「人手不足で疲れた…限界…」
「人が少ない職場でキツイ…」
このように、日本のいたるところで「人手が足りない…」と嘆かれています。
人手不足の職場では、
- 仕事量が増えるばかり
- 残業ばかりで休めない
- 新しい仕事を覚える時間がない
- 新人を育てる余裕がない
など、働く側にとってはしんどい状態が続きます。
そうなるのには会社組織の問題があります。
会社の経営がおかしいと、人手不足に陥り、現場に負担がかかります。
これが「人手不足の職場が生まれる理由」です。
何も考えないまま漠然と働き続けたり、働く会社選びを間違うと「一生、人手不足の状態から抜け出せない」という危険もありえます。
逆に、もし人手不足の職場が生まれる仕組みを理解できれば、
- 人手不足の問題を解消できる人材になれる
- 人手不足の職場を見抜いて快適な職場に転職できる
など、理想のキャリアを実現しやすくなることでしょう。
そのために必要な知識やヒントについて、この記事を通してお伝えしていきます。
人手不足の職場を辞めたいメカニズム
人手不足の職場をなぜ辞めたくなるのでしょうか?
そこにはいくつかの理由が存在します。
なんとなく感じる「このまま働き続けるとヤバい…」という危機感には、根拠があるのです。
その理由を3つの視点で見ていきましょう。
頑張ってる人ほど負担が増えていく
人手不足の職場には、従業員目線で見たら「頑張れば頑張るほど負担が増える」という問題が潜みます。
「できる人」に仕事が集中しやすいからです。
以下がその例です。
- 専門知識やスキルがある人でないとできない仕事があり、できる人に仕事が集中する
- シフト制の職場で、責任の強い社員や時間に融通が利くバイトの出勤日数が多くなる
- 仕事を早く終わらせると、追加で新しい仕事が増やされ、どんどん仕事量が増えるばかり
「できる人に頑張ってもらう」
当たり思えますが、多くの問題を引き起こします。
職場で一番仕事を早く処理できるAさんは、周りの2倍の早さで仕事ができます。
Aさんは自分の仕事だけでなく、他の人が間に合わない分の仕事も引き受けることになります。
初めは「みんなの役に立ちたいから」「早く終わらせて帰りたいから」「自分が無理をすればどうにかなるから」という気持ちから、頑張ります。
しかし、本来5人いないと時間通りに終わらない仕事が、4人でも終わるとみなされることで、地獄が始まります。
「Aさんがどうせやってくれる…」という考えが根付いてしまうと、周りは努力を怠るようになり、職場全体での生産性が低下します。
これでは、Aさんの不公平感が募るばかりです。
もちろん、他人の2倍の早さで仕事ができても、給料は周りと同じです。
そんな状況は長く続くわけがありません。
次第にAさんの仕事の質は下がり、ミスやトラブルも多くなります。
仕事に対する情熱やモチベーションも失われていき、ストレスも貯まり、イライラしやすくなります。
Aさんに対する評価は、以前までの努力は無視されて「怠け出した」「ミスの多いヤツ」と下がる一方です。
本来、期限内に仕事を終わらすために効率よく頑張ってた人ほど、最終的には損をすることになります。
これこそが、人手不足の職場が辛いと感じる理由です。
自転車操業状態でどうにもならない
自転車操業…つまり「ずっと自転車をこぎ続けなければならない=ペダルをこぐことを止めたら進まなくなる」ことも、人手不足の職場がしんどいと感じる要因です。
自転車操業とは、会社を経営するのにお金を借りなければならないが、そのお金を返し切れず、またお金を借りる…を延々と繰り返す状態を指します。
経営目線で考えます。
借りたお金で人を雇います。
年間400万円で1人雇ったとしましょう。
従業員1人あたり400万円以上の利益を出さなければ、会社は赤字です。
しかし実際には、新入社員が最初の1年間で400万円以上の利益を出すことは難しいです。
一方で、その社員が何十年も勤め続ければ、会社に数千万〜数億円の利益をもたらす人材へと成長していきます。
新人やベテランを上手く配置し、会社全体で利益を生み出すことで、1人あたり400万円以上の利益を生み出すようにしていくのが、基本的な経営の考え方となります。
もし経営が上手くいき、1人あたり倍の800万円の利益が出せれば、来年は2倍の人員に増やしたり、従業員のボーナスを増やすなど「余裕」が生まれます。
しかし、1人あたり半分の200万円しか利益を出せてないなら、従業員の仕事の量を倍にしたり、年収を下げるなどしなければなりません。
