「デパート勤務がしんどいと感じる…」
「百貨店に販売員として勤めてるけど辞めたい…」
「百貨店に正社員として採用されたけど辞めたい…」
「百貨店を辞めて転職したいけど次が見つかるか不安…」
このようにお悩みではありませんか?
百貨店業界と言えば、三越伊勢丹、大丸・松坂屋・パルコ(J.フロントリテイリング)、阪急阪神百貨店(エイチ・ツー・オー・リテイリング)、そごう・西武、高島屋、ルミネ、OIOI(丸井グループ)などが有名です。地域特化型の百貨店には、松屋(銀座・浅草)、天満屋(岡山)、大和(北陸)、井筒屋(北九州)、さいか屋(神奈川)、藤崎(宮城)、丸広(埼玉)、福屋(広島)、鶴屋(熊本)、山形屋(鹿児島)などがあります。
また、百貨店は駅前立地が多いこともあり鉄道会社グループ傘下経営の場合もあります。近鉄百貨店、東急百貨店、東武百貨店、小田急百貨店、京王百貨店、名鉄百貨店、京阪百貨店などがその例です。
このように、会社/店舗名の知名度や、駅前立地により華やかに見える百貨店業界ですが、1998年以降は業績が右肩下がりの衰退傾向にあり、その証拠に経営の難しくなった有名百貨店の買収や閉店などのニュースも相次いでおります。
対策として、多くの百貨店では富裕層をターゲットにした販売戦略を行うなどしていますが、顧客層の高齢化という根本的な問題も抱えています。
以上、百貨店勤務が辛いと感じている一社員には関係ないと思えるような話が続きましたが、業界全体の問題や経営上の課題は現場スタッフにまでしわ寄せとして押し寄せてくるものです。
たとえば、百貨店全体で富裕層向けに展開していけば、自ずと求められる接客スキルから商品知識まで高度になりますし、若者向けよりは高齢者向けの販売スキルが求められることになります。
また、百貨店勤務として辞めるか続けるかを考えるしても、業界全体の問題を知らなければ先行きを予想することもできませんし、自分が合わないと感じている要素を会社が大事にしているのであれば、今後も考えい方や価値観の合わない会社や社員との間で働き続ける可能性が高くなります。
そこで本記事では、百貨店業界全体の状況の分析も交えた上で、百貨店を辞めたい理由やその原因、辞めるべきかどうかの判断基準、また実際に辞めたい場合の転職先候補まで、読者の知りたい情報をまとめてご提供していこうかと思います。
百貨店で働いててきついと感じる瞬間
仕事できついと感じる部分や辛いと感じる理由は人それぞれですが、百貨店勤務は他の接客業/販売職特有の辛さに加え、高級志向特有の辛みが生じることが多いかもしれません。
また、百貨店/デパート業界が衰退の傾向をたどる中、過去に功績を残した高齢層の経営陣や上司と考え方が合わなかったり、時代遅れだと感じる経営方針が目立つなどの要素も、辞めたい理由の一つとなるかもしれません。
どういった理由にしても、ただでさえ離職率が高く忙しい状態が続きやすい接客業・販売職としての性質を持ちながら、高い商品知識や高級志向の顧客対応が求められる点で、百貨店勤務は客観的に見ても辛い仕事だと言えるでしょう。
以下に、それぞれ辛いと感じる要素やその原因や背景を解説していくため、読者ご自身の置かれた状況と照らし合わせながらご参考ください。
求められる接客レベルが高水準
百貨店勤務で辛い部分と言えば接客対応のしんどさでしょう。
百貨店は店のイメージもあって、高レベルな接客対応が求められるため、売り場にいる時は常に気を張っておかなければいけません。
また、基本的な接客対応やクレーム対応だけでなく、扱っている商品の専門知識の吸収、ノルマを達成するためのセールス力など、総合的な接客力を求められるのも百貨店勤務の辛いところです。
接客対応がしんどい証拠として、接客・サービス業の離職率は他の業種と比べて高い傾向があるので、接客対応が嫌になっている方は以下の記事も参考にしてみるといいでしょう。
取り扱い商品に対して高い知識レベルを求められる
百貨店勤務のつらいところは、ただでさえ忙しい中で商品知識を身につけなければならないところでしょう。
とくに以下のような店員の場合、専門性の高い知識を求められることとなります。
- アパレル店員
- 化粧品店員
- 食品店員
社内研修がしっかり行われているならともかく、多くの場合は自己学習で商品知識を身につけなければならないどころか、ひどい場合には自腹で商品を購入しなければならないこともあります。
