが、話の内容を理解して何からの行動に落とし込まないといけない場面では、一見すると「話を理解した風に見える」ため、非常に厄介です。
このタイプの相手に悩まされている時の対処法ですが、シンプルに「この話を聞いた上でこれからあなたは行うべきことは?」などと、具体的な回答を要する質問を投げてみるといいでしょう。しっかり話を聞いてない人や自分で考えてない人を見分けられるようになります。
前提となる知識や教養が不足しており話が通じない人
これはとくに社内でのやりとりを円滑に進める上で、弊害となりやすい要素です。
仕事を円滑に進める上では、関係者全体である程度は共通の知識や教養を有していなければ、物事がスムーズに進められない事態に多く直面します。
たとえば、デスクワークの仕事でPCの使い方を知らない人に一から教えるのは負担になりますし、営業同士の商談なら互いの会社の状況や業界全体の知識を把握していなければ商談が滞ることは、想像に難くはないことでしょう。
話の主旨や論点を理解しない人
知識はあり、業界内の専門用語も知っているにも関わらず、なぜか話が噛み合わない人がいます。
これはおそらく「話の主旨や論点を正しく理解していない」からだと推察できます。
たとえば「どうすれば、売上を出せるか?」という会議をしている際に、細かな専門用語の定義の間違いについて指摘して議論をややこしくしたり、他人の過去の失態を指摘するなど人格否定をするような輩などが該当します。
また、自由にアイデアを出すための「ブレーンストーミング」段階で「それは現実的に可能なのか?」「それは思いつきではないか?」と見当違いの批判をしてくる輩も、話の主旨や目的を理解していないと言えるでしょう。
頭の良い人同士でディスカッションすると、この「話の主旨(目的)や論点を言われなくても理解する」能力が極めて高いため、前置きがなくても勝手にお互いの脳内で話を補完して議論や会話が進みますが、大半の人は話の目的や論点を事前に説明しても話がズレる傾向にあります。
ですので、前置きがなくても話の目的や論点を見つけ出せる人からすれば、そうでない人とのコミュニケーションは無駄に疲れると感じやすいかもしれません。
認識の齟齬や前提の違いのすり合わせを行わない人
異なる意見や前提がある場合、それらを確認したり、整理や調整しなければならないことがあります。
ですが、自分の意見だけを主張し続けるような人は前提が間違っていることに気づけなかったり、認めることができないため、認識の齟齬を埋め合わせることが困難となります。
加えて「譲歩する」「相手を立てる」ということを知らないため、頭の良い側や話がわかる人が折れるしかないという点で、相手してて疲れる一因となります。
議論や会議を進めない、決定を行わない人
公私ともに、集団で何を行うかを決めるに当たり「意思決定」が必要となります。そのような場面で生じる議論や会議が進まないことがあります。
具体的には、権限者が以下のような態度である場合、話が進まない事態が起こりやすくなります。
- 意見が分かれた際、どちらの意見にも同調しない
- 代案や意見を出さないで批判しかしない
- 責任者であるにも関わらず決定を行わない
- 結論を先延ばしにするばかりで建設的な議論が進まない
いわゆる「無駄な会議ばかりしている会社」はこれ例に該当するでしょう。
このケースの場合、本来責任を持って物事を決めるべき立場の人が責任転嫁していたり、参加者が消極的で他人に押しつけることしか考えていないため、積極的に意見できる人や仕切ることができる人の負担が増えます。
事実と解釈をごちゃまぜにする人
情報には「起こった事実」と「事実を解釈した情報」とが存在しますが、事実とは異なる「解釈」「感想」「噂話」を事実のように語って報告したり広める人も多いです。
とくに厄介なのが「他人の評価を下げるような噂話を流す人」や「他人の解釈や噂話を真に受けて信じるような人」です。そういった言動を行う人がコミュニティ内で影響力を持っていると、他人を貶めるような言動を行うものが過大評価されてしまうなど、実生活に弊害が出てきます。
また、このような人物は「どんな相手の発言であっても事実かどうか確認する」という考え方がないため、報連相(報告・連絡・相談)が適切でないことが多いです。
