「仕事を辞めるのがもったいない…」
そう考えている方は少なくありません。
とくに大企業・公務員といった「安定しているイメージの強い職業」の方がこの傾向にあります。
事実、大企業・公務員は世間の評判がよく、社会的信用も高いと言ってもいいでしょう。
そして、リストラされる確率の低い仕事だとも言えます。
しかし、そんな安定したイメージのある仕事ですが、実際は「安定しているとは言えない」ことに多くの方が気づくわけです。
なぜなら、社会的信用や地位があっても”心”は安定しないから。
むしろ、安定すればするほど、仕事は増え、自分を失い、何かを犠牲にしていくことに気づきます。
そして、中高年過ぎた後に「自分は何をやっているんだ?」「こんなはずじゃなかった…」と悔やむことになるんです。
「辞めるのがもったいない」と感じている人は、そうした将来を予感して、不安を抱えているはずです。
そこで今回は「仕事を辞めてしまうことを”もったいない”と感じてしまう人の心理」を説明した上で、失敗しない転職に仕方をご紹介していきます。
「退職がもったいない」と言われる理由とは?
「もったいない」という言葉は「MOTTAINAI」という単語で有名になるほど、日本人独特の考え方として非常に有名です。
その根本的な原因は「日本人は”貯金型思考”」であるからでしょう。「これからは投資が大事!」と言われているにも関わらず、多くの方が100万円まで税金のかからないNISAにすら手を出していないことからもわかります。
それぐらい、日本人は「貯金=蓄える=積み立てる」ことが好きなんです。
これには日本人の以下のような風習や文化が原因にあります。
- 地震・台風による天災の多い国で「もしもの時の蓄え」に敏感
- 農耕民族の風土があるので「貯蓄する」が基本的な考えとして根づいている
- 鎖国的で経済危機の可能性が低いので、銀行貯金の信用度が高い
- 家督性による「受け継ぐ文化」が根強いため、家庭単位での価値観が引き継がれやすい
とくに「家督性」がほぼ消滅したこの時代においても「親の意向」「家庭の事情」が職業選択に関わってくる事情は無視できないでしょう。ですので「職業選択の自由」が保障されているにも関わらず、多くの人が「親の意向」「家庭の事情」を配慮した生き方を選ぶわけですね。
日本人の仕事に対する価値観は時代遅れもいいところ
率直に申し上げますと、日本人の働き方に対する価値観は時代遅れもいいところだと感じています。
今年の就活事情から見てもわかりますが、大企業でさえ過労死・リストラが起こる時代においても、依然大企業人気は衰えません。
参考リンク:「大手・安定志向」鮮明に、就活生意識調査 マイナビ:日本経済新聞
それはなぜか?
多くの教師や親が、正社員終身雇用制度の時代の価値観から抜け出せていないからです。
たとえば、世間知らずな大人は「契約社員と派遣社員の違い」すら知りません。
どちらも「非正規社員」とは言われていますが、自分に合った働き方を選べば、企業側・雇用者側双方にメリットがある制度です。それも無期契約社員となって社会保障を受けられれば、正社員並みの待遇を受けることも可能です。
関連:契約社員と派遣社員の違い。派遣から契約は給料が下がる?断ったほうがいい?
にも関わらず、教師や親は「正社員という道が正しい」という教え方しかできないのです。それも「とりあえず大企業か公務員なら間違ってないだろう」という、非常に安易な考え方です。
大企業勤めでも激しい競争についていけなければ子会社・関連会社への左遷はあり得ますし、公務員などは年々業務負担が増えていく一方で職場環境は”安定”とは言えません。
そういった”大企業や公務員の悪い面”を教えないまま、学校や家庭は学生を社会に送り出すのです。そうした狭い価値観こそ、学生や若者の可能性を潰す結果になっていて非常に「もったいない」と感じます。
日本人は”もしもの時”の保険がないと行動できない
日本人は”もしもの時”に恐れる文化があるため、保険がないと行動できない性質を持ちます。
今も南海トラフ地震の分析に関するニュースがよく流れていますが、起こるかどうかわからないものに備えても、しょうがありません。
しかし、なぜか防災グッズは売れています。
それはなぜか?