扱っている商品が好きでもなければ、仕事の都合でプライベートの時間や出費が強制されてしまうことは、地味にストレスと感じる要素だと言えるでしょう。
人手不足/人の多い立地の出店/複数業務並行による忙しさ
百貨店勤務では、人手不足や人の多い立地による出店、そして複数の業務を並行して行うことが多く、その結果、混雑さを感じることがあります。
百貨店は多くの顧客が訪れる場所であり、必要に応じては多くのスタッフが必要です。 しかし、人手不足や労働力の確保が難しい状況もあり、限られたスタッフで多忙な業務をこなさなけれ人手不足による負担は、仕事量の増加や休日出勤の要求などとして現れることがございます。
また、百貨店が人の多い場所に出店している場合、ショップ内には多くの客があります。それに伴い、接客や販売業務が多く、混雑しさが増加傾向にあります。には、スタッフ全員が迅速かつ効率的に業務をこなさなければなりません。
無茶な売上/販売ノルマを課されるプレッシャー
百貨店の中で、販売員や店舗オーナーとして働く場合、店の売上や販売数といったノルマを達成しなければならないことがあります。
で販売員として勤めている場合は、ノルマに追われることも珍しくありません。
百貨店内の販売店がノルマに追われるケースで多いのが、商品メーカーから販売ノルマを課されるということです。
とくに仕入先との契約条件に販売目標が含まれる場合は、強引なセールスを強要されることもあり、好きなように商品を売ることができなくなります。
これは好きでもない商品を売ることに罪悪感を感じる人からすれば、非常にストレスになることでしょう。
また、販売ノルマに追われるということは、ノルマが達成できなかった場合に上司や外部企業から責任を問い詰められることにもなりやすく、これも人によってはストレスと感じやすいかもしれません。
異なる立場での社員との確執や上司との世代間ギャップによるストレス
百貨店に勤務する場合、アルバイトから派遣社員、契約社員・正社員と様々な立場の人たちが同じ現場で働くこととなります。
ですので、アルバイトと社員とで仕事に対する責任感や意識の差があったり、派遣社員と正社員側で業務内容の線引きができておらず、イライラしたりトラブルになることもあります。
百貨店では高い品質のサービスや接客を提供することを求められ、その厳しい環境を生き残ったベテラン社員の中には、強いこだわりを持つばかり、社内の人間に対しても同様の厳しさやストレスを向けることもあるでしょう。
たとえば、アルバイトとして採用されたにも関わらずベテラン社員同様のプロ意識や高い接客レベルを求められたり、メーカーから派遣されて店舗で販売をしているにも関わらず百貨店特有の価値観を押しつけられるなど、必要以上のプレッシャーをかけられる場合があります。
また、どこの職場でもある話ではありますが、
- 他人を見下したような態度で叱責してくる上司やエリアマネージャー
- 後輩や新人をいびらないと気が済まない先輩
- 細かいことでねちねち指摘をしてくる先輩や上司
といった人物と、運悪く同じ職場内で勤めなければならないこともあります。
こういった仕事における人間関係のストレスはどこにでもあることですが、とくに色んな契約形態の社員や年齢層の社員が混ざる現場では、自分と価値観や仕事観が違いすぎる人と同じレベルを求められる苦痛は耐え難いものとなります。
ただでさえ、顧客対応でストレスが多い仕事なのですから、同僚や先輩、上司との関係でのストレスに耐えられないなら、配属を希望したり休職するか、それでも無理なら転職を考えるなど、早めに対策しておくに越したことはないでしょう。
店舗管理/売上ノルマ/現場仕事の両立による激務(社員の場合)
百貨店での店舗管理や売上ノルマの達成は、社員にとって大きな責任とプレッシャーを伴うものです。 特に現場仕事を担当する社員にとっては、日々の業務の効率化や売上目標の達成を追求しなければなりませんありません。
店舗管理の難しさは、多様な業務を同時にこなさなければいけないことにあります。例えば、商品の仕入れや在庫管理、陳列の計画や実施、売上分析、スタッフの管理や教育など、さまざまな業務を担当これらの業務を効果的に管理するためには、計画性や組織力、コミュニケーション能力が求められます。
さらに、売上ノルマの達成も重要な課題です。売上目標を達成するためには、販売戦略の進め方や効果的なマーケティング活動、顧客サービスの向上などが必要です。これによって、商品の売上を最大化する、競争力を維持することが求められます。