自分で調べる前から他人に聞きこうとする人
まずは自分で調べてみたりやってみて、そこでわからなくなって初めて相談してこない人も、相手すると負担が増えます。
たとえば、インターネットで簡単に調べられる情報をすぐに他人に聞いてしまうような人は、自分でまずは調べてみたり考える習慣がないため、親切に対応すると依存されがちです。
逆に自分でまずは調べてみたり考えて試すような人は、わからない場合の質問も具体的となるため、相談された場合も対処がしやすくなります。
自分の要望をハッキリ伝えることができない人
誰もが、自分の悩みや課題を明確に言語化できるとは限りません。自分の思いや希望をはっきりと断言せず、周りを困らせる人物もいます。
たとえば、レストランで注文する際、自分が何を食べたいのか伝えずに他人に決めさせる割には、後から文句を言うような人です。
このような人は、決まって「どっちでもいい」と主体性がなく曖昧な要望を出す割には、自分の思っていた通りにならないと後から不平不満を漏らしがちです。
相手の意見や要望を聞いて実現していく立場にある人にとっては、関わっていて非常に疲れる相手だと言えるでしょう。
読解力が低い、文字情報のみから適切な行動を導き出せない人
文書やメールから重要な情報を把握できず、誤解やトラブルを起こす人も一定数います。
ある調査によると、偏差値60以下の人は生活保護受給要件の記載された文書を読み解き、適切な事務処理を行うことが困難であるという結果もあるようです。それだけ、文書から何かを読み解いて行動に落とし込むのは高度なスキルであるということです。
効率の悪いやり方にこだわり続ける人
効率的な方法を試さず、無駄に手間のかかる方法や時間がかかる方法に固執し、挙げ句、そのやり方を他人に強要するような人もかなり多いです。
たとえば、昨今ではDXによって社内にも新しい技術やSaaSツールが導入されていますが、これらを活用せずに従来のやり方に固執したり、新しいツールを使いもせずに批判するような輩です。
また、こういった人物は「制作スピード重視の資料に対し、やたら文字フォントやデザインなど重要でない点に時間をかける指摘をしてくる」「フィードバックを求めているのに、見当違いな誤字脱字ばかり指摘し、本質的な指示はしてこない」など、目的と手段の履き違えを起こしやすい印象にあります。
根性論ばかりで具体的な指示や要求が出せない人
努力や精神論を重視しすぎて、実際に何をすべきかの指示や要求を明確に示せない人がいます。
何を改善すべきか具体的な指示できない割に批判的な言動はいっちょ前に行う上司であったり、ひどい場合には「根性が足りない」「努力が足りない」などと言い張るような、マネージャーとしての適切な指示を出すことを放棄しているような怠慢な輩です。
このような人物は、自分自身の過去の努力や苦労を成功体験として盲信しているので「残業した方が偉いし評価できる」「誤字脱字が多いのは真面目に仕事に打ち込んでいない証拠だ」などと、仕事におけるマインド面を強要する割には、実質的な指示や要求を出す能力は低い傾向にあります。
ただ残念なことに、このような精神論しか言えない人であっても、エスカレーター式に出世して役職に就いていたり、部下に理不尽な要求をして成果を出させるなどして、平然と会社に居座り続けることができるのが社会の現実なのです。
関わって疲れる相手への適切な対処法のヒント
上記のように、頭が悪いと感じる人や疲れる相手とも、上手いこと関わって適切にコミュニケーションすることが、社会人に求められる資質です。
加えて、上記のような特徴を持つ人物にも適切に対応できるようになることで、ヒューマンスキルが向上して「人を動かす力」が身につきます。疲れる相手とも無理なく円滑に付き合えるようになることで、自分自身の器量が広くなるということです。
ただ、ヒューマンスキルは一朝一夕で身につくわけではありませんし、相手によって適切な対応方法を考える必要があることから、一概に「これと言える正解」がない点でも、非常に身につけることが難しいスキルだと言えます。
しかし、関わると疲れる相手との適切なコミュニケーション方法を身につけた場合、公私ともに上手く動かせる相手が増えるという点で、得られるリターンは計り知れません。
