「店長の仕事が辛い…」
「店長を辞めたい…」
「店長の責任が重くてきつい…」
私はそんな悩みを抱えていました。店長という仕事は、店舗の責任者としての役割を担います。業界や会社によっては「店舗マネージャー」や「店舗オーナー」とも呼ばれることがあります。
店長としての主な仕事は、「店舗の運営」「売上管理」「従業員の管理(教育含む)」「お客さんの接客対応」など、多岐にわたります。私が所属していたのは小売業で、具体的にはディスカウントストアの店長でした。
店長職は、一般職であれば30代前後で経験する「管理職」的な立場に、若い頃から任されることになるため、非常にきつい仕事です。私は20代で店長に昇進しましたが、その責任の重さとプレッシャーに圧倒されました。
私の記事では、店長の仕事を辞めたいと感じた私が、どのようにしてキャリアプランを考え直し、新しい道を見つけたかについてご紹介します。店長職に悩む方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
店長職の辛い部分やきついと感じる瞬間は?
店長職は、多くの責任と期待を背負う立場です。
日々の業務の中で、辛さやきつさを感じる瞬間がたくさんあります。
ここでは、私が店長として働いていたときに感じた辛い部分やしんどい瞬間についてお話しします。
土日・祝日がほとんど休めないから
店長として働いていた私は、土日祝日に休むことがほとんど許されませんでした。社内規則や法律ではそんなことはないのですが、日本特有の「協調性」と「同調圧力」のせいで、現実は違いました。
ある日、上司から「繁忙期に休むなんて仕事をなめてるのか?」と言われ、さらに部下からは「休日に出勤しない店長って何なんですか?自分たちも休むわ」と冷たい視線を浴びせられることもありました。管理職特有の板挟みの苦悩があり、心理的に土日に休むことが許されない雰囲気でした。
また、シフトをアルバイトの人員で組まないといけないことも多く、学生アルバイトはバックれることが多く、主婦アルバイトはPTAや学校行事で土日を平然と休むことがありました。店長が土日・祝日に休むシフトを組めるのは、よっぽど店舗の人員が充実している場合のみでした。
さらに、上からは「もっと人件費を減らせないのか?」「シフト人数を減らせないのか?」「採用広告?そんな予算はない」といった圧力がかかり、ますます苦しい状況に追い込まれました。
土日・祝日・長期休暇を一生仕事に捧げる覚悟がなければ、店長職は続けられないと痛感しました。私はこの状況に耐えられず、小売業を辞める決断をしました。
アルバイトの部下の意欲が低すぎて疲れるから
店長として働いていた私は、アルバイトの部下たちの低い意欲に日々疲れ果てていました。まるでチンピラ集団のリーダーのように、様々な事情を抱えたアルバイトをまとめ上げるのは至難の業でした。
アルバイトの多くは「空いた時間に稼ぐ」という意識で働いており、社員とはまるで異なる価値観を持っています。私は彼らに店長と同じレベルの仕事を求めることはできませんでした。無理に求めれば、当然ながらバイトやパートは次々と辞めていきます。
しかし、あまりにもやる気のない仕事ぶりでは職場が回らなくなります。適切なバランスを見つけるのが非常に難しく、毎日が葛藤の連続でした。こうした状況に疲れ果て、小売業を辞める決断をしました。
自分が感じたこの疲れとストレスから解放されるためには、店長職を離れるしかないと感じたのです。
本社との関係が薄く出世チャンスがないから
店長として働いていた私にとって、本社との関係が薄いことが大きな悩みでした。店舗管理を任される立場上、どうしても本社との接点が少なくなりがちです。
このことが何を意味するかというとコネや上司との関係による出世や昇進が難しく、売上や数字だけで能力が判断されやすいという現実です。
店舗の売上は経済状況や立地によって大きく左右されますが、本社はそんな事情を考慮してくれません。ただ数字だけで私たち店長の能力を判断します。人柄や性格などは一切考慮されず、ただ冷たい数字のみで評価されるのです。
こんな理不尽なことはありません。本社の人間は、店長の出世や昇給をただの数字でしか見ていないのです。この現実に対して、私は大きな失望を感じました。店長職は過労死者が多数出るほどのブラック業界が多く、本社からは「使い捨ての人材」としてしか見られていないのです。
