「東京から大阪へ転職したい…」
「関東圏の価値観や仕事観が合わない…」
「地方から大阪への転職を考えている…」
東京と大阪、どちらも都市部ということもあり、どちらで働くのも大差ないように思えますが、実際に住んだり働いてみないとわからない仕事観の違いや、住みやすさの違いが数多くあります。
そこでこの記事では、主に都内勤務(関東圏)から大阪(関西圏)への転職を考えている人に向けての情報をお伝えしていきます。

実際に働いてみないと
わからない違いを知ることで
大阪に転職すべきかどうか
判断しやすくなります
東京(関東)と大阪(関西)の仕事の違いとは?
東京と大阪で働くことの違いには、県民性や地域文化面の違い、物価や都心部へのアクセスのしやすさなど、日々の暮らしレベルで細かな違いがあるものです。
「関東人は見栄、関西人は人情」と言われるように、価値観の違いが仕事に求めるものやコミュニケーション方法の違いに表れることもあります。
ここでは、そういった東京と大阪の仕事観の違いについて紹介していくので、どちらが自分に本当に合っているのか判断するためのヒントとして活用してみてください。
また、「関東から関西に転勤して馴染めない」といった悩みについても、それぞれの文化的背景の違いを理解することで、解決の糸口が見つかるものです。
「転職後に関西の雰囲気が合わなかった…」という事態を避けるためにも、予め細かな違いを知っておくといいでしょう。
仕事で大事にすることや求められることの違い
東京を中心とする関東地域では、形式やルールを重んじる傾向があります。ビジネスシーンでは、正確性や効率性が高く評価され、組織の階層を尊重する文化が根強いです。
大阪を中心とする関西地域では、柔軟性や創造性を重視する傾向があります。人情味があり、相手との関係性を大切にする文化があり、ビジネスでは対人関係の構築が成功の鍵とされることが多いです。また、ユーモアを交えたコミュニケーションが好まれることもあります。
そのため、関東圏では「形式やルール、世間の常識を守れる人物=優秀」とされやすく、形式やルールを無視して独創性を出そうとする人物を「ルールを守らない人物=無能、抜け駆けしようとするズルい奴」とする雰囲気があるように感じるかもしれません。
一方で、関西圏では「独創的なアイデアを出したり自己主張をする人物=優秀」とされやすかったり、形式やルールを無視しても本質を守れていれば評価される風土があるかもしれません。
関西圏では吉本興業に代表されるお笑い文化が盛んであったり、カプコンや任天堂のような世界的なヒット作を生み出すゲームメーカーが本社を構えていたりと、独創的なアイデアが生まれやすい風土が存在するように思えます。
また、都内に本社を構える広告代理店であっても、大阪支社の主要メンバーが企画を考え、事務的なことは都内本社が行っているといった話も聞きます。
一概に、これらすべてを「関東と関西の違い」としてしまうのは強引かもしれませんが、地域性の違いによって仕事で求められる役割の違いが生じたり、評価基準が変わるということがあるという点で、転職先を決める要因の一つとして着目してみると自分に合った働き方を見つけ出すヒントが得られることでしょう。
仕事や人生に対するモチベーションの違い
前述の通り、「関東人は見栄、関西人は人情」と言われます。
関東人は「見栄」を仕事や人生にも求める傾向があり、たとえば、以下のような「ステータス」が仕事で重要なモチベーションとなることがあります。
- 所属している会社が有名企業
- 年収が高い
- 役職が高い
- 著名人と一緒に仕事した
- 港区やタワマンに住んでいる
仕事での他人の判断軸も、実際の能力ではなく、肩書きや所属企業・業界などによって判断されることも少なくありません。
一方で、関西人は「人情」を重んじる傾向が強かったり、元は大阪が商売人の街だった歴史もあり「安く値切って買う」ことを重視する文化が根強く残っています。
その影響か、大阪では主要駅となる梅田・難波・天王寺付近でも低単価の大衆店が点在していたり、観光街として有名な新今宮付近でも平気でホームレスが寝転んでいたりなど、さほど見栄を気にしない価値観が反映されている光景が見られます。
一方で、資本主義的な競争社会での「勝ち組」の象徴として、丸の内・六本木・新橋のようなビジネス街の本社オフィスに出勤することが一種のステータスともなるのが東京的な「見栄」の文化だと言えます。
そういった価値観を端的に示す言葉として「都落ち」という概念もあるほどです。
都落ち(ミヤコオチ)とは?