また、現場の仕事を担当する社員にとっては、日々の業務と売上ノルマの達成を両立させることが難しい場合もあります。休日出勤や残業が増えることもあります。これによって、プライベートの時間や精神的な余裕を確保することもあります。
不定休・不規則な勤務時間による生活リズムの乱れ
百貨店は営業時間が長く、一般職とは真逆で週末や祝日が忙しくなったり、シフト制により勤務時間や休日が不定期になりやすいです。また、繁忙期はゴールデンウィーク、お盆、正月などの連休シーズンとなります。
そのため生活リズムが乱れやすかったり、大型連休にプライベートの時間が確保できないなど、仕事に自分の時間を拘束されている感覚を抱きやすいかもしれません。
さらに、百貨店をはじめとする接客業・販売職の現場の多くが人手不足で悩まされており、忙しい時に休みを取りにくい雰囲気もあります。
そのため、プライベートでも家族や友人と時間を確保しにくかったり、まとまった休日を取れないことから旅行やイベントなどの趣味に時間を費やせないなど、ワークライフバランスの悪化を招くことがあります。
これは百貨店の営業時間が決まっている以上、現場での販売員や店長クラスとして働くうちは解決しにくい問題だと言えます。
求められるスキルや忙しさの割に給料が低い
百貨店勤務では、求められるスキルや業務の忙しさに比べて給料が低いと感じることがあります。
百貨店の経営方針や競争状況によっては、人件費削減や低価格競争の影響で賃金水準が抑えられることあります。
百貨店勤務では、接客スキルや販売スキル、商品知識、顧客対応など様々なスキルが求められます。
また、繁忙期やセール期などは忙しさが増し、多くの仕事をこなさなければなりません。その給料が十分に見られているとは感じられない場合もあります。
百貨店勤務に向いてない人や辞めて良かったと思える人の特徴
百貨店勤務は高級志向の経営方針やハイレベルな顧客対応が求められるため、自分の性格やライフスタイルによっては辞めてよかったと思えるかもしれません。
ここで紹介する特徴はあくまで代表的な例や考え方の一つで、必ずしもすべての人に当てはまるわけではありません。最終的には読者自身の資質や適性によりますので、参考程度にお読みください。
高級志向の経営方針や顧客対応についていけない
百貨店は、高級志向の経営方針を持ち、上質なサービスや商品を提供することが求められます。
顧客への丁寧な対応や高品質な商品の知識が必要とされますが、一部の方高級志向な文化や細やかな顧客へのサービスへの適応が誠実、ストレスや疲労を感じることがあります。
また、厳しい顧客の要求や文化に馴染めず、自分自身の能力やパーソナリティが活かせないと感じることもあるでしょう。
また、そもそもの接客自体が苦手な人は、高い接客意識が求められる百貨店勤務は苦痛に感じても仕方のないことでしょう。
自分の時間や精神的余裕を確保したい
百貨店勤務は忙しい業界であり、長時間労働や不規則な勤務体制が求められることもあります。
また、季節やイベントによっては忙しい時期が集中することもあります。
これにより、自分の時間やプライベートのまた、精神的な余裕を持ちたいと考える人にとっては、百貨店勤務はストレスがたまりやすい環境となるかもしれません。
時間や心の余裕を重視する人にとって、他の分野や業界への転職を検討する方が適しているかもしれません。
百貨店業界の将来性は?無理に働き続けた末路はどうなる?
百貨店業界は年々業績が下がっており、他の業界と比べても非常に年収が低いです。
以下のデータのように大手の百貨店勤めであっても平均年収は低い傾向にあります。
百貨店業界の平均年収
40歳モデルの業界平均:452万(業界比較・ワースト2位)
高島屋/695万円(45.7歳)
松屋/605万円(43.6歳)
近鉄百貨店/450万円(42.8歳)
パルコ/762万円(42.8歳)
今後も業績が下がっていくことを考えると、今の20代・30代は将来的にはあまり高い年収は見込めないと言ってもいいでしょう。
今後のキャリアや将来について考えるのであれば、百貨店勤務を長く続けるデメリットは決して無視できません。
百貨店・デパート業務の将来性に関しては、以下の記事でも解説しています。
百貨店を辞めたい時はどうする?辞めた方や退職理由の伝え方は?
