「取引先が頭のおかしい要求ばかりしてきてウンザリ…」
「取引先の態度が失礼で謎に喧嘩腰でむかつく…」
「取引先の担当者が話が通じなくて疲れる…」
意外と、多い「取引先」に関する悩みやストレス。
仕事では人間関係の悩みが付き物でありますが、それは社内外だけではなく、取引関係にある会社間での人間に対しても生じるものです。
これが社内での上司と部下の関係であれば、上司の個人的な人格や感情が原因となることが多いため、たとえばより上司の上の立場に相談するなどすれば、対処できる可能性があります。しかし、取引関係の場合は立場やしがらみがややこしくなっていたり、誰がどの役割や責任を持っているかも曖昧になりやすいため、対処が難しいように思えます。
しかし、冷静に状況を分析してみたり原因を考えてみると、見えてくるものもたくさんあります。
たとえば、取引先が自分に対して理不尽な態度を取ってきた場合、過去、自社と何かしらのトラブルがあって不信感を抱かれていたとしましょう。その場合、自社に対する不信感を上手く汲んであげることで、信頼を勝ち取るチャンスにもなるかもしれません。
このように、たとえ取引先が横暴で理不尽でやり返したい気持ちになったとしても、その状況を冷静に分析し最適な対応を行うことで、上手くビジネスチャンスにしてしまうのが一流のビジネスパーソンというものです。
もし読者の方が取引先とのコミュニケーションにストレスを感じているなら、それはもしかしたらチャンスになり得るかもしれないと、一度、前向きに考えてみるべきです。
本記事では、取引先の理不尽な対応や高圧的な態度にお困りの読者に向けて、それをチャンスに変えていくための考え方や交渉術についてご紹介していきますので、ぜひ、ご自身の仕事や人生の参考にしてみてください。
頭のおかしい取引先の特徴!思わずキレたくなる瞬間とは?
取引先との関係がビジネスの成否を大きく左右すること、多くの方は経験的に感じているでしょう。特に「嫌な取引先」とのやりとりはストレスが溜まりますよね。そう、私たちが何度も眉をひそめ、心の中で怒りを感じるあの瞬間。実際には冷静に対応すべきとわかっていても、これらの特徴を持つ取引先とのやりとりは非常に難しいものです。
理不尽な要求を繰り返す
あなたが頑張って提案した内容や、合意していたことを何度も変更されることはありませんか?「前回と違うことを言ってる」と感じることが多いと、自分の仕事の価値が認められていないように感じてしまうもの。頭を抱えるばかりです。
喧嘩腰で失礼な態度/無駄に高圧的な態度
コミュニケーションは相手との関係を築く大事な要素。しかし、嫌な取引先は、まるで戦場のような雰囲気を作り出してしまいます。不必要に高圧的な態度や言葉遣いは、プロフェッショナルとしての態度とはほど遠いですよね。
「言った言わない」の問題が頻発する(合意した内容を後から変更/急なキャンセル/一方的な納期の変更)
約束や合意はビジネスの基本。それを守らない取引先には、誠実さや信用感が欠けていると感じざるを得ません。急なキャンセルや一方的な納期の変更は、私たちの仕事の進行や計画を混乱させてしまいます。
説明を聞かないで都合の良い解釈をする
「技術的には可能」といった受け答えに対し、具体的な要件を決めずに「可能」という部分だけ都合良く受け取り、勝手に話を進められるといったケースです。
無駄に細かい指示を繰り返す
細かい指示は、プロジェクトを成功に導くための大事な要素かもしれません。しかし、その都度微調整を求められると、全体の方向性や目的が見えにくくなります。そして、その指示が無駄に繰り返されると、自分の能力を疑われているようで不快に感じてしまいます。
嫌な取引先が生まれる問題とは?会社側にも問題あり?