上から一方的に指示を出すだけで、現場の実情を理解しようとしない企業では、社員を大事にしていないことが明らかです。私はこのような環境に耐えられず、小売業を辞める決断をしました。自分の努力や人間性が正当に評価される環境を求めて、新しい道を歩むことにしました。
売上やノルマをこなしても上長に手柄を盗まれるから
店長職の辛さの一つは、売上を上げても上長(エリアマネージャーやスーパーバイザー)に手柄を横取りされることです。「お前らの手柄は全部俺のもの」と言わんばかりのジャイアンのような上長に当たると、本当に自分の手柄をすべて盗まれてしまうことがざらにありました。
せっかく店舗全体で努力して上げた成績も、「これはオレの指導が良かったおかげだ」と、上長が横取りしてしまいます。小売や飲食業界で出世するためには、どうやらこのように部下の手柄を自分のものにし、逆に失敗は部下の責任にするという図太い人間が有利のようです。
「部下の手柄は自分のもの。オレの失敗は部下の責任」
信じられないかもしれませんが、店長から成り上がって上長に出世できるのは、こういう図太い人間なのです。この現実に嫌気が差し、私は小売業を辞める決断をしました。
他で通用するスキルが身につかない
店長職に就いていると、スキルが身につかないし、成長している実感が湧かないという悩みを抱えていました。店長という仕事は「BtoC(企業対消費者)」というビジネスモデルなので、一般職とは異なるキャリアになります。そのため、転職市場ではなかなか評価されません。
さらに、本社と店舗が離れているため、売上や数字でシビアに評価されるのも、キャリアコースを歩みにくい理由の一つです。このままでは、定年退職まで店長で終わる可能性もゼロではありません。
下手をすれば、定年退職まで店長で終わりという可能性もゼロではありません。
「一生店長クラスでも問題ない」と覚悟を決めているのであれば問題ありませんが、私自身はそうではありませんでした。もっと成長し、スキルを身につけたいという気持ちが強かったため、キャリアプランニングを見直す必要がありました。
私が店長を辞めて転職成功するまでしたこと
ここでは、私が店長を辞めて転職に成功するまでに行った具体的なステップについてお話しします。
退職を決意するまでの葛藤や、転職活動のプロセスを通じて学んだことをシェアすることで、同じように悩んでいる方々の参考になればと思います。
将来性は所属する業界や会社の業績に注目する
店長職の将来性は、所属する業界や会社の業績に大きく左右されることを痛感しました。成長著しい業界や好調な企業であれば、店長職のポジションも将来性が高いと言えるでしょう。私自身、業界のトレンドや市場の需要変化に常に注目し、将来の展望を考えるようにしていました。
例えば、店長職で働く方が所属する業界ごとの平均年収データを見ると、店長職の平均年収は低めですが、若いうちに年収が上がりやすいという傾向が見られます。私も若い頃に店長として経験を積み、年収を高めてきました。
▼接客/サービス業が所属する業界全体の平均年収(40歳地点の推定)
百貨店:461万円
外食・中食:488万円
葬儀・ウェディング:493万円
旅行:494万円
ホームセンター・ディスカウント:496万円
家具・インテリア・生活雑貨:504万円
スーパー:510万円
家電量販店:512万円
ドラッグストア:512万円
カフェ:527万円
アパレル・繊維:546万円
コンビニエンスストア:560万円
リユース(中古):573万円
ホテル:593万円
パチンコ・パチスロ:601万円
—↑平均より下↑—
全業界平均:662万円
—↓平均より上↓—
クレジット・信販・リース:716万円
生命保険・損害保険:758万円
不動産・戸建て・マンション:822万円
しかし、体力的に現場仕事がきつくなってくる40代までに今の会社で出世するか、転職してキャリアアップする必要があると感じました。だからこそ、私は自分の将来性を真剣に考え、転職を決意したのです。若いうちにしっかりと経験を積み、将来に向けてキャリアプランを立てることで、将来性あるキャリアを歩めると思います。同じように悩んでいる方々にとって、この経験が少しでも参考になれば幸いです。