”もしもの時”に手に届くところに自分の積み上げたもの(貯蓄・貯金)がないと、不安だからです。
そもそも、仮に大地震が起きたとして、
- 自分が家にいるとは限らない
- 家が無事がどうかはわからない
- 第一波で死んでしまったり、瓦礫の下敷きになれば防災グッズは無用の長物
…といった”他のリスク”は考えないわけです。
しかし、こと日本人は「”もしもの時”に持っておくこと」に価値を見出します。
前述したとおり「農耕民族」「家督性」と言った「受け継ぐ・蓄える」国民性ゆえの心理だと言えるでしょう。
人気作品「ポケットモンスターシリーズ」も、日本人らしい「もったいない思考」が出ていますね。2002年にリリースされたゲームボーイアドバンスの作品から最新作まで、捕まえたポケモンを引き継ぎ可能なんです。
また、ソーシャルゲームなどもほぼすべてが「集めたキャラやカードのデータはコレクションできる」というモデルがほとんどで、多くの日本人が「積み重ねていく」「失いたくない」という心理が強いかがよくわかります。
今まで積み上げてきたものがなくなってしまう恐怖に、日本人は滅法弱いのです。
転職に失敗するのが怖い人ほど「もったいない」と無責任に言う
実は「もったいない」という心理には、挫折や失敗が隠されています。
「大企業勤め」「公務員勤め」という肩書きは社会的地位も高く、たしかに国内でも安定した仕事だと言えます。
しかし、それでもあなたは「辞めたい」と考えています。
それはなぜか?
自分が「間違っている」と気づいているにも関わらず「いや、間違っていない。辞めるのはもったいない」というジレンマが存在するからです。
その結果、世間体や社会的信用を理由に「もったいない」と思ってしまうのです。
なぜなら、あなたが本気で今の会社を辞めたいのであれば「もったいない」ではなく「もっと挑戦したい」と思うはずだからです。
しかし、安心してください。
仕事を辞めても、今まで培ってきた経験や知識、積み上げた実績や経歴が消えるわけではありません。
「今の仕事を辞めたらすべてリセットされる」と考えるから「もったいない」と感じてしまうのです。
成功する人ほど「もったいない」を切り捨てている
仮にあなたが大企業や公務員として努力した上で「辞めて挑戦したい」と考えているのであれば、それは間違いない”自分自身の感覚”なのです。
学校では「将来設計」を教えてくれますが、たかだか10代の視野で「自分の目指すべき道」が見えるほど、社会も世界も狭くはありません。
今のあなたは成長して、より”自分の目指すべき道”が見え始めているのです。
「仕事を辞めるのがもったいない」と思う人に紹介したいのが、文豪としてお札に顔の載ったほどの偉人「夏目漱石」と「福沢諭吉」です。
夏目漱石は学生時代はとくに英語が優秀でエリートとしての道を順調に歩んでいました。その後、文部省から命じられイギリスに留学することに。現地で英文学を学ぶも、次第に神経衰弱を起こし、逃げるように日本に帰った経歴は密かに有名です。その後、日本語の魅力に目覚め、数多くの名作を残したことはみなさんの知るとおりです。
福沢諭吉は江戸時代は蘭学(オランダ語)を熱心に学んでいましたが、日米修好通商条約締結後の横浜にて、英語の看板が読めないことにショックを受け「これからは英語の時代だ」と悟り、瞬時にオランダ語から英語を学ぶことにしました。その結果、欧米諸国の思想を日本国民に広く知れ渡らせることとなった「学問のすゝめ」を発表したことは周知の通りです。
このような大人物でさえ「今まで積み上げてきたものが意味がなかった」という挫折を経験しているのです。しかし、それがかえって”自分の強み・成すべき道”を見つける結果につながりました。
挫折なくして、成功はありえないのです。
両者が「今まで勉強してきたんだからもったいない!何が何でも志した道で大成するぞ!」などと思っていたら、今は無名の敗北者だったかもしれませんね。
大企業や公務員という安定を捨てようと考えている方は、それに見合うほどの「大きな夢」があるはずです。安定を捨ててまで挑戦したい道があるというのに、挑戦しないのは大きな損失です。挑戦しないほうが「もったいない」と言えるでしょう。
「もったいない」と言われても最後は自分で決めることが大事
長々しくなってしまいましたが、最後にあなたにお伝えしたいことがあります。
いい加減、自分の気持ちに素直になったらでどうでしょうか?