- 都会で夢やぶれ、地方に戻ること。
- 都を追われて地方に逃げて行くこと。
- 大都会、特に東京から地方に転勤すること。
出典:都落ちとは|コトバンク
東京都内から他地方で働くことを「都落ち」と蔑む価値観があることは、逆説的に言えば「東京都内で働くことがステータス」「東京外で働くことは負け組」という価値観が無意識にある証拠だとも言えるでしょう。
しかし、現代では働くことに求める価値観も多様化しており、在宅ワークの普及で都心部で働かずとも高年収を実現可能な職種も増えています。
そのため、関東圏で働くことに見栄やステータスにさほど魅力を感じない人にとっては、関西圏の見栄を気にせずに多様性を受け入れる文化風土が肌に合う可能性は高いと言えるかもしれません。
コミュニケーション方法の違い
関東人と関西人では、公私ともにコミュニケーション方法についても大きな違いが見られます。
たとえば、関東圏ではビジネス上でも大半の人が標準語で話して自己主張が嫌われやすい雰囲気がありますが、関西圏ではビジネス上でも関西弁を使う人も多いです。
これを「親しみやすい」「気さく」「堅苦しくない」と感じる人は関西圏のコミュニケーション方法が合っているとも言えますし、「馴れ馴れしい」「周りに合わせない」「うるさい」と感じる人は関東圏の控えめなコミュニケーション方法の方が肌に合っているかもしれません。
また、関東圏では「必要なことだけを伝える」「正しい敬語や言葉を用いる」といったその場の雰囲気や形式を守ったコミュニケーションが好まれるのに対し、関西圏では「ユーモアを交えて伝える」「(関西弁や京言葉など)独特な言葉を用いる」といったコミュニケーションが好まれます。
よって、関西圏では「特定のコンテクスト(背景や前提)を知ってると盛り上がる話」が好まれ、関東圏では「一定の形式や手順を守った上で話す」ことが好まれやすいです。
コミュニケーション方法だけでなく、人の距離感や関係性の築き方にも地域性による違いがある点に注意です。
関東圏は他者に対して表面上は無関心であまり踏み込まないのに対し、関西圏では初対面でもフレンドリーな付き合い方を用いて踏み込んでくる人も多いです。

大阪が人情の街と
言われる所以ですね
一方で、関東圏は一度関係を築いた相手と親密さを求めるのに対し、関西圏は親密な相手でも一定以上は踏み込まない側面があります。
ですので、深い関係性を築く際に、関東圏のコミュニケーションを「ベタベタしている」「陰湿」と感じる人にとっては、関西圏の初対面ではフレンドリーながらも一定の線引きをする付き合い方は、心地良く感じるかもしれません。
まとめると、
関東圏:表面上は他人に無関心で冷たく、初対面時も腹を探り合うようなコミュニケーションを好む。一方で、深い関係性になると親密さを求め、無遠慮になったり必要以上に他人の領域にズケズケ踏み込んでくる。また、一定のコンテクストを要する会話よりは形式的な会話を好む。
関西圏:表面上は初対面の相手でも気さくに接したり、腹を探り合うよりも率直に踏み込んだり思ってることを言い合うコミュニケーションを好む。一方で、深い関係性になっても一定の距離を置くことを望んだり、仲良くなったからといって無遠慮になるようなことはしない。また、形式的な会話よりはユーモアあふれる会話を好む。
といったコミュニケーションの違いが見られます。
もちろん、コミュニケーション方法は地域性だけでなく、生まれや育ち、職業上の価値観や最適なコミュニケーション方法など、様々な要因から人それぞれとなりやすいものです。
よって、必ずしもここで紹介したいようなコミュニケーション方法がすべての関東・関西人に当てはまるわけではありません。
しかし、関東・関西におけるコミュニケーションの違いを知っておくことで、自分と近しい価値観の職場やコミュニティを見つけ出すヒントにはなるかもしれません。
近隣県のアクセス状況の違い
東京・大阪のような都市部で働くことを考える際には「都市部へのアクセスのしやすさ」も重要な要素となってきます。
関東圏なら「1都3県」とも呼ばれるように、東京都だけでなく神奈川・千葉県・埼玉県も勤務地候補になります。また平均的な年収の場合、住む場所もいわゆる「ベットタウン」として近隣県も候補にする必要があります。
関西圏の場合、大阪市内にはJR環状線だけでなく、御堂筋線や谷町線のような地下鉄が数多く存在するため、大阪市内のオフィス街へのアクセスはかなり良好です。
また、近隣である兵庫や京都へも大阪梅田から電車で数十分圏内のため、かなりアクセスしやすいです。大阪市南部の難波・天王寺からは奈良県や和歌山県にもアクセスできます。
そのため、関西圏は外回りの多い職業でもアクセス面の心配はないですし、勤務地・居住地の選択肢も多いと言えます。
また、大阪府内だけでなく、兵庫県は神戸・三ノ宮、京都府にも魅力的な企業が数多く存在するため、関西圏全域が勤務地候補になる点でも、東京都内一強の関東圏とは違いを感じる部分になるかもしれません。
平均年収や生活コスト・物価の違い
東京都に比べると大阪府は平均年収はやや低めの傾向にあります。
その分、大阪府は物価や家賃が東京都内よりは低めで、生活水準次第では関東で働くよりは無駄な支出が減らしやすいです。
たとえば、東京都内で言えば「山手線内部」に相当する「環状線内部」であっても、大阪では地価や賃貸料が安い物件があったり、昔ながらの定食屋や格安スーパー・商店街が数多くあるため、生活の工夫次第で食費を浮かすこともしやすいです。
