私たちは社会と関わる限り、死ぬまで人間関係の呪縛から逃れられません。
とくに複雑な利害や感情の絡む”仕事”では、ありとあらゆるストレスを抱え込むことでしょう。
しかし、そのストレスを軽くすることはできます。
人を変えることは、とても難しいですよね。
ですが、自分を変えることは簡単です。
かつて、私は師から心に残る言葉をいただきました。
「人生、先に大人になったほうが勝ちだよ」
今思い返しても、まさにその通りだと思います。
もっとも「大人とは何か?」という話をしだすと、これまた一記事1万文字ほど書けるテーマなんですけどね。
ここでは「現実的解決策を実行できる人間」を”大人”と定義して、語っていきます。
もし、あなたが職場の人間関係に悩んでいるなら「より大人になれる機会」だと思って、前向きにこの記事を読んでみてください。
目次
上下関係が厳しいとストレスを感じる人は成果主義の会社へ転職するべき?
日本の伝統的な組織では、上限関係を重んじる風土がまだまだ強く「上の指示や命令は絶対」という前提があります。
これに対し、強い反感やストレスを感じる人は決して少なくはないはずです。
▼会社での上下関係が厳しいとストレスを感じる人の特徴
筆者も成果主義・能力主義の傾向が強いため、根拠がなく上下関係が厳しいだけの組織には強いストレスを感じる性質です。
上下関係の厳しい会社の傾向を調べてみると、とくに以下のような企業が目立ちます。
▼上下関係が厳しい会社の特徴
- 大企業・公務員のような融通の利かない大きな組織(→大企業向いてない、公務員向いてない)
- 年功序列や勤務経歴を重んじる古風な会社(→古い体質の会社の特徴)
- タテ割り型の組織構造を重んじる体育会系の会社(→体育会系の会社の特徴)
逆に成果主義の傾向の強い外資系企業や若手の多いベンチャー企業・IT/WEB系の企業は、そこまで上下関係が厳しくない企業も多めの傾向です。
職場の人間関係のストレスとなる原因は?
職場の人間関係のストレスとは、一見複雑に見えて、単純でもあります。
多くの場合は利害や立場、感情などをしっかり分けきれていない人間が、自分勝手に持ち込む私情により、ストレスの多いものとなっていきます。
一番大切なことは「仕事と感情の線引」なのですが、残念ながらそれが完璧に出来る人間はいないでしょう。
それが出来るのはロボットだけです。
人間はささいな感情で、揺れ動く生き物なのです。
そんな、仕事と感情のもつれが生み出す、代表的な職場の人間関係のストレスを紹介しましょう。
上司との関係がストレス
何と言っても、職場の人間関係で最も多いストレスは、上司との関係でしょう。
上司は選べませんからね。
とくに気分で指示する上司や、仕事の出来ない上司のケツを拭く部下のストレスは、計り知れないものでしょう。
そして多くの場合は、どんな理不尽な上司でも、自分より給料を多くもらっているという事実が、より一層怒りを際立たせますね。
さらに困ったことに、部下1人の権限や努力では、上司の仕事も人格もどうしようもないという現実もあります。
そういった不可避・理不尽な条件があまりに多いため、職場の上司に不満を募らせている社会人の方は実に多いと言えるでしょう。
・理不尽な上司に関するオススメ記事
部下との関係がストレス
次に多いのは部下との関係でしょう。
人は、必ず思った通りに動いてくれません。
言うことを聞かずに、自分の仕事を増やす部下を持って、イライラしている上司の方も多いでしょう。
そして、日本の社会人の大半は中間管理職的な立ち位置に属することになります。
上司と部下の板挟みで、もっともストレスを抱える立場にいるわけです。
そこに顧客や家庭まで加えたら、まさにストレス・オブ・ストレス、定年退職までストレスまみれで仕事し続けなければなりませんね。
ただし、上司の権限や努力で、部下との関係の改善は十分可能です。
部下を従えていく楽しみを覚えると、仕事がはかどり出世できるかもしれませんよ。
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顧客との関係がストレス
上司と同じぐらい、ストレスの多い人間関係を生み出すのが「顧客との関係」でしょう。
まあ、日本には「お客様は神様」と勘違いした人がたくさんいますからね。
本来、顧客とはWin-Winの関係で、お互いに利害関係があって成り立つべく存在です。
しかし、実情は下請けの連鎖で顧客の無茶な要求を断れない現場、声のでかいクレーマーへの対処で追われる現場…など。
顧客によって、職場全体がストレスを抱えている企業も珍しくはないでしょう。
逆に、顧客との関係性の築き方の上手な企業は、なるべくしてホワイトな労働環境になります。
なぜなら、お客様よりも自社の社員が大事なのですから。
「お客と社員どっちが大切か?」と社員に尋ねられて「お客様」と真顔で応える経営者は、仕事をボランティアと勘違いしているただのバカです。
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男女の関係がストレス
また、無視できない職場の人間関係に「男女の関係」…つまり、色恋沙汰が挙げられますね。
職場内恋愛はともかく、やはり男は可愛くて若い女性が好きですから、ついついひいきしてしまうこともあるでしょう。
そして、女は可愛さを武器に上手く立ち回る人もいます。
男女間の思考・感情の違いも、仕事の人間関係に大きなストレスを与えるものになります。
「異性の気持ちを理解するために恋愛しろ!」とは言いませんが、男女の感覚の違いはしっかり知っておいて、円滑なコミュニケーションがとれるようにしておくべきでしょう。
家庭との兼ね合いがストレス
厳密には職場ではありませんが、妻と子を持つことはすなわち、会社とは別のもう一つの社会を持つことです。
時として、家庭の問題や事情が職場の人間関係に与える影響も多いことでしょう。
また、既婚者と独身者の温度差も、時として職場での人間関係のストレスを生み出しますね。
職場の人間関係のストレス解消方法とは?