「万年店長」の可能性は考慮しておく
一方で、小売業や飲食業など一部のビジネスモデルでは、店長ポジションがキャリアの頂点とされ、出世が店長止まりになることも多いのです。私自身もその現実に直面しました。平均年収が低めであるのも、この影響だと考えられます。
「万年店長」となってしまう可能性を考慮し、将来のキャリアパスや成長の機会をしっかりと検討することが重要です。私も、自分のキャリア目標や成長意欲に照らし合わせて、この現状が自分にとって適切かどうかを深く考えました。
最終的に、私は自分の成長意欲やキャリア目標と整合性が取れないと感じ、転職を決意しました。
店長としての経験やスキルは客観的に見ても高め
店長職で培われる経験やスキルは、他の職種や業界でも高く評価されることがあります。私も、店長としての経験がどれだけ他のビジネス領域で活かせるかを考えるようになりました。
リーダーシップ、人材管理、予算管理、顧客対応など、店長としての日々の業務で培ったスキルは非常に多岐にわたります。これらの経験は、幅広いビジネスシーンで応用可能であり、他業界でも高く評価されるのです。
自分の成長やキャリアの観点から、店長としての経験やスキルを客観的に評価することは非常に重要です。私も、自分のスキルセットを見直し、それが将来のキャリアにどのように役立つかを考えました。
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店長職からの転職先の例
店長職からの転職やキャリアアップは、、新たなチャレンジや成長の機会を求める人にとって魅力的な選択肢です。
店長職で培った経験やスキルを効果的に活かことで、より自身のキャリアを発展させることができます。
この章では、そんな店長職からの転職先やキャリアアップの例をいくつか紹介します。
スーパーバイザー/エリアマネージャー
店長職からの順調に出世した場合、地域単位で複数の店舗の運営を統括するスーパーバイザーまたはエリアマネージャーになることがあります。店長の経験を活かしながら、複数のチームをまとめ、店舗の業績向上やスタッフの育成を担当します。
販売企画・流通企画/マーケティング職
長の経験を活かして、商品の企画や販売戦略を立案する販売企画や流通企画のポジションに進むことができます。マーケティング知識やデータ分析のスキルを駆使し、消費者ニーズに合った商品展開や効果的なマーケティング活動を行います。
バイヤー
店長の経験からバイヤーに転身することもあります。バイヤーは商品の仕入れや取引先との交渉を担当し、需要に応じた商品の選定や在庫管理を行います。店舗運営の視点を持ちながら、商品の企画・開発から仕入れまでを一貫して担当します。
フランチャイズオーナー
店長経験を活かして、フランチャイズ事業を展開する企業の加盟店舗のオーナーになる道もあります。自らが店舗の経営者として全ての業務を担当し、ブランドの価値を最大限に引き出します。
ECショップ運営(WEBマーケティング)
インターネット上での販売に特化したECショップの運営やWEBマーケティングに携わることも考えられます。店長の経験を活かして、オンラインでの販売戦略の立案やウェブサイトの運営を行い、顧客との関係性を構築します。
経営コンサルタント
店長の経験を生かして、小売・飲食業界に特化した経営コンサルタントとして活躍することも可能です。
企業の経営課題や業績向上のサポートを行いながら、幅広い視点で業界全体の動向やトレンドを把握し、戦略立案や改善提案を行います。
経営コンサルタントになるには、名乗った上で独立開業する方法もありますが、マーケティングや流通、経営など経営に関する必要な知識を包括的に学べる「中小企業診断士」の資格を取る方法があります。
転職サービスを利用してプロのサポートを受ける
以上のように、「店長を辞めたい」という悩みに対し、一概に「これをすべき」という正解はなく、それぞれの状況に合わせて最適な行動を取捨選択する必要があります。つまり、多くのことを考えて計画的に行動する必要があるのです。
それを在職中の考える余裕がないうちに行うのは、かなりハードだと言えるです。
そこでオススメしたいのが、転職サービスでプロに相談してサポートを得るという方法です。