また、何かと大阪府の政治は話題となりやすいですが、至る所に行政の支援が行き届いている点で、住みやすさも感じます。
大阪への転職を成功させるためのコツ【計画や行動方針】
ここからは東京から大阪、あるいは地方から大阪への転職を考えている方に向けて、実際に行うべきことや考えておくべきことについて紹介していきます。
【退職前に】社内異動や転勤で関西勤務が実現できないか考える
大阪へ転職する前に、まず今の会社内で転勤や異動によって関西勤務が実現できないかを検討しておくといいでしょう。
とくに全国区にオフィスのある大企業であれば、案外、希望するだけで関西へ配属されることもあるものだからです。あるいはオフィスが関西に存在しない会社であっても「グループ会社内で出向」「関西圏にオフィス進出の事業計画がある」といった、組織内でのチャンスが得られる可能性もあります。
仮に転職するにしても「今の会社で関西勤務が実現できないか?」と考え、今の会社の規模や経営状況、業界事情について自発的に調べて詳しくなっておくだけでも、転職する際の志望動機や求人選びの解像度も高まります。

まずは今働いている自社について
知っておきましょう
大阪へ転職する理由や動機をハッキリさせておく
「なぜ、東京から大阪へ転職する必要があるのか?」についてしっかりと考え、退職理由や志望動機として言語化することが、キャリアで成功するための近道となります。
転職失敗の事例でも多いのが「志望動機が曖昧なまま”なんとなく…”で転職してしまった」ことにより、希望しない会社や職種に就いてしまい、待遇も収入も下がってしまうというパターンです。
単に「東京で上手くいかないから次は大阪で…」という理由だけでは、大阪の会社で働く必然性に欠けてしまいますし、自己分析してみると案外「別に大阪でなくても良い」ケースもあるものです。
志望動機を十分に説明できないうちに安易に転職してしまうと、求めている人物像が明確な採用力のある優良企業には採用されず、人手不足で「働ければ誰でもいい」というような会社にしか受からず、キャリア的にも不利になってしまうのです。
また、シンプルに「旅行などで大阪や関西に来て現地に雰囲気を味わっておく」「大阪の知り合いを増やして話を聞く」などして、大阪や関西の土地勘や人間性をあらかじめ知っておくことも重要です。
転職では経歴やスキルだけが評価されるように思われがちですが、意外と「関西圏の人の方が話が合う」「関西に訪れるうちに街の雰囲気が気に入った」という動機や実体験も、面接時に効果的にアピールできる場合もあります。
[コメント]実際に大阪に訪れてみて
本当に住むべきかどうかを
事前に見極めましょう
大阪への転職だけでなく、勤務希望地を関西全体で見ておく
大阪だけでなく、関西圏全体で見る視点も大事です。
大阪以外にも神戸・京都も数多くの魅力的な企業が存在し、大阪からアクセスもしやすい立地となるため、選択肢に入れておくといいでしょう。
引っ越し費用やスケジュールを確保しておく
退職するにしても転職するにしても、計画性があればあるほど次も上手くいく可能性は高まります。
仮に東京から大阪、あるいは地方から大阪に転職するにしても、引っ越し費用や時間の確保が必要となります。
引っ越し費用は繁忙期だと30万円以上かかることもありますし、キャリアが長く所有物が多かったり家庭持ちですと、さらに引っ越しにかかる費用や必要な事務手続きも増えて、転職するまでに時間的な余裕が必要となります。
独身で単身世帯ならスムーズに引っ越しできる場合もありますし、退職しても十分生活できる余裕があるなら退職してからじっくる転職活動や引っ越し準備を行うこともできます。
逆に貯金がない場合は、住み込みで働ける仕事も転職時の希望条件として必須になり、職業の選択肢が狭まるかもしれません。
いずれにしても、自分自身の経済状況やライフスタイル、在職中かどうか、現職と並行して転職活動する時間が確保できるかどうかなど、転職を成功させるための条件は人それぞれになります。
一概に転職には「これが正しい!」といった方法はないため、まずは自分自身の置かれた状況を整理し、転職のための現実的なスケジュールを立てる必要があります。
転職が現実的に可能な経歴やスキルがあるかを見極める
転職する際に多くの人が不安に感じるのが「本当に自分のスキルや経歴で十分な転職先があるのか?」「転職しても良い会社や合う会社に就けるのか?」といった要素です。
転職は一種の「市場(マーケット)」でもあるため、需要の高い職種やスキルがあれば求人の選択肢が広かったり、若ければそれだけで有利になるなど、様々な要因が存在します。
逆に「前職より高い年収が絶対条件」「ホワイト企業でなければNG」と理想が高くなってしまうと、現実的な判断ができずに転職が厳しくなってしまうこともあります。
そのため、転職を成功させるためには「自分の経歴やスキルを客観的に把握する」「自分の経歴や年齢で転職可能な求人傾向を知っておく」ことが重要となるのです。
極論、転職市場でも引く手数多な経歴やスキルがあれば、それだけで大阪への転職は現実的になりますし、希望年収も現実を見据えた条件なら転職の難易度は下がりやすいです。
そういった「転職のリアルを知る」意味でも、これから紹介する優良転職サービスを有効活用しておくことで、転職活動で失敗するリスクを下げ、現実的な転職の計画を練ることができるでしょう。