すると、会社に不満を待った社員が辞めていきます。
残った社員の仕事量は何倍にも膨れ上がり、キャパオーバーとなります。
利益が出なければ、社員の給料を上げられず、従業員の負担は増えるばかり…
これが「人手不足で従業員が苦しくなる仕組み」です。
そうならないためには、以下の2点を会社側が行う必要があります。
- 1人あたりの生産性が高くなるようにする(生産性が高い=労力をかけずに利益を出せる)
- 会社の商品やサービスの品質を高めたり、従業員を教育して長く働けるようにする
要は「人を雇う」「仕事を増やす」のではなく「仕事を減らした上で利益を出す」のが、理想です。
しかし、自転車操業となる企業は、真逆のことを行います。以下がその最たる例です。
- 新人を補充するも職場に定着せず、人の入れ替わりが起こり続ける
- 営業部門が、どう考えても終わらないスケジュールで仕事を受け続け、納期に追われ残業が増える
- 新しい店舗を次々出店するが、店長が足りず、まともに店舗運営できない
- 仕事の質が下がることでクレームや手直しが発生し、その対応に追われ、無駄な仕事が増え続ける
- 会社の商品が売れず利益が確保できないので安売りを行うが、その分の人件費がかかってしまい、利益も確保できない
いずれも営利企業としては、一見すると正しいように見えます。
しかし、実際には「新しい仕事を増やすことで利益を確保する」ことができなければ、延々と従業員の負担が増え続ける結果にしかなりません。
根本原因が「人を雇う」では解決しない
人手不足は、人を雇うだけでは改善しません。
にも関わらず、多くの企業が「人を雇えばどうにかなる」と短絡的な方法を選んでしまいます。
クレームが多発し、現場の負担が増えていたとします。
会社は、人を雇うことで対処しようとします。
元からいた社員からすれば、新入社員を教育する負担が増えるだけで、何の解決にもなってません。
むしろ、職場がギスギスしてベテラン社員も辞め出すなど、悪手ですらあります。
そもそも、クレームが起こる原因は、以下のような「商品・サービスの質の低下」にあります。
- 商品品質の低下:壊れやすい、使いにくい
- サービス品質の低下:従業員の能力が低い、部署をまたぐことで対応に時間がかかる、顧客が求めてるものが用意できない
このような根本原因を無視して人を雇うと、かえって人手不足が深刻になります。
アルバイトを雇ったにも関わらず、研修なしにクレーム対応させてしまうと、すぐ辞められてしまいます。
派遣社員やフリーランスを雇った場合も、教育に時間がかかったり、会社員とは常識や責任が異なるので調整の手間も増えます。
なので、本来は人を雇う前に「職場に必要な人材像を調査する」「今いる社員の負担にならないように仕事の仕方を変える」といった準備が必要です。
にも関わらず、会社側が「人を増やせばどうにかなる」と考え続けていると、いつまで経っても状況は良くなりません。
この「負の循環」とも呼ぶべき状態に気づかないことこそ、常に人手不足が続く仕組みです。
人手不足の職場を辞めたいと思ったらすべきこと
解説してきたように、人手不足の会社には「人を雇うだけでは解決できない問題」があります。
それは従業員1人の努力ではどうしようもないものばかりです。
ですので、辞めたいと思うのは自然なことです。
だからといって「会社の経営が悪い」と嘆いても状況はよくなりません。
辞めるにしても続けるにしても「なぜ人手不足の会社が生まれるのか?」を知った上で、状況を良くするために行動しなければなりません。
では、どうすればいいのか?
そのヒントをお伝えしていきます。
人手不足は「上の責任」と知っておく
ここまで解説してる通り、人手不足の問題は「上の責任」だということです。
ここでいう「上」とは「会社<業界<政府」というように、国全体レベルの話にまで広がります。
経営上の問題もあれば、少子高齢化という国ぐるみの問題もあります。
それを「自分一人が頑張ればどうにかなる…」で解決しようとしても、どうにもならないのは当然の話です。
むしろ、誰か1人の努力でどうこうしてしまうことで、かえって「人が足りなくてもどうにかなる」と上が勘違いしてしまいます。
そのことで、頑張る人ほど苦しくなり、会社や国も問題に気づかない…というのは、不健全な状態です。
なので、辞めたいと思った人が辞めるほうが、かえって社会のためになります。
人手不足で辞めたいけど言い出せない時は?