百貨店を辞めたい時に具体的にするべきことや、誰に辞めると報告するべきか、適切な退職理由の伝え方まで解説しています。
雇用関係や勤務形態を明確にしておく
百貨店を辞める際には、次の雇用関係や勤務先を確保しておくことが重要です。
というのも「百貨店勤務」と言っても、実際に自分を雇っている会社が百貨店か働いている店舗の運営会社か、あるいは派遣会社かによって、誰にどう退職理由を伝えるかが変わってくるからです。
たとえば「高島屋のロレックスで働いている」として「高島屋に雇われているのか?ロレックスで雇われているのか?それともまったく別の派遣会社か?」によって、退職の方向性がまったく異なってきます。
また、雇い主である会社だけでなく、雇用形態や契約書内容によっても一概にどのように辞めるべきか正解かも異なってくるため、下記に雇用契約形態ごとに退職の方向性を記していきます。
アルバイトとして百貨店を辞めたい場合
基本的には直属の上司となる店長・店舗オーナーに退職したい意向を伝えるのが最善でしょう。
念のため、入社時にサインした雇用契約書より、契約主である会社名と実際に勤務している店舗名が一致するか確認しておきましょう。
退職手続きが難航するとしたら、自分ではアルバイトと思っていたのに契約社員や派遣社員扱いされてる場合や、店長が話が通じないで無理矢理引き留めてくるといった場合ですが、しっかりと退職するという意志を表明しておけば、すんなり辞められるかと思います。
メーカー・販売店社員として百貨店を辞めたい場合
化粧品メーカーやアパレルメーカーの場合、本社社員として百貨店勤務となる場合があります。
その場合、直接の雇用主はメーカーである本社となるはずなので、本社の人事か直属の上司に退職意向を伝えるのが一般的な方法となります。
単に「百貨店勤務であることが辛いだけで、本社側の事業には関わりたい」というのであれば、直属の上司が柔軟に対応してくれるかどうかを確かめて、その上で自分の希望が叶いそうにないなら、そこで初めて退職を考えるという計画でもよいでしょう。
派遣社員として百貨店勤務を辞めたい場合
百貨店業界には「センチュリーアンドカンパニー(高島屋子会社)」「三越伊勢丹ヒューマン・ソリューションズ」などの、百貨店系列の派遣会社がいくつかあります。
タウンワークなどの求人媒体を通して、こういった派遣会社から百貨店勤務した場合、自分を雇っているのが実際に働いている店舗や百貨店ではなくまったく別の派遣会社の場合があります。
この場合、契約関係は複雑になりますが、実際に働いてる職場の社員ではなく、その前に面接や手続きを担当した派遣会社の担当者に連絡をするのが一般的な流れとなります。
単にその職場が嫌な場合、担当者に相談すれば他の職場に派遣するよう調整してもらえる可能性もあるので、雇用関係を確かめておき、自分が派遣社員でないかどうかもチェックしておきましょう。
契約社員・正社員として百貨店勤務を辞めたい場合
最後に、明確に「百貨店運営会社から直接雇用されている契約社員・正社員」の退職方法についてです。
アルバイト・派遣社員から昇進する形で雇用契約が変わり契約社員となっていたり、新卒採用なら正社員の場合が大半でしょう。
雇っている企業の規模によっては「本社ではなく子会社」に雇用されていたり「子会社管轄の職場に勤務しているが、雇用先は本社」など、やや複雑になっている場合もあるかもしれません。
この場合も、直属の上司を経由して人事部に退職意向を報告するか、直属の上司が理解ある人物なら配属替えしてもらえないか相談するなどして、冷静に対処しておきましょう。
百貨店を辞めたい時はどうする?退職方法から転職を成功させるためのポイント
以上のように、辞めたい理由の多い百貨店・デパート業界勤めですが、転職先はあるのでしょうか?
結論から言えば、転職市場で販売員・接客業自体は他の文系職全般に通用しやすくなってきているため、しっかりと転職活動すれば未経験の職種・業種への転職は可能です。
具体的な転職成功事例としては、
- 同職種・異業種への転職(例:百貨店→小売などの接客業)
- 別業種への転職(例:百貨店販売員→メーカーの企画職・マーケティング部門など)
- 他の文系職への転職(例:百貨店→営業、コンサル職など)
…など、様々な事例があります。
百貨店からの転職を成功させるポイント
販売・接客だけの経歴だと似たような求人ばかりになるので注意
転職サイトに登録してみるとわかりますが、販売・接客だけの経歴だと紹介される求人も似たような販売・接客系の仕事ばかりになりやすいです。
なので、
- 業界分析を行って転職したい業界を明確にする
- 必要に応じてスキルアップや資格取得を行う
- 企業説明会やイベント参加で人脈をつくり転職チャンスを得る
などして、経歴以外の強みを活かした転職活動も行っておきたいところです。
転職サービスを利用してプロのサポートを受ける
以上のように「百貨店を辞めたい」という悩みに対し、一概に「これをすべき」という正解はなく、それぞれの状況に合わせて最適な行動を取捨選択する必要があります。
つまり、多くのことを考えて計画的に行動する必要があるのです。
それを在職中の考える余裕がないうちに行うのは、かなりハードだと言えるです。
そこでオススメしたいのが、転職サービスでプロに相談してサポートを得るという方法です。