ぜひ、ここで紹介するヒントを参考にしてみて、自分自身のヒューマンスキルを向上させてみてください。
「聴く力」を鍛えることに意識を向ける
何度も記事内で強調している通り、真の賢者は総じて「聞き上手」であり、愚者は「他人の話をちゃんと聞かない」ということは、おわかりいただけたかと思います。
若いうちはつい自分の意見や主張を他人に理解してもらうことに必死になりやすいですし、そういった姿勢は何も言わないようりは有効ですが、ある段階まで行くと「頼んでもないのに相手側から相談してきて意見を求めてくる」ようになってきます。
これは一重に「聴く力」が高くなることで得られる、見えないスキルだと言えるでしょぷ。
職場でもプライベートでも「なぜか他人に相談されたり頼られる人」というのは、普段はボケっとしていても、おそらくこの「聴く力」が非常に高いはずですので、細かな言動を観察してみてください。
なお、この「聴く力」ビジネス上では「ヒアリング能力」「傾聴力」などと呼ばれるので、関連する書籍を参考にして、意識して身につけてみるといいでしょう。
「鈍感力=スルー能力」を身につける
聴く力と同様に「鈍感力」、すなわち「他人の話をスルーする能力」も大事です。
おそらく、この記事にたどり着いて周りの理解力の低い人や話の噛み合わない人は、良くも悪くも課題意識や当事者意識が高く、周りの人の話や要望を受け止めすぎたり、あるいは一気に問題解決をしようと躍起になっているのでしょう。
ですが、そこまで行わずとも相手にとって「本当に必要なこと」だけ突き止めて対応するだけで、あっさり物事が上手く行くことも多いです。
そのためには前述の聴く力に加え、鈍感力も鍛える必要があります。
たとえば、相手がテンパっていてまだ考えたまとまってない段階で相談に来た場合は、一切回答を出さずに「相手に考えさせて答えが出るまで待つ」方が、結果として本人のためにも自分のためにもなることがあるのです。
また、鈍感力を鍛えることで「本当に自分がするべきこと」や「自分が積極的に意見したり行動するべきこと」の取捨選択能力も上がるという点で、周りの人間との付き合いに疲れた際には自衛の意味でも身につけておきたいヒューマンスキルだと言えるでしょう。
根回し能力を身につけ、話のわかる人を味方につける
「正論だけ言っても他人は動かないし変わらない」ということは、薄々、この記事を熱心にお読みの読者は気づいてるかと思います。
仕事などの利害の絡む話や、複雑なしがらみやジレンマが生じる場面では、どれだけ正しいことに対しても「YES」と言えないのが人間心理というものです。
ですので、そういった事態に直面した際に重要となってくるのが「根回し能力」です。
たとえば、直属の上司と仲が悪く話が是が非でも自分の話を聞かない場合は、より上の上層部に話を通した上で直属の上司に伝達するように仕向けたり、あるいは他の部署の上司を味方につけるといった立ち回り方です。
もちろん、このような状況の場合に「直属の上司とウマが合わないので…」とバカ正直に相談するだけではあまり効果は期待できませんし、最悪、直属の上司に肩入れしている人物に下手に情報提供すると自分の立場が危うくなる事態にもなりかねません。
ですので、第一に優先すべきことは「話のわかる相手を見つけ、味方につけておく」ことになります。
この根回し能力を身につけるためには、高い人間観察能力であったり、話を理解できる人物を見つけ出す能力が求められるため、非常に高度なヒューマンスキルを要しますが、周りに理解が得られないことに疲れているような読者にとっては、今後の他人との付き合い方や社内外での立ち回りを見直すにあたって、新たな視点になることは間違いないはずです。
適切な指示や要求を出すための思考法を身につける
他人の理解力不足を嘆く場合、フタを開けてみれば「周りが良き理解者ばかりだっただけ」というケースも珍しくありません。
単に自分が最適な指示や細かな要求をせずとも察して動いてくれる人物が多かったり、無意識に知識・教養レベルが低い人物が身近に寄り付かないように恵まれた環境で生きてきたなど、いずれにしても自分自身のコミュニケーション能力の不足の可能性は検討するべきです。