人手不足の職場では「辞めにくい雰囲気」があります。
自分が辞めると、残った社員の負担が増えるからです。
日本人は連帯責任感が強いので「迷惑をかける罪悪感」を感じるかもしれません。
しかし、そんなものは気にする必要はありません。
まず前提として、法律で従業員には辞める権利が保証されています。
法律の範囲内であれば、すべての労働者は「退職を申請して2週間経過すれば退職できる」という権利が与えられているからです。
退職届を出されたら、会社側は受理しなければなりません。
人手不足になってるのは、会社や国の責任です。
従業員はそれを現場の努力でどうにかしてる「貢献者」です。
にも関わらず、人として労いの言葉もない、昇給や待遇改善も行わないというのは、会社側が従業員に甘え切ってるだけに過ぎません。
そういった強い気持ちと自信を持ち、前向きに辞める考え方こそ、自分のキャリアを良いものへと変えていきます。
業界全体に詳しくなっておく
「人手不足の職場を辞めると次が不利にならない?」と不安な方もいるかと思います。
不利になるかはともかく、業界が同じままだとまた人手不足の職場に就くリスクは上がります。
人手不足の原因は、業界ごとに傾向や性質があるからです。
一方で、業界全体で人手不足ということは、それだけ「人材の奪い合い」が起きているため、働く場所を選べば高収入・高待遇になりやすいです。
具体例は、以下のような職種・業種です。
- 看護師:資格が必須、夜勤でハードな分、経験ある日とは高額な給与が提示されやすい
- 保育士:資格必須なため数が限られており、民間運営では高給のオファーもある
- 医者:医大に通う必要がある最難関職で勤務もハードなため、高年収でのスカウト求人が多い
- ITエンジニア:企業のデジタル化が進み需要は高いのに、供給が追いついてないため、高年収化している
- ゲーム業界:独自のプログラム技術、クリエイティブな才能やプロジェクト管理力など問われるスキルが高めで、需要が高い
- データサイエンティスト:AI・統計のような高度な専門知識が求められ、需要が高い
- 管理職・マネージャー:管理職を避けたがる人が多いため、需要が高い
資格が必須で社会に欠かせない看護師や保育士、IT化で需要の高いエンジニアなどが、とくに需要が高く年収上昇傾向です。
年収が高い職場には、それ相応の理由があります。
たとえば、保育士は薄給で有名ですが、それは国や自治体の財源により人件費が決まるからであり、民間企業が運営していれば、それだけで給料が上がります。
このように、業界全体に詳しくなっておき人手不足でない余裕ある職場を見極める必要が出てきます。
必要に応じてスキルアップも考慮
同じ業界内で転職しても、また人手不足で労働環境が改善されない可能性があります。
とくに「未経験で就けるがスキルが問われない分、離職率も高い職種や業種」に見られる傾向です。
具体的には以下のとおり。
- サービス業(ホテル業界、人材業、アウトソーシング業など)
- 飲食業界
- 小売業(コンビニ、スーパー、ドラッグストアの販売員・店長など)
これらの業種・職種に該当する場合、キャリアを見直して別の業界や職種に転職した方がいいでしょう。
たとえば「接客業→営業職」「小売店長→Webマーケティング」といった形です。
この際「職種は変えても業種は変えない」ことで、前職の知識を活かしやすくなります。
たとえば「アパレル店勤務→アパレル業界の通販サイト運営」といった形です。
経歴が一貫するので成功しやすくなります。
転職活動を行い人手不足の職場から抜け出す
ここまでお読みいただけた方は、仕事に対する目線がワンランク上になってることでしょう。
人手不足の職場でなんとかしてきた経験があれば、転職するだけで待遇改善や年収アップに期待できます。
経営目線で考えると「従業員がちゃんと利益を出せる会社=仕事の負担も減って年収も上がる」となるのは、何度も説明してるとおりです。
人手不足の職場で報われない努力をし続けるか?
余裕のある会社で悠々快適に働けるか?
それは「所属してる会社」だけで決まるのです。
所属してる会社を変えるのが、転職です。
転職は難しいものと思われたり、失敗すると思われがちです。
しかし、今回解説したような知識を身につけて計画的にキャリアを築いていけば、理想の働き方に近づくことができます。
そのためにも、転職サービスでプロに相談し、計画的に行動することが成功の第一歩です。
意外と知られていませんが、転職サービスでは多くの非公開求人が存在します。
非公開求人は、転職サービスに登録してプロにしっかりと相談できるような見込みのある人にしか紹介されません。
企業側も無数の応募の中から効率よく人を選びたいと考えています。
なので優良企業ほど、不特定多数が応募してくる求人サイトよりも、転職サービスでプロの紹介を経由した人材採用を行います。
こういった事実に気づかずに、無闇に求人応募し続けてると「人手不足だから募集してるだけ」という企業ばかりに応募することとなります。
それでは人手不足の職場から抜け出せません。
そうならないためにも、これから紹介する転職サービスを有効活用してみてください。