代表的な職場での人間関係のストレスを紹介したところで、今度は改善方法を紹介していきます。
このサイトのテーマである”少し視点を変えてみれば”、改善できる人間関係も世の中にはたくさんあります。
というのも「決して、人は他人を嫌ったり、危害を加えるために生きているわけではない」からですね。
あるのは、価値観の違い、気遣いや思いやりの見当違い、そしてすれ違いだけなんです。
愛と憎しみは表裏一体なものです。
裏を返すだけで、憎しみも愛に変わり得るものです。
まずは今の職場の人間関係を見直し、より良い方向に変えていけないか、自分で模索してみましょう。
腹を割って話す
職場の人間関係を改善するため有効な手段は「腹を割って話すこと」です。
喧嘩上等、お涙頂戴、感情と感情のぶつけ合い、そして拳と拳の殴り合い。
言葉や態度で分かり合えないのであれば、あとは両者ぶつかり合うのみです。
いつも大人な態度を貼り付けあっている社会人だからこそ、時にはお互い全力でぶつかり合ってみるのもいいでしょう。
意地と意地をぶつけ合うのも、時には必要でしょう。
人を動かすのに最善な手段は、理屈やルールではなく「感情」です。
たまには、思いっきりぶつかり合うのもいいでしょう。
適切な距離間を保つ
現実的かつ大人な対応としては、適度な距離感を保つという対処法でしょう。
多くの大人が行う、極めて現実的な対処法ですね。
ただし、これは「踏み込むべき領域も無視する」「事なかれ主義」と言い換えることもできます。
部下や同僚、顧客の心の機微を見逃し、放置し続けると、そのうち内で大きな闇が育まれていくことになります。
たまには仕事を数時間切り上げて、ぶっちゃけトーク大会でも開いて、適切な距離感の見直しをするべきです。
まあ、適切な距離感なんかねーよ…というのが事実なんですけどね。
すべからく、本人が適切だと思いこんでるだけですから。
主義主張をお互いにしっかり通した上で、調和を為すことが本当の意味での”和”であり、現代の日本人の「黙って合わせておくべき」「自分の主張は抑えるべき」という考え方は本当の意味の”和”ではありませんからね。
自分の主張をグッとこらえて黙っておくか、表に出すかはあなたの立ち回り次第です。
好き嫌いをハッキリさせる
社会人に大事なのは「スタンス」です。
何を以って職場に勤めているかハッキリさせることで、仕事に対するスタンスもはっきりします。
それはすなわち、好き嫌いをハッキリさせることでもあります。
そして、好き嫌いがはっきりしているということは、物事の優先順位をしっかり判断できる「決断力のある人間」であることを意味します。
…とはいえ、嫌いな人間をあまりに無下に扱ったり、好きな人間をひいきしすぎないバランス感覚も大事です。
謙虚さを身につける
謙虚さとは、すなわち「非を認める」能力です。
大人とは間違いたくない生き物です。
間違いを素直に認める、自分の能力の無さを認めることは、意外に難しいことでしょう。
しかし、考えを変えてみましょう。
謙虚ということは、それだけ器がデカイということです。
間違いを受け入れ、新たに学ぶ度量があるということですからね。
逆に、いつまで経っても、自分の非や間違いを受け入れられない人は、器の小さい人間だということですね。
時には甘えてみる
「甘える=頼る」ということです。
人間、頼られて嫌な気持ちになる人なんていません。
頼みごとの上手い人は、ビジネスにおいて最強です。
「大人になれ」とは言いますが、それは決して自分ひとりで抱え込めというわけではありません。
人一人の出来ることなんて、たかが知れています。
たまには、普段頼ったこともない人に、思いっきり甘えて頼んでみましょう。
職場の人間関係のストレスが耐えられないなら転職して切るのも手
どうしても、職場の人間関係を改善できない場合は、断ち切ってしまうのも手です。
考えても見てください。
学生時代のクラス替えから進学、家庭を離れて一人暮らし、そして結婚。
人間関係とは定期的に入れ替えることで、新しい自分を作りだしてくれるものです。
もし、あなたが今の職場の人間関係に限界を感じているのであれば、それは人間関係の替え時です。
―――つまり、あなたがさらに大人になって成長するチャンスということでしょう。
家庭を巣立って自立するように、職場を離れてさらに成長していくチャンスだと言えるでしょう。
周りが子供のような人ばかりでは、伸びるべきものも伸びません。
今の職場はあなたには合っていないんです。
人間関係を断ち切ってしまうことは、決して逃げではありません。
むしろ、もっとあなたが大人として成長するための、積極的な選択肢です。
職場の人間に悩み続けるよりも、もっと仕事や人生のことで有意義に悩み続けたほうが、いい仕事も生き方ができることでしょう。
人生、先に大人になったほうが勝ちです。
そして大人とは、人間関係のような学生レベルの悩みではなく、もっと社会や仕事の悩みを抱えることで成長していくものです。
「企業と同じ悩みを持て」とは言いますが、ささいな職場の人間関係で悩んでいては、会社の悩みになど辿り着けるはずもありませんよね。
人間関係で悩み続ける暇があるなら、もっと他のことで悩める有意義な職場を探しましょう。