他人に自分の考えを伝える代表例としては「ロジカルシンキング(論理的思考法)」があり、MBA(Master of Business Administration – 経営学修士)のプログラムでも取り上げられていることで有名です。
これは「本人の頭の中ではロジカルに考えられていても、実際のアウトプットとしてはロジカルではない」と自省する意味で、一度再学習してみる価値はあります。案外、頭の良い人ほど自分の中で当たり前すぎる結論を言いがちで、他者にとっては論理的でなく説明不足の発言を日頃からしていたりするものです。
また、他人に指示をして業務に落とし込む立場になると、たとえ役職がマネージャーでないとしても「マネジメント」について理解していく必要が出てきます。このマネジメントですが「部下(プレイヤー)として優秀だった人ほど、他人に指導したり教える立場になるほど苦労する」というのが定説です。
マネジメントを直感的に理解する例文として、以下の文章を紹介します。
ケチャップは、ミートの上に、均一に塗りなさい。
そのあとで、ピクルスと玉ねぎをケチャップを塗ったミートの上に載せなさい。
これは、ハンバーガーショップのマネージャーがアルバイトに指示を出す仮定での、悪い指示の例です。
この文だけですと「ケチャップをチューブから出した状態で均一に塗るのか?」「それともケチャップを出した後にバターのように均一に万遍なく塗るのか?」が判断できず、読み手によって解釈が分かれてしまうという問題が出てきます。
頭の良い人や自立して判断できる人ほど、限られた情報からでも最適な行動を導き出せるがゆえに見落としがちですが、読解力や理解力の低い人にとっては「誰がどう読んでも(聞いても)、解釈違いが起こらないように落とし込んだ指示」でないと適切な指示とは言えない…というのがマネジメントの基本的な考え方となるのです。
このように、マネジメントを実践するにあたっては「相手に合わせた最適なコミュニケーション方法」を幅広い知識や着眼点で理解する必要があります。
以下の例文の引用元となる以下の書籍などを参考に、この機会に「マネジメントとは?」「リーダーシップとは?」を意識し、より高い視座で物事を考えるきっかけにしてみると、自分の今後のキャリアにとって間違いなくプラスになると思います。
どうしても無理な前向きな転職を検討する
上記までの対処法は、あくまで「自分自身ができる努力」であり、それだけでは職場環境や周りの人間を変えられない事態も現実的にはかなり多いです。
とくに組織においては、集団心理から多数派の意見が主流になりやすかったり、下の意見など聞く耳持たない上層部が多いのが常です。
そうでなくても、周りの人間と関わってて疲れるような職場環境では、以下のように自分自身が消耗していくリスクが潜みます。
- 自分自身のヒューマンスキルが低下する:周りに合わせることで低い次元での判断や仕事をしないといけない
- 会社全体が消極的だと骨折り損になりやすい:成果を出しても過小評価される、周りに妨害されるなど
- コミュニケーションの負荷が増える:マネージャーでもないのにマネジメント相当の業務をしないいけないなど
- 外部組織からのアプローチでないと改革は難しい:DXによるIT効率化はコンサル会社に頼っている、内部の意見を聞き入れない社風など
もし、読者の方がより上の仕事をこなしてみたいと望んでいたり、改革的なことや挑戦がしたいなら、今の会社でできないと判断した時点で転職の可能性も考慮しておくべきでしょう。
現に転職成功者の中には、
- 今の社内では理解が得られなかったが他の会社では理解が得られた
- 元の会社や業界に対しての課題に挑めるコンサル会社に転職した
- 話がわかる経営階級のもとで積極的に自分の意見や提案を採択されるようになった
など、元の会社や人間関係面で不遇な思いをしていたからこそ、転職先で高く評価され活躍の機会が得られたというケースも多数存在します。
もちろん、周りと話が噛み合わないからと言って理解を得るために自身のヒューマンスキルを磨き上げる努力を欠かしていいわけではありませんが、転職して模倣となる上司や先輩から学べたり、理解を示してくれる職場環境で自分の実力を思う存分発揮できるのであれば、それに越したことはありません。