多分、あなたはもう気づいちゃってるはずなんです。
「自分の人生、このままじゃつまんないじゃないか…」
「今まで、自分の足で歩いたことがないから自信が持てない」
「誰かに決められたレールを歩んでるだけだ…」
それに気づけたなら、もう答えは出ているんですよ。
おめでとう。ようやく本当の自分に出会えましたね。
もう世間体とか安定とか親の意向とかもしもの時とかもったいないとか、そんなもんは投げ捨てましょう。
自分を救えるのは自分だけなんです。
親でも大企業でも国でもありません。
お金や地位や会社のポストはくれるかもしれませんが、あなたが”本当に欲しいもの”はそこにはありません。
人生とは長い旅です。自分の見つけたいものを、探しに行きましょう。
ただし、失敗しないように慎重に
ただし「仕事を辞めてしまうのがもったいない」と思うような人は、慎重に仕事を辞めるべきです。
とくに大学進学から順調に就職したような人は「失敗の仕方」を知らないことが多いです。
かの武田信玄は「7割か8割で勝てばいい、負ける時も然りだ」と教訓を残しています。
負けや失敗を知っている人ほど「ほどほどに勝ってほどほどに負ける」という鉄則を知っています。
一方で、失敗経験の少ない安定志向の方は「100%で勝つ」と考えてしまいがちです。
100%成功する仕事の辞め方、転職先の見つけ方など存在しません。
間違っても、完璧な計画を立てて「仕事を辞めて、背水の陣で独立!」「今すぐ辞めて、自分らしく生きよう!」とは思ってはいけません。確実に失敗します。
なぜなら、今の仕事を辞めたいと感じている時点で人生設計が完璧でなかったことに気づいているから。
ですので「仕事を辞めることはもったいない」と感じている安定志向の人は、仕事の辞め方も慎重かつもっとも安定するやり方にした方がいいです。
ただし、意思決定は迅速に。
かの、ナポレオン・ボナパルトも言っています。
「じっくり考えろ。しかし、行動するときが来たなら考えるのをやめて、進め」
このような歴史的にも名高い知的階層のエリートが言っているように「失敗しないように挑戦する」という考え方こそ、実は成功の秘訣なんです。
ですので「もったいない」と思える心こそ、実はあなたの”強み”でもあるわけですね。
自信を持ちましょう。
転職エージェントを有効に活用しておこう
「仕事を辞めるのがもったいない」と感じている方は、転職エージェントというサービスでプロのキャリアアドバイザーに相談しておくことをオススメします。転職エージェントは在職中でも今の職場にバレずに無料で使えるので、リスクなしで利用できます。
とくに大企業勤め・公務員・高学歴などは、転職エージェントからすれば「上顧客」です。
なぜなら、経歴や肩書きだけで高く評価されるからですね。
ですので、じっくりと時間をかけて転職活動を行うことも出来ます。
ただしもう一度言っておきますが、意思決定は迅速に。
転職では決断力のない人は嫌われます。
転職情報を吟味すること自体は問題ありませんが、応募・採用の判断は「YESかNO」とはっきりさせなければいけません。というのも、転職先の企業は「辞めたことをうじうじ悩んで切り替えできない人材」は、必要ないからです。
また心のどこかで「もったいない」「やっぱり辞めたくない」という心理があると、面接でも意志の弱さが出てしまいます。そういった意味でも、転職エージェントでキャリアアドバイザーとの面談を重ねて「転職する意志」を強固にしておくべきでしょう。
重大な決定では、意見を集めたり会議をするなど、多くの人で何度も話し合って意思決定を行いますよね。それと同じことで、転職も一人で悩まず多くの専門家からアドバイスを聞くことが、決断するために必要な要素なのです。
つまり、一人で悩んでいても決断は下せないのです。
転職エージェントは、転職業者の運営方針やアドバイザーの意向によって提案内容も変わるので、複数利用が鉄則です。多数の意見を吟味しておくことで、より精度の高い意思決定ができます。
国内の主要転職エージェントはこの記事で紹介しています。
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転職エージェントは全て無料で利用でき、プロから客観的かつ現実的なアドバイスが利用できますので、面談を受けておくだけでも視野が広がります。折角の機会ですので、ぜひとも登録しておきましょう。
行動できず、チャンスを逃すことこそ「もったいない」と言えますからね。