「嫌な取引先」という言葉を聞いて、多くの方が「取引先のせい」とすぐに考えがちです。しかし、実はそうした取引先の態度の背景には、様々な要因が存在します。そして驚くかもしれませんが、その原因の一部は、自社にもあるかもしれません。
相手方の担当者の能力や人格に問題がある
取引においては、相手方の担当者が「メッセンジャー」として、会社間の橋渡し的役割を担います。
しかし、その担当者の能力であったり、あるいは人格面で問題があると感じさせるようであれば、取引関係は上手くいかないものです。
よくあるケースとしては、
- 基礎的なビジネスマナーのなっていない失礼な新人担当者
- 社内事情や業界事情に詳しくなく話の通じない担当者
- 話を聞かない割に謎に上から目線な担当者
- 他力本願でわがままな要求を丸投げしてくる担当者
- 社内調整を行わず話を横から横に流すだけで仲介価値の低い担当者
などは、トラブルメーカーとなりやすく、取引を難航させる要因となっているかもしれません。
扱っている商材の性質的にリテラシーの低い顧客層が多くなりやすい
リテラシーとは「ある分野に関する知識や能力を活用する力」を指す言葉です。
自社が扱っている商材が複雑な契約形態であったり、使いこなすために基礎的なリテラシーが必要な場合、顧客側のリテラシー不足により、クレームが増えやすくなることがあります。
- コンサルティングサービスなどの無形財
- 成果が不明瞭となりやすい広告
- SaaSなどのIT/クラウドサービス
- ニッチな需要の部品や製造パーツ
- 契約形態が複雑な商材
上記のような商材は単に契約して社内に導入しただけでは価値がわからないことが多いため、受発注者ともに一定のリテラシーを持つ人物の存在が不可欠となります。
顧客の要求が高くなりやすい高単価の商材や専門性の高い商材を扱っている
高願望の顧客は、サービスや商品に対する期待値も高まります。そのため、綿密なコミュニケーションやアフターケアが求められます。
社内で商材への理解やカスタマーサクセスが浸透しておらず顧客への説明が不十分
自社の商品やサービスを社内で完璧に理解していない場合、顧客への説明も不十分になります。この点を見直し、全従業員が商品やサービスの価値を理解し、それを顧客に伝えることが重要です。
会社が中小規模以下で力関係が弱く理不尽な要求を断れない
企業規模による力関係の非対称性は否定できませんが、企業の価値や強みをしっかりと持ち、顧客との関係構築を重視することで、理不尽な要求に対しても適切に対応する力を持てるようになります。
自社の製品/サービスに魅力がなく競合差別化が為されていない
他社との競合差別化がないと、顧客からの価格競争や過度な要求が生まれやすくなります。自社の強みや独自性をしっかりと打ち出すことが求められます。
要件定義ができていない
とくにIT/WEB開発において、トラブルに発展しやすいのが「要件定義」に関する問題です。
要件定義とは、システム開発やソフトウェア開発などのプロジェクトを開始する前に、必要な機能や要求を明確にまとめていく作業のことです。
通常、営業担当者が顧客要望をヒアリングして課題を抽出し要件定義書をまとめるなどして、プログラマーなどの在籍する開発部門に作業してもらう工程を行います。
しかし、営業担当者が「単なる御用聞きで顧客から要望を引き出さない」「IT知識がまったくなく要件定義できない」という状態ですと、総じてトラブルに発展しやすい…というのが、いわゆる「SIer(System Integrator-システムインテグレーター)」「SES(Software as a Service-ソフトウェア・アズ・ア・サービス)」で起こる問題として有名です。
これは受発注側どちらに問題があるか判断が難しくはありますが、まとめますと、
- 顧客側に知識がない、または要件が不明確
- 顧客からヒアリングできて要件定義できる営業担当者がいない
- 要件定義がないまま受託して仕事が進む
ことで、取引においてトラブルが生じるという構造になります。
検品/納品手続きが適切に為されていない
片方の会社に過度に依存すると、バランスが崩れ、問題が生じやすくなります。双方が責任を持つことで、スムーズな取引を実現しましょう。
頭のおかしい取引先の適切な対処法:腕の見せ所?それとも関係を切るべき?
高圧的な取引先に感情的になってしまい、ついついムカついて関係を切りたくなることはあるかと思います。ですが、読者が一社員の権限ですと、自分の意志だけで関係を切るのは現実的には困難です。
また、冷静に相手を分析すれば、味方につけて良好な取引関係になれるチャンスが見つかることだってあります。
本来、お互いに友好的な態度でいた方が得なはずの取引先に対して、理不尽な態度を見せつけるということは、その裏に何かしらの不満があるということです。
その不満を特定して上手いこと懐柔できれば、すんなり話の通してくれる心強い味方にもなり得ます。
理不尽な要求をしてくる取引先は厄介に見えますが、上手く手懐けることで得られるメリットや身につく自信やスキルは計り知れませんので、少しでも仕事に対して熱意があるならチャンスだと捉えてみて、ここで紹介する方法を少しずつ実践してみましょう。
まずは社内で相談して取引先との関係性を把握する
問題が発生した際の最初のステップは、自らの組織内で情報共有を行うことです。
問題となる取引先と契約を結んだ営業担当者や、上長、あるいは関連部署に相談することで、取引先との全体的な関係性や背景を理解することが先決です。
- 新規顧客の場合:
自分自身が獲得した顧客で、なおかつ、裁量権が自身にある場合は、取引を切ることができるかもしれません。契約書内容を確認して、正当な手順で取引の打ち切りを考慮しましょう。 - 既存顧客の場合:
自社と取引歴の長い得意先であったり、前任者や営業担当者と親密な関係にある可能性を考慮すべきです。自分自身の一存では取引を切ることが難しい可能性があるため、社内での確認が要されます。
明確に「自分自身の一存だけで取引先との契約が切れる」場合ならともかく、大半の場合はそうでないことも多いため、問題となる取引先と関係の深い社内担当者に相談するのが適切でしょう。
相手方企業の別担当者にかけ合い担当者の交代を打診する
特定の担当者に問題が起因している場合、適切に交渉を行い、担当者の交代を打診することが有効です。これにより、関係のリセットや新しいコミュニケーションの構築が期待できます。
遺憾の意を表明し静かに怒りや不満を伝える
高圧的で失礼な担当者が、俗な言い方をすれば「ナメた態度」である場合、単刀直入に怒りや不満をハッキリ伝えることで、相手側の態度が変わる可能性に期待できます。
まるで政治家のように冷静に遺憾の意を伝えることで、相手側の非礼な態度が改まるかもしれません。
合理的かつ戦略的に怒りの感情で相手に圧をかけることも、時としてビジネスに求められる立ち振る舞いだと言えるでしょう。
一方で、感情的になったことで相手側が萎縮したり警戒することでかえって話がややこしくなることも多いため、この手段を行使する場合には注意が必要です。
業務上、問題ない範囲では無視したり塩対応する
取引先のすべの要求や連絡に対して対処する必要はありません。
業務上の進行に支障がない場合、無駄なエネルギーを消耗することなく、一時的に無視する選択も考えられます。
たとえば、事あるごとに質問してきて連絡負担が増えたり、納品物に対して過剰な手直し要求をしてくるようであれば、毅然として突っぱねておく方が賢明な場合もあります。
代替先となる別の取引先を見つける
自分側が発注者の場合、契約終了タイミングに合わせて他の取引先に移行することも、現実的な選択肢となります。契約期間を確かめ、早期に移行先となる取引先を見つけておくことで、嫌な取引先と関わらずに済みます。
契約書や法律を原則に話し合いを進める
最終手段として、契約内容や法律を持ち出すことも考えられます。正当な立場を明確にし、相手方との合意を築き上げるための基盤として利用することが可能です。
厄介になるのが、契約書ベースで理不尽な要求を通そうとされているケースです。
契約書に記載がないことに対してクレームをつけられたり、あるいは契約書に記載があることと違うとイチャモンをつけられれいる場合、感情的な対策だけでは言い返せなくなります。
この場合、まずは契約書を作成した側が相手か自社かを特定しましょう。
前提となりますが、原則的に契約書は作った側が有利になるように出来ていることが多いです。
そのため、契約書を作っているのが相手の会社側である場合、非常に不利な状況になります。
また、契約書をもとにクレームをつけてきているのであれば、相手側も戦略的に裁判を検討している可能性があるため、一社員では手に負えない事態に発展している可能性も高めです。
ですので、社内へ相談することはもちろん、場合によっては弁護士に相談して守りを固めるなどして、自社および自分自身の防衛手段を講じておく必要があるでしょう。
仮に裁判沙汰に発展せずとも、弁護士に相談している旨を相手側に伝えることで、相手側は企業の看板を背負って裁判沙汰におよぶことはリスクになるわけですから、そこで引き下がってくれるかどうかで本当に契約書の内容を履行するかどうかが推し量れます。
どうしても嫌な取引先との付き合いを継続しないといけない場合は?
取引先との関係が厄介なものになってしまう場面は、ビジネスの現場では決して珍しい事態ではありません。しかし、経済的な理由やビジネス上の戦略的な理由から、その取引先との関係を継続しなければならない場面も出てきます。このような場合、どのような対処をすれば良いのでしょうか?
組織全体で厄介な取引先に対処する
一人の担当者だけでなく、組織全体で取引先の対処方法を共有し、協力して対応することが大切です。これにより、一貫した対応ができるようになり、トラブルの最小化が期待できます。
個人的な交渉能力/ビジネスコミュニケーション能力を底上げする
取引先との関係に苦悩するということは、受発注を担当する営業職や購買部、あるいは外部調達を担当する企画部やマーケティング部など、いずれにせよ今後のキャリアにおいて取引先との関係構築が主となる職務範囲であるかと思います。
ですので、いかなる取引先とも上手くやりとりする能力を身につけておいて、損はないでしょう。
交渉術やビジネスコミュニケーションに関する書籍を読むなどして、自身のスキルアップを目指しましょう。
取引先との関係構築が良好な会社への転職を検討する
もし現在の会社の状況が改善される見込みがない場合、新しい環境での再出発を考えるのも一つの選択肢です。取引先との関係構築が良好な企業を対象に転職活動を行うことで、新たな働き方が見えてくるかもしれません。
- 一次下請け以内の会社:
孫請け以下の会社は立場が弱くなりやすく、理不尽な取引先との関係も切ることが難しくなります。 - カスタマーサクセスが機能している会社:
会社に対しての取引先の態度が温和になるかどうかは、自社が提供する商品やサービスに対する顧客満足度にも比例します。
最終的な選択は各個人の状況や考えに依存しますが、現状に甘んじず、常に自身の環境をより良いものにしようとする姿勢が重要です。